レディネスとは?注目される理由・メリットから活用のポイントまで

レディネスとは?注目される理由・メリットから活用のポイントまで

心理学において、レディネスという概念があります。レディネスは成熟と経験によって形成されますが、成熟の要因が大きく学習指導に偏りが出るケースも少なくありません。

レディネスはビジネスシーンでも使われる言葉ですが、保育においても用いられます。

今回は、レディネスの概要と種類、人材育成と保育におけるメリットを解説します。また、レディネスを活用する際のポイントも紹介するので、レディネスについて詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。

1. レディネスとは?

レディネスとは、何かを学ぶにあたって必要な知識や経験、環境、心構えなどの準備が整った状態を指す心理学用語です。アメリカの心理学者ゲゼルが提唱しました。

レディネスは「心身の準備性」という言い方をすることもあります。レディネスができている学習者は意欲的に学ぶため、効果的な学習が可能です。一方、レディネスが整っていない学習者に無理に何かを学ばせようとしても、習得の土台ができていないため高い学習効果は望めません。

1. ビジネスにおけるレディネスの種類

レディネスにはさまざまな種類があり、ビジネスシーンでは以下の3種類が使われます。

・デジタルレディネス
企業がビジネス環境の変革スピードに対応するためには、デジタル技術を扱うスキルが欠かせません。競争の優位性を確保するためには、組織や業務プロセスをデジタル化するDXを推し進めることが必要です。デジタルレディネスとは、このようなデジタル化への準備が整った状態を指します。

・就業レディネス
就業レディネスとは、入社予定者が社会人としての自覚や働く意識をしっかりもった状態にあることを意味する用語です。就職レディネスができている新入社員は働くイメージをもっているため、新人研修やジョブトレーニングに意欲的に取り組め、成長や活躍が期待できます。

・職業レディネス
特定の職業に対して興味・関心をもち、業務において周囲から期待される役割を果たせる自信がある状態を、職業レディネスと言います。職業レディネスがない社員は仕事になかなか慣れず、成果がうまく出ないことがあります。

2. レディネスが注目を集める理由

企業でも、人事や人材育成の観点からレディネスの重要性に注目が集まっています。レディネスが注目される理由は、次の2点です。

・新入社員の社会人としての基礎力養成に役立つ
・変化する社会に適応できる社員育成が可能になる

新卒入社の社員は、社会人として求められる基礎的な能力を養う必要があります。厚生労働省では、社会人として必要な基礎的能力を「社会人基礎力」と呼び、下記3つの能力から構成されると定義しています。

・考え抜く力
・チームで働く力
・前に踏み出す力
(出典:経済産業省「社会人基礎力」/https://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/

レディネスが整っている新卒社員であれば、社会人基礎力の養成がしやすくなります。

また、レディネスができている社員は新しい技術やスキルの習得にも意欲的で、多様化・複雑化するビジネス環境を柔軟に受け入れ、対応することが可能です。激しい環境変化に適応できる可能性の高い人材が育成できます。

2. レディネスのメリット

何かを効果的に学ぶためには、レディネスが整っていることが重要です。レディネスはビジネスシーンだけに使われる用語ではありません。教育や保育といった子どもの学習に関わる分野でもよく用いられます。

ここでは、人材育成と保育の現場に分けて、レディネスが整ってると学習者である社員や子どもにどのようなメリットがあるのかについて解説します。

1. 人材育成におけるメリット

企業の人材育成においては、以下のようなメリットがあります。

生産性の向上が期待できる
員のレディネスが整っていれば、社員研修や教育によって本人のもつ資質や能力を効果的に引き上げることが可能です。業務に必要な能力を習得したり高めたりでき、効率よく仕事が進められるようになるでしょう。結果として、生産性の向上につながります。

・定着率向上につながる
レディネスが整っている社員は仕事に必要な技術やスキルが効果的に習得できるため、担当業務で成果を上げやすい状態です。業務で成果を上げることができれば、達成感や充実感を得やすく、所属企業へのエンゲージメントも高まるでしょう。エンゲージメントの高い社員は離職しにくく、定着率向上につながります。

・企業のイメージアップが図れる
レディネスができた状態で教育すれば、社員の能力やスキルが効果的に磨かれるため、高い満足度をもって仕事に取り組めます。人材育成に力を入れ社員が生き生きと働く企業として、周囲からのイメージ向上に結びつきます。

