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放課後等デイサービスは、障害のある児童・生徒を対象とする福祉サービスのことです。そのため、「障害児のための学童保育」と呼ばれています。一方で、保育士や一般的な学童保育の仕事内容といくつか異なる点もあり、勤務先によって仕事内容が大きく変わることも放課後等デイサービスの特徴です。

この記事では放課後等デイサービスにおける、保育士の主な仕事内容や平均年収、放課後等デイサービスで働くメリットについて解説します。

放課後等デイサービスとは?

放課後等デイサービスは、障害のある6〜18歳の就学児が、放課後や長期休暇中に利用する福祉サービスです。

障害に対する理解やサポート体制が整っているという特徴を活かし、障害のある子どもが学校外で集団生活をする機会を設けたり、居場所をつくる活動を行ったりします。同時に、活動を通して障害のある子どもと、その家族を支える役割も果たします。

障害の種類にかかわらず利用ができ、長期的に一貫した支援・サービスが受けられることも放課後等デイサービスの特徴です。

放課後等デイサービスの人員基準

放課後等デイサービスの人員基準は、下記の通りです。

■放課後等デイサービス人員基準

職種 人数など
管理者 事業所の管理業務に従事する
支障がない場合は他の職務との兼務可)
児童発達支援管理責任者 1人以上
(1人以上は専任かつ常勤)
保育士・児童指導員・障害福祉サービス経験者 ・1人以上は常勤を配置する
・半数以上は保育士または児童指導員
・合計数が下記の区分に応じて、それぞれに定める数以上
1.障害児の数が10人まで...2人以上
2.障害児の数が10人を超える...2人に、障害児の数が10を超えて5、またはその端数を増すごとに1を加算して得た数以上
機能訓練担当職員 機能訓練を行う場合に置く
(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など)

(出典:厚生労働省「放課後等デイサービスに係る報酬・基準について≪論点等≫」/ https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000678627.pdf

管理者を除く職員の半数以上が、保育士もしくは児童指導員任用資格者でなければならないため、保育士の需要は高いと言えるでしょう。

放課後等デイサービスが持つ役割

厚生労働省の「放課後等デイサービスガイドライン」では、放課後等デイサービスの基本的な役割は、下記の3つとされています。

・子どもの最善の利益の保障
支援の必要な障害のある子どもに対し、学校や家庭とは異なる時間・人とのかかわり・体験などを通じた発達支援を行うことにより、子どもの利益と健全な育成を図ります。

・共生社会の実現に向けた後方支援
障害ある子どもの地域社会への参加を進めるためには、他の子どもたちも含めた集団の中での育ちを、できるだけ保障しなければなりません。そのため、必要に応じて放課後児童クラブと連携をとりながら、事業運営を行います。

・保護者支援
保護者に対し、子育ての相談を受けたり、ペアレント・トレーニングなどで家庭での養育を支援したりすることで、保護者が子どもに向き合うゆとりと自信の回復を図ります。

(出典:厚生労働省「放課後等デイサービスガイドライン」/ https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000082829.pdf

保育士が放課後等デイサービスで働くときの仕事内容

放課後等デイサービスで働く保育士の代表的な仕事内容は、下記の通りです。

・個別支援計画に基づいた支援
放課後等デイサービスで行う支援や介護・療育は、子ども一人ひとりの障害の種類や程度に合わせて作成された個別支援計画に基づいて実施されます。

保育士は、個別支援計画に沿って、自立した生活ができるようにする訓練や、集団生活への適応訓練、学習指導などを行います。事業所によっては、施設内にとどまらず、地域の行事に参加したり社会科見学を実施したりするなど、施設外での支援をすることもあるでしょう。

・送迎業務
学校や自宅までの送り迎えも、保育士の業務内容となる場合があるでしょう。平日は、下校時に学校から施設まで迎えにいき、施設から自宅へ送ります。休日は、自宅と施設間の送迎を行います。

