夜間保育園は、夜間に働く保護者をサポートするために子どもを預かる施設です。多様な働き方が進む現代社会において夜間保育園の重要性は増しており、保護者が安心して子どもを預けられる場所として需要が高まっています。
当記事では、夜間保育園の基準や日勤の保育との違い、仕事内容、シフトの例、給料、メリット・デメリットなどを紹介します。夜間保育園について詳しく知りたい方や、夜間保育士として働きたい方はぜひご覧ください。
目次
夜間保育園とは?
夜間保育園とは、子どもの夜間預かりを行う保育園です。夜の時間帯に働く保護者に代わって、子どもの保育を行います。
働き方が多様化している現代において、安心して子どもを預けられる夜間保育園は需要が高まっています。ただし、日中に子どもを預かる通常の保育園に比べて、夜間保育園の数は少ないのが現状です。
夜間保育園の基準は、下記の通り定められています。
【夜間保育の基準】
入所定員 | 20名以上 | |
---|---|---|
保育の方法 | 開所時間は原則として概ね11時間とし、おおよそ午後10時までとすること | |
職員配置基準※保育士は最低2名以上配置 | 0歳児 | 3人につき保育士1人 |
~2歳児 | 6人につき保育士1人 | |
3歳児 | 20人につき保育士1人 | |
4歳児以上 | 30人につき保育士1人 |
(出典:厚生労働省「児童福祉施設最低基準」/ https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/10/dl/s1006-7e_0005.pdf)
(出典:厚生労働省「○夜間保育所の設置認可等について」/ https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta9201&dataType=1&pageNo=1)
夜間保育を行う時間帯は、施設によってさまざまです。通常保育の延長で夕方から午後10時頃まで保育を行う認可保育園もあれば、24時間保育に対応している施設もあります。 夜間保育を行うには、預かる子どもの年齢ごとに定められた職員配置基準を満たさなければなりません。日勤の保育との違い
日勤の保育と夜間保育の違いは、保育士の勤務時間帯と保育内容にあります。
日中の保育園と夜間保育園(認可保育園)の開所時間例は、下記の通りです。
日中の保育園 | 7時半~18時半 |
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夜間保育園(認可保育園) | 18時~22時 |
日中の保育園で働く場合、朝に出勤して夕方に退勤するのが基本です。一方、夜間保育は夕方から夜までの時間帯に保育業務を行います。
日中の保育園における保育業務は、生活介助・遊び・散歩などです。夜間保育の場合は、生活介助にくわえて家庭的な保育業務が求められます。
夜間保育園の仕事内容とシフト例
夜間保育園の主な仕事内容は、夕食・入浴・寝かしつけなど生活面のサポートが中心です。1日の労働時間の基準を超えないように、シフト勤務とする施設が多く見られます。
ここからは、夜間保育園の仕事内容とシフト例を詳しく解説します。
夜間保育園の仕事内容
夜間保育園の主な仕事内容と流れは、下記の通りです。
18:00 | ・子どもたちの受け入れ ・夕食の提供 |
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19:00 | ・歯磨き ・入浴 ・トイレ補助、おむつ替え |
20:00 | ・自由時間の見守り ・寝かしつけ |
21:00 | ・連絡帳の記入 ・睡眠チェック ・順次子どもたちのお迎え対応 |
夜間保育園は、通常の保育園に比べて遊びの時間や行事に向けた活動が少ないことが特徴です。寝つけない子どもがいる場合は、絵本の読み聞かせや静かな遊びを行います。
夜間保育園のシフト例
夜間保育園のシフトの時間帯は、施設ごとに異なります。
認可保育園と24時間保育園における夜間のシフト例は、下記の通りです。
認可保育園 | ・14時~22時 ・17時~22時 |
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24時間保育園 | ・16時~24時 ・24時~翌8時 ・21時~翌6時 |
20時~21時までに寝かしつけをする施設が多く、21時以降は睡眠チェックや子どものお迎え対応が中心です。深夜保育や24時間保育に対応している保育園では、21時以降に保育士が交代で仮眠をとる場合があります。
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夜間保育園の給料
夜間保育園で働く保育士の給料には、夜間労働に対する上乗せ分が加算されます。実際の給料には雇用形態や地域も影響するため、相場は参考程度にとどめましょう。
夜間保育園で働く保育士の給料事情を、雇用形態別に詳しく解説します。
正社員の給料
保育士全体の給料相場は、下記の通りです。
【保育士全体の給料】
月収 | 年収 | |
---|---|---|
男女計 | 約26万4千円 | 約389万円 |
男性 | 約29万7千円 | 約438万円 |
女性 | 約26万2千円 | 約385万円 |
※上記は所定内給与額で計算
(出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html)
平均年収は男性のほうが約50万円高いものの、男女差はそれほど大きくありません。
