施設保育士とは?仕事内容、メリット・デメリット、給料相場を解説

施設保育士とは?仕事内容、メリット・デメリット、給料相場を解説

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子どもの権利侵害問題や生活課題の発見に努めることは、保育士の責務と言えます。しかし、通常の保育園に勤務する保育士の提供できる心のケアや、生活課題解決に向けた支援は、限定的です。より深く社会問題と向き合い、子どもの福祉に貢献したい人は、施設保育士として働くキャリアを検討してはいかがでしょうか。

当記事では、施設保育士の仕事内容や必要資格、待遇について分かりやすく解説します。施設保育士として就職・転職を目指す人は、職種に対する理解を深めるためのヒントとして、有効に活用ください。

施設保育士とは

施設保育士とは、児童福祉法における児童福祉施設に勤務し、子どもたちの生活・自立支援を担当する仕事です。児童福祉法における児童福祉施設とは、以下14個の施設を指します。

  • 助産施設
  • 乳児院
  • 母子生活支援施設
  • 保育所
  • 幼保連携型認定こども園
  • 児童厚生施設
  • 児童養護施設
  • 障害児入所施設
  • 児童発達支援センター
  • 児童心理治療施設
  • 児童自立支援施設及び児童家庭支援センター

(出典:電子政府の総合窓口 e-Gov「児童福祉法第 七条」​/https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000164_20180402_429AC0000000069&openerCode=1#C

上記14個の施設のうちの保育所を除く13個が、施設保育士の職場です。虐待を受けた子どもや保護者のいない子ども、専門的な治療や支援を必要とする子どもなどと深く接し、施設の運営目的に応じた支援を行うことが施設保育士の責務と言えます。

通常の保育園との違い

児童福祉施設と通常の保育園の大きな違いは、施設の運営目的です。通常の保育園の運営目的は、児童福祉法において、次のように定義されます。

日々保護者の委託を受けて、保育に欠けるその乳児又は幼児を保育することを目的とする施設とする。

(出典:電子政府の総合窓口 e-Gov「児童福祉法第 三十九条」/https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000164_20180402_429AC0000000069&openerCode=1#C

つまり、通常の保育園は、「保護者の委託」を受けて初めて、保育を行う施設です。しかし、世の中には、虐待や両親との死別などにより、保護者の委託を受けることが難しく、積極的な支援を要する子どもも存在します。これらの子どもの生活を保障し、居住空間を提供したり、心身の状態や成長段階に応じた支援を行ったりすることが児童福祉施設の目的です。

施設別の仕事内容

「施設保育士」とひと口に言っても、担当する仕事内容や保育を提供する子どもの年齢・属性、働き方は様々です。

以下では、比較的求人の多い「児童養護施設」「乳児院」「障害児施設」を取り上げて、施設の概要と施設保育士の仕事内容を紹介します。

児童養護施設 保護者のいない子ども・虐待などを受けた子どもを受け入れ、生活環境の提供や学習指導、生活指導を実施する施設です。退所者に対する総合的なサポートや家庭との調整を図ることも、児童養護施設の事業内容に含まれます。

【施設保育士の仕事内容】
・入浴や睡眠、着替え、食事などの援助
・心身の成長段階に応じた行事や遊びの企画・提案
・生活必需品の購入
・検診や予防接種の付添、援助
・職員間の情報共有資料の作成

児童養護施設は24時間体制の施設であるため、夜勤や早朝勤務といった変則的な勤務シフトが発生します。栄養士や看護師、児童指導員など保育士以外の専門職員と連携し、業務を行うことも多く、一定のコミュニケーションスキルが必要です。
乳児院 おおむね満1歳未満の乳児を受け入れ、養育する施設です。育児相談窓口やショートステイといった子育て支援機能など、勤務地エリアにおける子育て支援機能を担うこともあります。

【施設保育士の仕事内容】
・授乳やおむつ替え、寝かしつけ、入浴などの援助
・生活必需品の購入
・職員間の情報共有資料の作成

乳児院に勤務する保育士には、乳児の母親や父親代わりを担い、深い愛情を持って接する姿勢が要求されます。情緒の発達の著しい時期を共に過ごす人として、重要な役割を担う自覚も必要です。
障害児施設 身体に障害のある子どもや知的障害を持つ子ども、児童相談所や保健センター、医療機関などから療養の必要性を指摘された子どもを受け入れ、生活指導や教育を行う施設です。