・保護者とのコミュニケーションや面談
保護者支援は、放課後等デイサービスの大切な役割の1つです。そのため、保育士は保護者の相談に乗ったり、面接対応を実施したりします。

放課後等デイサービスで働く保育士のスケジュール例

放課後等デイサービスで働く保育士のスケジュールの例は、下記の通りです。

■1日のスケジュール例(平日)

時間 内容
14:00 お迎え・来所受け入れ
健康状態の確認
持ち物整理の補助
14:30 学校の宿題
集団遊びや運動
15:30 おやつ
16:00 個別支援
17:30 帰宅準備
帰りの会
自宅までの送り

上記スケジュールはあくまでも一例で、実際のスケジュールは事業所ごとに異なります。就職活動の際は、保育士を募集している事業所のホームページや、求人サイトなどから確認してみましょう。

保育士が放課後等デイサービスで働くメリット・デメリット

保育士が、放課後等デイサービスで働くメリット・デメリットは、下記の通りです。

■放課後等デイサービスで働くメリット

  • 幅広い年齢の子ども一人ひとりとじっくり向き合える
  • 保育以外のスキル・経験も習得できる
  • 福祉系資格の知識を多方面で活かすことができる
  • やりがいを感じられる
  • 今後の転職の際も有利となる

放課後等デイサービスは、一般的な保育園のように子どもの学びや遊びのサポートをするだけではありません。日々、作業療法士や機能訓練担当職員など他業種スタッフと連携をとりながら、利用者の生活をサポートし、かつ指導もする必要があります。福祉系のスキルも自ずと身につくため、幅広い経験ができて、今後の転職にも有利となる点は大きなメリットと言えるでしょう。

■放課後等デイサービスで働くデメリット

  • 保育士資格の知識だけでは不十分な場合がある
  • 他スタッフとの連携が必要となる

放課後等デイサービスは、保育士のほか福祉的な知識を持って働かなければなりません。他業種のスタッフとの連携はもちろん、一人ひとりの異なる個性を持つ子どもたちに柔軟に接する必要があり、業務の難易度がやや高いと言えます。その反面、やりがいは大きく感じられるでしょう。

放課後等デイサービスで働く保育士の給料相場

貯金箱

下記の表は、保育士の平均収入と放課後等デイサービスで活躍する保育士の平均収入を比べたものです。なお保育士の平均収入は厚生労働省の統計を、放課後等デイサービスの収入はマイナビ保育士のデータをもとに算出しています。

給料相場
放課後デイサービスで働く保育士の給料相場(全国:※1) 約350万~380万円
保育士の平均給料(全国・全職種:※2) 約374万円

(※1 出典:マイナビ保育士/ https://hoiku.mynavi.jp/
(※2 出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

放課後等デイサービスで働く保育士の給料相場は、全国・全職種の保育士とさほど大きく変わらない額となっています。児童発達支援管理責任者または管理者などの募集の場合は400万円以上の年収を得られることもあり、保育士資格のほかにも現場で役立つ資格や専門スキルがあれば非常に稼ぎやすくなると言えるでしょう。

報酬体系は見直しされている

令和3年度の報酬改定により、放課後等デイサービスの報酬体系は大きく見直しされています。特に注目したい点は、下記の2点です。

・基本報酬の見直し
基本報酬の一律の単価設定が廃止され、子どもの障害などに応じて、きめ細かな加算項目が算定されるようになりました。そのため、重度の障害児や、行動上の課題のある児童を受け入れる際、改定前よりも加算の増加が期待できます。

・従業者要件の見直し
従業者要件のうち、現行の「障害福祉サービス経験者」が廃止され、保育士・児童指導員のみの配置になりました。そのため、放課後等デイサービスにおける保育士の需要は、さらに増えると予想されます。

(出典:厚生労働省「放課後等デイサービスに係る報酬・基準について≪論点等≫」/ https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000678627.pdf

