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保育士は、子どもたちの成長を見守り、サポートする非常に重要な職業です。保育士になるには、大学や専門学校で専門課程を履修し卒業する方法と国家試験を受けて合格する方法の2種類のルートがあります。

当記事では、保育士資格を最短で解説します。これから保育士を目指そうと思っている方は、ぜひ参考にしてください。

保育士になる最短ルートは?

保育士資格を取得するルートは2つあります。1つは大学や専門学校で専門課程を履修し卒業する方法、もう1つは国家試験を受けて合格する方法です。

なお、保育士の仕事をする際は、資格取得後に都道府県に申請し、保育士登録簿に登録する必要があります。

(出典:厚生労働省「保育士になるには?」/https://www.mhlw.go.jp/hoiku-hellomirai/shikaku/​

ここでは、それぞれのルートについて詳しく解説します。

保育士養成施設に通う

都道府県知事が指定する保育士養成施設に通って専門の課程を履修すれば、国家試験を受けなくても卒業と同時に保育士資格が得られます。

保育士養成施設には4年制大学や短期大学、専門学校などがあり、「こども教育学科」「幼児教育コース」など学部・学科の名称は施設ごとに異なります。

4年制大学・短期大学・専門学校のおもな特徴は、以下の通りです。

学校の種類 特徴
4年制大学 ・専門性の高い領域や理論も学べる
・幼稚園教諭一種免許状をあわせて取得できるところもあり、就職の選択肢を増やせる
短期大学 ・2年制と3年制がある
・保育に必要な実践的な内容のほか、一般教養や学問的な内容も学ぶ
・講義や座学の授業も多く、深い知識が身に付く
専門学校 ・2年制と3年制がある
・保育に必要な実践的な内容を中心に学び、実際に現場に立つ機会も多い
・幼稚園教諭二種免許状が取れるところもある

高校を卒業後に2年制の短大か専門学校に進学するのが、保育士になる最短ルートです。

保育士試験を受験する

指定保育士養成施設に通わず独学で学んでも、国家試験である保育士試験を受験して合格すれば、資格取得が可能です。

保育士試験は全国で年に2回あり、2024年の前期試験は4月20日・21日、後期試験は10月19日・20日に行われます。各日程に行われる筆記試験に合格すると、実技試験に進めます。

((出典:一般社団法人全国保育士養成協議会「令和6年保育士試験日程について」/https://www.hoyokyo.or.jp/exam/r6schedule.html​

通常の保育士試験のほかに、国家戦略特区に指定されている自治体では地域限定保育士試験が実施されます。地域限定保育士試験に合格して保育士になった場合、3年間は対象自治体でしか保育士として働けません。4年目以降は縛りがなくなり、全国のどの地域でも保育士として働けるようになります。

(出典:一般社団法人全国保育士養成協議会「地域限定保育士試験について」/https://hoyokyo.or.jp/exam/qa/gentei.html​

ただし、保育士試験を受けるには、一定の学歴があるなど受験資格を満たす必要があります。受験を検討している場合は、受験資格があるか事前に確認しておきましょう。

保育士試験を受けるには?

保育士試験合格は、養成施設に通うことが難しい社会人や主婦の方が保育士を目指す際の最短ルートになりえます。

そこで、ここでは「保育士試験を受験するルート」について詳しく見ていきましょう。

保育士試験の受験資格

保育士試験を受けるには、受験資格を満たす必要があります。基本的には、養成施設以外の4年制大学・短期大学・専門学校を卒業していれば、受験資格があると考えてよいでしょう。また、最終学歴が高卒や中卒の方でも、実務経験があれば受験が可能です。年齢制限もありません。

以下の条件にあてはまれば、勤務経験に関係なく受験資格があります。

  • 4年制大学を卒業
  • 4年制大学に2年以上在学し、62単位以上習得済みで在学中か中退
  • 短期大学卒業・在学中
  • 専門学校(学校教育法に基づく専修学校)で修業年限が2年以上ある専門課程を卒業・在学中
  • 1991年3月31日以前に高校を卒業
  • 1996年3月31日以前に高校の保育科を卒業

以下の方は一定の勤務経験が必要です。

1991年4月1日以降に高校の保育科以外の学科を卒業
1996年4月1日以降に高校の保育科を卒業
2年以上かつ2880時間以上、児童を保護・援護援助する施設での勤務経験がある
(保育所や児童養護施設など)
中学卒業 5年以上かつ7200時間以上、児童を保護・援護援助する施設での勤務経験がある
(保育所や児童養護施設など)

上記にあてはまらない方は、保育士試験事務センターまで問い合わせましょう。

(出典:一般社団法人全国保育士養成協議会「受験資格」/ https://www.hoyokyo.or.jp/exam/qualify/index.html

(出典:一般社団法人全国保育士養成協議会「受験資格詳細」/ https://www.hoyokyo.or.jp/exam/qualify/detail.html

(出典:一般社団法人全国保育士養成協議会「受験資格について」/ https://www.hoyokyo.or.jp/exam/qa/02.html

保育士試験の内容

保育士試験は一次試験と二次試験に分かれ、一次は筆記試験、二次は実技試験です。

筆記試験は以下の科目があり、すべてマークシート方式で実施されます。

    保育原理
    教育原理及び社会的養護
    子ども家庭福祉
    社会福祉
    保育の心理学
    子どもの保健
    子どもの食と栄養
    保育実習理論

