ヨコミネ式とは? 教育方法がやばい! 子どもの自立を促す特別な学び

ヨコミネ式とは? 教育方法がやばい! 子どもの自立を促す特別な学び

子どもの自立を促すために有効な「ヨコミネ式」の教育方針。乳幼児期から自学自習の習慣を身につけるなど、可能性を最大限に引き出す指導が特徴的な教育法です。この記事では、ヨコミネ式の特徴や、保育士として働くメリット・デメリットを解説します。

横峯吉文氏が考案した「ヨコミネ式」とは?

ヨコミネ式は、鹿児島で保育園を運営している横峯吉文氏が考案した幼児教育法です。さまざまな子どもと接すること約40年、試行錯誤をくり返しながら確立されました。現在では、全国のさまざまな保育園や幼稚園で取り入れられています。

子どもの脳は3歳までに80%、6歳には90%成長するため、ヨコミネ式では乳幼児期からよい習慣を身につけることを重要視しています。

【ヨコミネ式】自立に必要なの4つの力

ヨコミネ式の特徴は、子どもの自立を促すための教育です。ここからは、自立に必要な「心」「体」「学」「音楽」の4つの力について解説します。

正しい心を大切にする「心の力」

子どもが元々持っている「まじめな心」「優しい心」「忍耐力」などは、子育てによって強くなったり弱くなったりします。「非行の火種は3歳までに始まる」とも言われ、5歳までの接し方が重要です。

ヨコミネ式では「まだ小さいから」と、甘やかしてばかりいては自己中心的でわがままな人間になってしまうと考えられています。そのため、難しいことも諦めずにチャレンジして心の力を養います。

運動神経を伸ばす「体の力」

運動神経は、6歳までに決まってしまうといわれています。ヨコミネ式では、運動神経を伸ばすため乳幼児期から体操に力を入れています。

  • ストレッチ
  • ブリッジ
  • 逆立ち歩き
  • マット運動
  • 跳び箱

それぞれの体操をバランスよくおこなうことで、柔軟性やバランス感覚を養います。どれも、乳幼児期の子どもには難しいと感じるかもしれません。しかし、ヨコミネ式では子ども同士で刺激し合い、向上心を高めています。やらされるのではなく「できるようになりたい」と子どもが自らチャレンジできる環境を整えます。

自力で学ぼうとする意欲を育てる「学ぶ力」

自力で学ぶことは、すべての物事の基本です。そのため、ヨコミネ式では「自学自習」で自ら学ぶ力を大切にしています。およそ3~4歳で自学自主のスイッチが入り、自発的に読み書き計算をおこなうようになります。

あくまでも「自分で学ぶ」ことを大切にし、強要はしません。自学自習の力は勉強だけでなく、問題解決にも必要な力といえるでしょう。

楽しく音感を身につける「音楽の力」

横峯吉文氏の「音楽を好きになってほしい」という思いから、重視されるようになった音楽の力。3歳で80%の音感が形成されるため、乳幼児期から楽しく音楽を学ばせて絶対音感を身につけます。

頭のやわらかい幼児期は、文字を覚えるのも音符を覚えるのも大差なくこなせるため、積極的にピアニカや合奏の時間を設けます。乳幼児期に音楽の基礎さえ身につけてしまえば、どのような楽器にも応用できるといえるでしょう。

【ヨコミネ式】毎日の3つのカリキュラム

ヨコミネ式では、日々のカリキュラムとして「自学自習」「体操」「音楽」を取り入れています。ヨコミネ式に通う子どもが逆立ち歩きをしたり、漢字の読み書きができたりするのは、この独自のカリキュラムの成果です。ここからは、それぞれのカリキュラムの具体的なポイントを解説します。

読み・書き・計算「自学自習」

子どもが無理なく集中し続けられるのは20分ほどのため、ヨコミネ式では自学自習を「読み20分」「書き20分」「計算20分」に分けて、遊び感覚でおこなっています。これらの学びは2歳から始めるため「なぜそんなに早く?」「子どもがかわいそう」という意見も。しかしこれらは、小学校になって困らないようにするためにおこなわれます。

文字を覚えていないと勉強が嫌いになってしまったり、机に座る習慣がなければ授業についていけなくなったりして子どもが辛い思いをします。2歳児から学ぶ環境に慣らすことで、4~5歳児になれば当たり前のように机に向かって勉強できるようになるのです。

また、学びには「ヨコミネ式95音」といった独自のカリキュラムを導入し、簡単な文字から順番に練習できるようにしています。95音は、ひらがな・カタカナ・漢字といった枠組みを取っ払い、書きやすい順に文字が並んでいます。まるでお絵描きのように、楽しみながら学べるのが特徴です。

逆立歩き・跳び箱・側転「体操」

ヨコミネ式では、子どもたちが逆立ち歩きや跳び箱、側転などをおこないます。同年代では、できない子どもの方が多いかもしれません。しかし「できない子はいない」「時間がかかる子がいるだけ」といった考えのもと、無理なく取り組めるよう指導します。

ヨコミネ式では、子どものやる気を引き出すために子どもが伸びる「才能開花の法則」という考え方を大切にしています。

  1. できることは面白い
  2. 面白いから練習する
  3. 練習すると上手になる
  4. 上手になると大好きになる
  5. そして次の段階に行きたくなる
  6. くり返しで才能が開花する

体操も同じく、難しいことでもできると楽しくなり、さらなる上達を望みます。壁で逆立ちができれば、そのうち壁なしで歩きたくなるもの。保育士が「~してみたら? 」とすすめているわけではありません。自主的におこなうことで、高度な体操が身につくのです。

