東京都における保育士の給料相場は?自治体による取り組みまで解説!

日本一の人口を誇る首都・東京都は、保育士へのニーズが非常に高い地域です。東京都で保育士として働きたい方は、東京都の保育士がどのくらい収入を得ているか、また他の地域と比べてどのくらい差があるかが気になるでしょう。

今回は、東京都内における保育士の給料相場から、保育士の待遇を改善するためのさまざまな支援制度まで徹底的に紹介します。制度を上手に利用することで就職・転職に伴う出費を抑え、保育士の仕事と日々の生活をより快適にするために役立つでしょう。

【東京都】保育士の給料相場|全国平均との比較

給与

東京都内で働く保育士の平均給与額(賞与・各種手当などを含む)は、全国平均を大きく上回っていることが特徴です。

全国平均年収額(2018年度) 東京都内の平均年収額(2018年度)
約358万円(平均月収23万円) 約434万円(平均月収29万円)

(出典元:厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html

東京都は、他の都道府県と比べて物価が高い地域です。さらに東京都では湾岸エリアを中心に子育て世代や保育施設が増え続けているため、自ずと保育士求人数も多くなります。応募者を集め保育士の定着率を上げるために、給与を高めに設定している保育施設も少なくありません。

住宅手当(家賃補助)を多めに得ていることも、東京都の保育士の大きな特徴です。特に23区内は、国内でも家賃相場が高いことで知られています。地方から移住してきた保育士や一人暮らしの保育士などの家賃負担を軽減するため、多くの施設では住宅手当額を高めに設定しています。

東京都には大規模な病院や企業が多く、24時間体制で働く医師・看護師などの子どもを保育する院内保育所や民間企業で働く人の子どもを保育する企業内保育所が増えています。また実家・義実家からの育児支援を得にくい共働きの核家族家庭では、深夜・早朝や土日祝日に保育施設を利用することも多いでしょう。

院内保育所や長時間保育を行う保育施設の多くはシフト制を採用しており、勤務時間によっては時給が高くなるケースや手当(夜勤・休日出勤・時間外手当など)の額が増えるケースもあります。

近年は、保育士資格者・経験者歓迎求人を出している幼児教室やプリスクールが少なくありません。幼児教育に力を入れる保護者が増えており、運動・音楽・英語教育などに関する教室の人気が高まっているためです。

利用者のライフスタイルに合わせて保育サービスへのニーズが多様化していることも、東京都の保育士の平均年収が高い理由のひとつと言えるでしょう。

東京都23区内でも違いはある?保育士の給料が高い区はどこ?

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前述のとおり、東京都の保育士の給与水準は全国平均と比べてかなり高くなっています。ここからは、東京都23区内における保育士の平均給与の傾向に注目してみましょう。

23区の中では特に杉並区・中央区・港区などで働く保育士の給与水準が高い傾向にある一方で、練馬区・北区などの保育士の給料は低い傾向があります。

区によって給料に違いがある理由

ひとくちに東京23区と言っても、区によって家賃相場や物価水準にばらつきがあります。保育士の平均給料も勤務地の物価水準や、自治体独自の保育士向け支援・補助制度に影響されるため、必ずしも同等ではありません。

保育士の給与が高い中央区や港区は、23区内でも家賃相場や物価が特に高い地域です。さらに、中央区の湾岸エリア(月島・勝どき・晴海・豊洲など)では子育て世代の増加に伴って学校や保育施設が増えています。港区は中央区に比べて人口密度は低いものの、オフィス街から近く通勤中の送迎に便利な保育施設が人気です。

杉並区は、中央区や港区と比べてそれほど家賃相場は高くありません。しかし阿佐ヶ谷・高円寺・荻窪エリアを中心にファミリー層からの人気が上昇し、保育施設へのニーズが高まっています。

北区や練馬区は家賃・物価が安めですが、北区では2010年代に入って転入者数及び出生数が増加傾向にあります。また練馬区は人口の多さのわりにのどかな雰囲気で、やはり10~20代の転入者数が多い地域のひとつです。これらの地域でも今後保育士への需要が高まり、保育士の平均給与が高くなる可能性があります。

