一流医師が実践!免疫力を上げる「夜の習慣」で、新型コロナウイルス対策をしよう 順天堂大学医学部教授・小林弘幸先生インタビュー【第2回】

一流医師が実践!免疫力を上げる「夜の習慣」で、新型コロナウイルス対策をしよう 順天堂大学医学部教授・小林弘幸先生インタビュー【第2回】

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新型コロナウイルス対策のひとつとして、あらためて「免疫力」への関心が高まっています。では、具体的にどうすれば免疫力が高まるのでしょうか。順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生は、「副交感神経の働きを高めて、質の高い睡眠を得ることが重要」だと語ります。そこで今回は、一流の医師が実践する「夜の習慣」をご紹介しましょう。

構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム) 写真/川しまゆうこ イラスト/えんぴつ

※この記事は、『免疫力が10割 腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず』(プレジデント社 著者:小林弘幸 監修:玉谷卓也)より引用しアレンジしたものです。

質の高い睡眠を得るために、心と身体のメンテナンスをする

厚生労働省によれば、現在、日本の成人の約20%、5人に一人が慢性的な不眠で十分な睡眠がとれていないといいます。

睡眠は、生物にとって非常に大事な心身のメンテナンスタイム。記憶の整理や大脳の休息によって、メンタルや脳のパフォーマンスを支えたり、身体の細胞を修復して疲労を回復したりという働きはもちろん、肌の角質など古い組織の除去、神経の調節などにも欠かせないものです。

しかし、寝つきが悪い、夜中に目覚める、時間は長いけれど眠りが浅いなどの不具合があると、メンテナンスは不十分に……。その結果、肌荒れや疲労感、心身パフォーマンスの低下を招くだけでなく、自律神経や腸内環境の乱れにもつながり、免疫力の低下や病気の原因にもなります。

では、なぜこうした「睡眠の質の低下」が起こるのでしょうか。

原因のひとつとしてあげられるのが、副交感神経の働きが弱いために、夜になっても交感神経が優位なままで、身体が眠りの準備を整えられないこと。そんなときは、眠る前の3時間を中心に、副交感神経の働きを高める習慣を身につけましょう。

免疫力を高める「夜の習慣」① 食事は「眠る3時間前」に済ませよう

では、わたしがおすすめする、「夜の習慣」をいくつか紹介します。

仕事が終わるのが遅いと、必然的に食事も遅い時間になってしまうもの。しかし、遅い時間の食事は、自律神経の働きを乱して睡眠の質を低下させるだけでなく、免疫力に大きく関わる腸内環境までも悪化させます。必ず、眠る3時間前までには夕食を終えるようにしてください。

なお、食事の「嚙む・飲み込む」という動きは交感神経がつかさどっていて、食事中は交感神経の働きが優位になります。そのため、眠る直前に食事をしてしまうと最低3時間ほど交感神経が優位になり、眠れなくなったり、浅い眠りになったりするので注意しましょう。

また、腸は副交感神経が優位に働く睡眠中に、腸内の消化物を肛門まで押し出し、「空腹期消化管運動」という腸のクリーンアップを行います。このとき、胃に消化物が残っていると、腸の働きが阻害されて腸内環境は悪化します。

加えて、「食べてすぐに寝ると太る」の言葉どおり、食事によって血糖値が高まったまま眠ると、脂肪として蓄積されやすくなり肥満の原因となります。

このように、睡眠中にも消化器はさまざまな働きをしているため、自律神経と胃腸にストレスをかけないためにも夕食は腹6分目が理想です。目いっぱい食べる場合は、眠りにつく3時間前、できれば5時間前までに食事を済ませてください。

免疫力を高める「夜の習慣」② 首まわりをほぐして気持ちをリラックスさせる

睡眠不足やストレスにより、夜になっても気持ちがたかぶり、交感神経が優位なままのときは、首まわりをほぐして外側から副交感神経の働きを高めるといいでしょう。

首まわりには、自律神経に関係する「迷走神経」や「星状神経節」がありますが、首の筋肉がこっていると血流が滞って、神経の働きが悪化。自律神経にも悪影響をおよぼします。

ネックウォーマーやホットタオルで首を温めたり、後頭部にある「首をゆるめるツボ」を刺激したりするだけで血流が良くなるので、ぜひ試してみてください。身体の疲れや頭痛が改善し、気分もスッキリするはずです! さらに、副交感神経が働くことで眠りの質も向上し、腸内環境も良くなります。免疫力にも直結する習慣ですから、心身のセルフメンテナンスとして毎日実践しましょう。

