第65回
子どもたちの幸せを願って学び合う
井上 さく子
保育園の保護者向け講演会で
「子ども時代の忘れ物をしない子育てをしていきませんか?」
こんな内容でお話しする機会をいただきました。
コロナ禍でもあるため、少人数制にして2回に分けての講演会。
参加者の皆さまには1回目に参加していただいた方々も数人いらして
「さらなるブラッシュアップを!」と、
とても熱心に耳を傾け
メモを取りながら聴いてくれました。
講演会の内容は
「0歳から就学前の子どもたちは、生きる力を蓄えるために
どんな発達のプロセスを辿って、大きくなりたがっているのか?」
パワーポイントを活用し、
できるだけ具体的なエピソードを添えて話していきました。
さまざまな年齢のエピソードを添える度に
大きくうなずきながら聴いている様子を
心地よく受け止めることができました。
例えば
0.1歳児が高い所に登ろうとしたり、登ってしまったときに、皆さまでしたらどんなふうに受け止めるのでしょう?
大人の都合で
「危ない!」
「ここは登るところじゃないのよ!」
と言いながら、
さっさと降ろしてしまう光景を目のあたりにしています。
大人の都合が優先されてしまうと、子どもの「登りたい!」の欲求が満たされるどころか、いつでも疎外感を抱かせることになります。
何回降ろされても、何回ことばを添えても、
エンドレスになってしまうと思いませんか?
なぜ?
子どもの願いを分かってもらえないからです。
むしろ、何回も何回も飽きるまで繰り返すことで
心持ちも体も確かな成長を遂げていきます。
達成感を味わうと自ら次のステージへ出かけていき、
探索遊びが始まります。
実は
「それを早く教えてほしかった」
「それを知りたかったの」
そんな声を後から知らされることがあります。
そうですよね。
知って寄り添うのと、知らずしてことばでたたみ込まれるのとでは、その先の成長に大きな影響を与えることになります。
そのために、目の前の子どもから学ぶ視点を、
子育て中の親御さんと【共有・共感】していくことが
大切になってくると思いませんか?
肯定的に受け止めるとしたら、いつでも助けられる位置に寄り添いながら、もうここまで成長を遂げようとしていることや遂げていることに気づき、受け止めるチャンスにしてほしいと心から願います。
それが大人にとっても子どもにとっても、願いが叶うことにつながっていくと信じています。
又はこんなことも
物を投げたり
落としたり
散らかしたり
口に入れようとしたり
なぜ、次から次へといたずらをするのでしょう?
理解に苦しむと訴えられることもあります。
みなさんでしたら
こんなときは、どのように受け止めていくのでしょう?
子育て中だったら、誰もが通るプロセスと思えたら何も悩むことはないと思いませんか?
その理由が分かっていたら、肯定的に目の前の子どもの様子を見守れると思いませんか?
プロの世界でもまだまだ思うように理解できずに、もがき葛藤してしまう現実があります。
なおのこと、子どもの育ちを真ん中に据えて
立ち止まって
振り返り
そこからの気づきをとれるように、提案をしていく必要性を実感しています。
そこで、例えばこんなふうにことばを添えています。
子どもたちの成長過程では
いたずらが遊び
遊びがいたずら
いたずらが仕事
仕事がいたずら
いたずらしながら賢く育ちたがっていると。
(そんなあ!)
一瞬、そんな空気感が漂うこともありますが、
肯定的に受け止めることができると
もっと冷静に
客観的に
子どものいたずらを
許せたり、見守れたり、おもしろがったり、
不思議がったりできるようになりましたと、数日後に耳にすることもあります。
ここでも
【もっと早く知りたかった!であいたかった!】と言うフレーズが!?
今からでも遅くありません。
「できることから始めていきましょう!」を
合いことばに
慌てない
焦らない
ゆったり
まったりが
子どもにとってもちょうどいい加減!
ときどき
立ち止まって
振り返り
このフレーズを思い出してほしいと、子どもの心持ちを代弁する私がここにいます。
子育てで悩んでいる親御さんの心持ちを知って感じて、ほぐしながら、引き出して受け止めていますか?
改善策を無理に提案しないことです。
キーワードは
【傾聴】する心持ちを据えていくこと。
講演会を終えて
廊下の先に親子で帰りの支度をしているところに遭遇しました。
穏やかな関係性が伝わってきて、思わずことばを添えました。
するとなんと!?「先生に今度いつ会えますか?」と。
これ以上のことばはないと心の中で飛び跳ねていました。
(必要とされているときが、そのとき)
魔女になって、いつでも、どこにでも飛んでいきますよ!とつぶやく。
対面の学びこそが
本物の学びであることを
改めて実感できたご縁に感謝して!
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~さく子ゼミの参加者募集~
『21世紀型保育とは?~目の前の子どもから学ぶ視点をすえていこう 』
公立保育園の園長を長年経験され、現在も保育環境アドバイザーとして
全国の保育現場の環境改善に奔走する井上さく子先生が、
実践的な事例を元にWEBを通して参加者の『保育に関する悩みや迷い』
に答えます。
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■開催日時 2022年2月21日(月)18時45分~21時00分
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https://hoiku.mynavi.jp/
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コメント(12)
いつも拝見しています。
慌てない
焦らない
ゆったり
まったりが
子どもにとってもちょうどいい加減!
私の目指す保育であり、子育てです(*^^*)
気持ちがいっぱいになりそうな時、そうなってしまった時自分に言い聞かせるおまじないです。
子育てが落ちついたらと思いつつ、子育て中の今だからこそさくこゼミに参加したいと思います!
