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小規模保育事業とは、待機児童問題の解消を加速化するために設けられた事業の1つです。小規模保育園で預かる子どもは一般的な認可保育園よりも少なく、0〜2歳児で6人以上9人以下と決まっています。A型・B型・C型の3種類に分かれており、B型とC型では保育士資格を持っていない方も働けるのが特徴です。

当記事では、小規模保育事業の概要や小規模保育園A型・B型・C型の認可基準の違い、また働くメリットやデメリットについて解説します。

小規模保育事業とは?

小規模保育事業とは、0〜2歳児を対象とした小規模な保育施設を運営する事業です。2015年に施行された「子ども・子育て支援新制度」により、市町村の認可事業の1つとして新設されました。

(出典:特定非営利活動法人 全国小規模保育協議会「小規模保育とは」/ https://syokibohoiku.or.jp/concept

小規模保育園の利用定員は6人以上19人以下とされています。少人数で家庭に近い保育環境を生かし、園児一人ひとりと向き合った丁寧かつきめ細かな対応ができます。基本的には0〜2歳児を対象としていますが、国家戦略特別区域では地域の保育ニーズに応じて対象年齢を0〜5歳まで対象を広げることも可能です。

(出典:こども家庭庁「小規模保育事業における3歳以上児の受入れについて(通知)」/ https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/33cffe95/20230401_policies_hoiku_12.pdf

小規模保育事業の保育料は、認可保育園と同様の基準で設定されます。

小規模保育園A型・B型・C型の認可基準や特徴の違い

小規模保育園はA型・B型・C型の3種類に分けられ、それぞれで保育従事職員数や必要な資格者数などが異なるのが特徴です。

ここでは、各事業形態の具体的な認可基準などを詳しく解説します。

小規模保育園A型

小規模保育園A型は、3種類の中で保育所分園やミニ保育所にもっとも近い形態です。

小規模保育園A型では、施設で働く保育者が保育士資格を保有することが要件とされています。職員配置基準は下記のように定められています。

  • 0歳児3人に対して1人
  • 1歳児以上6人に対して1人
  • 上記規定の職員数に常時追加で1人

(出典:厚生労働省「関係事業等の概要について」/ https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/sankou1.pdf

「0歳児3人に対して1人」「1歳児以上6人に対して1人」という基準は、通常の保育所における配置基準と同じです。小規模保育園A型では、さらに追加で1名の保育士が必要となります。

また、保育場所の面積要件は下記の通りです。

  • 0〜1歳児1人あたり3.3平方メートル
  • 2歳児1人あたり1.98平方メートル

(出典:厚生労働省「関係事業等の概要について」/ https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/sankou1.pdf

小規模保育園B型

小規模保育園B型は、保育所分園に近いA型と、家庭的保育に近いC型の中間的な位置付けにあります。

小規模保育園A型との違いは、保育士資格の保有要件が職員の半分以上とされている点です。保育士資格がない職員には、専用の研修を実施して対応します。

職員数の配置基準は小規模保育園A型と同じく、下記のように定められています。

  • 0歳児3人に対して1人
  • 1歳児以上6人に対して1人
  • 上記規定の職員数に常時追加で1人

(出典:厚生労働省「関係事業等の概要について」/ https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/sankou1.pdf

また、面積要件も小規模保育園A型と同じ内容です。

  • 0〜1歳児1人あたり3.3平方メートル
  • 2歳児1人あたり1.98平方メートル

(出典:厚生労働省「関係事業等の概要について」/ https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/sankou1.pdf

小規模保育園B型として運営を開始した施設であっても、要件を満たせば小規模保育園A型に移行できます。

小規模保育園C型

小規模保育園C型は、小規模保育園の中でもっとも家庭的保育に近い保育施設です。

小規模保育園C型で働く職員は「家庭的保育者」とされており、市町村で行われる研修を修了した保育士や、保育士と同等の知識・経験を有すると判断される方が勤務できます。保育士資格の保有有無は問われません。

A型・B型・C型の違いには、職員配置基準や面積要件において、園児の年齢による区分がない点が挙げられます。

小規模保育園C型の職員配置基準は、0〜2歳児3人に対して1人です。ただし、保育補助者を採用する場合は0〜2歳児5人に対して2人とすることが可能です。また、面積要件は0〜2歳児1人あたり3.3平方メートルとされています。

(出典:厚生労働省「関係事業等の概要について」/ https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/sankou1.pdf

