一時保育とは|利用の流れ・保育士が注意すべきこと

一時保育とは|利用の流れ・保育士が注意すべきこと

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一時保育の実施施設に初めて就職・転職する場合、保育士としてどのような点に注意すれば良いか気になる方も多いのではないでしょうか。一時保育は通常の保育とは異なる特徴があるため、概要や仕事の流れについて事前に把握しておくことが大切です。

今回は、一時保育の需要や利用される主なケース、一時保育で保育士が準備すること、注意するべきポイントについて解説します。一時保育について知りたい保育士の方や、保育士を目指して勉強中の方は、ぜひ参考にしてください。

一時保育とは

一時保育とは、1日や数時間といった短期間・短時間で一時的に保育を行うサービスです。一時保育は乳児や幼児を預かるため、「一時預かり」や「一時預かり事業」とも呼ばれます。

一時保育を提供する施設は、認可保育園や認定こども園などです。また、認可外保育園や民間の託児所、児童館などの施設においても一時保育が行われています。

一時保育で預かる子どもの年齢は、サービスを提供する施設によってさまざまです。0歳児から預かっている場合や、2歳児以上を預かっている場合などがあります。

1. 一時保育の需要

近年では働き方が多様化し、忙しい保護者からのニーズが増えているため、一時保育の利用者数は増加傾向です。

厚生労働省が発表した資料によれば、一時預かり事業の実施か所数は、平成21年度の6,027か所から平成30年度の9,967か所まで毎年増え続けています。

一時保育を提供する施設は、専用の一時預かり保育室を持つ一般型と、通常の保育における空き定員で一時預かりを行う余裕活用型の2種類です。

平成30年度に一時預かり事業を実施していた9,967か所のうち、9,382か所は一般型、585か所は余裕活用型の施設でした。一般型・余裕活用型ともに実施か所数は増加傾向です。

一時預かり事業の延べ利用児童数は、一般型で平成26年度の4,222,172人から平成30年度の4,749,193人へ増加しています。また、余裕型の延べ利用児童数も増加傾向で、平成26年度は8,865人、平成30年度は36,649人でした。
(出典:厚生労働省「各自治体の多様な保育(延長保育、病児保育、一時預かり、夜間保育)及び障害児保育の実施状況について」/https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/R1gaiyo.pdf

2. 一時保育が利用される主なケース

一時保育の主な利用目的には、下記3つのケースが挙げられます。

〇非定型的保育
非定型的保育は、仕事や家庭の用事などで継続的に子どもを預けたい方が利用する一時保育のことです。非定型的保育では、1週間で子どもを預かる日数や、1か月の利用時間が自治体によって定められています。

また、仕事の都合で一時保育を利用する方は、子どもを預けたい曜日や時間帯が保育施設側のスケジュールと一致しないことも一般的です。自治体によっては、複数の保育施設を掛け持ちすることが許可されている場合があります。

〇緊急保育
緊急保育は、冠婚葬祭への出席や保護者の病気など緊急な状況で利用される一時保育のことです。保護者が病気や出産などで入院したり、災害によって急に子どもを預ける必要に迫られたりした場合は、緊急保育が利用されます。

〇リフレッシュ保育
リフレッシュ保育は、子育て期間中の気分転換でストレスを解消したい保護者によって利用される一時保育のことです。保護者が美容院やエステサロンへ行ったり、趣味の活動に参加したりする場合に、リフレッシュ保育が活用されます。

3. 一時保育の料金相場

一時保育の料金相場は認可保育園と認可外保育園で異なり、認可保育園の方が安い傾向です。

認可保育園では、1時間あたり500~600円、1日あたり2,000~5,000円が料金相場となっています。一方、認可外保育園における一時保育の料金相場は、1時間あたり1,500~3,000円、1日あたり6,000~15,000円です。

一時保育にかかる料金は、施設の種類だけでなく地域によっても異なります。参考として、大阪市における1日あたりの利用料金は下記の通りです。

0歳児1・2歳児3歳児以上
月曜日~土曜日日額2,700円日額2,000円日額1,200円
日曜日・祝日など日額3,600円日額2,700円日額1,600円
(出典:大阪市「一時預かり利用料(費用)」/https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000370649.html

