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保育士の処遇改善や働き方改革が進み、近年は年間休日が充実した求人も増えてきました。それにともなって、転職時に年間休日を重視する人も多くなっています。

しかし、年間休日は保育園ごとに仕組みが異なるため、日数が多くても希望通りに休めるとは限りません。自分のライフスタイルにあった働き方をするためにも、保育士の休日制度について、きちんと把握しておきましょう。

本記事では、保育士の年間休日の仕組みや最新事情を紹介するとともに、休暇の種類や休みが取りやすい職場の探し方についても解説します。

   

保育士の年間休日とは 

年間休日とはどのような種類の休日で、有給休暇をはじめとする福利厚生の休暇はそこに含まれるのでしょうか。また、保育士の年間休日数は、他の業種と比べて多いのでしょうか。法律も踏まえて、詳しく解説していきましょう。

 

年間休日の定義

年間休日とは、企業や事業所が就業規則で定めた、1年間の休日の合計日数です。

年間休日は、労働基準法に沿った「法定休日」と、事業者が独自で設定する「法定外休日」に分かれており、全社員共通の公休日となります。なお、有給休暇は含みません。

法定休日

労働基準法第35条に基づき、毎週少なくとも1回、または4週間に4日以上の休日が義務付けられている。

法定外休日

(所定休日)

就業規則や雇用契約書に記載された、事業所独自の休日。祝日や創立記念日、事業所全体の夏季休業、年末年始休暇などが法定外休日にあたる。

 

年間休日の最低ラインは105日が基準

労働基準法(32条・35条)で定められた、以下の働き方に沿って計算した場合、年間休日は通常105日になります。

 

  • 1週あたりの労働時間は40時間以内
  • 1日の労働時間は8時間以内
  • 毎週少なくとも1回または4週間に4日以上の休日

参考:「労働基準法第32条、35」(e-GOV法令検索)

 

ただし、次のケースでは、年間休日が105日を下回るケースもあるので注意しましょう。

 

1日の所定労働時間が8時間未満

所定労働時間が18時間未満の場合、上記と同様に「週に40時間まで・4週間に4日以上の休日」の条件で計算すると105日以下になるので、違法ではありません。

 

36協定を締結している

労働基準法第36条に基づき、労働組合と企業が36協定(労使協定)を結んでいる場合は、法定労働時間(原則18時間・週40時間)を超えた時間外労働や、休日労働を依頼することが可能になります。時間外労働の上限は、原則として「月45時間・年間360時間」です。

なお、協定の締結には、労働者の過半数で組織する労働組合、または労働者の過半数を代表する者との同意が必要で、36協定なしの残業や上限超過は法律違反となります。

参考:「労働基準法第36」(e-GOV法令検索)

 

年間休日に含まれない休暇(福利厚生の休暇)

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個人の事情で取得する休暇は、年間休日ではなく「福利厚生の休暇」に分類されます。一人ひとり取得日数が異なる年次有給休暇もここに含まれます。

また、福利厚生の休暇も、法定休暇と特別休暇(法定外休暇)に分かれています。

法定休暇

労働基準法や育児・介護休業法で義務付けられている休暇

・年次有給休暇

・生理休暇

・裁判員休暇

・介護休暇

・介護休業

・産前・産後休業

・育児休業

・出生時育児休業(産後パパ育休)

・子の看護等休暇 など

特別休暇

(法定外休暇)

企業や事業所が任意で設ける休暇

・傷病休暇

・慶弔休暇

・結婚休暇

・個人ごとに取得する夏季休暇・冬季休暇(事業所全体の休暇は年間休日)

・リフレッシュ休暇

・ボランティア休暇

・バースデー休暇

・アニバーサリー休暇 など

 

年次有給休暇以外の休暇は、有給・無給が事業所ごとに異なるため、事前に確認しましょう。産前・産後休業のように、健康保険から手当が支給される休暇もあります。

 

保育士の年間休日は増加傾向にある

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政府は、保育業界の人材不足を解消するための処遇改善や働き方改革を推進しており、保育士の年間休日は増加傾向にあります。

独立行政法人福祉医療機構が行った2022年の調査では、保育士の平均年間休日数は110日でした。しかし、2025年現在のマイナビ保育士の求人では、年間休日120日〜125日の募集も多数見られるようになっています。

一方、厚生労働省が行った2024年度の調査によると、全企業の平均年間休日総数は112日でした。それを踏まえると、保育士の年間休日は企業と同等の水準にあるといえるでしょう。

ただし、保育士の職場はシフト制が多いため、必ずしも希望するタイミングで休みが取れるとは限りません。休日の増加に比例して、残業や持ち帰りの仕事が増える可能性もあります。

さらに、福利厚生の休暇の取りやすさや、休暇中の給与の有無も園によって異なります。そのため、年間休日が少なくても、希望日に休みが取れる園や、プライベートにマッチした休暇制度がある園のほうが働きやすい場合もあるでしょう。

保育士が新しい職場を検討する際は、年間休日数という数字だけでなく、ライフスタイルにあった休暇制度の有無や給与・仕事量とのバランスなども考慮して、総合的に判断することが大切です。

 

参考:

マイナビ保育士 保育士求人一覧」(マイナビ保育士)

2020年度 「保育人材」に関するアンケート調査」(独立行政法人福祉医療機構)

