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「発達障害児支援士®」は、子どもの発達障害についての知識や支援スキルを証明する民間資格です。

この10数年、発達障害児やその可能性がある子どもは増え続けています。保育現場で子どもと関わる保育士の中には、発達障害に関する知識の必要性を強く感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、発達障害支援士の概要や混同されやすい児童発達支援士との違い、発達障害支援士の資格を取得するメリット、取得方法などについて解説します。

   

発達障害児支援士とは

発達障害児支援士とは、発達障害のある子どもたちの特性を理解し、支援するための知識とスキルを証明する民間資格です。

日本発達障害支援協議会が認定しており、資格取得を通じて子どもの発達障害に関する基本知識、支援方法、問題行動へのアプローチ方法などが身につきます。通信認定講座と認定試験で取得できるため、働きながらでも資格取得を目指せるのも、特徴の1つといえるでしょう。

支援の対象となるのは、2歳から10歳(小学校4年生程度)までの子どもで、講座では保育園や幼稚園、小学校、児童発達支援施設などで役立つ実践的な指導方法・支援方法を学びます。

 

<プログラム例>

  • 友だちにすぐ手を出してしまう子の対応
  • パニックで叫ぶ子への声かけ
  • 授業中に立ち歩く子への対処法 など

 

保育士や教諭などの専門職向けの内容ですが、特別な受講資格が設けられているわけではないので、誰でも受講可能です。

児童発達支援士との違い

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現時点では、子どもの発達障害支援に関する国家資格はなく、主な民間資格には「発達障害児支援士」と「児童発達支援士」があります。

どちらも特別な受講資格はなく、初心者から受講できますが、受講内容や受講期間、費用、受講者層などに違いがあります。

 

 

発達障害児支援士

児童発達支援士

認定団体

日本発達障害支援協議会

一般社団法人 人間力認定協会

受講料金

109,780円(税込)

※受験料含む

42,460円(税込)

※受験料含む、DVD代別途

学習内容

①指導の心得

・対応を考える前にすべきこと、子ども・保護者への接し方

②特性への対応

・生活上の困難について、活動参加・学習指導 など

③問題行動への対応

・パニックの対処法、自傷・他害 など

④身辺自立

・食事、トイレ、着替え など

⑤ソーシャルスキル、あいさつをする、質問に答える、適切な距離感をつかむ など

①発達障害の特性を知る

②支援・療育方法とケーススタディ

③脳科学の面から子どもの特性を知る

④人の道に立つための、しつけ教育

⑤やる気を引き出し、自ら成長していく子の育て方

⑥人間力を身につけ、必要とされている子の育て方

平均受講期間

6カ月(受講期限1年間)

2カ月(受講期限8カ月)

主な受講者

・幼稚園・保育園・小学校の職員

・発達支援施設の職員

・リハビリテーション専門職

・幼児教育講師 など

・発達が気になる子の保護者

・子どもの福祉を学ぶ学生

・保育や教育、発達支援関連施設の職員 など

※上記は20259月現在の情報です。

 

発達障害児支援士の講座では、保育や教育の現場を想定したカリキュラムが組まれており、受講者には保育や教育、発達支援員、医療関係者などの専門職が多く見られます。

一方、児童発達支援士の講座は、脳科学や心理に基づいた子育て・しつけにスポットを当てており、初心者でもわかりやすい内容となっています。平均受講期間も短めで、受講者には保護者や学生も少なくありません。

どちらも、認知度・満足度が高い資格として知られていますが、受講するにあたっては、自分の目的やライフスタイルにあわせて選ぶことが大切です。

 

参考:

発達障害児支援士資格認定講座」(四谷学院発達支援)

児童発達支援士・発達障害コミュニケーションサポーター資格【徹底解説】」(発達障害支援の人間力認定協会|理事長ブログ)

発達障害児が増加している理由

前述したように、発達障害児とされる子どもの数は、この10年で大きく増加しました。PwC コンサルティング合同会社が行った調査によると、保育所には平均3.73人の障害児、平均23人の気になる子が在籍しているとされています。

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※グラフは、こども家庭庁「保育政策の新たな方向性~持続可能で質の高い保育を通じたこどもまんなか社会の実現へ~」、厚生労働省「今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会(第4回)1 障害児支援」を元にマイナビが作成

なお、増加の理由は、障害のある子どもの数が増えたからではなく、障害に対する認知・理解の広がりや診断機会の増加などによって、「これまで見落とされていた子どもの特性に気づく機会が増えたため」と考えられています。

現代は、コミュニケーション能力や柔軟な社会性が求められることが多くなり、そうした場面では対人関係、こだわり、不注意などの困難が目立ちやすくなります。その点も、特性に気づく機会が増えたとされる理由の1つでしょう。

   

保育士が発達障害児支援士を取得するメリット7選

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保育士が発達障害児支援士を取得するメリットには下記のようなものが挙げられます。