大阪市では、生活保護世帯や市民税非課税世帯で1人親・障害者のいる世帯は一時保育が無料となります。また、市民税非課税世帯は半額減免の対象です。

一時保育の流れ|保育園・保育士が準備すること

一時保育を利用する子どもはアレルギーを持っている場合があるため、事前のヒアリングが重要となります。また、一時保育では利用者からの問い合わせ対応から必要書類の準備、保育の実施まで、通常の保育とは異なる対応が必要です。

ここからは、一時保育を提供する際の流れや、保育園・保育士が準備するべきことについて解説します。

1. 問い合わせ

一時保育を提供する際に行う最初の仕事は、利用希望者からの問い合わせ対応です。

厚生労働省が発表した資料によれば、複数回答可のアンケートにおいて、電話による問い合わせは89.4%、直接来所による問い合わせは72.5%の回答割合でした。
(出典:厚生労働省「一時預かり事業の運営状況等に関する調査報告書 /https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000592938.pdf

上記の資料から、一時保育の利用に関する問い合わせ方法は、電話と直接来所が多いことがわかります。

一時保育の利用希望者から問い合わせが入った際は、希望の預かり日時や子どもの年齢などの必要事項を確認しましょう。希望日時に定員が空いている場合は、利用方法などの案内を行います。
一時保育を提供する施設で働く際は、問い合わせがあった場合の対応方法について、施設運営者にあらかじめ確認しておくとスムーズです。

2. 書類記入

一時保育の予約日時が確定したら、必要書類への記入を行います。自治体の一時保育では、利用開始前に一時保育利用申請書や一時保育受付表などの書類提出が必要です。施設への利用者登録にあたり、母子手帳や医療証、保険証のコピーも必要となります。
申請書類の記入項目は、利用者の氏名や一時保育を利用したい理由、家族構成、子どもの発育状況に関する情報などです。施設によっては、離乳食の進み方や普段の呼び名、好きな遊びなども確認する場合があります。

3. 保育の実施

一時保育における保育士の仕事内容は、基本的に通常の保育と同様です。子どもの年齢に合わせて、遊びや食事などのお世話をします。

保育で行う遊びの内容は、施設によってさまざまです。一般的には、お絵描きや積み木遊び、外遊びなどの活動が行われます。施設の教育方針によって、決められた遊びをさせる場合と、子ども主体で自由に遊ばせる場合があるため、就業先の施設に保育内容を確認しましょう。

低年齢の幼児を預かる場合は、保育時間中にお昼寝の時間を設ける傾向です。3歳以上の子どもには、文字の読み書きや楽器の演奏などの保育を行う場合もあります。

一時保育を行う際に保育士が注意すべきこと

一時保育を行う際は、通常の保育との違いに留意した対応が必要です。

厚生労働省の公開する一時保育についてのアンケートでは、慣れていない子どもを複数預かることを難しいと感じる回答者の割合が最も高く、56.7%でした。通常クラスの子どもに影響が出ることが33.7%、多年齢の子どもへの同時対応が必要なことが21.4%となっています。
(出典:厚生労働省「一時預かり事業の運営状況等に関する調査報告書 /https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000592938.pdf

一時保育を担当する保育士は、初めて接する子どもが安心して過ごせるように、普段の子どもの様子や好きな遊びについて保護者から情報を得ておきましょう。また、アレルギーや病歴など子どもについて注意すべき項目があれば覚えておくことも大切です。

定員が埋まっていて忙しい施設では、保育士や施設スタッフとの協力も重要となります。忙しすぎたり、肉体的負担が大きくなりすぎたりすると、体調不良や思わぬトラブルが起こるリスクがあるため、無理をしないようにしましょう。

一時保育を利用する保護者に声をかけ、なるべく慣らし保育に協力してもらうことも、一時保育を円滑に行う助けとなります。

まとめ

一時保育は、一時的に子どもを預かり保育を行うサービスです。一時保育を行っている施設は認可保育園や認定こども園、認可外保育園などで、施設の種類によって料金相場が異なります。

一時保育で保育士が行う仕事は、問い合わせへの対応や書類の記入、保育の実施などです。慣れていない子どもを預かったり、異年齢児を同時に預かったりするため、一時保育を行う保育士は働きすぎないよう注意しましょう。

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