異年齢保育のねらいとは?メリット・デメリットと導入時の注意点を解説

異年齢保育のねらいとは?メリット・デメリットと導入時の注意点を解説

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現代の保育施設では、異年齢保育を導入している施設が多くあります。年齢の違う子どもが一緒に遊ぶことによって、社会性や協調性などを育てることが可能となり、子ども達のダイナミックな学びにも繋がります。

異年齢保育では、年齢の違う子ども達の対応を同時にする必要があるため、年齢別保育よりも安全に関して配慮が必要です。

今回は、異年齢保育とは何か、また狙いについて解説します。メリットとデメリット、また異年齢保育を行う上での注意点なども解説するため、興味のある人は参考にしてください。

異年齢保育(縦割り保育)とは

異年齢保育は、縦割り保育や混合保育と呼ばれ、さまざまな保育施設で行われています。異なる年齢の子どもが同じ空間で交流することによって、子ども達の成長を促すことが狙いです。

日本でよく導入されている年齢別保育は、年齢によるクラス編成です。異年齢保育のクラス分けは施設によってさまざまで、全年齢を含めたグループ分けや、0〜2歳・3〜5歳など大まかに分ける方法もあります。

また、基本は年齢別保育を実践しながら、異年齢保育を毎日一定時間設けたり週に数日だけにしたりという方法もあるため、施設によってさまざまです。

異年齢保育のメリット・デメリット

異年齢保育を実施する場合は、メリット・デメリットを十分に理解する必要があります。また、異年齢保育は施設の理念に合っているかどうか、異年齢保育をする環境の整備や安全面での問題の有無なども確認しましょう。

ここでは、異年齢保育のメリット・デメリットを解説します。

異年齢保育の4つのメリット

異年齢保育では子ども達同士の学びの機会が増え、友達の幅も広がるなどのメリットがあります。主なメリットは以下の4つです。

異なる年齢の子どもと接することでお互いが学べる

年下の子どもは年上の子どもを見て、積極的に真似をして年上の子どもに近づきたいと思い、向上心が芽生えるでしょう。また、年上の子どもに優しく接してもらうことで、自分よりも年下の子どもに思いやりの気持ちを持って接することができます。

年上の子どもは教えたり世話をしたりする役割を担うことによって、年上としての自覚が芽生えることでしょう。また、年下の子どもから慕われることによって自信にも繋がります。子ども同士の関わりによって、コミュニケーション能力の高まりを期待することも可能です。

友達の幅が広がる

違う年齢の友達と仲良くすることによって、友達の幅が広がり、年齢に関係なく友達を作ることができます。その中で、遊びの楽しさやルールを体験しさまざまなスキルを身につけられるでしょう。

クラスの状態が安定する

年上の子どもは自分が手本になることを自覚するため、ふるまいも変化します。年下の子どもは年上の子を目標にして行動するといった相乗効果が生まれ、クラスの状態も安定する傾向にあります。

子ども達の成長差が目立ちにくくなる

異年齢保育では年齢がさまざまであるため、成長の差が見えにくくなります。4月生まれと3月生まれの約1年の差は、一つ年上のクラスや下のクラスの子どもと一緒となる場合にそれほど目立ちません。

異年齢保育の3つのデメリット

異年齢保育のデメリットとしては、年齢別保育よりも保育士の負担が増えることにあります。主なデメリットは以下の3つです。

安全面で配慮が必要となる

異年齢保育では、異なる年齢の子どもが同じ空間にいることから、すべての年齢の子どもが安全に遊べるよう安全面での配慮が必要です。年上の子どもが遊べる玩具や遊具でも、年下の子どもには危ないこともあるため、玩具などの選定には十分に配慮しましょう。

異なる年齢の児童と接することがストレスとなることがある

年齢によって理解度や活動が異なるため、配慮するポイントも異なります。どの子どもが何歳かということを念頭に置いた対応が必要となるため、保育士の負担が増えてストレスを感じる可能性も高いでしょう。

