保育士と幼稚園教諭はどちらも子どもを預かる仕事ではあるものの、仕事内容や保育目的、必要な資格などに違いがあります。保育士と幼稚園教諭の違いを知ることで、現場で働くイメージを具体的に思い描けたり、就職・転職活動で仕事内容や給料を確認する際に役立ったりするでしょう。
当記事では、保育士と幼稚園教諭の仕事内容や、保育目的・必要資格・給料・対象年齢などの違いを詳しく紹介します。保育士と幼稚園教諭の違いを知りたい方は、ぜひご覧ください。
目次
保育士・幼稚園教諭とは?仕事内容の違いを解説
保育士と幼稚園教諭は、いずれも子どもたちの成長を支える役割を担う、重要な仕事です。2つの職種は似ている部分も多くあるものの、仕事内容にはいくつかの違いがあります。自分自身に合ったキャリアを積むためにも、職種による違いを知っておきましょう。
ここでは、保育士と幼稚園教諭の仕事内容の違いを解説します。
保育士の仕事内容
保育士の方の仕事は、乳児から小学校入学前の子どもを預かり、保護者の方に代わって子どもの成長を支えることです。生活全般のお世話から食事・睡眠・衣類の着脱など、年齢に応じた基本的な生活習慣を教えます。
ただし、保育士の方の仕事は単に子どもの身の回りのお世話をするだけではありません。子どもとの総合的な関わりの中で心身の発達を促して社会性を養うとともに、保育所保育指針に基づいて豊かな人間性を育む手助けをするのも仕事です。また、夜間や休日保育など多様なニーズに応える働き方も増えており、地域の子育て支援にも積極的に取り組む方も多くいます。
幼稚園教諭の仕事内容
幼稚園教諭の方は、満3歳から小学校入学前の子どもたちに、公立または私立の幼稚園で教育を行う専門職です。一日の中で子どもたちと過ごす時間は4時間程度が基本となり、クラス担任として遊びや学習を通して子どもの個性を引き出し、生活習慣を身につけさせます。
「幼稚園教員」や「幼稚園の先生」などとも呼ばれます。
子どもが降園した後も、教育カリキュラムの作成や各種活動の準備、保護者対応など、幼稚園教諭の方が担う業務はさまざまです。幼稚園によっては、日本語の書き方や数字の扱い方以外にも、英語学習や楽器演奏、工作などさまざまな才能を伸ばす指導を担当することもあります。
【種類別】保育士と幼稚園教諭の違いを詳しく紹介!
保育士と幼稚園教諭の違いは、仕事の内容だけではありません。2つの職種には、子どもの保育目的や必要な資格、対象年齢などにも大きな差があります。
ここでは、保育士と幼稚園教諭の違いを種類別に紹介します。
保育目的の違い
保育士と幼稚園教諭、この2つの職種は目的に大きな違いがあります。
保育士の主な目的は、保護者の方に代わり子どもを保育し、基本的な生活習慣を身につけさせることです。食事や着替えなどの日常生活の補助が主な仕事となり、福祉関係の仕事に位置づけられています。
一方、幼稚園教諭の主な目的は、小学校就学に備えて年齢に応じた教育や指導を行うことです。気品的な知識や運動、芸術を介した情操教育が主体で、文部科学省が定める「幼稚園教育要領」に基づいたカリキュラムで保育を実施します。
言い換えると、保育士は「保護者の方の代わり」であり、幼稚園教諭は「先生」として、それぞれ子どもとの関わり方が異なります。
必要な資格の違い
保育士と幼稚園教諭の資格・資格取得要件などの主な違いは、下記表の通りです。
幼稚園教諭 |
単位数 | 保育士 |
|||
一種 | 二種 | 保育士 | |||
資格 | 幼稚園教諭普通免許状 | 保育士登録証への登録 | |||
根拠法令 | 教育職員免許法 | 児童福祉法 | |||
資格取得要件 | 基礎資格を有し、大学等で教育職員免許法に定める単位を取得・一種免許状学士(大学卒程度)・二種免許状準学士(短大卒程度) | 1指定保育士養成施設の卒業または2保育士資格試験合格 | |||
養成課程における履修科目 | ○教科に関する科目・国語、算数、生活、音楽、図画工作、及び体育のうち1以上 | 6 | 4 | 8 | ○教養科目・外国語、体育、社会学、文学、哲学等の基礎教養科目 |
○教職に関する科目・教職の意義等に関する科目・教育の基礎理論に関する科目・教育課程及び指導法に関する科目・生徒指導、教育相談及び進路指導に関する科目・総合演習・教育実習 | 35 | 27 | 60 | ○専門科目 ・児童福祉 ・社会福祉 ・小児保健 ・小児栄養 ・乳児保育 ・養護内容 等 | |
○教科又は教職に関する科目 | 10 | ||||
○その他科目・日本国憲法、体育、外国語コミュニケーション、情報機器の操作 ※大学の場合は上記を含め124単位以上。短大の場合は62単位以上の修得が必要 |
8 | 8 | |||
試験はなし | 保育士資格試験による取得が可能(受験資格規定有り)○試験科目(8科目)・社会福祉 ・児童福祉・発達心理学及び精神保健・小児保健 ・小児栄養・保育原理・教育原理及び養護原理・保育実習 |
(引用:文部科学省「幼稚園教諭と保育士の比較」/ https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/008/siryo/04030501/003/001.htm 引用日2023/07/14)
保育士と幼稚園教諭はいずれも国家資格ですが、それぞれ管轄と資格取得方法が異なります。保育士の資格は厚生労働省の管轄で児童福祉法を根拠法令としており、保育士養成施設の卒業や保育士資格試験合格が必要です。一方、幼稚園教諭の資格は文部科学省の管轄であり、教育職員免許法に基づき、大学などで定められた単位を取得しなければなりません。
近年、教育と保育の一体化が進む中で、保育教諭という職が増加しています。保育教諭になるには保育士資格と幼稚園教諭免許両方が必要です。2023年8月現在、「幼保連携型認定こども園」への円滑な移行を目的として、2025年3月31日を期限に特例制度が設けられています。
