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家庭の事情や個人的な理由から保育士から離れていた保育士資格保有者は、「パート保育士」という働き方を始めることができます。パート保育士であれば都合のよい時間帯だけ仕事ができ、一定の収入を確保も可能です。フルタイムの正社員として働くことが難しい介護や育児をしている方も安心して仕事に復帰できるでしょう。

今回は、保育士のパート時給やパート保育士と正社員の待遇や仕事内容の違いなど、職場復帰や転職に役立つ情報を紹介します。

パート保育士の仕事内容|正社員保育士とどこが違う?

二人の保育士

パート保育士の主な仕事内容は、保育補助です。正社員同様に園児が行う活動全般を支援しますが、責任範囲が異なります。正社員のように担任を担当する可能性は低く、片づけや掃除、室内活動や行事の準備といった補助業務が中心です。

保育士のパート社員・正社員の違いは、応募資格にも見られます。保育士資格を持たない主婦でも、自治体ごとの研修を受講することにより、保育補助の仕事に就くことは可能です。これは、パート保育士の中でも、子育て支援員に特化した内容にあたります。保育士パートの求人情報に「資格必須」「有資格者」の記載が見られる場合、子育て支援員認定者の申込みはできません。パート保育士の求人数は資格保持者向けの方が、雇用形態の選択肢も豊富です。

さらに、保育士のパート求人に見られる仕事内容は、施設の状況にも左右されます。 保育士の人数に余裕がある施設では、子どもたちと関わる仕事の分量が少なく、クラス担任の補助や雑務などを主に担当します。職員不足が深刻な施設では、登園や降園、保護者の対応・食事の補助・室内活動など、正社員と変わらない業務を任されることもあります。

パート保育士の給料・社会保障・働き方はどうなっているの?

ライフスタイルに応じた働き方に魅力を感じる反面、保育士パートの給料水準や社会保険に関して、不安を持つ方もいることでしょう。ここからは、パート保育士に対する処遇の実態をご紹介します。

保育士業界に限ったことではなく、労働力不足問題に対する解決策として、パート・アルバイトや派遣社員、臨時職員など、多様な働き方を受容する動きが高まっています。一度保育士の仕事から距離を置いた方でも復帰しやすい環境が整備されつつあります。

パート保育士の平均時給・ボーナスについて

給与明細と給与

保育士のパート時給は、勤務地や保有スキルに応じて異なります。全国的には、900円から1,200円程度が相場です。保育士資格を有する方や認定こども園など特殊な実務経験者に対しては、上乗せ支給がなされることもあります。

求人検索を行う時には、時給と合わせて各種手当を確認しましょう。通勤手当など時給とは別に支給されるお金の有無でも、月給ベースの手取り額が変わります。保育士のパートには、ボーナスを支給しない事業所が大半です。経営者の方針によっては、寸志程度の賞与支給がなされるケースもあるため求人要項は詳細まで確認が必要です。

なお、保育士全体としては、2017年実績値で月額約32,000円(2012年比)の処遇改善が見られます。厚生労働省は、さらなる処遇改善を進める方針です。新たな財源として技能・経験に応じた処遇加算が導入された場合には、最大4万円の上乗せが見込まれます。処遇に不満を抱えて離職し、ブランクの長い保育士であっても、条件のよい職場への再就職が可能です。

パート保育士の社会保険・雇用保険・有給休暇について

雇用保険被保険者証

保育士のパートに対する社会保険(健康保険・厚生年金)・雇用保険・有給休暇は、次のように適用されます。

〇社会保険(健康保険・厚生年金)

健康保険や厚生年金の保険料は、労使折半にて支払います。保険料の半額は雇用者の支払いとされ、自己負担分より多くの保障を得られる点から、メリットの大きな制度です。 次の条件をすべて満たす保育士のパートであれば、健康保険・厚生年金に加入できます。

・週20時間以上の所定労働時間であること
・月額賃金8.8万円以上であること
・1年以上の継続雇用見込みがあること
・従業員数501人以上の会社で働くこと
・500人以下の会社では、社会保険に関する労使間の合意がなされること

