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保育士の方の中には、保育園が用意する寮や社宅に住みながら働きたいと考えている方も多いでしょう。待機児童の問題もあり、保育施設や認定こども園のニーズは今もなお高く、国は保育士の確保や定着、離職防止を狙いとして、保育士宿舎借り上げ支援事業といったような施策も展開しています。

この記事では、寮・社宅付きの保育園を探している方に向けて、求人の傾向や、保育士宿舎借り上げ支援事業に関する概要を紹介しますので、ぜひご覧ください。

寮・社宅付きの保育園はある?

寮・社宅を提供する保育園は多く、特に東京都・大阪府をはじめとした主要都市、もしくは首都圏の保育園に見られる傾向です。理由としては「地方から上京した方向けに用意している」「家賃負担を減らして、長く働いてもらえるようにするため」といったものが挙げられます。一方で、事業所にとっては当然経営にも影響を与える施策のため、「社宅を利用できるのは、通勤に〇分以上かかる方が対象」といった要件が設定されている場合もあります。

保育園の事業所が用意する寮や社宅は、トイレやお風呂が共用の学生寮のようなアパート・マンションもあれば、自分自身でアパート・マンションを選べて、一定の家賃補助を受けられるパターンもあります。また、後ほど紹介する「保育士宿舎借り上げ支援事業」を事業所が利用して、アパートなどを借り上げ、貸し出すケースも見られます。

寮・社宅付き保育園はどれくらいある?

寮や借り上げ社宅制度を導入している保育園は、実際どのくらいあるのでしょうか。2025年9月時点で、マイナビ保育士に掲載されている「寮・社宅付き」の求人は3,785件確認されています。東京都や神奈川県、大阪府、愛知県など都市部を中心に幅広い地域で募集があり、住宅補助の条件や金額は園によって異なります。マイナビ保育士には登録者限定の「非公開求人」もあるため、実際の件数はこれ以上に多いと考えられます。一例として、借り上げ社宅制度については以下のような情景を提示している求人が見られます。

    ・借り上げ社宅制度:家賃1万円、敷金礼金なし
    ・自治体の住宅補助制度利用可能(上限8万2,000円 ※自治体ごとに規定あり)
    ・社宅制度(月額1万円にて入居可能/支度金として10万円支給/敷金・礼金・更新料は会社負担)

マイナビ保育士では、寮・社宅などの住宅手当や、家賃補助を提供している事業所の紹介も可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

借り上げ社宅制度・寮付きの施設に転職するなら「マイナビ保育士」

寮・社宅付きの保育園に勤めるメリット・デメリット

寮や社宅付きの保育園に勤めると、家賃負担を軽減できる一方で、住環境や自由度に制約が生じる場合もあります。ここでは、それぞれのメリットとデメリットについて解説します。

寮・社宅付きの保育園に勤めるメリット

寮や社宅付きの保育園で働くことには、生活面や働き方に直結するさまざまな利点があります。特に家賃や引っ越し費用といった経済的な負担を減らせることや、日々の勤務をスムーズにする環境面のサポートは、保育士の方にとって大きな魅力です。以下では主なメリットを解説します。

    ■住居費の負担を減らせる
    保育園が用意する寮や社宅は、無料または相場より大幅に安い家賃で提供されることが多く、月1万円前後で住めるケースもあります。住宅費は生活費の中でも大きな割合を占めるため、この負担が軽くなることで家計に余裕が生まれ、長く働き続けやすくなる点が魅力です。

    ■通勤に時間がかからない
    寮や社宅は園の近隣に設けられることが多く、通勤時間を短縮できます。早朝保育や延長保育など勤務時間が不規則になりやすい保育士の方にとって、移動時間が短いことは体力面の負担軽減につながります。出勤前に余裕を持って準備でき、勤務後もすぐに帰宅できる安心感があります。

