大阪市は、大阪府のほぼ中心に位置し、JR・地下鉄・私鉄が乗り入れているため、通勤に便利な街です。商業と工業が盛んで業種が多いことも大阪市の特徴です。生活利便性が高く就労機会も多いことから大阪市の人口は増え続けており、保育のニーズも増加傾向にあります。
この記事では、大阪市の保育士事情や求人状況を解説した後、大阪市が進める保育士への補助・取り組み、大阪市で保育士求人を探すポイントを解説します。大阪市で就職先・転職先を探している場合は、大阪市の保育業界の動向を理解しておきましょう。
目次
大阪市における保育士事情
日本の人口が年々減少している中、大阪市の人口は2015年から2020年にかけて2.4%増加しており、275万人を超えています。特に増加率が高いのは西区(14.6%)です。梅田や難波といったビジネス街に通いやすい一方で、西区内には大小合わせて30の公園があって自然を楽しめることから、ファミリー層の人気を集めています。
(出典:大阪市「令和2年国勢調査速報集計結果」 https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/page/0000537201.html )
(出典:西区「西区のあらまし」/ https://www.city.osaka.lg.jp/nishi/page/0000001048.html )
生活のしやすさと子育てのしやすさが両立している大阪市は、保育所の入所激戦区であることでも有名です。保育士の人材不足が課題となっていることは、大阪市も例外ではありません。今後さらに保育士の獲得競争は激しくなると予想されるため、大阪市では保育士の人材不足の解決に向けた政策に取り組んでいます。
保育施設数や待機児童の傾向
2021年10月時点で、大阪市には787の認可保育所・認定こども園・地域型保育事業などがあります。西区をはじめ、北区や中央区など、人口の増加率が高い区を中心にまんべんなく保育施設は整備されている状況です。
(出典:大阪市「保育施設等一覧(認定こども園・保育所・地域型保育事業)」/ https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000002800.html )
(出典:大阪市「令和2年国勢調査速報集計結果」 https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/page/0000537201.html )
大阪市の待機児童数は2016年は273人でしたが、2021年は14人と、5年間で大幅に減少しました。待機児童が減った理由としては、待機児童解消特別チームを立ち上げ、今までにない新たな方法で待機児童問題の解消に積極的に取り組んできた点が挙げられます。 しかし、待機児童数が減ったとはいえ、待機児童問題が完全に解決したわけではありません。大阪市では待機児童ゼロに向けて毎年入所枠を拡大しているため、あらゆる保育施設で保育士が求められる状況は変わらないでしょう。
(出典:大阪市の保育所等利用待機児童数について(令和3年4月1日現在)/ https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000538206.html )
給料相場
ここでは、大阪府と全国の保育士の平均年収を比較し、大阪市の保育士の平均年収についても併せて解説します。以下は、厚生労働省による令和2年賃金構造基本統計調査で発表された、大阪府と全国の保育士の平均年収です。
大阪府 | 約385万円 |
---|---|
全国 | 約374万円 |
(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html )
大阪府の保育士の平均年収は、全国平均を約11万円上回っています。一方で、マイナビ保育士の求人情報から算出した大阪市で働く保育士の年収相場は約280万~390万円です。大阪市の平均年収の下限値は大阪府や全国よりも低水準ですが、上限値は大阪府・全国に比べて高水準になります。そのため、大阪市の保育士の平均年収は決して低いとは言えないでしょう。
平均年収に差が生まれる原因として考えられるのは、正社員と非常勤・パート・契約社員の給与面の違いです。大阪市で正社員の保育士として勤務した場合、非正規雇用よりも高収入が期待できるでしょう。
大阪市の保育士求人状況は?
