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転職活動における最大の関門ともいえるのが面接です。保育士としての熱意をしっかりアピールしたいところですが、練習不足で話に詰まったり、思わぬマナー違反をしてしまったりする方も少なくありません。面接でよく聞かれる質問はある程度決まっているため、面接の前に話す内容をまとめることが大切です。

ここでは、新卒時とはまた違った難しさのある、既卒者の転職における面接のポイントをご紹介します。面接での受け答えや逆質問のポイントを知って、面接合格の可能性を高めましょう。

社会人としてのマナーや身だしなみは必須!

新卒であれば「まだ学生だから......」と大目に見てもらえるようなマナーも、既卒者であれば社会人失格の烙印を押されてしまう恐れがあります。遅刻しない、携帯電話の電源をオフにする、姿勢よくハキハキと話すといった最低限のことを、まずはあらためてチェックしましょう。

面接時の服装や身だしなみにも気を遣う必要があります。園の雰囲気にもよりますが、スーツ着用が基本です。「職場から面接に直行するため、着替えられない」という場合も、せめてジャケットは用意しましょう。新卒時に使用したスーツを着る場合、サイズが合っているか、生地が劣化していないかを必ず確認してください。靴も事前に磨いておき、清潔感のある印象を与えられるようにしましょう。

「かなり明るめの髪色でもOK」という園もあるかもしれません。しかし、それまで許されていた髪色が、自分が転職したい園で認められるとは限りません。面接官は「この人が自分の子どもを担当するとしたら?」と保護者のような目線で求職者をチェックすることもあります。自分の髪色の明るさが心配なときは、落ち着いた髪色に変えておくことも一案です。自分の髪色がその園に受け入れられるか知りたいときは、保育園の人事担当者と実際にやりとりしているアドバイザーに確認してもらうのもよいでしょう。マイナビ保育士では、先生一人ひとりに専任のキャリアアドバイザーがつき、髪色や服装をご相談できるので気軽にお問い合わせください。

面接においての受け答えのポイント

保育士の面接では、自分の想いや気持ちを面接官にしっかり伝えるために、会話の受け答えに気を付けるポイントがいくつかあります。同じ内容であっても、答え方によって面接官が抱くイメージは大きく変わるので、気を付けましょう。

ここでは、保育士の面接の受け答え・話し方のポイントを4つ解説します。

結論から話す

面接官に自分の意見を伝えるときは、結論から話すことが大切です。結論から話す際のポイントは、下記の通りです。

    ・話の順番は、「結論→理由(エピソード)→まとめ」
    ・回答は30秒を目安に、分かりやすくまとめる

面接で話す際は、結論を述べた後に理由やエピソードを話し、最後に冒頭に述べた結論でまとめます。話す時間は30秒、長くても1分が目安です。要点をまとめ、分かりやすい言葉で伝えるように意識しましょう。

聞かれたことに的確に答える

面接では、面接官の質問に対して、的確に返答しましょう。面接で的確な回答を行う際のポイントは、下記の2つです。

    ・面接官の質問の意図、何を知りたがっているのかを考える
    ・面接官は「伸びしろ」や「能力」に注目していることを意識する

たとえば、「保育士として働く際に大切にしたいことは?」という質問に対して、「プライベートとの両立」といった答えは不適切と判断されます。面接官は「保育士としてどのような活躍が期待できるのか」ということを尋ねているので、「子ども一人ひとりに合った保育を行うこと」「子どもたちとの信頼関係を築くこと」などの回答が望ましいでしょう。

面接官の目を見てにこやかに話す

面接中の態度やマナーも、採用の重要な判断材料です。下記では、面接中の態度のポイントを紹介します。

    ・姿勢を正し、視線を合わせて話す
    ・保育士に必要な「笑顔」をアピールする

視線を逸らすと面接官に「保育士として、子どもたちと元気に働けるのか」と不安を感じさせます。保育士は子どもや保護者と関わる職業であるため、コミュニケーションの1つとして視線を合わせて話すことが大切です。

