保育士は、乳児から小学校入学前の子どもを預かり、保護者にかわって生活全般のお世話をする大切な職業です。
保育士は、かつて「保母さん」と呼ばれており、基本的には女性がつく職業でした。現在もそうしたイメージが残っているものの、1985年に「男女雇用機会均等法」が制定されて以降は、男性のなかにも保育士として活躍する人が増えています。
今回は、男性保育士を取り上げ、給料水準や待遇、男性保育士として働くメリット、将来性などを紹介します。給料アップを実現させる方法についても解説するので、保育士として働いている方はもちろん、男性保育士を目指している方もぜひ参考にしてください。
男性保育士の給料水準
厚生労働省が発表したデータによると、男性保育士の平均年収は約404万円となっており、女性保育士(約391万円)よりもやや高い傾向にあります。
ただし、全職種の平均年収(約555万円)に比べると、男性保育士の平均年収は低めの水準です。全職種と比較して年収が低い理由としては、平均年齢が10歳以上低いことや勤務時間が短いことなどが挙げられるでしょう。
以下は、保育士の平均年収・平均年齢と、全職種の平均年収・平均年齢の一覧です。
<保育士の平均年収>
年収 | 年齢 | |
---|---|---|
男性 | 約404万円 | 31.7歳 |
女性 | 約391万円 | 39.2歳 |
男女合計 | 約391万円 | 38.8歳 |
※いずれも、1万円未満は四捨五入
<全職種の平均年収>
年収 | 年齢 | |
---|---|---|
男性 | 約555万円 | 44.5歳 |
女性 | 約394万円 | 43.4歳 |
男女合計 | 約497万円 | 43.7歳 |
※いずれも、1万円未満は四捨五入
(出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2022/index.html)
なお、このデータはあくまで平均値であり、給料水準は勤務先の規模や雇用形態、勤務エリアなどによって異なります。
男性保育士の割合
前述したように、男女雇用機会均等法によって、職場における男女の均等な機会・待遇の確保が図られてからは、少しずつ男性保育士の数が増加しています。
2002年は全国で1,000人未満だった男性保育士も、3年後の2005年には15倍以上の約15,600人となりました。こうした状況は、2003年に児童福祉法の改正があり、保育士が国家資格となったことも関係しているでしょう。
その後も男性保育士の数は増え続けており、2020年に厚生労働省が発表した「保育士登録者数等(男女別)」によると、保育士の登録者数は約1,666,000人で、そのうち男性保育士は約82,000人となっています。
数字だけを見ると全体の5%にすぎませんが、保育士の人材が不足している状況や、男性保育士を雇用することのメリット(体力面・防犯面のメリット)などを考えれば、男性保育士の必要性は今後さらに高まると考えてよいでしょう。
男性保育士の待遇・制度
男性保育士の待遇・制度は、基本的に女性保育士と変わりません。男性の割合が少ないからといって差が出ることはないため、その点を心配する必要はないでしょう。
積極的に男性を採用している保育園のなかには、男性の働きやすさや待遇の改善に取り組んでいるところも多く見られます。
男性保育士のメリット
男性保育士には、強みやメリットがたくさんあります。それらを生かすことで、職場で頼りにされる場面も増えるでしょう。
男性保育士の主な強み・メリットは、以下の6つとなります。
〇父親からの相談に対応できる
近年では、父親が子どもの送迎をすることも珍しくなく、保育士と関わる機会も増えています。その際、同性の視点から男性保護者をサポートできることは、男性保育士のメリットの1つでしょう。女性の保育士には相談しにくいようなことも、男性保育士になら安心して話せるかもしれません。
〇男児のトイレをサポートできる
お散歩や遠足などで外のトイレを使う際、女性保育士は男子トイレに入りにくいものです。しかし、男性保育士がいれば、そのようなときもスムーズに対応できるでしょう。また、男児のトイレサポートやトイレトレーニングは男性のほうが行いやすいため、非常に心強い存在となるはずです。