東京都で実施!保育士に対する「支援・補助制度」とは

支援・補助

東京都では以前から保育士人材不足が叫ばれており、2017年には保育士の給与に国からの補助金(平均44,000円/月)を上乗せして給与改善を図る対策が講じられました。 その他にもさまざまな補助金制度を設けて保育士を支援し、待機児童解消に努めています。 ここからは、東京都で実施されている「保育士に対する各種制度」の一例を解説します。

保育士宿舎借り上げ支援事業

都内の保育施設がスタッフ用宿舎を借り上げ、かつ一定の条件を満たす保育士や看護師を採用し入居させた場合、家賃の8分の7を都または区が負担します。原則として、共益費込みで月額82,000円以下のマンションまたはアパートが対象です。

もし保育士が月額82,000円の宿舎に入居すると、都または区から71,750円の住宅補助が支給されます。さらに残り8分の1の家賃を保育施設側が負担した場合、保育士が家賃を払う必要はありません。

補助を受けるために保育士が満たすべき条件は、以下の通りです。

  • 保育士資格もしくは看護師資格を持つ
  • 採用決定後5年度以内
  • 常勤(勤務先の社会保険被保険者であり、1日6時間以上かつ月20日以上勤務する)
  • 本人及び同居者が住宅手当の支給を受けていない
  • 雇用前の6ヶ月間に、他事業者が運営する自治体内の保育施設などに勤務していない

未就学児を持つ保育士に対する保育料の一部貸付事業

保育士が就職(または産休・育休から復帰)するために未就学児の子どもを保育施設に入所させる際、東京都福祉人材センターは保育料の一部を無利子で貸し付けています。

貸付期間は保育士が勤務する期間内(最長1年)、貸付金額は保育料の半額(月額27,000円以内)です。また、連続勤務年数が2年間を超えると貸付金が返還免除となります。制度を利用するための条件は、以下の通りです。

  • 2018年8月1日以降に都内の保育所等に勤務を開始、または産育休から復帰する(2019年度版)
  • 週20時間以上保育士として勤務する
  • センター指定の収入基準を満たす連帯保証人(申込者との関係は問わない)を1名立てる

保育士処遇改善等加算II

2017年に国が制定した保育士処遇改善等加算IIは、若手・中堅保育士のために新しい役職を設けて昇格・昇給の機会を増やす制度です。この制度を活用することで、正職員以外の保育士でも最大で月額40,000円の手当が給与に上乗せされます。各役職の内容や条件は、以下の通りです。

〇副主任保育士

副主任保育士は、主任保育士と現場スタッフの間に立つ管理職です。副主任保育士になれる人数は全職員(すでに役職に就いている職員を除く)の約3分の1までとなり、月額40,000円の手当が給与に上乗せされます。副主任保育士になるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 保育士としての勤務経験が約7年以上ある
  • 保育士等キャリアアップ研修を4分野受講する
  • 職務分野別リーダーの経験がある

〇専門リーダー

専門リーダーは、専門性の高いリーダーとして現場のスタッフを支えます。専門リーダーになるための条件や手当額は、基本的に副主任保育士と同じです。

〇職務分野別リーダー

職務分野別リーダーは、特定の分野に特化した現場のまとめ役です。職務分野別リーダーになれる人数は全職員(すでに役職に就いている職員を除く)の約5分の1までとなり、月額5,000円の手当が給与に上乗せされます。職務分野別リーダーになるための条件は、以下の通りです。

  • 保育士としての勤務経験が約3年以上ある
  • 保育士等キャリアアップ研修1分野を受講する

まとめ

東京都の保育士の平均年収は、全国平均を大きく上回っています。東京都は物価水準が高いことや、子育て世帯が多く保育士へのニーズが高いことなどが主な理由です。23区内では、物価水準が高い地域や子育て世帯が多い地域などで保育士の年収が高くなる傾向があります。

その他に東京都で注目すべきポイントは、保育士をサポートするために実施されているさまざまな制度です。これらの制度が広く浸透することで潜在保育士の就職や産休・育休を取った保育士の復帰が促され、保育士人材の増加が期待できるでしょう。