また、笑顔も子どもや保護者との信頼関係を築く上で大事です。保育士が笑顔でいることで子どもたちが安心し、のびのびと保育園で過ごせます。しかし、面接中に笑顔がないと「入社後も、子どもや保護者の方と暗い表情で接するのか」と思われかねません。面接ではにこやかに、広角を上げて話しましょう。

明るい声のトーンで、ボリュームを上げてゆっくり話す

面接官に好印象を持ってもらうには、内容だけでなく、話し方も重要です。面接中の話し方のポイントは次の通りです。

    ・いつもより明るい声のトーンを意識する
    ・早口にならないように、落ち着いてゆっくり話す
    ・少し大きめの声で、しっかり話す

面接官とは距離があるので、少し大きめのボリュームでハキハキと話しましょう。緊張していると早口になりやすいので、ゆっくり丁寧に話すことも意識してください。

面接官にやる気を伝えるポイントと回答例

保育士の採用面接でよく聞かれる質問は、以下のような質問が想定されます。回答例を参考に、明るく簡潔な回答を心掛けましょう。

質問 保育士を目指した理由は何ですか?
ポイント 現場で実際に感じた具体的なエピソードを交えて話しましょう
回答例 保育士を目指すきっかけとなったのは、歳の離れた兄弟の世話をしているうちに「子どもに関わる仕事に就きたい」と漠然と考え始め、子どものお世話をして成長を手助けする喜びが忘れられなくなったからです。仕事を通して子どもたちと接していると、楽しいだけではなく時には思い悩むこともありますが、その経験を積むことで保育士として大きく成長できたと実感しております。0歳児から積極的に受け入れている貴園の「小さな命を預かる責任の重さを忘れずに、健やかな成長を見守る」という理念は、私自身の保育に対する信念と通じるところがあると強く感じ、応募させていただきました。
質問 これまでの経歴を教えてください。
ポイント 園が求めている経験・スキルと、合致する部分を積極的にアピール
回答例 5年間保育士として仕事を続けてきた中で多くの子どもたちと触れ合い、大切な成長過程にある子どもたちに関わってきました。3年前の出産を機に退職したものの、自身の子どもと接するうちに「保育士としてたくさんの子どもたちの成長を手伝いたい」という気持ちが再び芽生えるようになりました。
また、子育ての経験を経て、出産前にはわからなかったことがわかるようになりました。それは「子を持つ親の気持ち」です。 今までは保育士としての立場でしか物事を見ることができなかったのだと、親になって初めて気づかされました。「親として子どもを見守る気持ち」「保護者として保育士や保育園に求めるもの」を理解したことで、さらに高いレベルの保育を実践できると確信しています。
質問 あなたの自己PRをお願いします。
ポイント 最初に名前を名乗り、要点を抑えた職務経歴を1分程度で話す
回答例 以前勤めていた保育園では、主任としての立場から保育士15名をまとめていました。「風通しの良い職場づくり」を心がけており、どんなに忙しくても保育士一人ひとりに積極的に声をかけ、月に一度は面談を行ってきました。 女性が多い職場ゆえに、保育士同士のちょっとしたトラブルも頻発します。そんな時は私自身が「すぐに相談できる窓口」として間に入ることで、どちらにとっても良い理解者になるように注力いたしました。 また、保護者と保育士間の連携をスムーズするためにも、送り迎え時の保護者の方の様子をチェックし、気になることがあれば保育士にも伝えるようにしました。
この経験は、貴園の職場の環境作りに活かしていきたいと願っています。
質問 当園を志望した理由を教えてください。
ポイント 園の分析は必須!経験と貢献できるスキルを伝えましょう
回答例 私が貴園を志望した理由は、小規模保育を実践されているところに魅力を感じたからです。以前は園児数が多い大規模園に勤めておりました。たくさんの子どもたちの成長に関わることにやりがいを感じる反面、もっと一人ひとりに寄り添った保育がしたいと考えるようになりました。ホームページで貴園の保育理念を拝見したところ、自分の理想を形にしていると感じました。貴園でならば、子どもにとって大事な時期に家族のように寄り添いながら保育できると思い、この度応募させていただきました。
質問 保育士として心がけていることはありますか?
ポイント 前職で学んだことなど実際のエピソードを交え伝えましょう
回答例 子どもたちは、それぞれ違った個性を持っているので「一人ひとりに適した対応」を心がけています。おとなが真剣に向き合えば、子どもは必ず応えてくれます。健やかな成長を手助けすることは、なにものにも代えがたい喜びであると実感しています。そして、私自身も子どもたちから学ぶことがたくさんあり、一緒に成長していけることもまた保育士としての仕事の醍醐味であると感じています。

