模倣遊びとは?年齢別の変化や養われる力・取り入れ方を解説

模倣遊びとは?年齢別の変化や養われる力・取り入れ方を解説

子どもは成長する中で、お父さんやお母さんの仕草や言葉を真似します。真似は徐々に遊びに変化していき、遊びは成長につれてより複雑化していきます。そういった真似をしたりなりきったりする遊びが、模倣遊びです。何気ない遊びから子どもは想像力や観察力などさまざまな力を養っていきます。

当記事では、模倣遊びの意味や年齢ごとに変化していく遊びの内容、模倣遊びで養われる子どもの力などを解説します。保育や遊びに模倣遊びを取り入れたい保育士や保護者の方は、ぜひ参考にしてください。

1. 模倣遊びとは?

模倣遊びとは、子どもが周りの人や物語の登場人物の言動を真似したり、なりきったりして楽しむ遊びのことです。象徴遊び・ごっこ遊び・つもり遊び・再現遊びなどとも言い、子どもの年齢や興味、発達に応じて変化し、さまざまな遊びが展開されます。

模倣遊びは成長過程の自然な行いではあるものの、ときに不適切なテーマの選び方や行為をする可能性があるため、大人の注意深い見守りと必要に応じた指導が必要です。保育や育児の場面にうまく取り入れることで、子どもの心や能力を育む効果が期待されます。

2. 子どもの発達と模倣遊びの変化

子どもが好む模倣遊びは年齢や性格によって異なるものの、一般的には下記のような遊びを気に入る傾向にあります。

・おままごと
・先生ごっこ
・お店屋さんごっこ
・乗り物ごっこ
・再現劇遊び(ヒーロー・ヒロインごっこ)

ここでは、子どもの年齢別遊びの変化、および年齢別遊びの具体例を解説します。

1. 1歳頃

身体的な発達や言語理解が始まる1歳頃は、身近なものを使った簡単な見立て遊びが中心です。視覚や聴覚を使って大人の動作や声を観察し、真似を通して自分の行動や表現力を増やす傾向にあります。

【1歳頃に多く見られる模倣遊びの例】

・おもちゃの電話やスマートフォン、積み木などを使って会話を真似る
・おもちゃの食べ物やお皿を使って食事の仕草を真似る
・髪を梳かす、顔を洗う、歯を磨くなど、身支度の動作を真似る

2. 2歳頃

2歳頃は、言語能力が発達し始め、想像力の豊かさが増す時期です。1歳頃に比べてより複雑な動作や状況の表現ができるようになり、見立て遊びに加えてごっこ遊びの数が増えます。

【2歳頃に多く見られる模倣遊びの例】

・積み木やブロックを電車や車に見立てて遊ぶ
・家族の会話・掃除・洗濯など、家族の特徴や家庭の中のやり取り、動作を真似る
・猫や犬、鳥など、他の生き物になりきって遊ぶ

3. 3歳頃

3歳頃は、想像力がさらに豊かになり言語能力も向上する時期です。この時期の模倣遊びでは、複数人で展開するごっこ遊びやロールプレイの割合が増え、さまざまな状況や役割を想定して遊ぶようになります。

【3歳頃に多く見られる模倣遊びの例】

・絵本やアニメ、テレビのキャラクターを演じてお気に入りのシーンを再現する
・レジの店員とお客さんを演じ、買い物ごっこを行う
・医者や看護師、患者の役割を演じて、病院での診察を真似る

4. 4歳頃

4歳頃は、言語能力や想像力が成長し、他者との協力やルールを意識した遊びができるようになる時期です。多くの相手と協力して遊ぶことが多くなり、より複雑なシナリオや役割分担が可能になります。

【4歳頃に多く見られる模倣遊びの例】

・絵本やアニメの内容を改変し、独自のストーリーでキャラクターを演じて遊ぶ
・警察官や消防士の役割を演じて、事件や火災の解決を再現する
・既存のおもちゃだけでなく手作りの紙芝居や簡易椅子作りなどを始める

5. 5歳頃

5歳頃は、さらに高度な言語能力や想像力を持ち、物事や情報の理解が深まる時期です。現実と空想の世界をうまく融合させ、友だちや家族と一緒に独自のストーリーや世界観を創造して遊ぶ力が高まります。

【5歳頃に多く見られる模倣遊びの例】

・異なる惑星や未来の世界など、空想の世界を舞台に異星人やロボットの役割を演じる
・未来の発明品やガジェットなどを考え、その機能や使い方を想像しながら演じる
・模倣遊びに使う道具の完成度にこだわりを見せるようになる

