大規模保育園とは?小規模保育園との違い、働くメリットやデメリットを紹介

大規模保育園とは?小規模保育園との違い、働くメリットやデメリットを紹介

文: 神戸のどか(保育士ライター)

大規模保育園で働くことを考えている保育士のなかには「人数が多いと大変そう」「子どもとゆっくり関われないのでは?」といった不安を抱く人もいるかもしれません。しかし、大規模保育園ならではの魅力もあるため、特徴を知っておくことで働く先の選択肢を広げられるでしょう。

この記事では、大規模保育園の概要や小規模保育園との違い、大規模保育園で働く魅力やメリット・デメリットについて解説します。また、大規模保育園に向いている人の特徴や、求人を探す際のポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

大規模保育園とは?

大規模保育園に法律上の定義はありませんが、一般的には園児が100人以上いる保育園を指します。園によっては200人以上の園児が在籍しており、300人以上の園は「マンモス保育園」と呼ばれることもあります。

大規模保育園は「5歳児クラスが2クラス」といったように、一つの年齢に対して複数のクラスが存在することもあります。

小規模保育園との3つの違い

大規模保育園とは対照的に、園児数が少ない保育園を「小規模保育園」といいます。

大規模保育園と小規模保育園について、「園児数・職員数」「働くために必要な資格」「園の雰囲気」の3つの違いを確認してみましょう。

園児数・職員数

小規模保育園は「子ども・子育て支援新制度」の事業の一つとして位置づけられている、0~2歳児を預かる施設で、園児の数は6人~19人と定められています。職員の数は、5人前後が多いようです。

一方、大規模保育園に法律上の定義はなく、一般的に100人以上の規模の保育園を指します。職員は30人以上いる園が多いようです。

大規模保育園と小規模保育園はどちらも、国が定めた職員配置基準に則って職員数を決めています。

大規模保育園と小規模保育園における、年齢別の園児数は、以下のようなイメージとなります。

  • 大規模保育園(園児100人の場合)
0歳児1歳児2歳児3歳児4歳児5歳児
6人12人18人20人22人22人
  • 大規模保育園(園児200人の場合)
0歳児1歳児2歳児3歳児4歳児5歳児
15人30人35人40人40人40人
  • 大規模保育園(園児300人の場合)
0歳児1歳児2歳児3歳児4歳児5歳児
20人24人36人60人80人80人
  • 小規模保育園(園児6人の場合)
0歳児1歳児2歳児
2人2人2人
  • 小規模保育園(園児19人の場合)
0歳児1歳児2歳児
3人8人8人

※制度改正により、2023年4月からは5歳までの利用条件が緩和されましたが、現状では5歳までの保育に対応していない施設が多いといわれています。

働くために必要な資格

大規模保育園で働くためには、保育士資格が必要です。

一方で、小規模保育園にはA型・B型・C型の3種類があり、施設の種類によって必要な資格が異なります。小規模保育園のC型で働く際は、必ずしも保育士資格が必要ではありません。 

施設の種類必要な資格
A型保育士資格(保育従事者全員)
B型保育士資格(保育従事者の半分以上)
C型家庭的保育者(※)
小規模保育園で求められる資格

※家庭保育者…保育士と同等以上の知識および経験を有すると認められた者のことで、市町村による認定が必要。

園の雰囲気

園の雰囲気はそれぞれの保育園によりますが、一般的に大規模保育園は賑やかな雰囲気です。様々な園児同士が交流したり、大人数で遊んだりするため、活気があります。

一方で、小規模保育園は園児の年齢層が低いケースがほとんどなので、落ち着いていてアットホームな雰囲気であることが多いでしょう。

大規模保育園で働くメリット

ここからは、大規模保育園で働くメリットを3つ紹介します。

1.多くの園児や職員と関われる

大規模保育園では、様々な年齢や個性の子どもと関わる機会があります。園児それぞれに合わせたコミュニケーションをとる能力が向上するでしょう。

また、保育士の数も多いため、経験豊富なベテラン保育士がいる確率も高く、自分の成長につながる指導やアドバイスを受けられます。考え方が異なる保育士と意見交換することで、クラス運営や子どもとの関わり方を学べることもメリットの一つです。自分自身がリーダーシップを発揮して新人保育士への指導をおこなう機会も増えるでしょう。

保育士が多いことで、休みの希望にも柔軟に対応してもらえる可能性が高まります。

2.本格的な行事を経験できる

大規模保育園は行事に力を入れているところが多く、運動会や発表会といった行事を本格的に行う傾向にあります。

例えば、発表会は「乳児クラスの日」「幼児クラスの日」など日にちを分けたり、「午前の部」「午後の部」のように2部制にしたりして開催する保育園もあります。

規模の大きい行事の計画や運営を経験してみたい保育士にとっては、大規模保育園はおすすめです。行事を通して多くの子どもの成長を見守れることも魅力の一つです。

3.園庭やホールなど設備が整っている

大規模保育園は、園庭やホール、プールといった設備が整っている傾向にあります。子どもが思い切り遊べる施設が多く、遊びの幅も広がります。たとえば、サッカーをはじめとした広い場所を取るような遊びも、子どもたちが興味を持ったタイミングで取り入れられるでしょう。