(出典:文部科学省「幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例」/ https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoin/1339596.htm )
特例制度は、所定の勤務実績と大学・養成施設での単位取得を条件に、片方の資格のみでも保育教諭免許状が交付される期限付きの制度です。
給料の違い
厚生労働省が公表した保育士と幼稚園教諭の平均給与額は、下記表の通りです。
【保育士と幼稚園教諭の給与(年収は賞与込み)】
男女平均 | |
---|---|
保育士 | 年収:約391万円月収:約26.7万円 |
幼稚園教諭 | 年収:約399万円月収:約26.7万円 |
(出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2022/index.html )
保育士の平均年収は約391万円、平均月収は約26.7万円です。対して、幼稚園教諭の平均年収は約399万円、平均月収は約26.7万円となります。月給で比べれば同額で、年収で見ても差は8万円程度です。
そのため、一般保育士と一般教諭に給料面で大きな違いはないと言えるでしょう。ただし、実務経験や勤続年数、役職名によっても変動額や昇給額は変わるため、求人情報の給与額だけでなく、キャリアパスを見越した就業先の選択が大切です。
対象年齢の違い
保育士と幼稚園教諭では、対象とする子どもの年齢に違いがあります。保育士は0歳〜6歳の子どもが対象であり、幼稚園教諭は満3歳~6歳の子どもが対象です。一般的な幼稚園は保育施設ではなく教育施設のため、基本的に乳児の保育は行いません。
なお、保育園と幼稚園を一元化した認定こども園の場合、保育園と同じく0歳児から小学校入学前を対象とします。
勤務施設の違い
保育士と幼稚園教諭では主な就職先・転職先も異なります。
幼稚園教諭 | 保育士 | |
---|---|---|
職場 | 幼稚園 | 保育所・乳児院・母子生活支援施設・児童養護施設・児童自立支援施設・障害児施設 |
(引用:文部科学省「幼稚園教諭と保育士の比較」/ https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/008/siryo/04030501/003/001.htm引用日2023/07/14 )
保育士は保育所をはじめとした上記施設以外にも、企業内保育所や母子生活支援施設、児童厚生施設など、多岐にわたる場所で活躍する職種です。一方、幼稚園教諭の主な勤務先は公立や私立の幼稚園となります。
保育士の方が保育のニーズに合わせてさまざまな場所で働くのに対し、幼稚園教諭の方はより特定の施設での勤務が中心です。
保育士・幼稚園教諭として働くための能力と適性
保育士や幼稚園教諭として働くためには、さまざまな能力と適性が求められます。中でも代表的な能力・適性は以下の通りです。
子どもが好きな気持ち・子どもに寄り添える感性 |
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子どもの成長を見守りたい、共感して寄り添いたいという気持ちが大切です。小さな成長に気づき、子どもと一緒に喜べる方が向いています。 |
責任感 |
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保育士・幼稚園教諭は子どもの命を預かる仕事です。子どもの異変や怪我などに迅速に対応できる、悪いことをした際にためらわず叱れる責任感が求められます。 |
コミュニケーション能力 |
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子どもとはもちろん、保護者や同僚、上司とも良好な関係構築が必要です。スムーズに仕事を進めるためにも、高いコミュニケーション能力が求められます。 |
リーダーシップ |
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子どもたちをまとめ、保育を進めるにはリーダーシップが必要となります。また、新人教育や行事の進行役などでも統率力や指導力が必要です。 |
前向きで明るい性格 |
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先生が暗い顔をしていれば、子どもの気持ちも安定しません。体力的にハードな仕事ですが、笑顔を絶やさず、子どもの成長に喜びを感じる前向きな姿勢が求められます。 |
根気 |
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子どもによって、物事を理解する力や実行に移せるスピードはさまざまです。むくれて動かなくなる子どもや作業が遅い子どもにイライラせず、それぞれのペースに合わせてじっくりとつき合える根気も必要です。 |
保育士や幼稚園教諭として活躍するには、上記の能力と適性が特に重要です。ほかにも、高い表現能力や演奏能力、分かりやすい描画能力があれば、より遊びや教育の場で生かせるでしょう。
まとめ
保育士と幼稚園教諭の違いはさまざまありますが、中でも保育目的には大きな違いがあります。保育士の保育目的は、保護者の代わりとして、子どもたちに基本的な生活習慣を身につけさせることです。幼稚園教諭は、先生として子どもたちの年齢に応じた教育や指導を行うことを目的としています。
給料に関しては、一般保育士と一般教諭に大きな違いはないものの、実務経験や勤続年数、役職名によって変動する可能性があります。また、対象年齢や勤務施設などにも違いがあるため、就職・転職を希望する際は、保育士と幼稚園教諭の違いをよく理解しましょう。
※当記事は2023年8月時点の情報をもとに作成しています