大阪市の保育士求人数は、2011年11月時点で約930件です。大阪府全体の求人数は約2,130件であるため、約43%を大阪市の求人が占めています。また、大阪市の各区における求人数は下記の通りです。
- 大阪市都島区:50件
- 大阪市福島区:43件
- 大阪市此花区:13件
- 大阪市西区:78件
- 大阪市港区:22件
- 大阪市大正区:18件
- 大阪市天王寺区:75件
- 大阪市浪速区:33件
- 大阪市西淀川区:33件
- 大阪市東淀川区:34件
- 大阪市東成区:30件
- 大阪市生野区:30件
- 大阪市旭区:37件
- 大阪市城東区:48件
- 大阪市阿倍野区:33件
- 大阪市住吉区:34件
- 大阪市東住吉区:27件
- 大阪市西成区:12件
- 大阪市淀川区:59件
- 大阪市鶴見区:31件
- 大阪市住之江区:22件
- 大阪市平野区:24件
- 大阪市北区:92件
- 大阪市中央区:80件
(出典:マイナビ保育士/ https://hoiku.mynavi.jp/ )
大阪市内では、北区の求人数が92件と一番多い結果となっています。2015年~2020年における北区の人口増加率は12.8%で、大阪市内で2番目です。そのほかには西区や中央区の増加率が著しくなっています。北区・西区・中央区の人口増加に比例して、その区内における保育士の求人件数も多くなっていると考えられるでしょう。
(出典:大阪市「令和2年国勢調査速報集計結果」 https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/page/0000537201.html )
【大阪市】近隣エリアの求人状況
2021年11月時点において、大阪市と隣接する兵庫県尼崎市の保育士求人数は約128件、堺市は約155件、吹田市は約136件、和歌山県和歌山市は約16件です。4市と比較すると、大阪市の求人数は圧倒的に多いことが分かります。
市 | 大阪市 | 尼崎市 | 堺市 | 吹田市 | 和歌山市 |
---|---|---|---|---|---|
求人数 | 928 | 128 | 155 | 136 | 16 |
(出典:マイナビ保育士/ https://hoiku.mynavi.jp/ )
住んでいる地域によっては、「大阪市内よりも尼崎市のほうが通いやすい」「堺市の保育施設で働きたい」という場合もあるかもしれません。しかし、大阪市のほうが選択肢が広く、さまざまな施設形態・勤務形態から求人を探すことができます。大阪市が通勤圏内で、自分に合う求人を見つけたいと考えている人は、まず大阪市の求人情報からチェックするとよいでしょう。
大阪市が進める保育士への補助・取り組み
大阪市では、保育士の人材不足が深刻化しているため、大阪市内で働く保育士を支援する独自の取り組みを強化しています。たとえば、保育士宿舎借り上げ支援事業・潜在保育士就職支援事業・保育補助者雇上支援事業・未就学児をもつ保育士に対する保育料一部貸付事業・未就学児を持つ保育士の子どもの預かり支援事業などです。
特に、未就学児をもつ保育士に対する保育料一部貸付事業や、未就学児を持つ保育士の子どもの預かり支援事業は、子どもが小さいという理由で就職を躊躇していた人の再就職のきっかけとなるでしょう。
ここからは、小さな子どもがいない人でも利用できる、大阪市の保育士支援策を2つ紹介します。
大阪市新規採用保育士特別給付補助金
「大阪市新規採用保育士特別給付補助金」は、保育施設に年10万円を上限に助成する制度です。
保育士登録をして1年未満の常勤保育士の人、または市外の保育所を離職して1年未満の人、就職から1年が経った人を対象に、保育施設が特別給付を行うと助成を受けることができます。給付を受けた保育士が3~4年と勤務を続け、対象保育士もしくは対象外の保育士に特別給付を行った場合は、年20万円を上限に助成が支給されます。
新しく雇用した保育士に特別給付を行うことで、保育施設は助成を受けられるため、就職・転職したてで金銭的に困っている人にとっては恩恵のある制度と言えるでしょう。ただし、特別給付の実施方法は保育所によって異なる点に注意してください。
(出典:大阪市「大阪市内で保育士として働く方を支援します」/ https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000382557.html )
大阪市保育士ウェルカム事業補助金
「大阪市保育ウェルカム事業補助金」は、保育施設に2年間の補助金が交付される制度です。
保育に従事するまでの1年間、もしくは雇用年度中に他府県から大阪市内に転入した人に、福利厚生の一環として帰省費用や遊興施設の年間パスポート購入費などを支給した保育施設が対象となります。
近畿圏外からの保育士の場合は85,000円/年、滋賀県・京都府・兵庫県・奈良県・和歌山県の近畿圏内からの保育士の場合は45,000円/年が、補助金の上限です。大阪市外から転勤する人は保育施設から金銭的な支援を受けられるため、転勤に伴う経済的な負担を減らせるでしょう。ただし、福利厚生費の給付方法や実施方法は、保育施設により違います。
(出典:大阪市「大阪市内で保育士として働く方を支援します」/ https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000382557.html )
大阪市で保育士求人を探す際のポイント
大阪市で保育士求人を探す際は、優先順位を決めてから探しましょう。たとえば、小さな子どもがいる場合は、「時間固定・パートOK」「土日休み」となっている求人を選ぶと、仕事と育児を両立しやすくなります。市外や他府県から大阪市に転入することを視野に入れて就職活動している人は、「大阪市保育士ウェルカム事業補助金」を活用している保育施設を探してみてください。
また、転入者で大阪市に詳しくなく、就職活動に不安のある人は、キャリアアドバイザーがいる転職サイトの利用をおすすめします。「マイナビ保育士」では、プロのキャリアアドバイザーがヒアリングし、希望条件に合う求人を提案いたします。
まとめ
大阪市は、西区・北区・中央区を中心に保育ニーズが高まっており、待機児童ゼロには至っていません。そのため、大阪市新規採用保育士特別給付補助金や大阪市保育士ウェルカム事業補助金などを通し、大阪市における保育人材の雇用や定着を図っているのが現状です。大阪市で保育士の求人を探している場合は、大阪市独自の支援策を活用している保育施設をチェックするとよいでしょう。
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※当記事は2021年11月現在の情報を基に作成しています