〇力仕事や防犯面で頼りになる
一般的に女性よりも力のある男性は、力仕事や防犯の面で頼りになる存在です。保護者の方も、お散歩の際などに男性保育士がいると安心感が増すでしょう。
〇運動や遊びで子どもからの人気が高まる
子どもと運動したり遊んだりする際は、体力が求められます。特に4歳・5歳の男の子は動きが活発なため、男性保育士がいることで遊びの幅が広がり、「思い切り遊べる相手」として人気が高まるでしょう。
〇子どもの父親的存在になれる
母子家庭の子どもや父親と過ごす時間が少ない子どもは、どうしても大人の男性と関わる時間が少なくなります。そうした子どもの場合、男性保育士との関わりが成長によい影響を与えるでしょう。
〇長く勤めることで、昇進・昇給を期待できる
女性保育士の場合、出産や子育てで保育の現場を離れるケースも少なくありません。一方、男性保育士は長期にわたって離職することが少ないため、継続して長く勤務できます。勤続年数に応じて昇進・昇給する職場も多いので、長く勤めることで給与アップが期待できるでしょう。
男性保育士の将来性
ここでは、男性保育士の将来性について考察していきます。
現在は、保育士の人材不足が社会的な課題となっており、どの地域でも有効求人倍率が高い傾向にあります。そのため、男性保育士は自身に合った職場を見つけやすい状況だと言えるでしょう。
加えて、男性保育士は結婚・出産などでキャリアが途切れることが少なく、長く勤めやすい傾向にあります。それを踏まえるなら、昇進や昇給が実現しやすい状態にあり、女性保育士に比べて将来性も高いと考えられます。
また、保育士の資格を保有していれば、他の働き方をすることも可能です。保育園以外の保育施設、福祉施設はもちろん、専門知識を生かして講演会やセミナーを行ったり、各種メディアで活躍したりすることもできるでしょう。
保育士は専門性の高い国家資格であり、「子どもの成長・発達の支援」という点で、私たちの生活になくてはならない職業です。そのなかでも、男性ならではの強み・メリットを持った男性保育士の存在は、さまざまな分野で重宝されるでしょう。
男性保育士が給料をアップさせるために
男性保育士が給料アップを目指すにあたっては、いくつかの方法があります。ここでは、具体的な給料アップの方法を4つ紹介しましょう。
男性保育士としての強みを生かして、キャリアアップとともに給料アップも実現させてください。
〇保育士以外の資格を取得する
幼児体育やスポーツインストラクターなど、運動系の資格があると保育活動において強みとなります。他には、通園バスを運転できる免許(マイクロバスであれば中型以上の免許)の取得もおすすめです。
〇夜勤のある保育園に勤める
延長保育や夜勤のある保育園は、勤務時間の不規則さや人員不足などの理由で、給料を高めに設定している場合があります。男性保育士の存在は、人材確保だけでなく防犯対策の面でもありがたい存在となるでしょう。
〇管理職を目指す
園長、主任保育士など、施設の経営管理を担う立場になれば役職手当がつきます。ただし、より大きな責任が求められるため、十分な覚悟が必要です。
〇公立保育園への就職・転職を目指す
公立保育園で働く保育士は公務員となります。公務員は経験年数に応じて昇給するため、安定した収入が期待できるでしょう。また、有給休暇や育児休暇、介護休暇など福利厚生が充実していたり、残業が少なかったりするのも公立保育園の特徴です。
ただし、公務員の扱いとなることから、職場の異動がある点に注意が必要です。
まとめ
ここまで、男性保育士の給料水準や待遇、男性保育士のメリット、将来性について解説してきました。
現状、男性保育士の数はけっして多くありませんが、ニーズは年々拡大しています。また、
「男児に寄り添った保育ができる」「男性保護者のサポート役になれる」「力仕事や防犯面で頼りになる」など、男性保育士ならではのメリットも多いため、園や保護者にとっては非常に心強い存在となるはずです。
加えて、女性保育士と男性保育士が一緒に働くことによって、より多角的な保育活動が可能になるでしょう。
男性保育士として活躍されている方、あるいは保育士を目指している方は、この記事を参考にして頼られる保育士を目指してください。
※当記事は2024年3月現在の情報をもとに作成しています