2. 保育におけるメリット

保育の現場では、以下のようなメリットがあります。

・自発的に学習し、学習内容を効果的に吸収できる
レディネスが整っている子どもは、心身両面で学ぶ土台ができている状態です。精神面の準備もできているので、学習に自然と興味がもてて意欲的に取り組めます。また意欲的に学習できる子どもは、学習内容をどんどん吸収できるため効率よく学ぶことが可能です。
一方で、レディネスができていない子どもに無理に何かを教えようとしても、興味をもてなかったり、身体の成熟度が足りずできなかったりします。

・レディネス学習で楽しく学べる
授業にレディネス学習の手法を取り入れると、子どもは楽しく学べるようになります。レディネス学習とは、授業の終わりに次の授業に関連する簡単な課題を出し、自然に子どもの興味関心を引き出す手法です。
次の授業で子どもたちが興味をもった事柄をうまく取り上げると、子どもは自分が興味をもった内容を教われるので楽しく学べ、学習効率が上がります。

3. レディネスを活用するときのポイント

レディネスの考え方を取り入れると、効率よく習得できるといったメリットがある一方で、デメリットも存在します。 レディネスを活用するときは、以下で紹介する4つのポイントを押さえましょう。

1. 人材育成におけるポイント

企業が社員の人材育成にレディネスの考え方を取り入れる場合、以下2つのポイントを押さえましょう。

・社員と適切なコミュニケーションをとる
社員の就業レディネスや職業レディネスを高めるためには、教育担当者や上司が適切なコミュニケーションをとることが大切です。たとえば、内定を出した後の学生には定期的に連絡を入れたり、内定者同士で交流できる機会を設けたりしましょう。仕事や会社に対して抱く不安が軽減し、就業レディネスが高まります。

・社員が悩みを気軽に相談できるような体制を整える
日頃からこまめにコミュニケーションを取っていれば、業務での困りごとやキャリア形成について、部下は上司に気軽に相談できます。上司から適切なアドバイスやサポートが得られることで部下は仕事に対して愛着や自信がもてるようになり、職業レディネスが高まるでしょう。

2. 保育におけるポイント

日々の保育活動でレディネスを活用する際に押さえたいポイントは、以下の2つです。

・目的や課題を明確にして達成までの計画を立てる
子どもに物事を教えるときは目的や課題を明確にし、そこにいたる道筋をつけることが大切です。たとえば、ひらがなを教える場合、いきなり鉛筆を持たせて書かせようとしてもうまくいきません。まずは、ひらがなに興味をもたせることが大切です。
子どもが興味をもったら読み方を教える、読めるようになったらなぞり書きに進むなど、目標達成までに必要なステップを考えて計画を立てましょう。

・子どもが興味をもてるような声かけをする
レディネスの状態を整えるためには、子どもが興味をもつように工夫する必要があります。子どもたちに歌を教える場合は「大きな声で歌えたらかっこいいね」「楽しく歌えるかな」など、興味を引きそうな声かけをするとよいでしょう。

まとめ

レディネスとは、学習活動において必要な知識・経験・環境・心構えなどが整っている状態です。人材育成や保育でよく使われる用語で、ビジネスシーンでは「デジタルレディネス」「就業レディネス」「職業レディネス」の3種類があります。レディネスが整った状態で学習することで、生産性・定着率のアップや意欲的な学習が期待できます。

ビジネスでレディネスを活用するときは、社員と適切なコミュニケーションをとり、社員が悩みなどを相談しやすい体制を整えることがポイントです。保育においては、目的・課題を達成するための計画を立てたり、子どもが興味をもてるような声かけをするとよいでしょう。

「ほいくらし」では保育業界で働く方に向けたお役立ち情報を発信しています。保育業務においてのお悩みや疑問がある方は、ぜひ「ほいくらし」の他の記事もご覧ください。

※当記事は2023年4月時点の情報をもとに作成しています

お得な情報や最新コラムなどをいち早くお届け!ほいくらし公式LINE
友だちに追加する
保育の最新情報や役立つ知識をゆる~く配信中!ほいくらし公式X(旧Twitter)
園での遊びや催し物など有益な情報をお届け!ほいくらし公式Instagram

この記事をSNSでシェア
CATEGORY :