基本的な質問に対しては回答例を参考にして、スムーズに答えられるようにしましょう。また、これまでの保育士としての経験を踏まえ、「やる気」や「個性」が伝わるように自信のアピールをする準備をしましょう。

たとえば、志望動機であれば、園のよさをただ羅列するのではなく、「自分が理想とする保育との共通点」や「就職したらどんな保育がしたいか」といった点を盛り込みながら答えることで、説得力のある内容となります。なお、保育士を目指した理由や心がけていることなどは、抽象的な内容になる傾向にあるため、注意が必要です。

採用担当者はあなたの仕事への価値観や、どんなときにモチベーションや、やりがいを感じるのかを知ろうとしています。既卒者だからこそ話せるエピソードや、現場で困難や挫折を乗り越えて感じた具体的なエピソードなどを伝えるようにしましょう。自分のポリシーや保育観を持ちつつ、周囲の保育士とコミュニケーションを図って仕事を進められることを伝えると、より好印象です。

逆質問は何を聞けばいい?ポイントと質問例を紹介!

逆質問とは、面接官に「質問はありませんか?」と聞かれることです。

逆質問の時間は、事前に保育園について調べたときに感じた疑問や、面接中に疑問に感じたことを質問できるよい機会です。また、面接前に用意していた質問をすることで、面接官に好印象を与えられる可能性もあります。

ここでは、逆質問のポイントと、質問例を紹介します。

逆質問の意図とは?

面接官が逆質問をする意図には、次のような理由があります。

    ・園へ対する興味や熱意を確認したい
    ・不安や疑問を解決し、納得してもらいたい
    ・コミュニケーション能力を見極めたい
    ・応募者の個性や性格を知りたい

逆質問の内容によっては、「保育士としてやる気がある」「保育園への意欲が高い」など、プラスに評価される可能性もあります。また、園に対する不安や疑問を解消し、ミスマッチを防ぐことにもつながるので、逆質問の時間をぜひ有効に活用してください。

逆質問をするときに気を付けるポイント3つ

逆質問では、質問内容にいくつか注意するべきポイントがあります。

・「特にありません」「大丈夫です」はNG
逆質問をしなければ、「保育園に対する関心が低い」と捉えられてしまう可能性があります。面接官の印象に残るためにも、逆質問をあらかじめ用意しましょう。
・調べて分かることは聞かない
保育園のホームページを見れば分かることを質問すると、面接官から面接の準備不足とみなされます。逆質問では、調べた内容を深掘りするような内容にするとよいでしょう。
・雇用条件について直接的に質問しない
「残業は多いですか」といったストレートな質問をすると、条件面だけで保育園を選んでいると判断される恐れがあります。どうしても質問をしたいときは、「子どもがいるので、17時頃までには退勤したいのですが」など、理由を添えて質問をするとよいでしょう。

与えたい印象別!逆質問の質問例

逆質問では、面接官が「はい」や「いいえ」で答えられる質問ではなく、会話につながる質問をしましょう。質問から会話が続くと、面接官にコミュニケーション能力が高い印象を与えられる可能性もあります。

