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保育士の処遇改善加算が、令和7年度(2025年度)に大きく変更されました。これまでの課題をふまえて、3つに分かれていた加算制度が一本化され、内容がわかりやすくなったことで事務負担も大幅に軽減されます。
この記事では、保育士の処遇改善加算制度の基礎知識と一本化された理由、変更された新ルールについてわかりやすく解説します。
保育士の処遇改善加算とは
保育士の処遇改善加算は、保育士不足の解消や保育の質の向上を目指して、内閣府が保育施設に支給する補助金制度です。
正式名称を「保育士等の処遇改善等加算」といい、平成25年(2013年)のスタート以来、保育士の賃金改善やキャリアアップにおいて一定の成果を上げてきました。
保育士等の処遇改善等加算の概要
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目的 |
保育士の職場環境の改善、賃金改善、保育の質の向上 |
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対象者 |
非正規を含むすべての職員、職務分野別リーダー、副主任や専門リーダー |
保育現場では「処遇加算手当」と呼ばれ、勤務年数に応じた昇給やキャリアアップ研修を修了したリーダー的職員の役職手当、職場の環境改善費用などにあてられています。
保育士等の処遇改善の推移
保育士の処遇改善に向けた制度の予算は、年々拡充されています。特に令和6年度は人事院勧告(民間保育士の給与を公務員に準じて引き上げるとした勧告)によって、大幅な予算アップとなりました。

出典:「令和7年度以降の処遇改善等加算について」(こども家庭庁)をもとにマイナビ保育士で作成
保育士の平均賃金の推移
処遇改善手当の予算の推移に応じて、保育士の平均賃金も順調な伸びを見せています。全産業の平均賃金との差はまだありますが、処遇改善制度の後押しと近年の伸び率を考えると、今後に期待できる状況といえるでしょう。

出典:「令和7年度以降の処遇改善等加算について」(こども家庭庁)をもとにマイナビ保育士で作成
これまでの処遇改善等加算の課題

前述したように、保育士の処遇改善等加算はこれまで一定の成果を上げてきましたが、現場からは運用のしにくさも指摘されていました。
制度・算出方法が複雑でわかりにくい
従来の処遇改善等加算はⅠ、Ⅱ、Ⅲの3つの制度に分かれており、趣旨や対象者、要件、加算額の算定方法などがそれぞれ異なるため、制度の把握や確認に時間がかかっていました。
要件を満たすのが難しい
規模や職員の配置状況は事業所ごとに異なるため、「要件を満たせない」というケースがありました。「1人以上賃金改善4万円を配分」の対象となる職員を確保できない、経験年数などの要件を満たせる人材がいない、研修の受講機会が用意できないなどが、その主な理由です。
申請や報告にかかる事務作業が多い
加算額を確実に賃金改善にあてるため、加算制度ごとに計画書・報告書の提出が求められ、多くの事務作業が発生していました。また、そうした事務作業は申請する事業者はもちろん、確認する自治体にとって大きな負担となっていました。
ちなみに、Ⅰ〜Ⅲの加算制度すべてに申請する場合、必要書類は23種類におよびます。実績報告書は最大9枚、認定申請書や賃金改善計画書、賃金改善明細なども、それぞれの制度ごとに作成する必要があります。
令和7年度から始まった新たな処遇改善等加算には、上記のような課題の解決策が多く盛り込まれています。より活用しやすくなったことで、実施できる事業者も増えていくでしょう。
※保育士等の処遇改善加算について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
ほいくらし「保育士の処遇改善手当、私はもらえる?対象者や金額、課題について解説」
令和7年度から処遇改善等加算が一本化