日々今の社会状況や人気関係で心が折れ、子どもとの関係、やりとりが空洞になってしまって暗いトンネルに
抜け出せない自分がいると、さく子先生の言葉に数えきれない程の特効薬で子どもの笑顔が見たくなったり、こんな私を信じてくれている子ども達の為に‼️と踏ん張れる事ができます。
自分に出来ること・・・先生すき❤️、楽しいねー❗️
と安心できる存在になれるようなら心持ちでいたいです
慌てない、焦らない、ゆったり、まったりが子どもにとってちょうどいい加減!心に響きました!
本当にそうですね。コロナ禍で黙食など制限があり今まで楽しめた事が形を変えて、、、そんな時だからこそ子どもに寄り添って一緒に楽しみながら、子どもの言葉を聞きながら、、が、大事ですね!
そんな保育を目指し、さく子先生のように『今度いつ会えますか?』って言ってもらえる人になりましょう🎶
子どものいたずらや高い所に登っていく挑戦などは、さく子先生に出会ってから、ゆったり見守り、子ども達の成長だと楽しめるようになりました。魔女の言葉に魔法にかけられて、子ども達や孫達と楽しい時間を過ごせています。魔女からもらった言葉を子育てに頑張るママ達にも伝えていきたいと思っています。
いつも楽しみに拝見しております。
今回の内容はまさに今の私のクラスの子ども達と重なり先生の言葉がとても実感できました。そして先生の『慌てない、焦らない、ゆったり、まったりが子どもにとってちょうどいい加減!』で保育出来ている自分を少しだけ褒めました(笑)と、同時に、若い頃の自分には気持ちの余裕が無く、そんなことは考えもしなかったと!と振り返り反省もしました。今の親御さんたちは解決策を直ぐに知りたがります。なので、親御さんの心持ちを知って感じてほぐしながら引き出して受け止めて行けるよう新たな自分への課題もできました。ありがとうございました。
さく子先生と出会ってから、子どもとの関わり方が変わりました。
「危ない」と言いたくなる場面でもぐっと言葉を飲みこんで、子どもを信じて見守る。
この年になってもなかなか難しいです。でもその先に子どもの自信に満ちた笑顔を見ると、これでいいのだと実感できます。
ゆったり、どーんとかまえて、どんなことでも受け止められる自分でありたいと思います。
今は時代なのか子供に危ないことはさせないような風潮に感じてますが、成功と失敗を繰り返して、自分自身の経験で学ぶことが大事で、ゆっくり考える時間も必要と思いました。
いつも余裕を持って落ち着いて周りを見渡せる状態を心掛けたいです。
先生の反応を見ながら、にやにやくすくす棚を登っていく0歳児の子どもたちの姿を思い出しました。不思議ですね、さく子先生の言葉を信じて、子どもを信じて、子どもを見守っていると、登ることに満足し、飽きた時に必ず自分から降りてきます。急かさずとも。
大人がするべきことは、先回りして道を行き止まりにすることではなく、待つこと、見守ることなんですね。
遊びがいたずら、いたずらがお仕事。そう胸に刻んで保育しています。子ども達が一生懸命自分の欲求を満たそうと身体と頭をたくさん使っていたずらする姿を見ると、「ああこの子達は、このいたずらを、きっとこの先生なら受け止めてくれると思ってくれているのかな」と微笑ましく思います。
焦らせず、待っているよ、見守っているよとメッセージを放ち、子どもが安心して飽きるくらい遊びやいたずらをやりきれる子ども時代を保障したいです。
保育は、子どもの意思と保育者の意図が交錯する営みです。0歳児の頃から、保育者の意図ばかりを優先する保育をしていると、子どもの意思が育たないばかりか、相手を求めている者に従順に受け入れて行動する受容体に子どもがなってしまいます。
慌てない
焦らない
ゆったり
まったりが
子どもにとってもちょうどいい加減!
このペースが、保育者の意図を振り返るにもちょうどよいのです。さく子先生の文章を読んで、改めてそんなことを感じました。
「子ども時代の忘れ物をしない」この時しか体験できない夢のような日常に、目を向け心を傾け共に楽しめたら
子どもも大人も本当に幸せな時の重なり合いができることでしょう。
子育て中に、さく子先生のお話を聞くことができたお母さんは幸せです。
コロナで保護者会や保育参観、今月行う予定だったお楽しみ会も中止になりました。3密を避けるために送迎時も速やかにとお願いしています。毎日玄関で交わすおはようとさようならの挨拶、親子の姿から何か子育てに何か迷っていないかな?保育園へ不安はないかな?と心のアンテナを張りながら寄り添う努力をしています。でも、何かが足りない‼さく子先生にほうきに乗って我が園にも来てほしい‼きっとうなずき涙し、これでいいんだと肩の力を下ろし、今より尚我が子がより愛おしく思えることでしょう。ホントは、園に来て救ってほしいですが、今!今!悩んでいる多くの親御さんにzoomのほうきに乗って!ぜひ大丈夫と発信する企画をお願いします。
いたずらが遊び、遊びがいたずら、いたずらが仕事、仕事がいたずら
保護者と保育者が、共有していくこととして、大切ですね。さくこ先生がいつもおっしゃっている、子どもを真ん中に、大人都合ではなく、面白がって、不思議がって、見守りながら子どもと大人が共に成長し笑顔がたくさんの毎日で過ごしていこうと、園の大人たちと共有、共感できるようになりたいです。さくこ先生のお話からいつも、初心を忘れないことだなと、振り返ることができます。ありがとうございます。