4_0704.jpg

日本の母子世帯数は令和3年の調査で119.5万世帯あり、父子家庭の14.9万世帯に比べて約8倍も多いです。

(出典:厚生労働省「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査の結果を公表します」/   https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/f1dc19f2-79dc-49bf-a774-21607026a21d/9ff012a5/20230725_councils_shingikai_hinkon_hitorioya_6TseCaln_05.pdf

シングルマザーになり今後子どもを育てていくのに、持っていた保育士資格を生かして、保育士として活躍していきたいという方もいるでしょう。しかし、近年囁かれる保育士の人手不足問題や低賃金問題などから、本当にシングルマザーで保育士として活躍していけるのか、不安に感じる方も少なくありません。

当記事では、シングルマザーが保育士として活躍していく際の懸念点や、シングルマザーが保育士として働くメリットや職場選びのポイントを解説します。

シングルマザーで保育士として働く際の懸念点

シングルマザーで保育士として働きたい方は、仕事と子育てを両立していけるか不安に感じている場合もあるのではないでしょうか。漠然とした不安を抱えている場合、何が懸念点となっているのかを洗い出すことで対策を講じやすくなる可能性があります。

シングルマザーで保育士として子どもを育てていく際に、不安を感じやすいポイントを3つ紹介するので、一度確認してみてください。

年収の低さ

保育士は収入が低いと言われるため、1人で育児をしながら生活していけるのか不安に感じる方もいます。実際は保育士の給料は徐々に上がっており、令和4年度の時点での女性保育士の平均年収は約393万円です。全国の女性の平均年収や母子世帯の平均年収と比べて、女性保育士の平均年収は高いという結果になっています。

保育士としての経験がまだ浅い場合は平均年収を下回るケースもあるものの、勤続年数や年齢によっては女性の平均年収を上回ることも少なくありません。

                                                                       
全国の女性の平均年収(令和5年)約315万円
母子世帯の平均年収(令和3年)約272万円
女性保育士の平均年収(令和5年)約393万円

(出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査の概況」/   https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/dl/13.pdf

(出典:厚生労働省「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査の結果を公表します」/   https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/f1dc19f2-79dc-49bf-a774-21607026a21d/9ff012a5/20230725_councils_shingikai_hinkon_hitorioya_6TseCaln_05.pdf

(出典:e-Stat 政府統計の総合窓口「賃金構造基本統計調査 / 令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」/   https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001213360&tclass2=000001215880&tclass3=000001215884&stat_infid=000040163741&tclass4val=0

■女性保育士の経験年数別の平均年収

                                                                                                                       
0年約264万円
1~4年約345万円
5~9年約367万円
10~14年約384万円
15年以上約458万円

(出典:e-Stat 政府統計の総合窓口「賃金構造基本統計調査 / 令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」/   https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001213360&tclass2=000001215880&tclass3=000001215884&stat_infid=000040163754&tclass4val=0

■年齢別の男女計の平均年収の 比較

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                               
女性全体の平均年収女性保育士の平均年収
~19歳約255万円-
20~24歳約318万円約321万円
25~29歳約381万円約380万円
30~34歳約398万円約379万円
35~39歳約413万円約400万円
40~44歳約424万円約420万円
45~49歳約437万円約424万円
50~54歳約441万円約417万円
55~59歳約433万円約464万円
60~64歳約357万円約447万円
65~69歳約301万円約437万円
70歳~約296万円約563万円

(出典:e-Stat 政府統計の総合窓口「令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業大分類」/   https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001213360&tclass2=000001215880&tclass3=000001215881&stat_infid=000040163660&tclass4val=0

(出典:e-Stat 政府統計の総合窓口「令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」/   https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001213360&tclass2=000001215880&tclass3=000001215884&stat_infid=000040163747&tclass4val=0

残業の多さ

令和5年の調査によると、保育士の月の平均残業時間は3~4時間でした。数字だけ見れば、ほかの職業に比べて残業時間が少ない結果となっています。

(出典:e-Stat 政府統計の総合窓口「賃金構造基本統計調査 令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」/   https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001213360&tclass2=000001215880&tclass3=000001215884&stat_infid=000040163741&cycle_facet=tclass1&tclass4val=0

しかし、保育士は業務量が多く、大きな行事の前は特に忙しくなる傾向があります。固定残業代(みなし残業代)が給与に含まれていたり、持ち帰り仕事をしたりといったケースもあるため注意が必要です。保育士の実際の残業時間は、調査結果以上に多いと言われています。

シングルマザーで残業が難しい方は、残業の少ない保育園を選ぶのがおすすめです。例えば、子どもの数に対して保育士の数が十分な保育園や、行事・イベントが少ない保育園は残業が少ない傾向があります。

  幼稚園教諭に残業はある?残業が多い原因・違法性の有無・対策を解説

休み・早退の取りやすさ

保育士は年次有給休暇を取得しにくい職業と言われています。保育士の業界は慢性的な人手不足で、職員同士のサポート体制が整っていない点が、休みにくい理由の1つです。令和4年の調査によると、労働者1人あたりの年次有給休暇の平均取得日数は10.3日だったのに対し、保育士の平均取得日数は5~9日でした。

(出典:社会福祉法人 全国社会福祉協議会 全国保育協議会「全国保育協議会会員の実態調査2021報告書」/   https://www.zenhokyo.gr.jp/cyousa/r04_07/kaiin2021.pdf