小規模保育園で働くメリット・デメリット

小規模保育園で働くことには、一般的な保育施設とは異なるメリット・デメリットがあります。小規模保育園での勤務を検討している方は、事前にそれぞれの内容を把握しておき、自分に合う職場であるかを検討するのがおすすめです。

ここでは、小規模保育園で働くメリット・デメリットについて紹介します。

小規模保育園で働くメリット

小規模保育園で働くメリットは、下記の通りです。

子どもたち一人ひとりと向き合って保育できる
小規模保育園は子どもの数が少なく、職員配置が手厚いのが特徴です。通常の保育園では数多くの子どもたちに囲まれてめまぐるしく時間が過ぎていくのに対し、小規模保育園ではゆったりとしたペースの中で子どもたちと向き合えるでしょう。時間と心のゆとりを持って保育できるため、日々の仕事にやりがいや充実感を感じられます。
業務負担が少ない
小規模保育園は基本的には0〜2歳児を対象とした保育サービスであり、一般的な保育園のような運動会や発表会、遠足、作品展示会といった行事はほとんどありません。また、日誌の記入や保育計画の作成、活動準備などの日常業務も無理なく分担できるため、持ち帰り仕事や残業が少なく、プライベートを充実させやすいのもメリットです。
乳児保育の経験を積める
小規模保育園の保育対象は基本的には0〜2歳児です。赤ちゃんや小さな子どもが好きな方はもちろん、乳児の保育スキルを専門的に身につけたい方にも向いているでしょう。子どもの人数が少ない分、自分のペースで乳幼児のお世話に関われます。

小規模保育園で働くメリットは?一般の保育園との違いや特徴を解説

小規模保育園で働くデメリット

小規模保育園で働くデメリットは、下記の通りです。

保育に関する幅広いスキルを身につけるのが難しい
小規模保育園は通常の保育園とは仕組みや環境、働き方が大きく異なります。大規模保育園で実施されるクラス運営や役割分担、イベント・行事計画などを経験できないため、保育従事者としての幅広いスキルを身につけるのは難しいでしょう。今後も小規模保育園や小さな託児所のみで働くことを想定している場合は問題ありませんが、通常の保育園も視野に入れている場合にはデメリットとなるでしょう。
敷地が狭く遊具や設備が少ない
小規模保育園は居宅やマンションの一室を保育スペースとして運営しているケースも少なくありません。子どもたちがのびのびと遊べる広い園庭や遊具が園内にないため、遊具で遊ぶ際は公園まで出かけなければならず、職員の中には不便さを感じる方もいます。
職場の人間関係に悩むケースもある
小規模保育園は職員数が少なく、保育者同士が密に連携を図って子どもたちのお世話にあたります。コミュニティが小さいことはアットホームで働きやすいというメリットでもある一方、人間関係で問題が起きた際に拗れやすいとも捉えられるでしょう。職員同士がどのように連携をとりながら業務に取り組むのか、しっかりと仕組みづくりをするのが重要となります。

小規模保育園の仕事内容

小規模保育園は通常の保育園とは規模が異なるものの、基本的な保育内容は同じです。具体的な業務の流れは下記の通りです。

9:00
  • 順次登園する園児の受け入れ
  • 健康チェック
  • 10:00
  • トイレやおむつ交換
  • 午前のおやつ
  • 午前の活動
  • 11:30
  • 給食準備
  • 離乳食や授乳
  • 13:00
  • 午睡
  • 日誌やノートの記入
  • 15:00
  • 午後のおやつ
  • 15:30
  • 自由遊びまたは午後の活動
  • 17:00
  • 順次降園する園児の受け渡し
  • お迎えに来た保護者への報告やアドバイス
  • 延長保育への対応
  • 19:00
  • 翌日の保育準備
  • 掃除
  • 閉園
  • シフトは施設によって異なるものの、基本的には早番・中番・遅番の3交代制が採用されています。

    小規模保育園とは?特徴・仕事内容・向いている人も!

    まとめ

    小規模保育園事業とは、2015年に施行された「子ども・子育て支援新制度」によって新設された事業です。小規模保育園A型では保育者全員が保育士資格を保有していることが要件となります。B型では半分以上の保育者が保育士資格を所持ししていることが要件です。しかし、C型では研修を受けた保育士と保育士と同等の知識・経験を有する方の勤務が認められています。

    小規模保育園での勤務は人数が少ないために、子ども一人ひとりと向き合えるといったメリットがある一方で、スキルを得にくかったり人間関係に悩んだりするデメリットもあります。将来的なキャリアも考えつつ、自分にあっているかを判断して勤務するか決めるとよいでしょう。

    ※当記事は2024年1月時点の情報をもとに作成しています