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幼稚園教諭でも、年収500万円を目指すことはできます。2022年度の幼稚園教諭の平均年収は約399万円となっていますが、男女別・勤続年数別に見ると、男性の場合勤続年数が5〜9年であれば500万円を超える水準です。女性も勤続年数が15年以上になると500万円に近い水準であることから、条件によっては男女ともに年収500万円を目指せるでしょう。

当記事では、幼稚園教諭の平均年収を男女・勤続年数別、年齢・勤続年数別に紹介します。幼稚園教諭で収入アップを目指している方や、年収500万円を超える方法を知りたい方は、ぜひご一読ください。

幼稚園教諭は年収500万円を超えられる?

幼稚園教諭はやりがいの多い仕事ですが、子どもや保護者に対する責任や体力的な負担が大きい仕事でもあります。業務の内容の割に収入が低いと言われることも多いため、経済面で生活に不安を感じている現役幼稚園教諭の方や、幼稚園教諭を目指している方も少なくないでしょう。

幼稚園教諭の年収・手取りの収入は、年齢や勤続年数、勤務先、雇用形態などの雇用条件によって異なるため、誰もが年収500万円を超えられるわけではありません。しかし、本人や勤務先の条件次第では、幼稚園教諭が年収500万円を超えられる場合もあります。幼稚園教諭の平均年収を踏まえた上で、幼稚園教諭が年収500万円を超える方法を確認しましょう。

幼稚園教諭の平均年収を紹介

厚生労働省の調査によると、幼稚園教諭の年収および月収(月給)・賞与の平均金額は次の通りです。

◆幼稚園教諭の年収・月収・賞与の平均金額
年収 月収 賞与
約399万円 約26.7万円 約78.6万円

(出典:厚生労働省 e-Stat「賃金構造基本統計調査 / 令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」/ https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001202310&tclass2=000001202312&tclass3=000001202329&stat_infid=000040029181&tclass4val=0

上記の調査において、一般労働者の平均月収は約31.2万円となっていることから、幼稚園教諭の収入は労働者全体の平均値よりもやや低い水準であると言えます。

(出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2022/dl/13.pdf

また、幼稚園教諭の平均年収は約399万円であることから、年収500万円という収入は幼稚園教諭の中では比較的高い給与水準であることも言えるでしょう。

男女・勤続年数別の平均年収

男女別・勤続年数別に見た幼稚園教諭の平均年収は、次の通りです。

◆男女・勤続年数別の平均年収
男女計 男性 女性
0年 約266万円 約301万円 約263万円
1〜4年 約340万円 約376万円 約338万円
5〜9年 約378万円 約529万円 約366万円
10〜14年 約407万円 約540万円 約394万円
15年以上 約476万円 約675万円 約465万円

(出典:厚生労働省 e-Stat「賃金構造基本統計調査 / 令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」/ https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001202310&tclass2=000001202312&tclass3=000001202329&stat_infid=000040029194&tclass4val=0

上記の表より、勤続年数を問わず、女性よりも男性のほうが平均年収が高い傾向にあることが分かります。これは、労働者全体において、女性よりも男性のほうが残業などによる労働時間が長く、正規雇用(正社員)の割合が高いことも影響していると考えられます。

また、男女ともに勤続年数が長いほど平均年収は高くなっています。特に男性は勤続5~9年で平均年収が500万円を超えているため、勤続年数が長ければ年収500万円を超えることはそれほど難しくないでしょう。

女性は平均年収で見ると500万円を超えることが難しいように見えますが、上記の数値はあくまでも平均です。勤続15年以上の方の平均年収は約465万円であり、年収500万円に近いことから、女性の幼稚園教諭も年収500万円以上を目指せると考えられます。

年齢と勤続年数別の平均年収

幼稚園教諭の平均年収は、働く方の年齢によっても異なります。

◆年齢別・勤続年数別の平均年収
0年 1〜4年 5〜9年 10〜14年 15年以上
〜19歳 - - - - -
20〜24歳 約260万円 約332万円 約340万円 - -
25〜29歳 約280万円 約357万円 約371万円 約397万円 -
30〜34歳 約291万円 約358万円 約377万円 約403万円 約306万円
35〜39歳 約262万円 約340万円 約365万円 約408万円 約416万円
40〜44歳 約328万円 約317万円 約367万円 約429万円 約467万円
45〜49歳 約284万円 約349万円 約370万円 約393万円 約457万円
50〜54歳 約294万円 約317万円 約337万円 約391万円 約483万円
55〜59歳 約351万円 約354万円 約389万円 約470万円 約499万円
60〜64歳 約314万円 約363万円 約783万円 約365万円 約512万円
65〜69歳 約297万円 約365万円 約412万円 約530万円 約545万円
70歳〜 約505万円 約360万円 約444万円 約592万円 約663万円