〇雇用保険

雇用保険とは、失業・就業不能状態に陥った時、生活基盤の維持や再就職に要する技能の習得、再就職先の紹介などを行うものです。以下2点を満たすパート保育士は、雇用保険に加入できます。

・1週間の所定労働時間が20時間以上であること
・1年以上雇用される見込みがあること

〇有給休暇

パート保育士として雇用契約を結び、半年以上が経過すると、有給休暇を取得する権利が発生します。

所定労働日数によって付与される年次有給休暇の表

(引用:厚生労働省労働基準情報「労働基準行政全般に関するQ&A」 https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyungyosei06.html

働き方改革法案の成立により、年10日以上の有給休暇を取得する権利がある労働者には、雇用者の方から日程を指定し、最低5日以上の取得を義務づけることとなりました。この法案は、2020年4月から施行されます。条件を満たすパート保育士も、対象となります。

パート保育士の勤務時間について

パート保育士は、1日あたり4〜6時間程度の短時間勤務を行うことが一般的です。パート保育士の勤務時間は求人によって異なるものの、正社員の保育士の人数が不足している時間帯に数時間、働くケースが多いといえます。下記は、マイナビ保育士に掲載されているパート保育士求人の例です。

・9時〜18時の時間帯で4時間以上、週2日から相談可能
・8時〜19時の時間帯で5〜6時間以上、週3〜4日から相談可能
・16時〜19時の3時間、週3日から相談可能

求人によっては、正社員の保育士と同じぐらいの時間で働くスタイルもあります。長時間働くパート保育士には「8時〜19時の時間帯で8時間以上」など、正社員の保育士に準じた勤務時間を適用することが一般的です。

パート保育士として働くメリット・デメリット

保育園の様子

働き方が多様化する現在、あえて正社員の保育士ではなく、パート保育士として働くキャリアを選択する方もいます。パート保育士と正社員の保育士にはそれぞれ特有のメリット・デメリットがあるため、正しい知識をもとに、自分に合う働き方を検討しましょう。

パート保育士として働くメリット・デメリットは、下記の通りです。

<メリット>

・勤務日数や時間帯を自分自身で決められる
・「土日祝休み」「早番固定シフト」などの条件で働きやすい
・応募要件が「未経験歓迎」「ブランクOK」「無資格可」の求人を探しやすい
・クラス担任を任されることが少ない
・残業や持ち帰り仕事が発生しにくい

パート保育士を選択すると、家事や育児と仕事を無理なく両立し、保育士の仕事を続けることが可能です。また、パート保育士はクラス担任を任されることが少ないため、保護者対応の負担を感じずに済みます。

<デメリット>

・保育補助業務を任されるケースが多い
・基本的には時給制で働くため、給料が安定しない
・保育方針などに関する自分の意見を打ち出しにくい

パート保育士の仕事内容は職場によって異なるものの、正社員ほど頻繁に子どもたちと関わる保育業務を担当できないケースもあるでしょう。また、パート保育士は保育方針などに関して意見しにくい可能性があり、物足りなさを感じる方もいます。

パート保育士の求人情報の探し方

パート保育士の求人情報は、ハローワークや求人サイトで探せます。保育士の就職・転職に特化した求人サイトを活用すると、自分自身の希望条件に合う職場と出会える可能性が高まるでしょう。

ここでは、求人情報の探し方別の特徴や、希望条件に合う職場を探すコツを解説します。

ハローワークに行く

ハローワークとは、厚生労働省が管轄し、都道府県労働局が運営している公的な施設です。ハローワークではパート保育士や正社員の保育士の求人を扱っており、希望条件に合う情報を探せます。

ハローワークを活用するメリットは、採用活動に多くの予算をかけられない小規模保育園を見つけられる可能性があることです。ただし、ハローワークで探せる求人情報には助成金目当ての「ダミー広告」が混ざっているケースもあるため、注意しましょう。

