【心理カウンセラーが教える】子どもの自己肯定感の高め方③自己肯定感は、大人にだって大切なもの

【心理カウンセラーが教える】子どもの自己肯定感の高め方③自己肯定感は、大人にだって大切なもの

日本における「自己肯定感」ブームを作った第一人者である、心理カウンセラーの中島輝さんが、自己肯定感の重要性と自己肯定感を高める方法を解説する連載の第3回目は、「大人にとっての自己肯定感の重要性」について。教育熱心な親御さん、あるいは保育現場に身を置く保育士さんは、どうしても子どものことばかりに目を向けがちです。ただ、子どもの自己肯定感を高めるためにも、周囲の大人たちが自身の自己肯定感を高めることが大切になります。

構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム)
取材・文/清家茂樹 写真/川しまゆうこ

自己肯定感が低い親は、自分の子どもを信頼できない

わたしが「自己肯定感」について学びはじめた当時と比べると、いまはその注目度や認知度が格段に高まっています。その要因となると数多くのことが思い浮かびますが、シンプルに「自分の人生を充実させてくれるものだ」ということが広く知られるようになってきたことがいちばんではないでしょうか。

自己肯定感が低く「自分は駄目な人間だ…」と思っているより、自己肯定感が高く「自分は自分のままでいいんだ!」「自分にはできる!」と思っているほうが、どんな場面でなにをするにもよりよい方向に自分を導いていけるはずです。そのため、とくに教育や子育てという分野において自己肯定感の注目度がどんどん増しているのでしょう。

もちろん、親や保育士さんなど大人にとっても自己肯定感は重要なものです。というのも、子どもの自己肯定感が高まるかどうかは、その子の周囲にいる大人のかかわりにかかっているからです。日本人は世界的に見て自己肯定感が飛び抜けて低いといわれますが、そのような自己肯定感が低い親に育てられた子どもの自己肯定感もまた低下します。

自己肯定感が高い人は、「いいところも悪いところも含めて自分という人間なんだ!」と自分を認められますから、同じように他人をそのまま認めることができます。逆にいうと、自己肯定感が低い人は自分を認められないのと同じように、他人を認めることもできません。

その他人には、自分の子どもも含まれます。そのため、子どもがなにかにチャレンジしようとしても信頼することができず、「危ないから駄目!」というふうに否定します。それでは、子どもからすると「自分は駄目なことばかりしようとしている…」「駄目な人間なんだ…」と思ってしまいますから、自己肯定感が低下するのも当然でしょう。

自己肯定感が低い親が、子どもの自己肯定感を下げる悪循環

また、自己肯定感が低い親は、自分の子どもを信頼できないために自分勝手にその子の未来を心配します。そうして、子どもが就学前の幼いときから「この子の将来のために、こういう習い事をさせるべきだ」「先取り学習をさせるために、塾に通わせるべきだ」というふうに考え、どんどん教育熱心になっていきます。

そうして親の勝手な「べき」を押しつけられた子どもは、その「べき」の枠のなかで自分の本当の気持ちを押し殺すことになります。自分の気持ちを表現することすらできないのですから、自己肯定感が高まるはずもありません。

つまり、日本の親子関係には、「自己肯定感が低い親が子どもの自己肯定感を下げ、結果として自己肯定感が低い親が再生産される」という悪循環が見られるのです。

その悪循環を断つには、親の「べき」をいったん捨てて、子どもの本心を聞くことがなによりも大切でしょう。習い事をさせたり塾に行かせたりするにも、子どもとしっかりと向き合って深いコミュニケーションを取り、子ども自身の「やりたい!」という気持ちを優先するべきです。

自己肯定感が低い人たちに囲まれている保育士

そして、人格形成の初期である幼児期に深くかかわる保育士さんたちも、親と同様に子どもの自己肯定感を左右する重要な立場にあります。

わたしからすると、保育士さんは本当に厳しい現場に身を置いていると感じています。なぜなら、自己肯定感が低い人たちにまわりを囲まれているからです。すでにお伝えしたように、日本人の自己肯定感は非常に低く、自己肯定感が低い親が、自己肯定感が低い子どもを育てているという現実があります。