(出典:厚生労働省 e-Stat「賃金構造基本統計調査 / 令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」/ https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001202310&tclass2=000001202312&tclass3=000001202329&stat_infid=000040029190&tclass4val=0

上記の表では、基本的には年齢に応じて平均年収が高くなるものの、勤続年数が短いと平均年収がやや低くなる傾向があることが分かります。また、年齢を重ねて勤続年数が長くなり、一定のキャリアを積んだ方は園の経営者や園長など管理職になることが多いため、年収500万円以上となることも珍しくありません。

幼稚園教諭が年収500万円を超える方法

幼稚園教諭の年収は年齢や勤続年数、勤務先などによって異なり、勤務条件によっては年収500万円を超えることも不可能ではありません。幼稚園教諭が年収500万円を超える方法は複数あるため、自身の希望や考えに合った方法を実践してみましょう。ここでは、幼稚園教諭が年収500万円を超える方法を4つ紹介します。

キャリアアップ制度を利用する

国は幼稚園教諭や保育士などを対象として、雇用主側が賃上げを行えるようサポートする制度(キャリアアップ制度)を整備しています。幼稚園教諭のキャリアアップ制度では、一般の教諭から管理職までの間に若手リーダーや中核リーダー、専門リーダーといった役職があります。これらの役職に就くことで、労働者の給与が引き上げられる仕組みです。

例えば、若手リーダーの場合は月額5千円の処遇改善となっていますが、中核リーダー・専門リーダーになれば月額4万円の処遇改善が見込めます。

(出典:内閣府「技能・経験に応じた処遇改善等加算Ⅱの仕組み」/ https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/faq/pdf/jigyousya/youshiki/shikumi.pdf

キャリアアップ研修を受けてコツコツと職務経験を積み重ねることにより、給与アップを目指せるでしょう。

公立の幼稚園で働く

幼稚園教諭が年収500万円以上を目指す方法の1つとして、公立の幼稚園に就職することが挙げられます。公立幼稚園に勤務する幼稚園教諭は地方公務員扱いとなるため、公務員の水準の給与が支給され、勤務年数に応じた昇進・昇給を受けられます。

総務省の調査によると、2022年度における小・中学校教育職(幼稚園教諭を含む)の平均月収は約39.3万円です。

(出典:総務省「令和4年地方公務員給与実態調査結果等の概要」/ https://www.soumu.go.jp/main_content/000853386.pdf

幼稚園教諭全体の平均月収は約26.7万円であることから、公立の幼稚園教諭の給与水準は比較的高いと言えます。職場の異動はあるものの、施設によって待遇が大きく異なることもないため、年収500万円を目指すことも難しくないでしょう。

管理職を目指す

主幹教諭や副園長、園長といった管理職・運営側の人材を目指すことも、幼稚園教諭が年収500万円を達成する方法の1つです。管理職は一般の教諭よりもキャリアや経験があり、負う責任も大きいことから年収が高い傾向があります。

◆幼稚園における管理職の平均月収(常勤)
私立 公立
園長 約42.5万円 約49.2万円
副園長・教頭 約32.7万円 約49.4万円
主幹教諭(指導教諭) 約30.1万円 約45.9万円

(出典:内閣府「保育所・幼稚園・認定こども園等に係る実態調査等の中間集計の状況について」/ https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/meeting/kodomo_kosodate/k_29/pdf/s3-1.pdf

管理職になるためには、同じ園で実務経験を長年積んだ後に管理職となる方法や、経験を積んだ後に別の園の管理職求人に応募して転職する方法があります。いずれにしても、職員として着実にスキルを磨き、キャリアを重ねる必要があることに留意しましょう。

給料・賞与の高い幼稚園に勤める

幼稚園教諭の給与は勤務する施設によっても異なります。公立幼稚園の場合は地域によって多少の差はありますが、給与水準が大幅に異なることはないでしょう。一方、私立幼稚園教諭は施設によって給与水準が大きく異なることに注意が必要です。

私立幼稚園勤務で年収500万円以上を目指す場合、ベースとなる基本給が高い園を選ぶことがポイントとなります。幼稚園に限らず、多くの企業では賞与(ボーナス)の金額を「基本給の○か月分」としているため、基本給が高い園では賞与も高くなる可能性があります。また、勤続年数を重ねて昇給することにより、さらに高い収入も期待できるでしょう。

まとめ

幼稚園教諭でも、年齢・勤続年数・勤務先などによっては、年収500万円を超えられる可能性があります。厚生労働省の2022年度賃金構造基本統計調査によると、勤続年数が5〜9年の男性の場合、平均年収は500万円を超えています。女性も勤続年数の長さに比例して平均年収が増加傾向にあり、15年以上になると約465万円と500万円に近い水準です。

幼稚園教諭として年収500万円を超えるには、キャリアアップ制度を利用するほか、公立の幼稚園で働いたり管理職を目指したりするとよいでしょう。

※当記事は2023年8月時点の情報をもとに作成しています