また、乳児クラスや幼児クラスの子どもが園庭で関わり合う機会も多いため、異年齢の活動を取り入れやすいことも魅力の一つです。

加えて、園内の設備が整っていることで、子どもの安全性を確保しやすく、保育士にとっても安心して保育を行うことができるでしょう。

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大規模保育園で働くデメリット

ここからは、大規模保育園で働く際に感じやすいデメリットを3つ紹介します。働き始めてから後悔しないよう、あらかじめ把握しておきましょう。

1.業務負担が増えやすい

子どもの人数に比例して、連絡帳・個人記録などの書類作成や・製作準備の量も増える傾向にあります。

また、行事の規模が大きいほど、準備や運営も大きな負担となります。周りの保育士と協力しながら計画的に進めることが大切です。

2.人間関係やコミュニケーションが複雑になりやすい

大規模保育園では、価値観や考え方が合わない保育士と出会う可能性が高まります。保育士は一つのチームになって働く職業ですので、些細なすれ違いが大きな亀裂を生むことも少なくありません。気が合う職員同士で自然にグループができてしまうことも、人間関係のトラブルが起こりやすくなる原因です。

また、働く人が増えると情報の伝達が難しくなり齟齬も生じやすくなります。「その話は知らなかった」「○○先生と○○先生で言っていることが違う」と混乱することもあるかもしれません。

3.子ども同士のトラブルや怪我が起こりやすい

大規模保育園のような広く、園児の多い環境では、保育士の死角になる場所で子どもが怪我をしたり、保護者の対応している間に、子どものケンカが起こっていたりすることもあります。子どもに目が行き届くように職員で連携をとらなければなりません。

子どものトラブルを減らすには、保育室の環境を見直し死角を作らないような工夫が必要です。また、一人ひとりとじっくり関わる時間を意識的に作り、子どもを理解するよう努めます。

大規模保育園に向いている保育士の特徴

大規模保育園に向いている人は、下記の通りです。すべての条件に当てはまる必要はありませんので、一つの目安として参考にしてください。

  • 経験が浅い保育士、新卒入社の保育士
  • たくさんの保育士と交流したい人
  • 多くの子どもや保護者と関わって経験を積みたい人
  • 本格的な行事を経験したい人

さまざまな保育の仕方を見られるため、経験が浅い保育士にとって学びが多いでしょう。「○○先生のようになりたい」と目標とする保育士が見つかる可能性も高くなります。多くの人と関わりながら経験を積みたい人にとって、大規模保育園は理想の職場といえるでしょう。

大規模保育園の求人を探すポイント

大規模保育園といっても、100人規模の保育園と300人規模の保育園では雰囲気が異なります。求人を探す際は、在園児や職員の人数を確認して園生活をイメージしてみましょう。

保育方針や特色もチェックすることが大切です。求人に応募する前に、「自然体験を重視する保育をしたい」「自由保育を取り入れている保育園がいい」といった希望条件を明確にしておきましょう。転職活動に不慣れな方は、転職サポートサービスを利用して専門のキャリアアドバイザーに相談することもおすすめです。

また、就職前に見学することで実際の雰囲気がわかり、入社後のミスマッチを防ぐことができます。

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働く前に大規模保育園の特徴を理解しておこう!

多くの人と交流できる大規模保育園は、活気ある職場で働きたい保育士におすすめの職場です。しかし、保育士の就業経験がない方や小規模保育園で働く人にとって、子どもが100人以上いる大規模保育園はイメージしにくいかもしれません。メリットやデメリットを理解したうえで、自分に合うかよく考えてみてください。

経験の幅が広がる大規模保育園は、新卒や経験が浅い保育士にとって学びが多いでしょう。ただし、「人数が多いからここの園にしよう」と園児数だけで判断してしまうと、自分の保育観と合わず働くことが辛くなってしまう可能性もあります。求人を探す際は、必ず園の特色や保育方針に共感できる園を見つけましょう。

神戸のどか(保育士ライター)
保育園で、0歳児から5歳児の子どもたちの保育を5年半担当。
「一人ひとりの個性」や「主体性」を大切にする保育園での勤務経験を活かし、現在は保育士さんや子育て中のママやパパに向けて記事を執筆している。
絵本や歌が大好きで、特に絵本の読み聞かせや手遊びが得意。
保有資格:保育士・幼稚園教諭・認定ベビーシッター

参考サイト:

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