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保育士を引退するときや転職をするときは、退職金が気になりますよね。とはいえ、保育士のみなさんのなかには、「いくらもらえるのか知らない」「そもそも退職金もらえるの?」という人も多いのではないでしょうか?

実は保育士の退職金は、職場の運営元や雇用形態、勤続年数などによって仕組みが異なり、制度の有無や金額もそれぞれです。

今回は、公立保育園と私立保育園における保育士の退職金を試算しつつ、退職金の基礎知識や確認方法などについて解説します。

 

   

保育士の退職金の有無は運営元で違う

保育士の退職金制度の有無は、勤務先の運営会社によって異なります。大まかな目安は以下の通りです。

 

保育施設の種類

運営

退職金の有無

公立保育園

地方自治体

地方自治法に基づいた退職手当制度あり

私立保育園

社会福祉法人

義務ではないが多くの法人が退職手当共済に加入している

民間企業

退職金制度を導入している場合のみ支給

 

地方自治体が運営する公立保育園では、地方公務員の退職手当制度が適用されます。

私立保育園の場合、退職金に関する法的義務はありませんが、運営が社会福祉法人であれば、多くの法人が社会福祉施設職員等退職手当共済制度に加入しています。そのため、支払われる可能性は高いでしょう。

一方、株式会社などの民間企業の場合は、退職金制度を導入していない会社も珍しくないので、確認が必要です。

 

保育士の退職金シミュレーション【公立保育園】

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公立保育園の保育士の退職金は、地方公共団体の条例と公務員の算定式に基づいて支給されます。ただし、勤務期間や懲戒免職などで支給が制限されるケースもあるので、そのあたりの条件も把握しておきましょう。

 

退職金がもらえる条件

勤続1年以上であること(勤続6か月以上は切り上げで1年とみなされます)

 

退職金の計算式

公立保育園の保育士の退職金は、以下の算定式で求められます。

退職手当額 = 基本額 + 調整額

  ・基本額 = 退職日給料月額 × 退職理由別・勤続年数別支給率

  ・調整額 = 在職期間中の貢献度に応じた加算額(調整月額のうち、その額が多いものから 60 か月分の額を合計した額が支払われる)

 

退職理由や勤続年数で金額が変わる「支給率」と、役職や特別な功績で加算される「調整額」に注意して計算しましょう。

支給率も調整額も自治体ごとに異なるので、所属する自治体のホームページなどで正確な金額を調べることが大切です。なお、調整額は棒給表の級数ごとに月額が決められています。

 

退職理由別・勤続年数別支給率の例(勤続年数1年ごとに計算)

勤続年数

自己都合退職

定年・勧奨退職

整理退職

(会社都合退職)

1年

0.6

1.0

1.5

5年

3.0

5.0

7.5

10年

6.0

10.0

15.0

15年

12.4

19.375

23.25

20年

23.5

30.55

32.76

24年

31.5

38.87

39.624

25年

33.5

41.34

41.34

出典:「地方公務員の退職手当制度について」(総務省)

 

勤続年数ごとの保育士の退職金【公立保育園】

退職金は、長く勤続した人ほど金額が高くなり、多くの自治体では定年退職より自己都合退職の方が安くなるように設定されています。

総務省の支給率を参考に、保育士の退職金の目安を勤続年数ごとにシミュレーションしてみましょう。

 

【退職時の給与月額25万円、自己都合退職の場合】※調整額は含まず

勤続年数

計算式

退職手当額(基本額)

1年

25万円×0.6

15万円

5年

25万円×3.0

75万円

10年

25万円×6.0

150万円

15年

25万円×12.4

310万円

20年

25万円×23.5

587.5万円

24年

25万円×31.5

約787.5万円

25年

25万円×33.5

約837.5万円

 