各児童の成長差に配慮が必要なため保育士の負担が増える

子どもの成長・発達の側面から、年齢によってできることとできないことに違いが生じます。成長差を把握した上で、保育士は注意深く行動する必要があるため、負担に感じてしまうこともあるでしょう。

異年齢保育による教育法

異年齢保育を採用している教育法は、すでにいくつか存在しています。代表的な教育法は以下の3つです。

モンテッソーリ教育法

イタリアの医師マリア・モンテッソーリによって提唱された教育法です。「子どもには自分を育てる力が備わっている」という考えのもと、子どもの自主性を重んじる教育法となっています。

モンテッソーリには教具という独自の教材があり、日常生活・感覚・数・言語・文化の領域の教具を使用して教育することが主な方法です。年齢の違う子ども達が、自分で選んだ活動に取り組み、集中しながら好奇心を満たします。

イエナプラン教育法

イエナプラン教育法はドイツで提唱され、オランダにて発展を遂げている教育方法です。健常者も障がい者も共に学び、自分を知るだけでなく他者の良さを認め、社会で協働できる大人を育てることが目標です。3学年の子ども達が一緒のクラスとなり、同年齢のみの競争や優劣意識を防ぐ働きがあります。

ピラミッドメソッド幼児教育法

ピラミッドメソッド幼児教育法は、オランダの心理学者が開発した教育法です。「保育者の主体性」「子どもの主体性」「寄り添うこと」「距離を置くこと」という4つの基礎概念に基づいて行われ、自分で考えて判断する力を養います。ピラミッドメソッドでは、子どもの発達を個性・情緒・知覚・言葉・思考・空間と時間の理解・運動・芸術という領域に分類し、子どもの学ぶ意欲を引き出すことが目標です。

異年齢保育を行う上での注意点

異年齢保育には多くのメリットがありますが、異年齢保育ならではの注意点もあります。メリットを最大限に活かせるよう、注意点も把握しておきましょう。主な注意点は以下の4つです。

年上の子どもに負担が集まらないように配慮する

子ども同士の学びが期待できる一方、年上の子どもの負担にならないように配慮することも必要です。年下の子どもの対応に困っていたりお世話をすることを義務としたりすると、本来の異年齢保育とは全く違うものとなってしまいます。年上の子どもも年下の子どもも自主的に関わりが持てるよう、保育士のフォローが必要です。

安全面に細心の注意を払う

年齢の違う子どもが集まるため、安全面には細心の注意を払いましょう。年齢によって運動能力は異なるため、それぞれの年齢の子どもが安全に楽しく遊べるよう、遊び環境を整えることも重要です。

言葉の掛け方に配慮する

発達による理解度の違いがあるため、言葉の掛け方にも注意しましょう。仮に年上の子どもを叱る場合は、1対1で叱るようにしてください。子ども達のいる前で叱ると子どもは自信をなくしてしまうため、注意が必要です。反対に、ほめるときにはみんながいる前でほめると、憧れの眼差しを向けられて自信にも繋がります。

年齢別の活動も取り入れる

異年齢保育では、どうしても年上の子どもが年下の子どもに合わせがちです。そのため、年齢に応じた遊びを取り入れることがおすすめとなります。どの年齢の子どもでも楽しめるよう、さまざまな活動を考えることが重要です。

まとめ

ここまで、異年齢保育とは何か、またメリットとデメリット、異年齢保育を行う上での注意点なども解説しました。

異年齢保育は、安全な環境を整えたり子ども達への配慮が必要となったり、保育士の業務負担が増えると言われています。しかし、保育の中に異年齢という要素が加わることによって、子ども同士が自然に学び合って成長のきっかけとなることもわかっています。

子どもの発達段階を考慮して、各年齢の子ども達がのびのびと過ごせるような環境作りができるようにしましょう。

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