出典:「令和7年度以降の処遇改善等加算について」(こども家庭庁)をもとにマイナビ保育士で作成
新制度では、次のような変更が行われています。
Ⅰ・Ⅱ・Ⅲを1本化して「3つの区分」に整理
これまで3つに分かれていた処遇改善等加算(Ⅰ〜Ⅲ)が1つにまとめられ、「3つの区分」として整理されました。複雑だった制度がわかりやすくなったほか、必要書類も半分程度になるなど大幅な簡略化が図られています。
1本化のメリット
- 申請・計画書・報告書などが統一され、一括申請・報告が可能になり、事務負担が軽減された
- 処遇改善等加算Ⅰ(賃金改善)とⅢ(賃金ベースアップ)を統合し、賃金改善の仕組みが明確になった
- 柔軟な職員配置と賃金分配が可能になった
質の向上分(旧制度Ⅱ)の配分ルールを変更
旧制度では、副主任・専門リーダー・分野別リーダーに「1人以上4万円を配分する」ことが要件でしたが、新制度ではこれが撤廃され、「1人4万円を上限に、施設の判断で柔軟に配分できる」ようになりました。
配分対象も拡大され、「年度内に研修修了で、副主任等に準ずる職位や職務命令を受けている者」も対象となっています。
キャリアパス要件による減率の撤廃
旧加算Ⅱで設定されていた「キャリアパス要件を満たさない場合は−2%の減率」という仕組みが廃止され、区分①(基礎分)の必須要件として位置づけられました。
キャリアパス要件とは、研修の実施や機会の確保、研修効果のフィードバック、資格取得支援などを指し、これを必須要件とすることで、各施設におけるキャリアパスの構築促進が期待されています。
賃金の改善方法の統一
旧制度では加算制度の種類ごとに算出方法が異なっていましたが、施設の実情や負担を考慮して、以下のように統一されました。
- 区分②(賃金改善分)と区分③(質の向上分)の合計額から2分の1以上を「基本給」および「決まって毎月支払われる手当」で改善する
- 残りの2分の1以下は、賞与や一時金での支払いも可能とする
賃金改善の確認方法の変更
事業所における賃金改善の確認は、区分②と③をまとめて、以下の2点から実施されます。
- 処遇改善等加算(区分②・区分③)の加算額以上の賃金改善が行われているか
- 前年度より賃金水準が引き下げられていないか
また、特別な事情がある場合は、「労使の合意のもと、必要最低限の範囲で引き下げを認める」とされています。
あわせて、「定期昇給相当額」の特定が追加された点にも注目です。定期昇給相当額とは「毎年◯月に基本給から◯%アップ」というように、定期昇給として施設の賃金規定などから算出するものです。
※令和7年度からの保育士等の処遇加算等制度の詳細については下記資料をご覧ください。
こども家庭庁「令和7年度以降の処遇改善等加算について」
こども家庭庁「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について」
新たな処遇改善等加算のポイント

こども家庭庁は、令和7年度以降の政策の方向性について、以下の項目を掲げています。
目標
- 処遇改善を通じて他職種と遜色ない処遇を実現する
取り組みの方向性
- 民間給与動向等をふまえた処遇改善
- 経営情報の継続的な見える化の推進
保育士等の処遇改善
- 民間給与動向などをふまえ、さらなる処遇改善の取り組みを進める
- 処遇改善の効果が現場の保育士に行き届くように、経営情報の見える化などの取り組みを進める
処遇改善加算の一本化と活用促進
- 3つの加算を一本化し、基礎分、賃金改善分(ベースアップ等)、質の向上分(リーダー層の改善)の3区分に整理する
- 配分ルールの簡素化や実績報告の一元化等を実施し、活用を促進する
経営情報の継続的な見える化
- 保育所は、各年度の経営情報(収支計算書、職員給与の状況など)を都道府県に報告する
- 都道府県は、モデル給与や人件費比率などを個別施設・事業者単位で公表するとともに、経営情報の集計・分析と結果公表に努める
令和7年度の制度変更は大きなものでしたが、今後も課題を検証しながら、保育士にとってよりよい方向に環境づくりが進められる見込みです。
出典:「令和7年度以降の処遇改善等加算について」(こども家庭庁)をもとにマイナビ保育士が一部抜粋・編集
保育士の待遇アップは今後も期待大

処遇改善等加算制度によって賃金や待遇の改善が行われ、保育士の将来性に大きな期待が持てるようになりました。職務分野別リーダーやミドルリーダーなど、キャリアアップにつながる役職も増え、知識やスキル、経験に応じた手当も支給されます。
共働き家庭や障害児の増加による保育ニーズの拡大や、「他業種と遜色ない処遇を実現する」という政策目標からみても、今後も制度は拡充され続けると考えてよいでしょう。
ただし、処遇改善等加算制度の実施や配分は所属施設に委ねられているため、制度の恩恵を受けるには職場の運用状況を把握することが重要です。キャリアアップや給与アップを目指すなら、研修体制が整い、処遇改善加算を積極的に利用している施設を選びましょう。
現状を変えたいと感じている人は、保育業界専門のキャリアアドバイザーに相談するのも一つの方法です。業界に精通したキャリアアドバイザーは、キャリアプランの相談から応募先の待遇確認、最新の業界動向の収集まで、心強いパートナーになるはずです。まずはマイナビ保育士の無料相談で試してみましょう。
まとめ
保育士の待遇改善に貢献してきた処遇改善等加算制度が、令和7年度から大幅に変更されました。
従来の制度は一定の成果を上げていた一方で、「複雑でわかりにくい」「要件を満たせない事業所がある」「申請や報告にかかる事務負担が大きい」といった課題がありました。新制度では、そうした課題を解消しつつ、制度の1本化によってわかりやすさと柔軟性を両立しています。
今後も、保育士の処遇改善加算は拡充を続け、より働きやすい環境につながっていくと考えられます。制度を積極的に活用している職場を選び、理想のキャリアプランを実現させましょう!
<参考>
こども家庭庁 令和7年度以降の処遇改善等加算について
こども家庭庁 国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策の重点事項
こども家庭庁 施設型給付費等に係る処遇改善等加算について
こども家庭庁 処遇改善等加算Ⅰ~Ⅲの一本化について





