発語とは?いつから始まる?発達段階や発語を促すポイントを解説

発語とは?いつから始まる?発達段階や発語を促すポイントを解説

文: ちかっぱ(保育士ライター)

生まれて間もない赤ちゃんは、意味を持たない発声から始まり、周りからたくさんの音や声の刺激を受けて言葉が発達していきます。では、赤ちゃんの発語はいつから始まるのでしょうか。また、どのような段階を経て言葉が発達していくのでしょうか。

この記事では、発語とはいつから始まるのか、その発達段階や、発語を促すためのポイント、注意点についても解説します。

発語とは

発語とは「何らかの言語を発すること」を意味します。広辞苑では「乳児のまだことばにならない発声」と記載されています。

生まれて間もない赤ちゃんが成長していく過程で、発語が始まり、意味を持つ言葉を発するようになっていきます。

発語はいつから始まる?

発語が始まる時期には個人差がありますが、生後2~4ヶ月頃から、あやされると反応して声が出るようになり、人とのコミュニケーションが始まるといわれています。

生後2ヶ月頃までは泣いて要求を訴える時期であり、一般的には発語は見られません。周りの音や声を耳で感じ、発語に向けての発達が始まる前の段階です。

発語・発話・喃語の違い

発語には、出生後7ヶ月頃までに見られる「喃語(なんご)」や、成長にともなって始まる「発話」も含まれます。

「喃語(なんご)」とは、生まれて間もないときに発せられる言葉で、「アー」「ウー」「バブバブ」など子音を含む多音節からなる音です。母音+母音、母音+子音などの組み合わせがあります。

「発話」は「言葉を話す行為」のことであり、個人差はありますが、1歳頃から発話が始まるといわれています。

発語の発達段階

赤ちゃんの発語には、発達段階があります。実際には個人差があるものの、以下に参考として紹介します。

生まれてから2ヶ月頃まで〈生理的微笑〉

発語が始まる前に、本能的に備わっている微笑が出てくる時期です。

生後2ヶ月は、生理的な快・不快の表現が中心となっています。生まれてから外の世界のさまざまな音や声などを聞き、心地良い音や周りの声などを感じとっている時期といえるでしょう。

泣いて要求を訴えたり、唇や舌の動きとともに音を発したりしますが、まだ意思はない状態です。

2~4ヶ月〈クーイング〉

「アー」「ウー」など、母音を中心とした「クーイング」と呼ばれる声を発する時期です。

人の言葉に反応する際に、口腔内の発達にともなって声を発することもあります。

4~6ヶ月〈喃語〉

「アー」「ウー」などの言葉の他に、「バー」「マー」「アウアウ」などの母音+母音、母音+子音の含まれた多音節の喃語(なんご)が始まります。

両唇の間、舌先と上の歯茎の間などで呼気をとめて閉じた状態から、閉鎖を急に破った際に発せられる、口唇破裂音と言われる音が発せられます。

この時期は、あやされると反応して声が出始めます。ここから身近な人とのコミュニケーションをとり始めていきます。

6~10ヶ月〈発声で思いを伝える〉

人見知りや感情が芽生えてくる時期で、声を出して要求や主張をし、発声で物事を伝えるようになります。

強弱や高低など、変化のある喃語が増え、10ヶ月頃には「まんま」「ぱぱ」などの言葉へと発達します。

1歳頃〈一語文〉

理解できる言葉が増え、「まんま」「わんわん」など、意思のある言葉を発するようになります。

自分の名前が呼ばれているのがわかり、要求も指さしと発声で周りの身近な人に伝えられる機会が増えてくる頃です。

周りで聞こえた言葉をどんどん吸収し、言葉や身振りを真似するようになります。身近な人が何を言っているのか理解できるようになっていく時期で、コミュニケーションが少しずつスムーズになっていきます。

1歳頃~2歳〈一語文~二語文〉

言葉で要求が伝えられる時期です。自分の感情を「いや」「うん」「やだ」といった言葉で伝えられるようになります。

「まんま、たべる」「ぶーぶ、ない」など、簡単な二語文で身近な人とコミュニケーションをとり始める頃であり、大人からの問いかけにも、言葉で応答できるようになってきます。

