保育園によって子供と職員の人数は異なり、人数の多さによって大規模保育園・中規模保育園・小規模保育園と表現されることがあります。その中でも中規模保育園は、園児の数が多すぎず少なすぎない、大規模と小規模の中間にある保育園です。しかし、中規模保育園がどれほどの規模感か分からない方もいるのではないでしょうか。
当記事では、中規模保育園とはどのような規模感の保育園であるか、また働くメリットやデメリット、ポイントなどを解説します。
目次
中規模保育園とは?小規模保育園・大規模保育園との違い
中規模保育園は、園児定員が50〜70人ほどの保育園を指します。職員の数は20人程度です。小規模保育園や大規模保育園との主な違いは定員数であり、定員20名未満の場合は小規模保育園、定員100名以上の場合は大規模保育園と一般的に呼ばれます。
中規模保育園の保育内容や対象年齢は、大規模保育園とほとんど変わりません。いずれも0〜6歳の子供を保育対象とした施設となっています。中規模保育園は単純に、規模が大規模保育園と小規模保育園の間くらいの保育園と考えてよいでしょう。なお、中規模・大規模保育園と異なり、小規模保育園は0〜3歳未満の子供が対象となっています。
保育園への就職や転職を考える際に、「大規模保育園は園児数が多くて大変そう」「小規模保育園では物足りない」といった悩みを抱える方もいるでしょう。その場合、中間に位置する中規模保育園で働くことを視野に入れるのもおすすめです。
小規模・中規模・大規模保育園で働くメリット・デメリット
保育園に勤務する場合、施設の規模によってメリットとデメリットが大きく変わります。園選びの際には、それぞれのメリットだけではなくデメリットも知った上で総合的に判断するとよいでしょう。
小規模・中規模・大規模保育園で働くメリット・デメリットを紹介するので、参考にしてください。
小規模・中規模・大規模保育園で働くメリット
小規模・中規模・大規模保育園で働くメリットとしては、それぞれ以下のようなものが挙げられます。
■小規模保育園で働くメリット
- 子供一人ひとりと丁寧に向き合える
- 保育士1人あたりの業務負担が少ない
- 職員同士で連携が取りやすい
- 乳児保育の経験を積める
■中規模保育園で働くメリット
- 子供一人ひとりを適度な距離間で見守りやすい
- 行事などを開催しやすい
- 保護者とコミュニケーションを取りやすい
- 保育士のアイデアを生かしやすい
■大規模保育園で働くメリット
- 多くの子供と関われる
- 多くの職員と協力し合える
- 休みの融通が利きやすい
- 行事にやりがいがある
小規模保育園はマンションの一室などのコンパクトなスペースに設置されているケースが多く、子供一人ひとりにしっかりと目が行き届く点が大きなメリットです。
中規模保育園は大規模保育園に比べて担任の人数が少ないため、キャリアに関係なく職員同士で意見を出し合いやすい点がメリットの1つと言えます。
大規模保育園は子供・職員ともに人数が多いため、たくさんの人と交流できる点が魅力です。また、職員が多い分人員配置に余裕があるケースも多く、休みの希望が通りやすい傾向があります。
小規模保育園で働くメリットは?一般の保育園との違いや特徴を解説
小規模・中規模・大規模保育園で働くデメリット
小規模・中規模・大規模保育園で働く場合に考えられるデメリットは、以下の通りです。
■小規模保育園で働くデメリット
- 人間関係で悩むケースがある
- 保育士一人ひとりの責任が重い
- 幅広い保育スキル・経験を積むのが難しい
■中規模保育園で働くデメリット
- 地域の方に気を遣う必要がある
- 大規模保育園に比べると施設が狭い
- 人間関係が濃くなりやすい
■大規模保育園で働くデメリット
- 仕事の量が多い
- 人間関係が複雑になりやすい
- 多くの子供を見る大変さがある
どのような職種でも人間関係に悩む可能性がありますが、保育園の場合は規模によって理由が異なる傾向があります。
小規模保育園は少人数で運営するため、人間関係がうまくいかなかった場合に行き詰まりやすい点がデメリットです。中規模保育園は、小規模保育園よりも保育士数が多いものの、人間関係が密になりやすく、仕事と私生活との境目が曖昧になって苦しむケースがあります。大規模保育園の場合はさまざまな職員や保護者と関わるため、価値観や考え方が合わない人と出会う確率が高い点がデメリットと言えるでしょう。
中規模保育園で働く際のポイント