また、常時ハローワークで見つかる求人情報には、人員不足が深刻だったり福利厚生制度が充実していなかったりする保育園が混ざっていることがあります。ハローワークからパート保育士の求人に応募する時には、保育園の状況や待遇を十分に確認してください。

保育士に特化した求人サイトを使う

求人サイトとは、求人情報を探す方と人材を募集する施設の間に入って、双方の需要に応えてくれるサービスです。求人サイトを活用すると効率的に、自分が求める勤務地・給与・雇用期間の条件を満たした求人募集を探せます。

より効率的にパート保育士の求人情報を探すためには、保育士に特化した求人サイト「マイナビ保育士」をぜひご活用ください。マイナビ保育士では、キャリアアドバイザーが希望条件に合う求人をご案内する「転職支援サービス」も提供しております。

マイナビ保育士の転職支援サービスは、求人情報のご案内から面接日程の調整、内定後の勤務条件確認まで、きめ細かなサポートを提供することが特徴です。キャリアアドバイザーと二人三脚の就職・転職活動を行うことで、満足度の高い職場を選択してください。

保育士としてパート勤務するなら保育園選びが重要!

保育士として新しいスタートを切るために再就職したにも関わらず、人間関係や仕事内容に悩み、早期離職を選ばざるを得ないケースも発生しています。

そのため、自分に合う環境を見つけ、安定した働き方を実現するためには、保育園選びが大切です。

ここでは、パート保育士の再就職や勤務先選びの失敗事例と、よい職場に出会うためのポイントを紹介します。

パート保育士によくある「こんなはずじゃなかった...」とは

保育士は、まだまだ人手不足という問題を抱えています。ワークライフバランスを考えてパートを選択したにも関わらず、正社員同様の働きを要求される・当初の約束以外の時間帯勤務を依頼される保育園があります。

【事例1】クラス担任を依頼され...
保育士のパートにも関わらず、クラス担任を依頼され、勤務時間や時給に見合わない業務量や責任が発生したケースがあります。これは求職者側と保育園の「保育補助」に含まれる具体的な仕事内容の認識のミスマッチから生じた食い違いです。

【事例2】早番・遅番をすべて任せることに...
人手不足の園では、早番・遅番のシフトをすべてパート保育士に任せられるというケースも発生しています。パート保育士に関しては残業やシフトに関して、契約と異なる働き方を指定された場合には、拒否する権利を有します。ただし、人間関係や保育園からの心象を考慮すると、断固拒否を継続することが現実的ではなく、退職を余儀なくされる保育士の方もいます。

すべての保育園で契約違反があったり、大きすぎる責任が課されたりするわけではありませんが、自分の状況に合った生活・仕事ができるよう保育園選びは慎重に行いましょう。

保育園選びは「勤務条件・業務内容」を要確認

パート保育士が働きやすい保育園の条件は、ライフスタイルに応じた働き方ができることです。入園前に次のことを確認し、希望条件に対する適合度合いを見極めます。

・勤務時間と日数
・通勤の利便性(自宅からのアクセス・最寄り駅からの徒歩分数)
・時給や交通費規定支給額・時間外手当に関する詳細
・業務内容
・有給休暇の有無と付与条件
・社会保障制度(健康保険や厚生年金保険、雇用保険)の加入可否

社会保障と業務内容は、特に重要なポイントです。保育士のパートが担当する業務内容は非常に多岐に渡ることから、認識違いが生じやすい事項といえます。「クラス担任を受け持つ可能性はあるか」「正社員保育士と責任範囲の違いはあるか」といった具体的な質問を自分から行い、齟齬がないことを確認しましょう。

また、求人サイトの記載内容や求人事情を読み解くことでも、仕事探しの失敗を予防できます。広告を長期間掲載する・地域相場と比較して明らかに高い給与が設定されているといった不自然な兆候が見られる場合は、慎重に確認が必要です。