2歳~3歳〈二語文~三語文〉

感情表現が豊かになり、今まで耳に入ってきた言葉をたくさん発するようになります。

「あっち、いく」「ぶーぶ、きた」などの二語文だけでなく、「まんま、いっぱい、たべる」「ぱぱ、これ、どーぞ」など、三語文で言葉を組み立てて話せるようになる頃です。

言葉の表現や語彙のレパートリーが増え、自発的な発声で周りとのコミュニケーションを楽しむようになります。

発語が遅れる原因として考えられるもの

発語が遅れる原因は以下のようなものが挙げられます。ただし、発語は個人差が大きいため、あくまで参考程度にしてください。

言葉の発達が気になる場合は、地域の保健センターや専門機関に相談しましょう。

聴力

周りの音や声が聞こえていない・聞こえづらい場合があります。生まれつき難聴であるケースもあるため、音や声に反応しないなと感じたら、専門機関へ相談してみましょう。

身体の成長の遅れ

社会性の発達が乏しい場合や、知的発達が遅れている状態ではうまく発声できないことがあります。

物事の理解や意思伝達がうまくできない場合なども、専門機関へ相談しましょう。

性格や個性

性格が内向的であることも、発語が遅れる原因のひとつになります。日常生活では子どものペースを大切にして見守ることが大切です。

発語を促す5つのポイント

発達を促すポイントをお伝えします。

1. 関わりのなかでたくさん声をかける

子どもの発語は、周りの声や音を聴くことから始まります。声かけをたくさんすることで、新しい言葉を覚えたり、主張や要求を発して言葉で表現できるようになったりしていきます。

どんなふうに声をかけたらよいかと悩む場合には、大人が見たものや感じたことを言葉で表現したり、子どもの気持ちに寄り添った声かけをしたりするとよいでしょう。

その際、難しい言葉では親しみが持てません。「ごはんだよ」「お腹がいっぱいだね」など、誰にでも伝わりやすい言葉で話しかけましょう。

2. 子どもの興味・関心に寄り添う

子どもが、おもちゃなどの身近に置いてあるものに興味を示したら「大きいね」「赤だよ」など、一緒に物事や出来事を共有できるとよいでしょう。

子どもの興味を引き出せるように、さまざまな表現を使ってみることが大切です。

また、「電車が来たね」「お風呂に入ろう」など、日常生活のシーンに合った言葉を使うことを心がけるとよいでしょう。

また、ボールを「転がす」「投げる」など、遊びのなかでの動作と言葉がしっかり一致していることも大切です。

3. 言い間違いを否定しない

子どもはたくさん言い間違いをしながら言葉を学びます。たとえ子どもの言い間違いがあったとしても、「違うよ」などと否定せず、「○○だね」といった声かけをすることが大切です。

言い間違いを否定すると、発しようとしていた発言の機会を奪うことにもなりかねませんし、子どもの自信を奪ってしまう可能性があります。

4. 絵本や童謡に親しむ

絵本の読み聞かせは、言葉や語彙のレパートリーを自然と増やせるため、発語を促すための良い方法だといえます。

絵本の読み聞かせによって、言葉の理解力向上が期待でき、親子のコミュニケーションの時間もとれるでしょう。

子どもがゆったりとリラックスした気持ちで絵本や童謡に触れられるような雰囲気を作りましょう。なじみやすい音楽や童謡を、身近にいる大人が繰り返し口ずさむことは、発語を促すとともに、子どもにとっての心地良さや安心感にもつながります。

5. 子どもの話す言葉に焦らず耳を傾ける

子どものペースに合わせて、話す言葉に反応することが大切です。発語が早い子もいれば、比較的遅い子もいます。成長には個人差があることを、身近にいる大人が理解しておきましょう。

避けるべきことは、周りの子どもと成長を比較することです。親も子もリラックスしてコミュニケーションを楽しめるとよいでしょう。

子どものペースを大切に、発語を見守ろう

子どもの発達には個人差があるので、発語の成長段階や目安は、参考程度にとらえることが大切です。周りの子どもの発達状況を目にし、言葉が遅れていると感じて不安になる方もいるかもしれませんが、周りと比べることではありません。

発語について不安や心配事がある場合には、保健師や保育士、専門機関に相談し成長を一緒に見守る体制を整えるとよいでしょう。

日頃から相談していることで、子どもの細かい様子を共有でき、的確なアドバイスをもらえることもあります。

また、保育園や認定こども園などに通園している場合は、保育士と子どもの成長を共有し、連携をとりながら成長を見守っていきましょう。

焦らず子どものペースを大切にしながら、リラックスした気持ちで発語や言葉の発達を支えていけるとよいですね。

ちかっぱ(保育士ライター)
幼稚園の子育てサロンで未就学児の活動を担当し、満3歳児~5歳児の担任や、幼稚園事務も経験。
勤務歴10年の経験を活かし、現在はフリーランスライターとして子育て中のママパパや保育士、幼稚園教諭に向けて記事を執筆している。
自分自身も6歳4歳の子育てをしながら、子どもたちと体を動かしたり本を読んだりする時間を大切に、「明るく楽しく笑顔で」をモットーにしている。
保有資格:保育士・幼稚園教諭一種

参考サイト:

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