さらに、幼稚園や保育園を運営するマネージャー層も、いまは自己肯定感が下がっているのではないでしょうか。コロナ禍のいま、マネージャー層は「もし園でクラスターを起こしてしまったらどうするべきか…」というふうに、これまでにはなかった多くの不安を抱えています。そのため、自分の運営法、ひいては自分自身を全面的に信頼しづらい状況のなか、自己肯定感を下げてしまっていると推測します。

つまり、親に子、園のマネージャー層という、自己肯定感が低い3者に囲まれているのが、いまの保育士さんたちというわけです。そうすると、どうしても保育士さんの自己肯定感も下がりがちです。

心理学においては「情動伝染」と呼ばれますが、感情は身近な人から伝染するものだということが知られています。不安にさいなまれ、自己肯定感が下がっている人に囲まれている保育士さんの自己肯定感もまた下がりやすい状況にあるというわけです。

もし保育士さんの自己肯定感まで下がってしまうと、親子間の悪循環と同じように、保育現場でも互いに自己肯定感を下げてしまうという負のスパイラルにおちいりかねません。子どもたちが明るい未来を歩んでいけるように、保育士さん自身のメンタリティーを安定させ、自己肯定感を高く保ってほしいと強く願います。

自身の自己肯定感を判別する「自己肯定感チェックシート」

そこで、まずはみなさん自身の自己肯定感の状態を確認してみてください。以下に、簡単な「自己肯定感チェックシート」を紹介します。12の質問に対して、自分にあてはまると思うものにチェックを入れてください。そのチェックの数によってあなたの自己肯定感を判別します。

◆ワーク【自己肯定感チェックシート】

〔診断結果〕

0~3個 ⇒  自己肯定感が高い状態
4~7個 ⇒  自己肯定感が人並みの状態
8〜9個 ⇒  自己肯定感が低い状態
10個以上 ⇒ 自己肯定感がかなり低い状態

子どもの自己肯定感を判別する「自己肯定感チェックシート」

また、保育士さんとしては、当然ながら子どもの自己肯定感の状態も気になるところでしょう。そこで、親や保育士など周囲の大人の目から子どもの言動を見て、その子の自己肯定感の状態を判別するチェックシートも用意しました。保育士さんの目には見えない子どもの言動もあるかもしれませんので、プリントアウトして親御さんにチェックしてもらってもいいでしょう。

先の自己肯定感判別シートと同様に、以下の項目のうちその子の言動にあてはまると思うものにチェックを入れてください。そのチェックの数で自己肯定感を判別します。

◆ワーク【自己肯定感チェックシート】

〔診断結果〕

0~3個 ⇒  自己肯定感が高い状態
4~7個 ⇒  自己肯定感が人並みの状態
8〜9個 ⇒  自己肯定感が低い状態
10個以上 ⇒ 自己肯定感がかなり低い状態

結果はどうだったでしょう? ただ、このチェックの結果、自分や子どもの自己肯定感が低かったとしても心配する必要はまったくありません。この連載ではいくつも自己肯定感を高めるワークを紹介しています。過去の記事、あるいはこれから配信される記事をご覧になって、保育士さんも親御さんも子どもと一緒になってワークに取り組み、しっかりとそれぞれの自己肯定感を高めていきましょう。

心理カウンセラー
「トリエ」代表。「肯定心理学協会」代表。心理学、脳科学、NLPなどの手法を用い、独自のコーチングメソッドを開発。
Jリーガー、上場企業の経営者など1万5000名以上のメンターを務める。現在は「自己肯定感の重要性をすべての人に伝え、自立した生き方を推奨する」ことを掲げ、「肯定心理学協会」や 新しい生き方を探求する「輝塾」の運営のほか、広く中島流メンタル・メソッドを知ってもらうための「自己肯定感カウンセラー講座」「自己肯定感ノート講座」「自己肯定感コーチング講座」などを主催。著書に『自己肯定感の教科書』『自己肯定感ノート』(SBクリエイティブ)、『習慣化は自己肯定感が10割』(学研プラス)など多数。

自己肯定感アカデミー(https://ac-jikokoutei.com/