首まわりをほぐして気持ちをリラックス

首をゆるめるツボ
首の後ろの髪の生え際には、首をゆるめるツボがある。外側から順に「完骨」「風池」「天柱」の順に並んでいる。外側の「完骨」から順に、首のラインに沿って下にずらしながらそれぞれのツボを両手の親指で押す。また、後頭部にある「百会」も首をゆるめるツボ。両手の中指で押す

首を温める
ネックウォーマーやホットタオルなどを首に書ける。首と鎖骨の境目あたりにある「星状神経節」を温めると、交感神経の働きを抑えられる。首全体を温めることで、上記のツボをほぐすこともできる

免疫力を高める「夜の習慣」③ お風呂で深部体温を高める

入浴は副交感神経を働かせ、心地よく眠るためにとても効果的な手段です。しかし、入浴の仕方によっては逆効果になってしまうことも。身体にとって最適な入浴方法で、自律神経と腸の働きを整え、免疫力をアップさせましょう。

自律神経と腸の働きを整えるために理想的な入浴は、「39~40℃のお湯に15分つかる」こと。最初の5分は肩までつかり、残りの10分はみぞおちまでつかる半身浴がおすすめです。そうすることで、全身の血流が良くなり、副交感神経の働きが活性化します。

直腸温度などの「深部体温」も適度に高めることができるので、眠る頃には身体の中心のほのかな熱が手足の末梢からスーッと放熱され、心地いい眠りにつくことができるでしょう。

なお、脱水症状の予防のため、入浴後は必ずコップ1杯の常温か温かい水を飲んでください。できれば、入浴前にも水分を補給しておきましょう。

お湯の温度については「熱いほうが好み」という方も多いと思いますが、42℃以上の入浴は交感神経を急激に刺激し、身体が余計に疲れてしまいます。また、深部体温を高め過ぎてしまうため、体内に熱がこもって、眠りの妨げにもなります。

近頃は、テレビや音楽を楽しみながら1~2時間の入浴をする方もいますが、汗で水分が失われ、脱水症状を引き起こす危険があるため、長時間の入浴はあまりおすすめしません。逆にシャワーだけで済ませる場合も、浴びた直後は温まった気がしますが、結果的に身体が冷えてしまうもの。血流が悪化するほか、腸も冷えて働きが低下してしまうので注意が必要です。

ちなみに、入浴は血流を良くして腸の働きを整えるために重要な習慣でもあります。便秘になりがちな人は毎日入浴をするようにしてください。

免疫力を高める「夜の習慣」④ 眠る1時間前にはスマートフォンを手放す

布団に入ってからも、スマートフォンでゲームをしたり、動画を観たりしている方は注意が必要です。今日から、眠る1時間前にはスマートフォンを手放すようにしましょう。

スマートフォンのディスプレイの明かり(ブルーライト)は、視神経を通じて脳と自律神経を強く刺激します。これは、朝の光を受けて身体が目覚めるのと同じような覚醒のプロセスを、眠る前に行ってしまうようなもの。ブルーライトが交感神経の機能を急激に高めて、眠れなくなる。あるいは、浅い睡眠になって身体のメンテナンスに支障が生じたり、深夜に途中で目が覚めたりする、などの原因にもなりかねないので注意してください。もちろん、パソコンの画面も同様。「翌日のために」と、メールチェックや調べ物をする必要があるのなら、翌朝に少し早く起きて行うようにしましょう。

なお、スマートフォンやパソコンによる睡眠への影響は、ブルーライトだけではありません。運動で身体に負荷をかけると交感神経が働き出すのと同様に、脳に余計な情報を与えると交感神経が働き出してしまいます。深夜にニュースやSNSをチェックしたり、メールチェックしたりするのは、これから休もうとしている脳に活性化をうながし、余計な仕事をさせることにつながるのです。

とくにSNSは、「SNS疲れ」という言葉にもあらわれているように、ストレスで神経をすり減らす要因になります。純粋に楽しめていればいいのですが、友人の旅行写真をうらやましく思ったり、フォロワーの差を気にしたり、ショックな事実を知ってしまったりして感情を揺さぶられると、リラックスの妨げになりかねません。

スマートフォンやパソコンは、できれば眠る3時間前、少なくとも1時間前には遠ざけておくのが無難です。

こばやし・ひろゆき
順天堂大学医学部教授 日本体育協会公認スポーツドクター
1960年、埼玉県に生まれる。順天堂大学医学部卒業後、1992 年に同大学大学院医学研究科修了。
ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任。国内における自律神経研究の第一人者として、アーティスト、プロスポーツ選手、文化人へのコンディショニングやパフォーマンス向上指導を行う。著書には、『医者が考案した「長生きみそ汁」』(アスコム)、『不摂生でも病気にならない人の習慣 なぜ自律神経の名医は超こってりラーメンを食べ続けても健康なのか?』(小学館)、『最後の日まで笑って歩ける ため息スクワット』(集英社)などがある。
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