この表はあくまで参考であり、実際は勤続年数が増すごとに昇給があります。また、勤続10年以上からは役職に応じた調整額も上乗せされます。

公立の保育士(地方公務員)の退職金の平均額は、2023年時点で約1,165万円ですが、現在は保育士の平均給与が上がっているため、それ以上の金額が期待できるかもしれません。

 

保育士の退職金シミュレーション【私立保育園】

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私立の保育園は、退職金制度の法的義務がないので、退職金の有無は運営元によって異なります。

 

退職金がもらえる条件

私立保育園で退職金が支給されるのは、以下のどちらかのケースです。転職する際は必ずチェックしておきましょう。

 

企業型の退職金制度を導入している

運営元の企業が退職金制度を導入している場合は、要件を満たすことで退職金が支給されます。ただし、支給条件(勤続年数、勤務形態など)や、貢献度による加算といった詳細は企業ごとに異なります。

退職金制度の詳細については、就業規則や雇用契約書に記載されるのが一般的です。民間企業の退職金制度には、分割で受け取れる企業年金制度や運用形の確定給付企業年金など、さまざまな形があるので、あらかじめ確認するようにしましょう。

なお、企業によっては、下記の退職手当共済制度に加入している場合もあります。

 

社会福祉施設職員等退職手当共済制度に加入している

運営元が社会福祉法人であれば、独立行政法人福祉医療機構が運営する、社会福祉施設職員等退職手当共済制度に加入している可能性が高いでしょう。

この共済に加入していれば、勤続1年以上から退職金を受け取れます。また、同じ共済に加入している施設に転勤した場合は、退職金受け取りの際に勤続年数の合算もできます。

 

退職金の計算式

民間企業の退職金制度と、社会福祉施設職員等退職手当共済制度に分けて、退職金の計算式を紹介します。

 

民間企業の退職金計算式

最も代表的なものは、「退職金額 = 退職時基本給 × 勤続年数別支給率」ですが、他にも役職や貢献度を反映するポイント制や、あらかじめ設定した算定基礎額を利用するテーブル制などの計算方法があります。

 

社会福祉施設職員等退職手当共済制度の計算方式

退職前6か月の平均月額給与をベースに設定された計算基礎額、退職理由別の被共済職員期間、支給乗率を使って計算します。

 

退職手当金=計算基礎額×支給乗率

 

詳しい計算資料として、「社会福祉施設職員等退職手当共済制度マニュアル」がありますが、独立行政法人福祉医療機構ホームページの「退職手当金計算シミュレーション」を使うと便利です。

 

勤続年数ごとの保育士の退職金【私立保育園】

ここでは、社会福祉施設職員等退職手当共済制度を取り上げて、勤続年数ごとの退職金シミュレーションをみてみましょう。

 

【退職時の給与月額(計算基礎額)25万円、自己都合退職(普通退職)の場合】

被共済職員年数

退職手当額

勤続1

13万円

勤続5

65.3万円

勤続10

130.5万円

勤続15

269.7万円

勤続20

511.1万円

出典:「(新乗率)退職手当金早見表」(独立行政法人福祉医療機構) 

 

こちらも退職前6か月の平均給与がベースになるため、月額給与が高いほど高額になります。私立の保育士も、経験が長くなるほど給与が上がるのが一般的なため、実際の金額は上記より大きなものになるでしょう。

この共済制度では、退職理由が「業務上死亡・傷病」でない限り「普通退職」となり、役職や功績などの反映もありません。計算がシンプルなことに加えて、就業規則や役職の影響を受けにくいので、引退時や転職時にも大まかな退職金を意識しやすいでしょう。

 

   

保育士が知っておきたい退職金の基礎知識

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退職金の支給額は、計算式以外にもさまざまな要素が絡み合って決定されます。企業によっては、独自の決まりごとを設けているケースもありますが、多くの退職金制度に共通する基本的な知識を身につけておくと便利です。

 

雇用形態

多くの退職金制度は正社員が対象です。パート・アルバイトの形態で働いている場合は、支給されないケースがあるので気をつけましょう。

 