【放課後等デイサービス】地域別の求人数と給料相場

自分の希望や理想に適した職場を見つけるためには、勤務地域による施設の傾向や給料相場をチェックすることが大切です。ここからは、全国別に放課後等デイサービスの求人数と平均年収を解説します。

(1)北海道・東北
北海道・東北地方の放課後等デイサービス求人は、全保育士求人の中でもごく一部のみとなっています。オープンして間もない施設も多く、このような施設の場合は人手不足の傾向にあるため給与面の条件が良い傾向です。経験者や保育士以外の資格保有者であれば、より高い年収を目指せます。

■北海道・東北地方の求人数・給料相場

求人数 給料相場(年収)
放課後等デイサービスで働く保育士(※1) 10件 約270万~300万円
全職種の保育士(※2) 805件 約301万~382万円

(※1 出典:マイナビ保育士/ https://hoiku.mynavi.jp/
(※2 出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

(2)関東

関東地方の放課後等デイサービス求人は、全職種の保育士求人の給料相場と大きく変わりません。施設によっては全職種の保育士求人以上に高い給与が設定されているケースもあり、持っているスキルや経験に応じて適切な給料を得られるでしょう。東京都周辺は特に求人数が多く、設定給与も高い傾向です。

■関東地方の求人数・給料相場

求人数 給料相場(年収)
放課後等デイサービスで働く保育士(※1) 214件 約320万~400万円
全職種の保育士(※2) 11,436件 約325万~435万円

(※1 出典:マイナビ保育士/ https://hoiku.mynavi.jp/
(※2 出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

(3)信越・北陸

信越・北陸地方の放課後等デイサービス求人も、全職種の保育士求人と大差ない給与が設定されている傾向です。保育士以外の資格保有者であれば、平均を超えることもあります。研修制度や福利厚生の整った施設からの求人も多くあり、働きやすさにも優れています。

■信越・北陸地方の求人数・給料相場

求人数 給料相場(年収)
放課後等デイサービスで働く保育士(※1) 36件 約310万~350万円
全職種の保育士(※2) 337件 約323万~367万円

(※1 出典:マイナビ保育士/ https://hoiku.mynavi.jp/
(※2 出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

(4)東海

東海地方の放課後等デイサービス求人は、設定年収の幅が広い傾向にあります。児童指導員任用資格も取得している保育士であれば、キャリアアップがよりしやすく、施設によっては年収約500万円を目指せます。有資格者の場合は資格手当の出る求人も多くあります。

■東海地方の求人数・給料相場

求人数 給料相場(年収)
放課後等デイサービスで働く保育士(※1) 209件 約310万~380万円
全職種の保育士(※2) 2,119件 約355万~404万円

(※1 出典:マイナビ保育士/ https://hoiku.mynavi.jp/
(※2 出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

(5)関西

関西地方の放課後等デイサービス求人では、全職種の保育士求人の平均よりも高い給料が設定されている施設が多くありました。特に大阪エリアでは多くの施設があることから、人手不足を防ぐため福利厚生が充実しているところも多く、働きやすさに優れています。

■関西地方の求人数・給料相場

求人数 給料相場(年収)
放課後等デイサービスで働く保育士(※1) 293件 約330万~390万円
全職種の保育士(※2) 3,785件 約321万~400万円

(※1 出典:マイナビ保育士/ https://hoiku.mynavi.jp/
(※2 出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

(6)中国・四国

中国・四国地方の放課後等デイサービス求人は、他都道府県と比較して給料相場が低い傾向にあります。しかし、マイカー通勤が可能な施設が多かったり、資格取得サポートも行っている施設があったりするなど、働きやすさは非常に優れていると言えるでしょう。

■中国・四国地方の求人数・給料相場

求人数 給料相場(年収)
放課後等デイサービスで働く保育士(※1) 51件 約280万~320万円
全職種の保育士(※2) 651件 約320万~369万円

(※1 出典:マイナビ保育士/ https://hoiku.mynavi.jp/
(※2 出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

