カウプ指数とは?子どもの発育や肥満に関するその他の指標も

カウプ指数とは?子どもの発育や肥満に関するその他の指標も

カウプ指数とは、生後3か月~5歳の乳幼児の発育を評価する指標であり、肥満度を確かめられるものとして知られています。乳幼児期の肥満は将来の肥満や生活習慣病につながると言われているため、子どもが太りすぎていないか不安な保護者の方もいるでしょう。

この記事では、カウプ指数の計算式などの基本情報に加え、メリット・デメリットや子どもの肥満予防の必要性や、カウプ指数以外の発育程度を確認する指標について詳しく解説します。

1. カウプ指数とは?

カウプ指数とは生後3か月から5歳までの乳幼児の発育程度を評価する指標で、肥満度を表す数値として国際的に用いられるBMIと同様に、次の計算方法で算出されます。

カウプ指数=体重(g)÷(身長(cm)×身長(cm))×10
(引用:厚生労働省「21世紀出生児縦断調査(特別報告)結果の概況」https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/syusseiji/tokubetsu/yougo.html 引用日2023/4/18)

最近では、乳幼児期の肥満は将来の肥満や生活習慣病につながる可能性が指摘され、問題視されるようになりました。

カウプ指数は、子どもの健全な発達や将来の健康を守る観点から、乳幼児の肥満を判定する方法として使われています。単に肥満か非肥満かを評価するためだけではなく、乳幼児の栄養状態を把握するためにも役立つ数値です。

2. カウプ指数による肥満の判断基準

厚生労働省が示す、カウプ指数の基準値は以下の通りです。

体型基準値
やせぎみ14以下
ふつう15〜17
ふとりぎみ18以上

(引用:厚生労働省「21世紀出生児縦断調査(特別報告)結果の概況」https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/syusseiji/tokubetsu/yougo.html 引用日2023/4/18)

乳幼児の中でも生後3か月の乳児と5歳の幼児では体型が大きく異なるため、次のような、年齢に応じたカウプ指数基準値が使われることも多くあります。

年齢標準体型の範囲
乳児(3ヵ月以後)16〜18
幼児満1歳満15.5〜17.5
1歳~満2歳15〜17
満3~5歳14.5〜16.5
学童期18~22

(引用:神戸大学「肥満を計る指数の意味を知りたい: BMI, カウプ指数, ローレル指数 , 肥満度 の解説」http://www.math.kobe-u.ac.jp/HOME/kodama/tips-BMI4.html 引用日2023/4/18)
ただし、カウプ指数はあくまで「目安」であり、肥満かどうかを必ずしも正しく評価できる訳ではありません。特に乳幼児期は成長速度に大きな個人差が見られます。カウプ指数が標準体型の正常範囲に収まらない場合でも、「肥満度」や「成長曲線(乳幼児身体発育曲線)」といった複数の観点から総合的に発育状況を評価することが大切です。

3. カウプ指数のメリット・デメリット

カウプ数値のメリットとしては、以下の2点が挙げられます。

・乳幼児の標準的な発育を客観的に確認できる
・月齢や年齢ごとに正しく体格を評価できる

カウプ指数は、簡単な算出方法を使い、乳幼児の発育具合を数値として客観的に確認できる点がメリットです。また、BMIは年齢に関係なく数値のみで肥満度を評価しますが、カウプ指数は月齢や年齢別に体格を評価できます。

カウプ数値のデメリットは、以下の2点です。

・継続的な成長の指標にはならない
・他の指標と合わせて使う必要がある

カウプ指数は年齢ごとに異なる判定基準を使って評価するため、各評価時点での数値は長期的な成長指標には当てはまらない点に注意が必要です。カウプ指数単体では肥満の評価ができないため、複数の指標から、総合的に判断することが求められます。

4. 子どもの肥満予防が必要な理由

子どもの肥満は足腰への負担に加え、高血圧や動脈硬化、肝障害などさまざまな不調を引き起こすと言われています。また、幼少期の肥満が成人肥満に受け継がれた場合は、糖尿病や心筋梗塞などのより深刻な生活習慣病につながりかねません。

また、肥満を原因とする自尊心の低下やいじめなどによって、子ども達が精神的社会的に問題を抱える可能性も指摘されています。

上記のように、子どもの肥満は将来に悪影響を与える場合があるため、乳幼児期からの肥満予防が欠かせません。ここでは、肥満の原因や保育施設で注意できる内容について解説します。

1. 子どもの肥満の原因

子どもの肥満のほとんどは、単純性肥満(原発性肥満)とされています。単純性肥満とは、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ることで生じる肥満です。具体的な原因としては、食べすぎや食事バランスの乱れ、運動不足などが挙げられます。食生活をはじめとする家庭での生活習慣が、少なからず影響することが分かります。