勤続年数・給料・退職理由の影響

退職金は、勤続年数・月額給与・退職理由などによって変動します。退職を考えるときは、勤続何年から退職金が支給されるのかを調べ、なるべく昇給した後のタイミングでやめた方が有利です。

また、自己都合退職は支給額が低くなるケースが多いので、職場側の都合で退職に至った場合は、書類申請の退職理由を必ずチェックしましょう。

 

退職金の基準は「基本給」

保育士の給与は、残業代や特別手当などを含めた総支給額で考えることがほとんどですが、退職金の計算基準はあくまで「基本給」です。退職金を意識して転職するなら、基本給が高い職場を選ぶとよいでしょう。

 

退職金の税金

退職金は、給与と同じように課税対象であり、所得税や住民税が差し引かれます。ただし、勤続年数ごとに一定額まで非課税となる、「退職所得控除」という制度があるので覚えておきましょう。

 

勤続年数20年以下の場合の控除額計算 

  • 勤続年数×40万円=退職所得控除額

※80万円に満たない場合には80万円

 

勤続年数20年を超える場合の控除額

  • 800万円+70万円×(勤続年数−20年)=退職所得控除

なお、勤続10年の場合は400万円以内まで、勤続20年の場合は800万円以内まで非課税となります。

 

退職金の支給時期

退職金の支給時期は、条件によって異なるので注意しましょう。公立保育園の場合は、退職から原則1か月以内に支払われますが、私立で退職手当共済制度加入の場合は退職から23か月後になる場合もあります。

民間企業の退職金制度では、就業規則に支払い時期が明記されているので、総務担当者などに確認しましょう。

 

請求手続きが必須

退職金は請求手続きをしなければ支給されません。職場がやってくれるとは限らないので、事前に確認しておくことが大事です。ちなみに労働基準法上、退職金の請求期限は退職日から5年と決められています。忘れないように気をつけましょう。

退職金が受け取れないケース

退職金制度があっても、以下のようなケースでは支給されないことがあります。

 

  • 適用の対象外
  • 規定の勤続年数に満たない
  • 自己都合退職による大幅減額
  • 懲戒解雇による不支給または減額
  • 運営側の経営悪化

 

退職金について確認する方法

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退職金はその後の生活を支える大切なものです。そのため、雇用主には制度の有無や、支給の要件などについての説明が義務付けられています。

退職金について知りたい場合は、下記の書類や情報をチェックしてみましょう。

  • 求人票の退職金制度の記載
  • 就業規則の退職手当条例  公立保育園の場合は自治体の公務員退職手当条例
  • 雇用契約書の退職制度
  • 退職金共済制度の加入状況

 

職場に知られずに詳しいことを確認したい場合は、転職エージェントのキャリアアドバイザーが頼りになります。まだ転職に悩んでいる段階でも相談できるので、お願いしてみましょう。業界に詳しく、待遇交渉や情報確認にも慣れているアドバイザーなら、退職金という繊細な情報もきちんと確認してくれます。

あわせて、勤続年数が退職金につながる職場や待遇アップを目指せる職場について、相談してみるのもよいでしょう。

 

まとめ

保育士の退職金は職場ごとに違います。公立保育園の保育士は地方公務員の退職金制度が適用されますが、私立では社会福祉施設職員等退職手当共済制度か、民間企業の退職金制度への加入が必要です。

退職金の試算は、それぞれの制度にあった計算式で行えますが、勤続年数や退職理由などさまざまな要因で変動するので、あくまで目安と考えるのがよいでしょう。

退職金を考えるにあたって大切なのは、職場の退職金制度の仕組みを理解し、支給を受けるための基礎知識を身につけることです。就業規則や制度の確認が難しい場合は、転職エージェントのキャリアアドバイザーが頼りになります。この機会に、退職金について真剣に考えてみてはいかがでしょうか。