【施設保育士の仕事内容】
・食事や排泄、着替え、入浴などの援助
・身体能力やコミュニケーション能力の維持、向上訓練
・行事や遊び、社会参加活動の準備や援助

障害児入所施設では、子どもの障害内容や状態に応じた保育を実践しなければなりません。障害者支援の基礎知識を要する場面も多く、自主的なスキルアップが必要です。

施設保育士になるための資格・知識

施設保育士として働くためには、保育士資格が必要です。その他、以下のような知識やスキル、性格特性を持つ有資格者は、児童福祉施設における活躍が見込まれます。

忍耐力や寛容さ、包容力

虐待児・障害児支援の担い手として活躍するためには、忍耐力や寛容さ、包容力が必要です。問題行為の見られる子どもに対しても諦めることなく、寛容な心を大切に、保育業務を遂行しましょう。

心のケアに関する知識や専門資格

日常生活を送ることもままならない子どもと接する際には、心のケアに関する知識が役立ちます。保育士や放課後等デイサービス、小学校や中学校の職員を対象とするセミナーに参加し、児童心理学やチャイルドカウンセリングの基礎知識を習得するなど、自主的な学習を進めましょう。保健児童ソーシャルワーカーなどの資格取得を目標として、スキルアップに努める方法も一案です。

施設保育士として働くメリット・デメリット

施術保育士と一般的な保育士の働き方は異なる点が多いため、適正が分かれます。施術保育士として就職・転職する際には、職種特有のメリット及びデメリットの双方をふまえ、後悔しない判断を行いましょう。

以下では、施設保育士として働くキャリアのメリットとデメリットについて、分かりやすく解説します。

【メリット】やりがいと社会的使命の大きさ

施設保育士として働くメリットは、子どもの成長を実感し、やりがいを感じる場面が多いことです。

児童福祉施設に入所する子どもの中には、保育士と関わることに抵抗を感じる子どもや円滑なコミュニケーションを取ることが困難である子どもも存在します。そのような子どもに対して継続的な働きかけを行い、心身の成長を支援する仕事にやりがいを感じる保育士にとっては、非常に最適な職種です。

また、施設保育士は、家庭環境や健康状態に問題を抱える子どもを守るために欠かせない存在です。児童虐待や育児放棄といった社会問題に関心を持ち、何らかの形による関与を希望する人にとっては、やりがいの大きな仕事と言えます。

【デメリット】仕事の大変さ

施設保育士は、児童福祉施設に入所する子どもの将来を左右する存在です。やりがいが大きい分だけ責任の重さを実感する頻度も高く、生半可な気持ちで挑戦する保育士は、早期離職に到るリスクも否めません。

施設保育士として就職・転職を行う際には、仕事のやりがいと大変さを天秤にかけ、自分自身に合う仕事であるかを検討しましょう。施設保育士として働くことの責任を実感し、専門知識の習得や業務スキル向上に取り組むことも大切です。

施設保育士の給料と勤務環境

施設保育士の給料は、通常の保育園に勤務する保育士と同程度の水準です。住宅手当や通勤手当、夜勤手当を支給する施設も多く、待遇の良い求人も散見されます。以下は、施設保育士求人の具体例を表にしたものです。

児童養護施設の求人例
募集職種 保育士
雇用形態 正社員(正職員)
給与 月収192,000円~
賞与あり【前年度実績】年2回・4ヶ月分。
勤務時間 0:00〜23:59(実働8時間のシフト制・シフトパターン複数あり)
休日・休暇 4週8休制(年間休日108日)
年末年始休暇、有給休暇、出産・育児休暇
待遇・福利厚生 ●通勤手当・住宅手当・家族手当
●昇給あり
●雇用保険・労災保険・厚生年金保険・健康保険
●退職金あり
●勤続1年目から退職金あり
応募資格 ●保育士資格・普通自動車免許保持者
●経験者歓迎
●未経験OK

実際に求人を検索する際には待遇や給与欄、勤務時間や勤務シフトの組み方などに注目し、類似情報と比較の上、待遇の良い施設を選択しましょう。

まとめ

今回は、施設保育士の役割や働き方、通常の保育園に勤務する保育士と比較した時のメリット・デメリットを紹介しました。

子どもを取り巻く社会環境が大きく変化し、抱える課題が複雑化する現在、多様な子育てサービスを提供する施設に対する需要は高いです。施設保育士は、長期・安定キャリアを目指す人に適した就職・転職先の1つと言えるでしょう。

社会的養護の担い手として日々の業務に従事し、子どもの権利を保護する働き方に魅力を感じる人は、施設保育士としての活躍が見込まれます。長期的なキャリアを実現するフィールドとして施設保育士の仕事を選び、生き生きと働く将来を検討してはいかがでしょうか。

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