(7)九州・沖縄

九州・沖縄地方の放課後等デイサービス求人の給料は、全職種の保育士求人における平均給与と遜色ないことがわかります。保有資格によっては年収約400万円以上を目指せる施設もあり、多くの求人が集中している福岡県では福利厚生の整った施設も多い傾向です。

■九州・沖縄地方の求人数・給料相場

求人数 給料相場(年収)
放課後等デイサービスで働く保育士(※1) 82件 約300万~350万円
全職種の保育士(※2) 920件 約328万~380万円

(※1 出典:マイナビ保育士/ https://hoiku.mynavi.jp/
(※2 出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

放課後等デイサービスで働く場合に取得しておきたい資格3選

放課後等デイサービスは、子どもの学び・遊びをサポートできる保育士も欠かせません。しかし、単純な保育士としての資格・知識しか持っていなければ、就職・転職はできても着実なキャリアアップや高年収は期待できないでしょう。

放課後等デイサービスで保育士が働くなら取得しておきたい資格は、下記の3つです。

  • 児童発達支援管理責任者
  • 介護福祉士
  • 介護職員初任者研修

これらの資格は就職・転職において必須ではないものの、あれば確実に有利となります。保育面でのスキルだけでなく介護・支援面や支援管理のできる知識も持っていることで、よりマルチに活躍することができるでしょう。

放課後等デイサービスで働く保育士に求められる要素

放課後等デイサービスで働く保育士に求められる要素は、下記の通りです。

・コミュニケーション力
放課後等デイサービスで働く保育士には、積極的にコミュニケーションをとる能力が求められます。保育士は、子ども・保護者・職場スタッフ・関係機関に対してコミュニケーションをとる必要があり、それぞれ意識するポイントを変える必要があります。相手の立場や気持ちに寄り添った対応を心掛けましょう。

・知識・スキル
放課後等デイサービスに通う子どもは、一人ひとり障害の程度・発達段階・特性が大きく異なります。そのため、子どもに合った支援を行うためには、発達支援の知識・スキルが欠かせません。向上心を持って、積極的に知識やスキルを磨いていきましょう。

・関係機関や保護者と連携する力
子どもや保護者に合った支援を行うためには、学校や学童保育などの関係機関・保護者との連携が欠かせません。それぞれの意思を確認し、情報を共有しつつ、業務を進めていく必要があります。

放課後等デイサービスが働く場所としておすすめの理由

令和元年度における放課後等デイサービスの費用額は、約3,287億円です。障害福祉サービス全体の12.0%・障害児支援全体の68.4%を占めます。また、平成24年度から令和元年度の費用額の伸びは、児童発達支援の3.1倍に対して6.9倍となっています。

さらに、放課後等デイサービスの利用児童数・事業所数も大幅な増加を続けており、平成24年度から令和元年度の伸びはともに4倍以上です。そのため、放課後等デイサービスで働くスタッフの需要は高まっており、専門職である保育士の求人も増加していくことが予想されます。

また、福祉業界は将来的にニーズの増大が期待できる分野です。したがって、児童福祉施設である放課後等デイサービスは、安定した就業環境で働き続けられる職場と言えるでしょう。

(出典:厚生労働省「放課後等デイサービスに係る報酬・基準について≪論点等≫」/ https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000678627.pdf

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まとめ

放課後等デイサービスは、支援が必要な子どもを対象に、生活能力向上のための訓練・指導・支援を行う施設です。保育士の知識だけではなく幅広い知識やスキルを習得したい保育士の方に向いていると言えます。

ここまでの内容を参考に、放課後等デイサービスで働きたいという方は、全国の保育士求人を掲載する求人サイト「マイナビ保育士」をご利用ください。保育士業界に詳しいキャリアアドバイザーが、仕事探しから内定まで充実したサポートを提供いたします。

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