3. 模倣遊びで養われる力

模倣遊びは子どもの成長や発達の過程で、以下のような力を養うメリットが期待されています。

・想像力・創造力・発想力
模倣遊びでは、子どもが現実とは異なる状況や役割を想像し、独自のストーリーや世界観を創り出すケースが少なくありません。直接経験したことのない状況をイメージすることで、想像力や創造力、発想力が養われるとされています。
・社会性・協調性
友だちや家族と一緒に模倣遊びをする場合、役割分担や協力が必要になります。他者と協力して物事を進める力やコミュニケーション能力が育つ効果が期待できるでしょう。
・観察力・記憶力・言語能力
模倣遊びを行うには真似をする対象を観察し、記憶する力が必要です。また、演じる役割に応じた言葉遣いや表現方法を考えることで、言語能力の向上が期待できます。

4. 模倣遊びをする際の子どもへのかかわり方

模倣遊びを通じて子どもの成長を促すには、保護者や保育士の適切なかかわり方が重要です。下記に、模倣遊びをする際の子どもへのかかわり方を紹介します。

・興味を持たせる
子どもが興味を持ちやすいテーマやアイデアを取り入れ、遊びへの意欲を高めることが大切です。遊びを強制するのではなく、自ら参加したくなるように働きかけましょう。
・見本を示す
模倣遊びは、大人の行動を子どもが真似ることから始まります。適切な見本を示し、子どもが理解しやすいように説明を行うと、遊び方の分からない子どもが参加しやすいです。
・自主性を尊重する
子どもが自分たちで遊びのアイデアを考えたり、役割を決めたりできるように、自主性を尊重しましょう。
・一緒に楽しむ
親子で一緒に遊ぶと、子どもは安心感を覚えて楽しさが増します。一緒に遊びながら、子どもの創造力や想像力を育てるサポートをしましょう。
子どもの見立てを否定しない
大人から見て何のことか分からなくても、子どもが遊びの中で見立てた物や役割を否定してはなりません。自由な発想やアイデアを尊重し、子どもの創造力を育てる姿勢が大切です。
環境を整える
模倣遊びに適した環境を整え、子どもが遊びやすい空間を提供しましょう。遊び道具や衣装など子どもが興味を持つアイテムを用意すると、より豊かな遊びが展開されます。

上記のポイントを参考に、子どもと一緒に模倣遊びを楽しみ、健やかな成長を支援しましょう。子どもの自主性や創造力を尊重し、安全で楽しい遊び環境を提供することが模倣遊びを通じた子どもの発達につながります。

5. 模倣遊びの保育への取り入れ方

模倣遊びを保育園に取り入れる際は、下記のポイントを踏まえて実践しましょう。

・年齢別に遊びの題材を決める
子どもの発達段階に合わせた、適切な題材選びが重要です。年齢に応じた模倣遊びのテーマやアイデアを提供すると、子どもが自分のペースで遊びを楽しめます。
・適切なタイミングを見極める
子どもが集中力を持って取り組める時間帯や、自由な発想ができる場面選びが大切です。状況を見極めて、適切なタイミングで模倣遊びを取り入れましょう。
・用意する道具や素材を工夫する
子どもが想像力を働かせやすい道具や素材を用意すると、遊びが盛り上がります。役割ごとの衣装や見立てる道具などを用意し、子どもが楽しめる環境を整えましょう。
・グループ活動として取り入れる
模倣遊びをグループで行うと、子どものコミュニケーション能力や協調性を養う効果が期待できます。保育者が公平に役割分担を行い全員が楽しめるよう援助すると、トラブルに発展しにくくなります。
・記録を残す
模倣遊びの様子を写真やビデオで記録し、保護者への報告や子どもの成長の記録として残すことも大切です。遊びの中での成長や発見を振り返ることもでき、今後の保育活動に役立ちます。

上記の注意点を意識することで、保育における効果的な模倣遊びの実践が可能です。楽しく安全に遊べる環境を整え、子どもたちの成長をサポートしましょう。

まとめ

模倣遊びとは、子どもが身近な人や絵本やアニメの登場人物の真似をして楽しむ遊びのことです。模倣遊びには小さい頃は真似するだけの遊びが、成長するにかけて自身で想像力を働かせ物語を展開し、複雑に変化していくという特徴があります。

真似をしたり物語を展開したりなど模倣遊びの中で、子どもの想像力や発想力、社会性や観察力などさまざまな力が養われる効果が期待できます。模倣遊びを通じて子どもの成長を促したい場合は、子どもの興味のあるテーマを提供したり、子どもの自主性を尊重したりすることが大切です。保育園では年齢別に遊びの題材を決め、グループ活動として取り組むなど段階を踏んで実践するとよいでしょう。

「ほいくらし」では、保育現場で活躍する方を応援する情報を掲載しています。模範遊びのさまざまなアイデアも掲載しているため、ぜひ「ほいくらし」をご活用ください。

※当記事は2023年4月時点の情報をもとに作成しています

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