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保育士の就職先の一つとして、「児童養護施設」という選択肢があります。保育士資格を活かしたい人や、保育所以外での就職を考えている人はぜひ検討したい職場です。

一方で、児童養護施設がどのような場所なのか、よく分かっていない人も多いのではないでしょうか。

当記事では、児童養護施設の概要や、仕事内容・平均給料について説明します。児童養護施設で働くメリット・デメリット、向いている人の特徴についても詳しく解説しているため、児童養護施設での就職に興味がある人はぜひ参考にしてください。

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児童養護施設とは

児童養護施設とは、保護者がいない・虐待を受けている・家計が苦しいなどの理由から、家庭で生活できない子どもが生活する社会的養護施設です。子どもが安心して生活できる環境を整え、生活指導・学習指導・家庭環境の調整などを行います。

児童養護施設では、保育士の他に児童指導員・看護師・医師・家庭支援専門相談員などの職員が働いており、チームで連携を取りながら子どもの健やかな成長と自立を支援します。

また、児童養護施設を利用する子どもの年齢は基本的に1~18歳であり、条件により20歳まで利用することが可能です。なお児童福祉施設では、保育士が24時間体制で子どもを見守ります。

以上のことから、児童養護施設は一般的な保育園と比較すると、家保育の目的・養育する子どもの年齢・勤務時間が大きく異なることが特徴です。

児童養護施設を利用する子どもの特徴

児童養護施設への入所理由は、子どもにより異なります。

厚生労働省の「児童養護施設入所児童等調査の概要」によれば、主な入所理由の45.2%が「虐待行為」です。中でも虐待経験があると答えた子どもは65.6%に上り、入所者の約半数の子どもが虐待を経験しています。

その他にも、「母の精神疾患など」「破産などの経済的理由」などにより、入所する子どもが多い傾向です。中には、1歳未満の乳児が利用する乳児院に入所し、そのまま児童養護施設へ入所する子どももいます。

入所する子どもは過酷な状況を経験しているため、心理療法担当職員による心理療法などのメンタルケアを必要とするケースが少なくありません。また、何らかの障害を持つ子どもも増えており、専門的なサポートが求められています。

また保護者の状況として、93.3%の子どもが「両親または一人親あり」と答えています。
入所者の大多数の子どもに保護者がいるため、保護者が子どもを引き取る環境が整うまで児童養護施設で暮らしていることが分かります。

なお、子どもの在所期間は1年未満が多く、平均在所期間は5.2年です。在所期間が長くなるに伴い、利用する子どもの数は減る傾向にあります。

(出典:厚生労働省「児童養護施設入所児童等調査の概要(平成30年2月1日現在)」/ https://www.mhlw.go.jp/content/11923000/000595122.pdf

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児童養護施設で働く保育士の仕事内容

粘土遊び

児童養護施設では、保育士が子どもの保護者代わりとなるため、業務内容は保育より「子育て」に近い感覚です。保育士は子どもと信頼関係を築きながら、子どもが社会人として自立するために必要な知識・技術を身につける指導を行います。

以下は、児童福祉施設で行う仕事内容の詳細について、具体的に説明した表です。

仕事内容 具体的な内容・目的
基本的な養育・支援を行う 子どもを理解し、適切な自立支援を行います。
衣食住を整える ●衣
清潔で身体にふさわしい衣類を用意します。子どもが服を通して自己表現ができるようにします。

●食
子どもが楽しみながら食事できるように工夫を行います。食中毒などの衛生管理にも配慮し、食育に関する指導を行います。

●住
施設を清潔に保ち住みやすい環境を整えるとともに、子どもにも掃除や整理整頓の方法について伝えます。また、子どもの年齢に応じて、プライベートな空間を持てるように工夫します。
心身の健康と安全を守る 病気や事故について、子ども自身が自己管理できるように促します。医療機関と連携し、子どもの健康状態を把握することが大切です。
性教育を行う 年齢・発達段階に応じて、性教育を実施します。
自己領域を確保する 共有物ではなく、子ども個人の物を持たせます。また、子どもの成長をアルバムなどに記録し、振り返ることができるようにしましょう。
主体性・自律性を尊重する クラブ活動や趣味は子どもの意思を尊重します。また、退所後を考慮し、金銭管理の方法についても伝えます。
学習・進学・就職を支援する 学力に応じた学習支援を行います。進学・就労についても十分に話し合い、サポートします。
問題に対応する 暴力やパニックなどの問題行動に対処します。施設内でいじめ・差別が起こらないように努めましょう。また、保護者からの強引な引き取りにも適切に対応します。
心理的なケアを行う 子どもの多くは心に傷を負っています。カウンセリングや心理セラピーを行いながら、施設全体でサポートします。
退所後の支援・アフターケア 子どもが家庭復帰後も安定した生活を送れるように、積極的に支援を行います。