令和6年就労条件総合調査の概況」(厚生労働省)

 

   

保育士も注目したい改正後の「子の看護等休暇」

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「子の看護等休暇」は、育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法によって義務付けられた法定休暇です。

仕事と育児を両立しやすい環境づくりを目的に、202541日から施行された制度で、子どもの病気などの際、年次有給休暇を使わずに休暇が取れる点に特徴があります。

 

子の看護等休暇が利用できる労働者

小学校3年生までの子どもがいる保護者

※週の所定労働時間が2日以下の労働者は、労使協定の締結により除外されることがあります。

 

対象となる子どもの範囲

0歳から小学校3年生修了まで

 

取得事由

  • 子どもの病気、けが
  • 子どもの予防接種、健康診断
  • 感染症による学級閉鎖
  • 入園式、入学式、卒園式の出席

参考:「育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法の2024(令和6)年改正ポイント」(厚生労働省)

 

そのほか、残業免除(所定外労働の制限)など、子育て世代に配慮した制度も増えています。

2022年度の東京都保育士実態調査によると、保育士の約6割が「子どもがいる」と答えています。仕事と育児を両立させるには、育児制度が利用しやすい環境かどうかにも注目する必要があるでしょう。

休暇が取りやすい職場を探すポイントとは?

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休暇が取りやすい職場を探すポイントとして下記が挙げられます。

  • 年間休日120日以上を探す
  • 「完全週休2日制」か「土日休み」で検索
  • ライフスタイルにあった休暇制度
  • 休暇の取得率を確認する
  • 残業時間や持ち帰り仕事もチェック
  • 休日の給与の有無
  • 人員に余裕がある施設が安心

保育士が休みを取りやすい職場を探す時は、以下のポイントを意識しましょう。

 

年間休日120日以上を探す

年間休日120日の目安は、週休2日制に加えて祝日、ゴールデンウィーク、夏季休暇、年末年始休暇がもらえるくらいの水準です。一般企業の平均が112日なので、それより1週間多い計算になります。

 

「完全週休2日制」か「土日休み」で検索

年間休日が120日を超える保育園の多くは、完全週休2日制か土日休みなので、効率的に探せます。ただし、月に1回、2日休みの週があれば、他の週が1日休みでも「週休2日制」と記載できるため、年間休日は少なくなる可能性があります。求人を見る際は、「完全週休2日制」であることを確認しましょう。

 

ライフスタイルにあった休暇制度

保育士の福利厚生の休暇は、充実傾向にあります。慶弔休暇、リフレッシュ休暇など、プライベートに役立つ特別休暇がある園を選びましょう。子育て中の保育士は、子どもの看護等休暇が利用しやすい環境だとさらに有益です。

 

休暇の取得率を確認する

制度があっても、利用できなければ意味がありません。気になる休暇制度や年次有給休暇(有休)の取得率は、事前に確認しておくと安心です。有休の使用期限は園ごとに異なるので、あわせて確認しておきましょう。

ちなみに、2024年の厚生労働省の調査では、年次有給休暇の全産業の平均取得率は65.3%、保育士を含む医療・福祉の平均取得率は66.8%でした。

参考:「令和6年就労条件総合調査の概況」(厚生労働省)

 

残業時間や持ち帰り仕事もチェック

職場によっては、休み分の仕事が残業や持ち帰りに回ってしまうケースもあります。休日取得率と一緒に、残業時間や持ち帰りの実態についても確認しておきましょう。

 

休日の給与の有無

年間休日と年次有給休暇以外の休暇制度は、基本的に給与の支払い規定がありません。休暇の取得で給与が下がる恐れもあるため、休暇制度の給与や健康保険からの保険金(手当)の支払いについては必ず確認しましょう。

 

人員に余裕がある施設が安心

人員不足の園では、36協定で休日が減ったり、特別休暇制度が実質使えない状況になったりするかもしれません。そうならないためにも、職場見学などの機会に、人員に余裕があるかどうかを確認しておくことが大切です。

 

転職時にキャリアアドバイザーに相談してみよう

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書類選考や面談時に、休暇制度や取得状況について深く聞くのは、マイナスな印象を与える可能性があります。確認するにあたっては、直接聞くのではなく、転職エージェントのキャリアアドバイザーに確認を依頼するのがおすすめです。業界に精通したキャリアアドバイザーは、休日事情や最新の福利厚生にも詳しいので、職探しをはじめた時点で相談してみましょう。

まとめ

保育士の年間休日数は増加傾向にあり、一般企業の平均年間休日数より休日が多い保育園も見られます。また、近年は福利厚生の休暇も拡充されています。

しかし、年間休日もそのほかの休暇も園ごとに特徴があり、休みが多いからといって希望する働き方ができるとは限りません。

休日が多い職場を探す時は、年間休日数だけでなく、ライフスタイルにあった休暇制度や休日の給与の有無、実際の取得率などを総合的に判断することが大切です。

   
   

<参考>

「労働基準法第32条、35条」(e-GOV法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-Ch_4

厚生労働省 育児休業制度特設サイト

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/ikuji/point02.html

2020年度 「保育人材」に関するアンケート調査」(独立行政法人福祉医療機構)P80

https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/210316_No015.detail.pdf

「令和6年就労条件総合調査の概況」(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/24/dl/gaikyou.pdf