以下は、面接官に伝えたい意図別の質問例です。

やる気を伝える逆質問
貴園で活躍するために、事前に学ぶべきことはありますか?
貴園は年間を通してイベントが充実していますが、特に子どもたちが楽しみにしている行事があれば教えていただきたいです
自己の特技・魅力を伝える逆質問
アメリカに留学経験があり、英語が話せます。貴園でお役に立てることはありますか?
以前勤めていた保育園では絵画教室を担当し、コンクールにも積極的に応募しておりました。貴園では創作活動について、どのような取り組みに力を入れていますか?
就業意欲を伝える質問
キャリアアップを目指すために、取得するべき資格や、努力するべきことはありますか?
出産後も貴園で働きたいと考えております。小さなお子さんを育てながら働かれている先生や、産休や育休を取った先生はいらっしゃいますか?

面接の事前準備で大切なことは?

面接は、履歴書や職務経歴書を書くほかにも、さまざまな事前準備が必要です。

保育士の面接では、清潔感があるメイクや髪型といった基本的な身だしなみ以外にも、気を付けるべき点がいくつかあります。保育園の面接官に好印象を持ってもらうためにも、しっかりと準備を整えて面接に臨みましょう。

ここでは、面接の事前準備のポイントを3つ解説します。

面接の練習は「口に出してみる」ことが大切

面接の練習をするとき、「紙に書いて暗記すると、本番で頭が真っ白になりそう」という方は、まずおおまかな内容を頭に思い浮かべましょう。ただし、「声に出して回答する」というプロセスは必ず経験したほうがいいです。

すらすら答えられると思っていたことが、口に出してみるとまとまった文章になっていなかったり、意外な単語が出てこず言葉に詰まってしまったりすることもあるからです。

保育園の情報をしっかり確認する

求人情報の詳細や保育園のホームページ、パンフレットを確認し、園の特徴を理解した上で面接に臨みましょう。自分に合った職場で働くためにも、応募する保育園の情報を収集することは大切です。

保育園からの配布資料にはすべて目を通し、保育方針や理念、園長のメッセージなど、細部まで確認します。ホームページから保育園のパンフレットを取り寄せることができる場合は、面接前に請求して読み込みましょう。

実際に現地に出向き、保育園の様子や周辺環境を確認することもおすすめです。ただし、インターネット上の口コミは、正確性を判断しづらいため、一個人の意見として参考程度に留めましょう。

保育に関するニュースについて調べておく

保育士の面接では、保育への興味・意欲や、応募者の主体性を見極めるために、時事ニュースについて質問されることもあります。

面接前に新聞やニュース、厚生労働省のホームページなどを確認し、保育に関する法律の改正や、保育業界にまつわる情報を収集しておきましょう。日頃から自分の意見を考えておくと、面接時のとっさに質問にも、落ち着いて答えられます。

ピアノの練習

保育園によっては、事前に楽譜を渡されて、面接時にピアノ演奏をすることもあります。保育士資格の取得にピアノの技術は必須ではないものの、実際の保育現場では、子どもたちの感受性や協調性を育てるために、音楽に合わせた活動が盛んに行われています。ピアノを弾ける保育士は、保育園からも歓迎される傾向です。

保育園のピアノの試験は、演奏スキルを披露するものではないので、アレンジを加えたり、子どもが困るような弾き方はマイナスポイントになります。実際に子どもが歌えるような、楽しい雰囲気でピアノを弾くことが大切です。多少の失敗は気にせずに、最後まで楽しく弾くことを心がけましょう。

キャリアアドバイザーからのコメント

面接対策に不安が残るときは、マイナビのキャリアアドバイザーにご相談を! 対面での面接練習をじっくり行うことで、「よりよい印象を与える話し方」「誤解されない伝え方」を習得することができます。時間がないときは電話での面接練習もできますので、まずはお気軽に問い合わせください。