日勤の保育士と夜間保育園で働く保育士の基本給は、大きく変わることはありません。ただし、夜間保育園は夜勤手当や時間外手当が支給されることが多く、日勤の保育士より年収が高くなるケースがほとんどです。
深夜の労働には労災リスクが伴うため、賃金に割増料金を上乗せすることが労働基準法で定められています。原則22時~翌5時に勤務する場合は、25%の割増料金が加算される仕組みです。
(出典:厚生労働省「時間外、休日及び深夜の割増賃金(第37条) 事業場外労働のみなし労働時間制(第38条の2)」/ https://jsite.mhlw.go.jp/ehime-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/hourei_seido/20404/2040409.html)
夜間保育園で働く場合、勤務時間帯によっては日勤の保育園より25%高い賃金になります。時間外労働や休日労働などが重複して発生する場合、それぞれの割増額は合算されます。割増料金とは別に夜勤手当を支給する施設もあるため、基本給と割増料金だけでなく、夜勤手当や諸手当も考慮した金額で比較しましょう。
パート・アルバイトの給料
パート・アルバイトで働く場合、夜間保育士の時給相場は1,300円~1,500円です。
正社員と同様に、夜間に働くパート・アルバイトの給料にも25%の割増料金が加算されます。日勤の時給が1,200円の施設の場合、夜間は約300円の上乗せとなる計算です。同じ労働時間でも夜間に働くほうが収入は高くなります。
5時間勤務の場合、日給は6,500円~7,500円です。正社員と比べて所定労働日数や時間が短いものの、時給相場が高いため効率良く稼げます。「交通費支給」「有給休暇あり」「資格手当あり」など、福利厚生が充実した施設も豊富です。
収入アップを目指すには、ダブルワーク可の施設を選んで掛け持ちする方法もあります。
夜間保育園で働くメリット
夜間保育園で働く主なメリットは、以下の通りです。
日勤の保育よりも給料が高い |
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夜間保育園で働く場合、日勤の保育よりも稼ぎやすくなります。保育士の資格を活かして効率良く稼ぎたい方にとって、大きなメリットといえます。 |
夜間の保育でしか得られないスキルが身に付く |
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夜間の保育でしか得られないスキルが身に付くことも、メリットの1つです。夜間の保育には、日中の保育にはない業務も含まれています。入浴や寝かしつけのサポート、夜泣き対応など、保護者の視点で子どもに接する機会が多いといえるでしょう。 |
日中の時間を自由に過ごせる |
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夜間保育士として働く場合、日中の時間をほかのことに使えます。日中はダブルワークや家事を済ませるなど、時間の有効活用が可能です。 |
また、夜間に働く保護者の方に貢献できることを、やりがいに感じる保育士の方も多く見られます。
夜間保育園で働くデメリット
夜間保育園で働く場合、以下のデメリットがあることも理解しておきましょう。
生活リズムが崩れやすい |
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夜間保育士は夜勤が基本となるため、生活リズムが崩れやすくなります。日勤で働いている方や昼型の生活に慣れている方は、夜型に慣れるまでの間は体調管理に注意が必要です。 |
子どもと遊べる時間が少ない |
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夜間保育士として働く場合、日中に子どもと遊びを通して関わる機会が限られるため、遊びや製作活動の経験を積む機会が減ります。また、子育て中の方の場合は、自分の子どもと遊ぶ時間や過ごす時間が少なくなるでしょう。夜勤に備えて日中に睡眠時間を確保する必要もあり、家庭と仕事の両立に課題を感じる方も少なくありません。 |
日によってシフトが異なる場合も多く、日勤に比べて生活リズムの維持が難しくなります。体力はもちろん、周囲の理解や協力も必要です。
夜間保育園に向いている人は?
夜間保育士は保育士の資格があれば未経験でも採用のチャンスはありますが、無理なく働くためには自分に向いているかチェックしておくことも大切です。
夜間保育園に向いている人の特徴は、下記の通りです。
- 給料を少しでも上げたいと思っている
- 夜型の生活が苦にならない
- 状況の変化に合わせて柔軟に対応できる
夜間保育園は割増料金が加算されるため、「貯蓄を増やしたい」「生活レベルを上げたい」などの目標がある方に向いています。
また、夜型の生活に慣れている方や柔軟な対応が得意な方であれば、デメリットを感じることなく働けるでしょう。
まとめ
夜間保育園は、夜間に働く保護者をサポートする存在であり、子どもたちに安心安全な保育を提供する施設です。夜間保育園は、日勤の保育と比べて遊びの時間や行事に向けた活動が少ないのが特徴です。
夜間保育園での仕事は夜勤手当や時間外手当が加算されるため、日勤の保育士よりも高い収入が期待できます。また、夜間特有のスキルを習得でき、日中の時間を有効活用できる点も大きなメリットです。しかし、生活リズムの乱れや、家庭と仕事の両立が難しくなるなどのデメリットも存在します。これらの情報を総合的に考慮し、夜間保育士としての働き方を検討することが重要です。
※当記事は2024年5月時点の情報をもとに作成しています