    ■家具・家電備え付けの場所もある
    一部の寮にはベッドや冷蔵庫、洗濯機などの家具・家電が備え付けられていることもあります。新生活を始める際に大きな出費となる家具・家電を購入する必要がなく、引っ越しの初期費用を抑えられるのが大きなメリットです。特に遠方から転職する場合には、経済的負担を最小限にしてスムーズに新生活を始められます。

寮・社宅付きの保育園に勤めるデメリット

寮や社宅は生活費を抑える上で有効ですが、一方で生活の自由度が下がるなどのデメリットも存在します。以下に代表的な注意点をまとめます。

    ■ルールが厳しい寮・社宅もある
    寮によってはお風呂やトイレが共用となっている場合があり、生活空間を他の人と分け合う必要があります。さらに、ゴミ出しや清掃が当番制になっていたり、食事や洗濯の時間が決められていたりするケースも少なくありません。家具や家電が備え付けられている一方で、自分好みにレイアウトを変えられない場合もあります。そのため「自分のペースで生活したい」と考える人には不便に感じられるでしょう。

    ■仕事とプライベートが区別しにくい
    職場の近くに住むことで通勤は楽になりますが、同僚と同じ建物で生活することに抵抗を感じる人もいます。勤務後も同じ空間で顔を合わせるため、人によってはオン・オフの切り替えが難しいと感じることもあるでしょう。また、退職時には寮を退去しなければならないため、転職と同時に住居探しが必要になる点も大きな負担となります。

寮・社宅がついた保育園の探し方

寮や社宅付きの保育園を探すなら、保育士専門の転職エージェントを活用するのが効率的です。たとえばマイナビ保育士では、「寮付き」「借り上げ社宅制度あり」といった条件を設定して求人を検索できます。 また、求人票には掲載されていない非公開求人や施設の内部情報(離職率・口コミなど)も紹介しているため、自分に合った職場を見つけやすくなります。地方からの上京を考えている方や住宅費を抑えて働きたい方にとって、特におすすめの方法です。

【2025年】保育士のための「保育事業者宿舎借り上げ支援事業」とは?

保育事業者宿舎借り上げ支援事業とは、保育所や認定こども園などを運営する事業者が保育士の方用に宿舎を借り上げた際、その経費の一部を国と自治体が補助する仕組みです。これにより、保育士の方の家賃負担を軽減し、人材確保や離職防止を図ることを目的としています。2025年からは補助基準額が月8万2,000円から7万5,000円へと引き下げられました。対象となる保育士や基本的な補助の仕組みは従来と同じですが、上限額の見直しにより、これまでよりも自己負担が増える可能性があります。

(出典:こども家庭庁「令和7年度 保育関係予算案の概要」

以下では、補助対象者の範囲・利用方法・メリット・デメリットを解説します。

補助対象者の範囲は?

保育事業者宿舎借り上げ支援事業は、常勤保育士の居住支援を目的に運営されていますが、2025年度(令和7年度)から対象範囲に見直しが入りました。従来は採用から6年以内の保育士が対象でしたが、現在は5年以内に短縮されており、利用できる期間が限定的になっています。また、新たに「1人1回限りの利用」というルールが導入され、転職や再就職の際に複数回活用することはできなくなりました(一部、やむを得ない離職の場合を除く)。自治体によってはすでにこのルールを適用し始めているところもあります。

(出典:こども家庭庁「令和7年度 保育関係予算案の概要」

保育事業者宿舎借り上げ支援事業の利用方法

保育士宿舎借り上げ支援事業を申請するのは事業所(職場)です。そのため、「保育士宿舎借り上げ支援事業を利用したい」場合は、まずは勤務先に相談しましょう。

事業所が保育士宿舎借り上げ支援事業を利用している場合は、事業所が用意した資料に必要事項を記載して、総務部・人事部などの担当者の方に書類を提出するのが一般的です(事業所によっては書類の記載が必要ない場合もあります)。

雇用証明書

(引用:大阪市「大阪市保育士宿舎借り上げ支援事業補助金交付申請書」

たとえば、事業所が自治体に申請書を出す際に、上記のような「雇用証明書」が必要となる場合もあります。そのため、職場の担当者の方が保育士の方に必要情報を確認すべく、社内向けに別途書類の記載を依頼するケースがあるかもしれない、といった意味合いです。

