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幼稚園に子どもを送っていくとき、別れる前に子どもが泣いてしまい困っている保護者の方も多いでしょう。泣いている子どもへどのような声かけをすればよいのかは、子どもの性格にもよるものの、できるだけ子どもの気持ちに寄り添った対応が必要です。

当記事では、登園するときに子どもが泣いてしまう理由と、適切な声かけの仕方を解説します。登園しぶりの理由によっては幼稚園の先生に相談したほうがよいケースもあるため、当記事を参考にして子どもが楽しい幼稚園生活を送れるようサポートしましょう。

子どもが幼稚園の登園で泣いてしまうのはなぜ?

幼稚園への登園時、毎朝のように泣いてしまう子どもは少なくありません。「いつになったら笑顔で登園できるのか」「なぜ我が子は泣いてしまうのか」など、不安や悩みを抱える保護者の方も多いでしょう。

ここでは、子どもが幼稚園への登園時に泣いてしまう理由について詳しく解説します。

不安な気持ちになっているから

子どもが登園時に泣いてしまう理由には、愛着の対象であるパパやママと離れることに不安を感じる「母子分離不安」が挙げられます。

発達心理学における愛着とは、子どもが保護者と築く情愛的なつながりです。愛着は協調性・社会性を育む基盤となる重要な要素であり、日々のお世話やスキンシップを通して徐々に形成されます。

幼稚園に年少として入園する3歳ごろは、愛着形成した保護者を安全基地として、外の世界を楽しめるようになる年齢です。一方で、多くの子どもは愛着の対象である保護者から物理的に離れて幼稚園に通うことに不安を感じます。

母子分離不安は幼児期における正常な発達段階ですが、不安の感じ方や表れ方は、子ども自身の気質によって異なります。登園時に泣いてしまうかどうかは、個人差・性格による部分が大きいと言えるでしょう。

幼稚園に行きたくないから

子どもが登園時に泣いてしまう理由として、幼稚園に行きたくないという登園しぶりも挙げられます。

一般的な登園しぶりの原因は、以下の通りです。

  • 安心できる家にいたい
  • 幼稚園で苦手な活動がある
  • 友だちとの関わりにストレスを感じている

幼稚園生活では、ルールやスケジュールが決められた中で過ごすのが一般的です。特に集団生活が初めての子どもは周りに合わせて動くことに疲れやストレスを感じ、「安心できる自宅で家族と過ごしたい」と考えます。

また、幼稚園では外遊びや運動、制作など、日々の活動内容が決められています。苦手な活動にも取り組まなければならないため、登園したくないと感じる子どももいるでしょう。

友だちとの関わり方が分からないことも登園しぶりのよくある原因です。クラスの友だちの輪にうまく入れない・自分の思いを言葉で伝えるのが難しいという場合、友だちとの関わりがストレスとなって登園に抵抗を感じてしまいます。

登園しぶりが見られる際は、担任保育士に相談して解決策を探したり、気持ちが落ち着いてから遅れて登園したりするのが有効です。また、可能であれば1日休んでゆったりと過ごし、気持ちをリフレッシュさせるのも1つの手です。

幼稚園への登園で泣いてしまったときの対処法

子どもが「幼稚園に行きたくない」と泣いてしまったとき、声かけの仕方や対応法に悩む保護者は少なくありません。具体的な対処法を押さえておくことで、楽しく登園するための近道となるでしょう。

ここでは、登園時に子どもが泣いてしまったときの対処法を紹介します。

子どもの気持ちに寄り添う

幼い子どもは自身で気持ちを慰めて整理するのが難しいため、大人が不安な気持ちに寄り添ってあげることが重要です。

登園拒否の原因は1つとは限らず、また、必ずしも明確な理由があるとは限りません。子ども本人が原因をはっきりと自覚していないケースも多いでしょう。

なぜ幼稚園に行きたくないのかが分からない場合でも、まずは子どもが抱えている不安そのものを受け入れてあげましょう。

具体的には、子どもが登園しぶりの原因らしきエピソードや心情を口にした際は、「それは悲しかったよね」「嫌な気持ちになったよね」と共感します。詳しい理由について話さなければ、「嫌な出来事があったんだね」と声をかけてあげるのも有効です。

幼稚園での楽しいことを話す

朝の登園しぶりには、その日の活動・遊びに期待感を持てるように「楽しみ」を作ってあげるのもおすすめです。

たとえば製作活動が好きな子どもの場合、「今日は粘土遊びができるね」のように声をかけるのがよいでしょう。声かけの内容は、子どもの好みや性格に合わせて考えましょう。

具体的な例は以下の通りです。

  • 「幼稚園で友達に会えるのが楽しみだね」
  • 「大好きなブロック遊びができるといいね」
  • 「今日はお散歩に出かける日だよ」
  • 「今日の給食はハンバーグだよ」