  • 障害への理解が深まる
  • 障害がある子に適切な支援ができる
  • 問題行動への対処法が身につく
  • 気になる子に早期に気づける
  • より専門性の高い資格に挑戦できる
  • 資格手当や評価につながる
  • 活躍できる職場が広がる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

障害への理解が深まる

特性を正しく理解することで、子どもの行動の理由や気持ちを理解しやすくなります。保護者や周囲のお友だちにも、自信を持って説明できるようになるでしょう。

障害がある子に適切な支援ができる

障害がある子どもは初めてのことを怖がったり、長く集中できなかったり、他人と接するのが難しかったりと集団生活での困難がたくさんあります。資格を取得すれば、そのような場面でも、特性に応じた支援ができるようになります。

問題行動への対処法が身につく

突然のパニックやこだわりの強さ、自傷やお友だちへの暴力など、保育士としてとまどってしまうような場面にも、落ち着いて対処できる力が身につきます。周囲からも信頼される存在になるでしょう。

気になる子に早期に気づける

特性理解が進むことで、早期発見・早期支援につなげられます。早期発見は、子どもをストレスから守り、最適な支援やケアをいち早く受けられるように導くことでもあります。

より専門性の高い資格に挑戦できる

発達障害児支援士の資格を取得すれば、より専門的な「発達障害児専門支援士」の受講資格が得られます。資格は発達支援施設の児童指導員や、児童発達支援管理責任者などを目指す場合にも役立つでしょう。

資格手当や評価につながる

施設によっては、発達障害児支援士が資格手当や評価の対象となる場合があります。その場合は、待遇アップやキャリアアップが期待できるでしょう。

活躍できる職場が広がる

専門知識が身につけば、保育所の加配保育士として活躍できるほか、児童発達支援施設、放課後等デイサービスなど幅広い分野で働けます。

 

発達障害児支援士資格の取得方法

発達障害児支援士は、日本発達障害支援協議会が認定する講座を受講し、認定試験に合格することで取得できます。

 

受講から試験までの流れ

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認定講座は、115分の講義動画が週3本配信されるオンライン完結型です。特定の講義テキストはなく、講義動画1本ごとに概要をまとめた学習シートをダウンロードし、テキストとして活用します。

認定試験は、受講生専用ページに指定の課題を提出する仕組みとなっており、自宅で受験可能です。また、不合格の場合も、受講期間内であれば再受験できます。

※受験料は再度支払いが必要です。

 

講義動画は、スマホやPCで繰り返し視聴できるので、忙しい保育士さんでも学びやすいでしょう。動画を見て、すぐに現場で生かせる実践的な内容も魅力です。

資格取得方法の詳細については、こちらをご覧ください。

発達障害支援士資格の取得」(日本発達障害支援協議会)

 

発達障害支援士の資格が生かせる職場は?

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発達障害支援士の資格は、子どもに関わるさまざまな職場で役立ちます。

 

  • 保育所・幼稚園・認定こども園
  • 児童発達支援事業所
  • 児童発達支援センター
  • 放課後等デイサービス
  • 小学校(通常学級・特別支援学級)
  • 学習塾・幼児教室
  • 医療機関
  • ベビーシッター
  • 発達障害児のボランティア団体 など

 

発達障害の子どもと関わる際に必要な知識や支援方法が身につくため、保育所であれば加配保育士としての活躍が期待されます。児童発達支援センターをはじめとする児童発達支援関連施設でも、高い専門性を発揮できるでしょう。

そのほか、障害のある子ども向けの学習塾や、ベビーシッターといった道もあり、将来の選択肢が広がる資格といえそうです。

子どもの発達支援に関する職場は、やりがいが大きいことでも知られています。そのため、先に「やってみたい仕事」を見つけて、資格取得のモチベーションにするのもおすすめです。

 

まとめ

発達障害支援士は、子ども(2歳〜10歳)の発達障害に関する知識や、支援方法を身につけるための民間資格です。

資格は認定講座を受講し、認定試験に合格することで取得できますが、講座の内容は実践的で専門性が高く、保育士や教員、発達支援施設職員など専門職の受講者が多い傾向にあります。保育士が取得すれば、発達障害に対する理解力・支援力が高まり、問題行動への対応がよりスムーズになるでしょう。その結果、人事評価の向上やキャリアアップにつながる可能性もあります。

認定講座の標準受講期間は約6カ月ですが、オンラインで完結するため、働きながらでも十分に合格を目指せます。興味がある方は、チャレンジしてみましょう。

   
   

<参考> 

日本発達障害支援協議会 発達障害児支援士

https://hattatsusyougai.jp/shikakunintei-01.html

独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 「令和3年度保育所、認定こども園、幼稚園における特別な支援を要する子どもの教育・保育に関する全国調査 調査結果報告書」 

https://www.nise.go.jp/nc/news/2024/0402

「児童発達支援士講座」(一般社団法人 人間力認定協会)

https://ninkyou.jp/hattatu-license/