保育事業者宿舎借り上げ支援事業を利用するメリット・デメリット

保育士宿舎借り上げ支援事業を利用している事業者の場合、すでに事業者が宿舎を借り上げているケースが多いです。その場合は、物件を探したり、不動産屋さんに行って内見したり契約したりするといった手間がなくなるので、保育士の方にとってはありがたいでしょう。

また、事業者が保育士宿舎借り上げ支援事業を利用している場合、事業者は自治体から補助を受けています。そのため、同事業を利用していない事業所よりも、保育士の方の家賃負担が軽減されるケースが多いと言えるでしょう。デメリットは、国の支援制度なので今後の動向は分からない(廃止や縮小される可能性もある)点に注意が必要です。 また、自治体によっては独自に補助を上乗せしている場合もあるので、「こっちの市の保育園にしておけば、制度が充実していた」といった後悔をしないよう、納得できる職場選びをしましょう。

また、保育士宿舎借り上げ支援事業を利用している保育園だからといって、家賃負担が0円になるとは限らないので、その点も念頭に置いておきましょう。

借り上げ社宅制度を利用するときによくある疑問

借り上げ社宅制度を利用する際には、課税対象や利用条件、家族同居の可否など、気になる点が多くあります。制度は自治体ごとに異なるため、最終的には必ず自治体へ確認することが大切です。ここでは、よくある疑問とその回答をまとめて紹介します。

家族や同棲相手と同居はできる?

借り上げ社宅制度では、家族や同棲相手との同居は基本的に可能です。ただし、扶養家族でない場合は賃借料を同居者と案分し、保育士の方に該当する分のみが補助対象となるケースが一般的です。一方で、同居者が扶養家族にあたる場合には按分されず、全額が補助対象として認められることもあります。

    5 補助対象保育士に同居者がいる場合にあたっては、賃借料等の額をその同居者と補助対象保育士の人数で按分したうち補助対象保育士に該当する額を補助対象経費とする。ただし、同居者が主として補助対象保育士又はその家族等により生計を維持されている場合(健康保険の被保険者である場合等)を除く。

(引用:大阪市「大阪市保育士宿舎借り上げ支援事業補助金交付要綱」引用日2025/09/29)

産休や育休中でも補助を受けられる?

借り上げ社宅制度は、産休や育休中であっても雇用契約が継続していれば利用できる場合が多いです。園との雇用関係が切れていない限り、家賃補助の対象として扱われるのが一般的です。

ただし、補助の可否は自治体や園の規定により異なるため、休業に入る前に必ず勤務先へ確認しておくことが大切です。安心して休業を過ごすためにも、事前の確認を怠らないようにしましょう。

転職しても使える?

借り上げ社宅制度は、勤務している園との雇用契約が利用条件となるため、退職や転職をすると原則として退去が必要です。まれに個人契約へ切り替えて住み続けられる場合もありますが、その際は家賃を全額自己負担しなければならず、経済的な負担が大幅に増える点に注意しましょう。

また、2025年度から導入が進んでいる「1人1回ルール」により、転職後は再度制度を利用できなくなる可能性もあります。利用を検討する際は、転職時のリスクも含めて把握しておくことが重要です。

まとめ

保育士として寮や社宅を利用したい場合は、まずは保育士の転職サイトや、転職エージェントに確認して、自分に合った求人を紹介してもらうことがおすすめです。首都圏を中心として、住宅手当のサポートや家賃補助を行っている事業所は多くあるので、手当の条件などを比較検討してみるとよいでしょう。

また、マイナビ保育士では、住宅手当や家賃補助をはじめ、高給与の求人や退職金ありの求人など、金銭面を重視している方向けの求人も多くご紹介できますので、ぜひお気軽にご相談ください。

※当記事は2025年9月時点の情報をもとに作成しています