パート保育士が求人に応募する時のポイント

パート保育士の求人に応募して面接へと進むためには、志望動機の内容を工夫する必要があります。パート保育士として理想の働き方を実現するためには、面接における受け答えを工夫することも大切です。

ここでは、パート保育士の求人に応募する時の事前準備として把握しておきたい、志望動機の書き方や面接における受け答えのポイントを解説します。

【履歴書】パートで働く理由を明確に記載する

履歴書の志望動機は、就職・転職活動の成否を左右する重要な要素です。志望動機にはパートで働く理由を明確に記載し、採用担当者にアピールしましょう。その他、パート保育士の志望動機には、下記のような事柄を書くこともおすすめです。

・応募先の保育園を選択した理由
・応募先で活かせる経験、スキル
・就職、転職後の目標
・勤務可能時間帯、曜日

採用担当者は応募する方が、保育園の指定する時間帯・曜日で勤務できるかどうかをチェックします。そのため、履歴書で勤務可能時間帯や曜日を伝えることが大切です。

また、パート保育士の求人は未経験者も受け入れるとはいえ、経験やスキルのある人材は重宝されます。応募先で活かせる経験・スキルは履歴書で、積極的にアピールしましょう。

【面接】希望する働き方を口頭で伝える

パート保育士の面接で採用担当者は、保育園の想定している働き方・応募する方の希望する働き方のマッチングを確認します。面接を受ける時には口頭で、仕事内容や勤務時間帯、曜日の希望を伝えてください。

仕事内容などの希望を口頭で伝えることは、内定後のミスマッチを防止するための有効な手段です。面接の段階で保育園と認識のすり合わせを行えば、「平日のみの勤務を想定していたが、土曜にシフトを入れられた」などの失敗を回避できるでしょう。

なお、パート保育士の面接では経験やスキルのみではなく、応募する方の人物面が重視されることも多いといえます。保育士の仕事に対する情熱や勤勉さをアピールできるエピソードは、事前に整理しておくと安心でしょう。

パートでも働ける!保育士に似ている職種は?

保育士資格の活かせる職場は、保育園のみではありません。保育士資格を持つ方はベビーシッターや学童保育指導員のパート求人に応募し、活躍することが可能です。ここでは、ベビーシッターや学童保育指導員として働く時の仕事内容と、働き方の特徴を示します。

・ベビーシッター
ベビーシッターは、保護者が不在の時に家へと出向き、子どもを世話する仕事です。ベビーシッターは主に、冠婚葬祭に子どもを連れていくことが難しい時・育児が滞る時などにおける、一時的なサポート手段として利用されます。

自分の都合のよい曜日や時間帯を指定し、柔軟なシフトで働ける点は、ベビーシッター求人の強みです。ただし、ベビーシッターのパート求人には、常に十分な数の依頼があるとは限らず、給料水準が安定しにくいデメリットがあります。

・学童保育指導員
学童保育とは、主に共働き世帯の児童を対象として、放課後などに安心して過ごせる環境を提供する施設です。学童保育指導員は、自治体が主導する公設の学童保育・民間企業やNPOなどが主導する民間学童保育のいずれかに所属し、遊びや勉強を見守ります。

学童保育は児童が自ら徒歩で帰宅するスタイルを採用するケースが多く、保護者の送迎対応が発生しません。ただし、学童保育指導員は、施設内でいじめやケンカが発生した場合の対処など、難易度の高い業務を任されるケースがあります。

まとめ

保育士の仕事をパートで働く場合、正社員とは給料や勤務時間の面で違いがあります。また、仕事の内容についても、正社員に比べて補助的な業務の割合が多い傾向です。しかし、子どもと向き合い、子どもの成長をサポートすることができる仕事であることには、正社員・パートで違いはありません。

パートの求人を探している方は、「マイナビ保育士」のご利用をおすすめします。「マイナビ保育士」では、保育士業界に精通したキャリアアドバイザーが、お仕事探しをサポートいたします。保育士のパート求人をお探しの方は、ぜひ「マイナビ保育士」をご活用ください。

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