ピアニカ・ドラム・ティンパニ「音楽」

ヨコミネ式では、3歳までに音感がつくとして1日ピアニカ30分、合奏30分の時間を設けています。1歳児から音楽カードを遊びで使い、2歳児ではリトミックやドレミ体操。そして、3歳児は聴音・聴唱をおこない、絶対音感につなげていきます。

さらに、ピアニカの練習も始め、慣れてきたら合奏につなげます。4~5歳になれば聴覚が発達するため、たくさんの音楽を聴いて歌い弾く経験を与えることが大切です。ヨコミネ式では、キーボード・ティンパニー・ドラムなどさまざまな楽器を使いますが、乳児期から音楽に触れているため問題なくこなせるようです。

音楽を大切にすると絶対音感だけでなく、運動能力も向上するといわれています。また、合奏中に周りの人の音を聴くことで、集中力も高まるため侮れません。

【ヨコミネ式】子どもの才能を伸ばす4つのスイッチ

次は、子どもの才能を伸ばすために必要な4つのスイッチについて解説します。

子どもは競争したがる

子どもは競争が大好きで、勝つと思いっきり喜び、負けると悔しがって涙を流します。「もっとがんばる」というスイッチが入るため、どちらの経験も大切です。

また、子どもは自分にできないことをできる子に憧れを持ちます。競争は、子ども同士で刺激し合い向上心を高めるよいスイッチになるといえるでしょう。

子どもは真似をしたがる

子どもは真似をする天才です。模倣遊びやごっこ遊びなどを基板に、できるようになりたいという欲求を持ちます。無理にさせるのではなく、できる子の姿を見せるのがポイントです。

真似をしているうちに、たくさんのことができるようになります。そのためには「自分にもできるかもしれない」と思えるような、お手本を見せることが重要です。

子どもはちょっとだけ難しいことをしたがる

子どもは、簡単すぎると飽きてしまいます。とはいえ、難しすぎると挑戦する意欲がなくなってしまう…。それぞれの子どもに合った「ちょっと難しい」を設定することが大切です。

ヨコミネ式では、子どもに教材を合わせるのではなく、子どもに合った教材を提供してレベルを少しずつ上げていきます。

子どもは認められたがる

大人もいっしょですが、子どもも認めてもらうとやる気スイッチが入ります。チャレンジしたことを認めてもらえたら、さらなるモチベーションにつながります。「まだできない」「まだ難しいよ」と否定するのではなく、お兄ちゃんやお姉ちゃんとして扱うことが大切です。

また、ヨコミネ式では読んだ本を記録する習慣を大切にしています。記録が増え、認められることが嬉しくなる工夫が凝らされています。認められる経験は「認め合い」につながり、お友だちのことも自分のことのように喜べるようになります。自分と他人を認めることで、心の力にもつながるのです。

ヨコミネ式で働きたい! 保育士以外に必要な資格

子どもたちが難易度の高い勉強や体操に取り組んでいると「ヨコミネ式の保育士になるためには特別な資格が必要かもしれない…」と思ってしまいませんか? しかし、保育士資格以外に特別な資格は必要ありません。

逆立ちやそろばんなど、保育士ができなくても問題ありません。子どもに指導するカリキュラムさえ理解できれば働けます。また、ヨコミネ式オリジナル教材を使った自学自習や運動指導は、各種研修で学べるため不安を感じる必要はなさそうです。

ヨコミネ式で保育士として働くメリット

保育士がヨコミネ式で働くメリットは以下のとおりです。

  • 子どもの可能性を最大限に引き出せる
  • 子どもの成長が著しくやりがいを感じる
  • そろばんなど自身も新しいことにチャレンジできる
  • 無理強いしない声かけなど保育力が上がる

ヨコミネ式では、勉強や運動を子どもに無理強いすることはありません。「もっとやりたい」というところでやめさせたり、飽きないように「ちょっとだけ難しいこと」を意識して課題を与えたり…。保育士の働きかけにより子どもの成長が見られるため、働くやりがいは大きいといえるでしょう。

ヨコミネ式で保育士として働くデメリット

保育士がヨコミネ式で働くデメリットは以下のとおりです。

  • 乳幼児期の子育てで人生が決まるという考えにプレッシャーを感じる
  • 教えようとすると「押しつけられた」と感じるため、子どもとの関わり方が難しい
  • ヨコミネ式のカリキュラムを把握するまで学びが必要

「のびのび自由に」「勉強はしない」といった保育園と比べると、カリキュラムに追われることが多くなるかもしれません。子ども主体とはいえ、やる気を出させるための関わりにはテクニックが必要です。そのため、慣れるまでは大変と感じる可能性があります。

まとめ

自学自習の力を身につけるヨコミネ式の教育方針。子どもの夢を叶えるため、基礎をつけて

選択肢を広げることはとても大切です。自学自習できる能力さえあれば、何事も自分でチャレンジして向上していくことができます。特別なカリキュラムがあるため、保育士としては気負ってしまうかもしれませんが、働くやりがいは大きいといえるでしょう。気になる人は、ぜひヨコミネ式を取り入れている保育園を探してみてくださいね。
参考:ヨコミネ式教育法オフィシャルサイト

保育ライター
保育士・幼稚園教諭資格を持つ2児の母。保育士歴10年、現在はライターとして活動中。
保育士経験を活かし、季節の行事に家族で手作りの飾りつけを楽しむのが趣味。
Instagram:https://www.instagram.com/hoik_aya___/
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