(出典:厚生労働省「児童養護施設運営ハンドブック」/ ​https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/syakaiteki_yougo/dl/yougo_book_2.pdf

児童福祉施設の仕事は、日常の生活支援から心理ケアまで多岐にわたります。子どもの些細な変化に気付き、状況に応じて適切に対応することが必要です。

また、退所後も子どもが自立して社会生活を送れるように、継続的な支援を行います。

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児童養護施設で働く保育士の平均給料

児童養護施設で働く保育士の平均給料は、月収約19万~25万円となっています。
なお月収は、マイナビ保育士に掲載している求人情報を基に算出した数値です。

施設によっては、「児童施設手当」などの手当がつく職場があります。また、児童養護施設は24時間体制で保育するため、深夜割増賃金だけでなく「夜勤手当」が加算される職場もあります。そのため職場・勤務時間によっては、30万円近い月収が見込めるでしょう。

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児童養護施設で働くメリット・デメリット

保育士と子供たち

一般的な保育園ではなく、児童養護施設で働くことによるメリット・デメリットについて紹介します。

●メリット

・親の立場で、子どもと深く関わることができる
・子どもと信頼関係を築くことで、大きなやりがいを感じることができる
・1~18歳まで、幅広い年代の子どもと接することができる
・子どもと長い時間を一緒に過ごすことができる
・行事やクラブ活動の試合など、あらゆるイベントをともに経験できる

児童養護施設は子どもたちが生活する場所であるため、学校ではなく「家」に近い役割を持っています。そのため児童養護施設で働く保育士は、子どもにとって「先生」ではなく、「お兄さん・お姉さん」「保護者」のような存在です。

また、子どもの趣味を一緒に楽しむ・宿題を見る・身支度を手伝うなどのコミュニケーションができることも、保育所では経験できない魅力です。子どもの日々の成長を間近で見られることは、保育士として大きな喜びとなるでしょう。

●デメリット

・夜勤や土日出勤がある
・保育に限らず日常生活の指導まで行うため、業務内容が多岐にわたる
・子どもの心理ケアが難しい場合がある
・児童相談員、外部の医療機関や専門家など、あらゆる職種との協力が必要になる
・子どもの人生に関わるため、責任が大きい

児童養護施設では24時間体制で子どもたちを見守るため、夜勤や土日出勤も発生します。また、子育てに近い指導が求められることから、精神面で負担を感じることもあるでしょう。子どもが心を開いてくれるまで時間がかかる場合もあり、根気と忍耐力が必要とされます。

しかし児童養護施設の保育士は、一般的な保育所で働く以上に子どもの心の支えとなることができ、社会的意義が高い職業の一つと言えます。子どもが失った自信や自己肯定感を取り戻し、明るい人生へ導いていくために欠かせない存在です。

さらに、退所後も施設と連絡を取り合う子どもが多く、子どもにとって児童養護施設は思春期を過ごすかけがえのない場所となっています。

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児童養護施設で働くことが向いている人の特徴

児童養護施設で働くことが向いている人の特徴について紹介します。

・保護者や親の代わりとして、子どもを支えたい人
・子育てに近い感覚で、子どもの面倒を見られる人
・子どもの人生に影響を与える責任感がある人
・子どもの成長を実感したい人

児童養護施設が保育所と大きく異なる点は、子どもたちが24時間生活する場所であるという点です。

そのため、子どもと親密なコミュニケーションを取りたい人・親目線で子どもと関わりたい人・子どもの人生と真剣に向き合いたい人にとって、児童養護施設は最適な職場です。

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まとめ

児童養護施設は、家庭での養育が困難な1~18歳までの子どもたちが生活する場所です。業務内容は、基本的な養育・衣食住の提供・心身の健康面におけるサポート・退所後の支援など多岐にわたります。

児童養護施設で働く保育士の月収は、約19万~25万円です。施設により、夜勤・施設手当などが加算されます。また児童養護施設では、子どもと家族のような関係を築きます。そのため、親の立場で子どもと接したい人に向いている職場です。

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