(引用:全国保育士養成協議会「保育士試験とは」/ https://hoyokyo.or.jp/exam/about/ 引用日2024/06/03​

それぞれの科目で60点以上取れば合格です。ただし、「教育原理及び社会的養護」は教育原理と社会的養護の両方で30点以上を取る必要があるので、注意しましょう。たとえば、教育原理で40点・社会的擁護で20点を取ったとすると、合計で60点になるものの、合格とはみなされません。

一次試験の全科目に合格した場合のみ、二次試験に進めます。ただし、一次試験で合格した科目があれば、その科目は3年間有効です。また、幼稚園教諭免許状所有者は一部科目の免除制度があります。

(出典:全国保育士養成協議会「幼稚園教諭免許状所有者の免除について」/ https://www.hoyokyo.or.jp/exam/Howto-qualify_kinder.html/

実技試験は以下の3分野から2つ選んで受験します。

    ・音楽に関する技術
    あらかじめ提示された課題曲を、ピアノ・ギター・アコーディオンのいずれかで演奏する。

    ・造形に関する技術
    試験当日に提示される問題文で設定されている場面を、鉛筆・シャープペンシル・色鉛筆を使って表現する。

    ・言語に関する技術
    3歳児クラスを想定し、あらかじめ課題として提示された「ももたろう」や「3びきのこぶた」などの話のうち1つを選んで話す。事前に3分で話せるようにまとめておく。

(出典:全国保育士養成協議会「令和5年実技試験概要」/ https://www.hoyokyo.or.jp/exam/practicalexam2.html

保育士試験の合格率

保育士試験の合格率は、例年20~30%で推移しています。こども家庭庁によると、2022年度の合格率は29.9%でした。

(出典:こども家庭庁「保育士試験の実施状況(令和4年度)」/ https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/418776d5/20230401_policies_hoiku_21.pdf

合格するには、一次試験の9科目すべてで6割以上取得し、さらに二次試験の2分野も基準点以上得点する必要があります。筆記試験の範囲が広く、実技試験の対策が分かりづらいことなどから、難易度は高めです。

保育士試験に最短で合格するための勉強方法

保育士試験のおもな勉強方法には、独学・通信講座・通学講座があります。それぞれメリット・デメリットがあるので、事前に比較・検討してもっとも合う方法を選びましょう。

ここでは、それぞれの学習時間の目安やメリット・デメリットについて解説します。

独学

もともとの知識量にもよりますが、独学で合格するにはおおむね100~150時間の勉強時間が必要とされています。平日1時間、土日2時間半の勉強時間が確保できれば、1週間10時間、約2か月半で100時間です。

独学のメリットは、通勤時間や育児の合間など、好きな時間に勉強ができること、通学する場合に比べて入学金や学費がかからず節約できることです。

デメリットとしては、モチベーションの維持が難しい点が挙げられます。忙しいとつい後回しにしたり、疑問点が解決できず意欲が低下したりすることがあります。ともにがんばれる仲間を見つけるなど、継続できる環境を整えるとよいでしょう。

通信講座

通信講座によって違いはありますが、受講期間の目安はおおむね6か月です。カリキュラムにそってテキストや動画などの教材で勉強し、課題を提出して添削を受けます。

通信教育のメリットは、体系だった教材で効率的に学べること、添削を受けられたり疑問点があれば質問できたりする環境が整っていることです。ただし、講座によって教材やシステム、サポート体制には違いがあります。

デメリットは、独学と同様、モチベーションの維持が難しいことです。アドバイザーにいつでも相談できるなど、サポート体制の整っている通信講座を選び、積極的に活用するとよいでしょう。

通学講座

通学講座は、学校によって違いがありますが、週に1~2回の出席で6か月ほどで全科目が修了するスケジュールが一般的です。

メリットは、同じ目標を持つクラスメイトがいるのでモチベーションを維持しやすいこと、講師から直接指導を受けられるので分かりやすいことです。

デメリットとしては、独学や通信講座に比べて費用がかかる点が挙げられます。また、通学講座を開講しているスクールそのものがあまりないため、通いやすい立地に見つからないこともあるでしょう。ただし、中にはオンラインで参加できるスクールもあります。

まとめ

保育士になるためには、大学や専門学校での専門課程を修了するか、国家試験に合格する必要があります。最短で保育士を目指す場合は、国家試験の合格を目指すとよいでしょう。保育士試験の合格率は例年20~30%で推移しているので、しっかりと勉強してから試験に臨むことが大切です。

勉強方法には、独学、通信講座、通学講座などがあります。保育士としての道を歩むために、自分に合った方法で勉強を進めましょう。

※当記事は2024年6月時点の情報をもとに作成しています