(出典:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査の概況」/   https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/23/dl/gaikyou.pdf

一方、働き方改革によって年次有給は年間最低5日取得することが義務となり、労働者全体の有給取得率は年々上昇傾向にあります。ただし、年次有給休暇以外の休暇は園によって異なるため、確認が必要です。

  保育士の有給休暇の実態|休みを取得するコツ・消化しやすい保育園も

シングルマザーが保育士として働くメリット

シングルマザーで保育士として働いている方は少なくありません。保育士の仕事は大変な面も多いものの、子育てをしながら働く上でさまざまなメリットもある職業です。以下では、シングルマザーが保育士として働くメリットを4つ紹介します。

育児の経験を生かせる

シングルマザーが保育士として働くと、自分の育児の経験を仕事に生かせる点が大きなメリットです。育児の経験がない方に比べて、自信を持って子どもたちと接することができる場面も多いでしょう。場合によっては、若い保育士よりも、シングルマザーで子育て経験が豊富な保育士のほうが即戦力として重宝されるケースもあります。

また、保育園での仕事を自分の育児に生かせる点もメリットの1つです。保育園ではさまざまな家庭の子育ての仕方が直接見えるので、勉強になるという方も多くいます。

保護者の気持ちに寄り添える

シングルマザーの保育士は母親としての経験を積んでいることから、保護者の気持ちに寄り添いやすい点がメリットです。保育園に通う子どもの保護者は、多くの場合働きながら子育てをしています。シングルマザーの保育士自身も働きながら子育てをしているので、理解し合える部分は多いでしょう。そのため、保護者から強い味方として信頼されやすい傾向があります。

勤務先が見つかりやすい

保育士は離職率が高いこともあり、保育業界は慢性的に人手不足です。令和4年度の調査によると、全国の保育士の有効求人倍率は2.73であり、求職者よりも保育士を探している保育施設のほうが多い結果になっています。そのため、どの地域でも保育士を求めている保育園は多く、勤務先が見つかりやすい点が大きなメリットです。

(出典:job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))「保育士」/   https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/131

働き方を選べる

シングルマザーは働ける時間帯に制限があるケースも多く、就職・転職先が限られる場合もあります。しかし、保育士は人員不足の施設が多いため、正社員やパート勤務など、雇用形態を選べる可能性が高い点がメリットです。

保育士には早朝勤務や延長保育、土日勤務など変則的な働き方もあります。シングルマザーの保育士の場合、変則的な働き方への対応が難しければ、保育園側で配慮してもらえることもあるでしょう。時短勤務や時間固定勤務など、家庭の事情を配慮して柔軟に対応してもらえるケースも少なくありません。同じシングルマザーの保育士がすでにいる職場であれば、より遠慮なく対応可能な働き方を希望しやすいでしょう。

  保育園の「早番」の仕事内容は?メリット・デメリットも紹介

  保育士が時短勤務で働くメリットは?利用条件やスケジュール例も紹介

シングルマザー保育士の職場選びのポイント

シングルマザーで保育士として働く場合は、職場選びで以下のポイントを押さえるのがおすすめです。

土日休みで残業が少ない
シングルマザーは、働いている間は自分の子どもを保育園などに預ける必要があります。しかし、土日祝日は開園していない保育園も多く預けられないケースも多いため、土日の休みは確保しておくと安心です。

また、残業が多い職場だと帰宅時間が遅くなり子どもと一緒にいられる時間が減ったり、延長保育の降園時間に間に合わなかったりするおそれがあります。そのため、土日休みかつ残業が少ない職場を選ぶことが重要です。休日や月の平均残業時間は事前にしっかりと確認し、明確に教えてもらえない職場には注意しましょう。
休みが取りやすい
シングルマザーは、子どもの急な体調不良などが仕事に影響するケースも少なくありません。しかし、人手不足な保育施設で働くと、突発的に休んだり早退したりするのが難しくなります。そのため、職員が多く、急な休みが入ってもお互いにフォローし合える環境が整った職場を選ぶことが大切です。
小規模保育園や企業内保育園で行事が少ない
シングルマザーが保育士として働く場合、小規模保育園や企業内保育園といった比較的規模が小さい施設を選ぶのがおすすめです。小規模な保育施設は、一般的な保育園と比べて利用定員が少なく、受け持つ園児の人数が限られるので働く上での負担が少ない傾向があります。また、一般的な保育園で行うような大規模な行事・イベントが少ない点も、小規模な保育施設の特徴です。企業内保育園であれば会社が休みとなる土日に行事が行われることもないので、土日休みを確保できる点も魅力となっています。

  保育士は土日休み?出勤になる理由や土日休みで働くポイントも解説!

まとめ

年収や残業、休暇などの問題点から、シングルマザーで保育士になることに不安を抱える方は少なくありません。政府の調査では女性保育士の年収は、全国の女性の平均年収と母子世帯の平均年収より高いという結果がでていますが、実際は残業時間が休暇の取得率含め、保育園ごとによるため確認が重要です。

しかし、シングルマザーで保育士になると、育児の経験が仕事に生かせたり、保護者の気持ちに寄り添えたりなどさまざまなメリットがあります。勤務先には土日休みで残業が少なく、休みの取りやすい小規模な保育施設がおすすめです。

※当記事は2024年6月時点の情報をもとに作成しています