ただし、肥満の中には病気が隠れているものもあるため、注意が必要です。病気によって生じる肥満は症候性肥満と呼ばれ、身長の伸びが悪くなるのが特徴です。

2. 保育施設で注意すること

子どもの肥満を予防するためには、家庭で正しい生活習慣を身につけることが大切ですが、保育園などでのサポートも欠かせません。カウプ指数をフォローすることで、肥満や栄養状態を客観的に把握し、日常の保育に役立てましょう。

子どもの嫌いな食べ物が少なくなるような関わり方や、食事での正しい姿勢とマナーを伝えることも保育士の重要な役割です。保護者向けには、肥満予防のための食事量やバランスのとり方、子どもが美味しく食べられる野菜料理などを定期的に紹介するとよいでしょう。家庭と連携しながら、子どもの肥満を予防する意識を持つことが重要です。

5. カウプ指数以外にも!知っておきたい指標

肥満判定に関係する指標は、カウプ指数以外にも存在します。ここでは、BMIをはじめとする健康管理に役立つ指標について、カウプ指数との違いや関連性などを交えながら解説します。

1. BMI

BMI(Body Mass Index)は、カウプ指数と同じく体重を身長の2乗で割って算出され、主に成人に対して国際的に使われる体格指数です。メタボリックシンドロームの予備軍をフォローする目的で、特定検診や特定保健指導の診断基準にも採用されています。

WHOの基準ではBMI値30以上が肥満と定められているものの、各国で肥満となる基準値は異なるのが特徴です。日本では、日本肥満学会の定めにより、以下の通り基準が定められています。

体型基準値
低体重18.5未満
普通体重18.5以上25未満
肥満25以上

(引用:厚生労働省 e-ヘルスネット「BMI」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-002.html 引用日2023/4/18)

BMIが22になるときの体重が標準体重で、最も病気になりにくい状態であるとされています。

(引用:厚生労働省 e-ヘルスネット「BMI」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-002.html 引用日2023/4/18)

普通体重の数値を超過すると、脂質異常症や高血圧などの生活習慣病リスクが高まるため、注意が必要です。

2. ローレル指数

カウプ指数は保育現場などで乳幼児の発育状態を測るために使われますが、ローレル指数は小学生や中学生に用いられる体格指数です。身長と体重を使い、以下の式で算出されます。

ローレル指数=体重(kg)÷ 身長(m)の3乗 × 10

ローレル指数は、以下のように基準が定められています。学童期の成長過程は一人ひとり異なるため、数値に加えて個人差も考慮することが大切です。

体型基準値
やせすぎ99以下
やせぎみ100~114
標準115~144
太りぎみ145~159
太りすぎ160以上

(引用:長与町「長与町健康増進計画(第2次健康ながよ21)」https://webtown.nagayo.jp/kiji003216/3_216_16480_up_3sbm0j4w.pdf 引用日2023/4/18)

3. 肥満度

肥満度は標準体重に対する体重の超過率を表したもので、パーセンテージで表示します。肥満度を算出する計算式は、以下の通りです。

{実測体重(kg)− 身長別標準体重(kg)}÷ 身長別標準体重(kg) × 100

身長別標準体重は以下の算出式に、表中a、bの数値を当てはめて求めます。

a × 実測身長(cm)− b
年齢男の子年齢女の子
a b a b
5 0.386 23.699 5 0.377 22.750
6 0.461 32.382 6 0.458 32.079
7 0.513 38.878 7 0.508 38.367
8 0.592 48.804 8 0.561 45.006

(引用:厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-001.html 引用日2023/4/18)
肥満度は幼児期以降に用いられ、乳児期には使われません。幼児期の場合は肥満度の数値が15%以上で太りぎみ、20%以上はやや太りぎみ、30%以上は太りすぎとされています。

4. 成長曲線

成長曲線とはX軸に年齢、Y軸に身長または体重を設定して作成された曲線グラフで、身長体重の平均値やばらつきがチェックできます。母子健康手帳に成長曲線が掲載されているほか、インターネットからも成長曲線シートがダウンロード可能です。

成長曲線に子どもの身長や体重に関する曲線を描き入れると、成長の様子を視覚的に分かりやすく確認できます。

まとめ

子どもの肥満は、健康面でも精神面でも将来に悪影響を及ぼす恐れがあるため、乳幼児期から予防することが大切です。カウプ指数をはじめとする身長と体重から割り出せる指標を活用し、現時点の状況を把握しましょう。なお、カウプ指数だけでなく、成長曲線などの他の指標も使いながら多角的に判断することも大切です。また、年齢に応じて肥満度やローレル指数なども活用するとよいでしょう。

保育士は、各指標をもとに、子どもの肥満や栄養状況を客観的に把握し、園での生活をサポートしたり、家庭と連携を取りながら肥満対策を行ったりすることが大切です。

「ほいくらし」では、保育士の方に向けた保育や制作のアイデアなどさまざまな情報を発信しています。子どもの成長に関わる内容の記事も掲載しているため、ぜひご覧ください。

※当記事は2023年4月時点の情報をもとに作成しています

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