人気のベイエリアで働く【③東京都】
保育士の働き方や待遇を考えるなら、「全国平均」ばかり気にするのはNG!地域ごとの特色をチェックして、自分に合った場所を探すことも大切です。「ベイエリア特集」では、生活の場としても魅力的な湾岸地域の保育士事情を掘り下げて紹介します。
都心ながら落ち着いた環境が魅力の東京湾岸エリア
東京湾岸エリアってどんなところ?
洗練された都心の美しさと利便性、そして水辺の解放感!
一口に東京都と言っても、エリアによってカラーはさまざま。「人込みがひどい」「雑然として汚い」「自然がないコンクリートのビル街」といったイメージを抱かれがちかもしれませんが、そればかりが東京ではありませんし、特に湾岸エリアは清新な魅力を放っています。
「東京湾岸エリア」という言葉に明確な定義があるわけではありませんが、都心に近く東京湾に面した地域を指すことが多いようです。例えば、中央区の月島や勝どき、港区の台場や芝浦、江東区の豊洲や東雲、有明などが代表的な地名として知られます。2020年に開催される東京オリンピックに向けて数多くの競技会場や選手村が設置される見込みで、これからますます注目のエリアだといえるでしょう。
東京湾岸エリアには大規模なタワーマンションが連なり、現在も盛んに開発が進行しています。それに伴って若い世代を中心に人口も増え続けており、都会らしい利便性やにぎわいに事欠きません。それでいて計画的な街づくりによる景観が美しく、雑多な印象を受けることはないでしょう。むしろ、水辺であることを生かした開放的な公園などが多く、過ごしやすい上に比較的治安の良いことが特徴です。
東京都の保育事情:基本データ
★待機児童数:5,414人
中央区 | 港区 | 江東区 |
---|---|---|
188人 | 89人 | 76人 |
※都内の保育サービスの状況について:区市町村別の状況(2018年4月1日時点)
★保育所等(保育所・こども園・小規模保育事業所)の数
総数 | (うち公営) | (うち私営) |
---|---|---|
2,281件 | 746件 | 1,535件 |
※平成28年社会福祉施設等調査(2016年10月1日調査時点)
★保育士の採用者・退職者数
採用者数 | 退職者数 | |
---|---|---|
常勤 | 5,976人 | 3,328人 |
非常勤 | 2,468人 | 1,474人 |
※平成28年社会福祉施設等調査(2015年10月1日~2016年9月30日実施)
東京都で行われている保育士政策
他の道府県を人口で圧倒する東京都では保育サービスの利用児童数も年々増え続け、2018年4月には29万3,767人となりました(前年より1万6,059人増)。それに伴って保育施設の需要も高止まり傾向で、ここ数年では毎年約200~250か所もの認可保育所が開設されています。
もちろん、東京都は保育士確保にも力を注いでおり、大胆な保育士の処遇改善策として記憶に新しいのが月額平均4万4,000円(保育士1人当たり)もの給与上乗せ制度。都独自の施策として2017年度からスタートし、近隣他県の保育士政策にも大きな影響を与えてきました。
東京都の施策は「新たな保育士有資格者を増やす」「潜在保育士等の復帰支援」「離職防止・職場定着」というように目配りの利いたメニューとなっていることも特徴です。2019年1月に東京ドームシティで開催された「保育のおしごと応援フェスタ 2019 in TOKYO」のように、芸能人も出演する華やかなイベントで保育士の就業を後押しすることもあります。
東京湾岸のオススメエリア(中央区・江東区・港区)を見てみよう!
このように、保育士の処遇改善には東京都全体として注力しているところですが、特に今回注目する湾岸エリア(中央区、港区、江東区)ではどのような取り組みがなされているのでしょうか。
※以下で紹介する処遇改善の内容は全体の一部です。詳細は各自治体までお問い合わせください。
◆どんな環境?
東京湾岸エリアには若い世代が引っ越してくることも多く、子どもや保育施設の数も増加傾向にあります。いわゆる高級マンションが多く、リッチでありながら穏やかな雰囲気が漂う地域です。都心のまさに中心部でありながら、たくさんの緑豊かな公園があり、歩道も広く整備されているため、その点では保育環境として恵まれているといえるでしょう。
◆どんな保育施設が多い?
地価が高いため、平屋で広い園庭を有する保育園は多くありません。他の地域と比べて目立つのが、いわゆるビルインタイプの保育園。規模も小さめで、19名以下の小規模保育所や、多くても60名程度を定員とする保育園が多く見受けられます。また、高い教育レベルを求める保護者が多いことから、「英語」「リトミック」「造形」「体操」など、各法人のカラーを生かした多様なカリキュラムを展開することが多いようです。自分の特技を生かしながら保育したいと考える人にもお勧めのエリアです。
◆保育士施策の内容は?
家賃の高いイメージが強い東京湾岸エリアですが、保育士向けの家賃補助制度を上手に活用すれば、希望するエリアで生活することも夢ではありません。そもそも、東京都の保育従事職員宿舎借り上げ支援事業では、1戸当たり8万2,000円/月の補助が基準とされています。従来は採用後5年目までの職員が対象でしたが、2016年の緊急対策により採用後6年目以降の職員まで対象が拡大されました(具体的な利用条件は区により異なります)。
各区の施策をみると、中央区は都の基準通り8万2,000円/月を上限としたベーシックな宿舎借り上げ支援事業を行っています。江東区は家賃など補助対象経費(入居期間の賃借料、共益費、礼金、更新料など)の8分の7または7万1,750円/月のうち、いずれか少ない額を上限にした補助を出しています。港区の宿舎借り上げ支援事業では、同区内に存在する宿舎については上限9万8,000円/月もの家賃補助を出していることは注目に値するでしょう(同区外の宿舎については上限7万1,750円/月)。