【夜間保育園①】どんなところ? 東京都で初めて一般・夜間を併設した認可保育園「キッズタウンうきま夜間保育園」

【夜間保育園①】どんなところ? 東京都で初めて一般・夜間を併設した認可保育園「キッズタウンうきま夜間保育園」

夕飯を食べた後は、先生やお友達と一緒にお迎えを待ちます。

東京都北区にある「キッズタウンうきま夜間保育園」は、最長23時までの夜間保育を行っている保育園です。夜間保育を利用する子どもたちは、自宅と同様におもちゃで遊んだり、ごはんを食べたりしながら保護者のお迎えを待っています。夜間保育園と一般の保育園とでは、一体どのような違いがあるのでしょうか。「キッズタウンうきま夜間保育園」の園長 小林美樹さんと副主任の小泉美果さんに話を聞いてみました。(役職は2023年2月取材時)

365日運営する「キッズタウンうきま夜間保育園」とは?

――まずは、「キッズタウンうきま夜間保育園」の施設紹介をお願いいたします。

社会福祉法人こうほうえんが運営する、東京都北区にある認可保育園です。東京都で初めて一般と夜間を併設した認可保育園でもあり、夜間保育園の隣には一般の保育園である「キッズタウンうきま保育園」(以下、「キッズタウンうきま」)があります。夜間保育園の定員は、0歳から5歳までそれぞれ5名ずつの計30名で、現在(2023年2月時点)は0歳が3名、1歳が4名、2歳と3歳が5名、4歳が4名、5歳が3名おり、合わせて24名が利用しています。夜間保育園というだけでも珍しいと思いますが、当園にはそれ以外にも大きく3つの特徴があるんです。

――具体的にどのような特徴をお持ちなのでしょう?

1つめは、365日開所していることです。日曜日も開所している保育園は少ないですが、当園は土日に加えて、祝日や年末年始を含む365日運営しています。そのため、「夜遅くまで開いているだけでなく、1年中開所しているのはとても助かる」といったお声をいただくことも多いですね。2つめは、世代間の交流が盛んなことです。園舎が高齢者福祉施設と就労支援施設との複合施設内にあるため、高齢者と園児が交流する機会がとても多いのです。そして3つめは、都内にありながら環境に恵まれていることです。保育園は複合施設の1階にあるのですが、保育室は広々としたゆとりのある作りで、広い園庭もあります。また近くには緑も多く、散歩を通してさまざまな経験ができます。少し駅から遠いという不便さはありますが、都内の施設のなかでは、環境に恵まれた保育園と言えるのではないでしょうか。

複合施設の1階にある「キッズタウンうきま夜間保育園」。広い園庭もあります。

19時15分以降は併設の「夜間保育」で預かる独自サービス

――夜間保育は、最長でどのくらい利用できるのですか?

認可夜間保育園の基本開所時間は、11時から22時までと決まっていますが、そこに延長保育をつけることで、朝9時から夜の23時まで利用できます。ただ、当園は隣に一般的な保育園を併設していますので、9時よりも早く登園したい場合には、まず7時15分から開いている「キッズタウンうきま」にお預けいただき、夜間保育園がオープンする9時になったら、職員が迎えに行くという形で対応することが可能です。逆に「キッズタウンうきま」を利用している方が、残業などで19時15分までにお迎えに来られない場合は、夜間保育園のほうでお預かりするといった園独自のサービスも行っています。

――現在は何人の職員が働いていらっしゃるのですか?

保育資格を持っている常勤の職員が13人、プラス園長1人です。それと、保育資格を持っている先生4人に、非常勤でお手伝いに来てもらっています。非常勤は園の近くに住んでいる方が多く、18時から子どもたちが帰るまで手伝ってくださる方もいて、とても心強い存在です。後は看護師が1人と、昼間と夜間兼務の栄養士が1人、事務職1人が働いています。

――「キッズタウンうきま夜間保育園」の普段のスケジュールを教えてください。

朝は、9時〜11時の間に来る子がほとんどです。0〜2歳の子たちはまだ小さいので、落ち着いて過ごせるように、登園後は夜間保育園の保育室で保育を行っています。一方で、3〜5歳の子たちは、登園したらすぐにお友だちがたくさんいる昼間の保育園のクラスに行きます。そして、同じ年頃の友だちと遊び、昼食、おやつを食べ、夕方「今日はこんなことが楽しかったね」「明日はこんなことをしようね」と1日を振り返る帰りの会に参加。その後、16時半から17時くらいになると、夜間保育園に戻ったり、そのまま昼間の保育園に残って遊んだりします。そのあたりは、日によってどうしたいかを選べるイメージですね。

夜間保育園に戻ってからは、普段家に帰ってのんびりするように、おもちゃで遊んだり、テレビを見たりして過ごしています。オセロやUNO、黒ひげ危機一発、ドンジャラといった一般家庭にあるおもちゃのほか、100均で買った便箋、シールなども用意してあり、子どもたちが好きなことをして過ごせるように環境を整えています。ただ、昼間の保育園で運動会や発表会の練習をおこなっているときや、お気に入りのお友だちができたときなどは、「まだ昼間の保育園に残って遊ぶ!」と言う子も多いですね。残ることを選択した場合は、夕食の時間に迎えに行っています。

3〜5歳の子たちは、この先に小学校入学が待っているので、「小学校生活を見据えた活動ができるように」という点にも配慮しています。たとえば、小学校は午前中に勉強があるので、最後の1年間は11時に登園するのではなく、朝の9時頃に来てもらえるようご家庭にも呼びかけ、より生活のリズムを整えていけるようにしていくといった具合です。

夕飯までの間、テレビを見ながら過ごす子どもたち。お家にいるようにのんびりした時間を過ごします。

――生活のリズムというお話が出ましたが、夕食は何時頃に食べるのですか?

18時くらいから支度をして、乳児の準備を先に終えます。乳児が席につき次第、ほかの子どもたちにも声をかけ、席に座ったらそれぞれ「いただきます」をします。だいたい19時には片付けをするような流れですね。食後は、乳児、幼児、それぞれのクラスの部屋で遊びながらお迎えを待ちますが、お迎えが22時を過ぎる子については、寝ながらお迎えを待つこともあります。

夕食の時間は、「お腹が空いたから早く食べたい」と言う子もいれば、なかなか食事の席につかない子も。あまり食事に前向きになれない様子であれば、「どうしたの?」と、昼間に遊んだことや本児の思いなどを聞くこともあります。また、夕食の時間になると、年長さんのなかにも「食べさせて」とか、「隣に座って欲しい」と言い出す子がいます。昼間はお友だちもいるので、自分で姿勢良く食べていますが、夜になると甘えが出るのかもしれません。そういう意味で、夜間保育は「昼間とは違った子どもたちの一面が見られる時間」とも言えそうです。

取材・文/タケウチ ノゾミ 編集/イージーゴー

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