中規模保育園は施設が狭い傾向にあり、幅広い年代の子供がいるなど、小規模・大規模両方の保育園の特徴を持っています。そのため、中規模保育園での保育では気を付けるべきポイントがいくつかあります。
子供が安心できる環境づくりを心がける
中規模保育園の特徴は、保育士が子供一人ひとりと向き合える環境であることです。それだけに、子供たちが安心できる保育環境作りをすることが大切と言えます。
保育においては、子供たちの成長・発達に合わせた人・物・場などの環境構成を考えることが重要です。例えば、子供たちが安心して過ごすためには、人との関わりは欠かせません。子供には、保育士の言動だけではなく、表情や雰囲気、保育士同士の関係性なども伝わります。保育士同士が良好な関係を築き、園全体があたたかく落ち着いた雰囲気になれば、子供たちもリラックスして過ごしやすくなるでしょう。
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職員同士で情報を細かく共有し合う
中規模保育園では限られたスペースを共有しながら保育するため、情報をうまく共有する力が必要です。職員同士できちんと情報共有ができれば、仕事がスムーズに進むほか、子供の安全確保やトラブル回避にもつながります。
職員同士で情報を細かく共有し合うためには、職員同士が話せる時間を毎朝5分でも確保することが大切です。ただし、先輩と後輩の間には上下関係があるため、保育士歴がまだ浅い人が遠慮して、情報共有がスムーズにいかないケースもあります。その場合、先輩職員が後輩に歩み寄り、積極的にコミュニケーションを取って話しやすい環境を作るとよいでしょう。
保護者と良い関係が作れるように努める
中規模保育園では行事の準備・開催などで保護者の力を借りることも多いため、関係作りに努めることが大切です。保護者とよい関係を作るためには、日頃からコミュニケーションを積極的に取ることが重要になります。送迎の際の挨拶など、小さなコミュニケーションもしっかりと積み重ねていくことがポイントです。
また、保育園での子供の様子は保育士にしか分かりません。些細なことでも保護者にとっては貴重な情報となります。そのため、日々の子供の成長を保護者に伝えることで、信頼関係を築きやすくなるでしょう。保護者と交流する時間をなかなか取れない場合は、連絡帳などを活用するのがおすすめです。
環境に合わせて子供との遊びを工夫する
中規模保育園はスペースが限られているため、子供たちが安全に楽しく遊べるよう工夫する必要があります。例えば、遊びのコーナーをジャンルごとに区分けすることで、狭い保育スペースを有効活用しつつ子供たちが遊びに集中できる環境を作れます。
ただし、子供たちが遊びやすい環境設定を行う上では、死角になりやすい場所には特に目を配ることが重要です。また、レイアウトを考える際に子供や保育士の動線を考慮し、子供同士がぶつからないように気を付けましょう。室内はもちろん、公園で遊ぶ場合も、事故や怪我が起こらないように場所の広さに合わせた遊びを工夫してください。
中規模保育園で働くのに向いている方の特徴
中規模保育園は、小規模保育園と大規模保育園のよいところがそれぞれ感じられる保育園です。0〜6歳の幅広い年代の子供たちと密に関わりたい方は、中規模保育園で働くのに向いていると言えます。また、保育に関するさまざまなアイデアを持っており、積極的に挑戦したい方は、一人ひとりのアイデアが生かされやすい中規模保育園が向いていると言えるでしょう。
ただし、保育園は母体となる運営法人の方針によって保育の仕方が異なります。そのため、保育園の規模よりも園の方針を重視して就職先・転職先を探すのがおすすめです。どのような保育園で働くか迷った場合は、園見学をして自分自身の目で施設の雰囲気や保育方針を確認するとよいでしょう。保育方針の確認や園見学の際は、1か所だけではなく複数の保育施設を比較することで、より自分に合った職場を見つけやすくなります。
まとめ
中規模保育園とは0〜6歳の子供を対象に、園児数が50〜70人程度、職員数が20人程度の保育園のことを指します。子供が多すぎないため大規模保育園より子供一人ひとりと向き合え、イベントも開催できるといった小規模保育園と大規模保育園の中間的な位置づけです。
中規模保育園では限られたスペースを共有して利用する場合が多いため、職員同士で情報を密に取ることが求められます。また子供たちが安心できる環境構成を整えること、保護者とコミュニケーションを取って信頼関係を築くことも大切です。
※当記事は2024年1月時点の情報をもとに作成しています