登園後の楽しみがあれば、明るい気持ちで登園できるでしょう。

登園のときは素早く別れる

幼稚園に着いて子どもを預けるときは、子どもが泣いていてもその場にとどまらず、素早く別れるのがポイントです。

子どもを保育士に預ける際、子どもが泣く姿に共感するように「ママも寂しいよ」と悲しい顔をしたり、もう一度抱きしめたりする保護者は少なくありません。しかし、「泣けば側にいてくれる」「泣けば抱っこしてもらえる」と思い込んでしまう原因となり、さらに登園しぶりが悪化する可能性も考えられます。

見送り時は悲しい気持ちへの共感を示すよりも、「いってらっしゃい」「楽しんできてね」と明るく・素早く去るのが有効です。子どもは目の前の楽しみに夢中になりやすい傾向があるため、いざ保育室に入れば楽しく遊べるケースがほとんどです。

帰宅後に楽しかったことを聞く

幼稚園からの帰宅後は、楽しかった出来事・エピソードを聞きながら子どもを目一杯褒めてあげましょう。

幼稚園での活動について共感的に話を聞いて褒めてあげれば、子ども自身が自分の成長を実感して自信をつけられます。「大好きな粘土遊びを楽しめた」などの小さなエピソードでも構わないため、毎日の頑張りを褒めて自覚させてあげることで、徐々に子どもの自己肯定感もアップするでしょう。

登園で子どもが泣いたときこんな声かけはNG!

登園時に子どもが泣いてしまった場合、声かけの内容が適切でないとさらに不安を煽るケースも少なくありません。子どもの不安を取り除いて楽しく登園してもらうためにも、避けるべき言葉を押さえておきましょう。

ここでは、子どもが泣いてしまったときに避けるべき声かけについて詳しく解説します。

不安を煽る言葉をかける

登園時に子どもが泣き出すと、保護者は「早く泣き止ませなければ」と焦ってしまいがちです。しかし、「泣き止ませること」を目的とした脅す・叱るような声かけは根本的な解決につながらず、さらに子どもを大泣きさせてしまう可能性もあるでしょう。

避けるべき声かけの例は、以下の通りです。

  • 「早く泣き止みなさい」
  • 「いつまでも泣いていたら恥ずかしいよ」
  • 「甘えていないでしっかりしなさい」

子どもへの声かけは、不安な気持ちに寄り添った内容を心がけましょう。

他の子と比べる

登園時に子どもが泣いていると、笑顔で登園できている他の園児たちと比較してしまいがちです。しかし、他の子と比較するような声かけは、子どもの心を傷つける原因となるため注意が必要です。

子育てをしていると、子どもの能力や気質について他の子と比較してしまうことは珍しくありません。しかし、「登園時の姿」は子どものたった一面に過ぎず、どの園児にもそれぞれ異なる一面や特徴、短所があります。

子どもにとっては、集団生活や新しい環境に不安を感じることも成長の一歩です。「〇〇くんは泣いていないよ」のように他の子と比較する声かけは避け、おおらかな気持ちで見守りましょう。

説明せずに別れる

幼稚園での別れ際は素早く・さっぱりと別れるのが鉄則です。しかし、不安がっている子どもに対し、説明なく離れるのは得策でありません。

子どもの不安感を和らげるには、「お母さんはお仕事に行くから幼稚園で楽しく遊んでいてね」「おやつが終わったらお迎えに来るね」といった声かけが有効です。保護者の行き先や登園についての具体的な説明があれば、状況を理解し、納得した上で登園できます。

また、子どもが他のことに気を取られているうちに隠れるようにいなくなるのも避けるのが無難です。その場に長くとどまる必要はありませんが、しっかりと目を見て「いってらっしゃい」と声をかけてあげましょう。

まとめ

登園時に子どもが泣いてしまうのは、両親と離れることによる「母子分離不安」が起こるためです。できるだけスムーズに別れるには、その日の幼稚園での活動を楽しみにできるよう声かけをしたり、子どもの気持ちに寄り添ったりすることが大切です。

また、幼稚園に行きたくない理由があり泣いてしまうケースもあります。登園しぶりが起こってしまった場合は、幼稚園の先生に相談したり、子どもがリフレッシュできるよう落ち着いてから登園させたりするとよいでしょう。

※当記事は2024年2月時点の情報をもとに作成しています