赤ちゃんのバビンスキー反射とは?いつまでに消える?確かめる方法について解説

赤ちゃんのバビンスキー反射とは?いつまでに消える?確かめる方法について解説

文:神戸のどか(保育士ライター)

赤ちゃんが生まれ持った原始反射の一つに「バビンスキー反射」というものがあります。バビンスキー反射とは、足の裏に刺激を与えることで見られる反射運動のことです。

足の裏を指でさすると赤ちゃんの小さな指が一定の方向に広がるため、かわいらしいと感じた経験があるかもしれません。原始反射は赤ちゃんの発育を知る手掛かりにもなりますが、「バビンスキー反射が見られない」または、「消失時期を過ぎても反応が見られる」という場合には、病気ではないか?と不安になってしまうでしょう。

この記事では、赤ちゃんに関わる人が知っておくべきバビンスキー反射について、消失時期や確かめ方、バビンスキー反射以外の原始反射の詳細についても紹介します。赤ちゃんの健やかな成長を見守るためにもぜひ参考にしてみてください。

※本記事では、バビンスキー反射の理由や確かめ方について紹介していますが、最終的な診断は必ず専門の医師に仰ぐようにしましょう。

バビンスキー反射とは?

バビンスキー反射とは原始反射の一つであり、赤ちゃんの足の裏をこすると足の親指は甲側へ、他の足の指は扇のように広がる反射 のことです。「バビンスキー反射」という用語は、バビンスキー反射を発見したフランスの医師ジョセフ・バビンスキー にちなんで名付けられました。

原始反射は生まれつき備わっている反射的な運動であり、赤ちゃんの成長や発育に欠かせないものと考えられています。また、バビンスキー反射の適切な反応は、赤ちゃんの神経系の健全な発達を示す重要な指標となります。

バビンスキー反射が見られる時期と、消失する時期

バビンスキー反射が見られるタイミングは、赤ちゃんの発達のペースに影響されるため個人差が生じますが、出生後すぐに反応が見られ1~2歳ごろに消失すると言われています。

バビンスキー反射は、赤ちゃんの中枢神経系が発達していくにともない自然と見られなくなります。

バビンスキー反射の反応を確かめる方法

バビンスキー反射の反応を確認することで、赤ちゃんの神経系が正常に成長しているか、足が正常に動いているかなどを知ることができます。バビンスキー反射の確認方法は下記の通りです。バビンスキー反射の反応を確かめるときは両足の反応を見て、左右差も一緒に確認しましょう。

【バビンスキー反射の反応を確かめる方法】

  1. 赤ちゃんを仰向けに寝かせる
  2. 赤ちゃんの足の裏の小指側を、かかとからつま先へさすって刺激する
  3. バビンスキー反射の反応がある場合は、足の親指が甲側へ動き足の指が扇状に広がる

バビンスキー反射の反応を見るときに足裏への刺激が強すぎると、赤ちゃんが驚いてしまいます。赤ちゃんの体に触れるときには、力を入れすぎないようにしましょう。

また、とてもかわいらしい反応であり何度も試したくなりますが、やりすぎは赤ちゃんへの負担になるため避けましょう。赤ちゃんが無理をしないように様子を見ながら行うことが大切です。

バビンスキー反射が消失しない原因と対処法

通常、バビンスキー反射は1~2歳程度で自然に消失します。神経系に問題なく成長している場合は、2歳以降にバビンスキー反射が見られることはありません。

しかし、2歳を過ぎても見られる場合は、随意運動を支配する錐体路に障害が起こっている可能性があります。 自己判断せずに小児科へ相談したり、乳幼児健診の際に心配なことを聞いたりしてみましょう。

ご家庭で気になったことは随時記録しておくことで、受診するときに役立ちます。赤ちゃんの様子と一緒に日時も記しておきましょう。

バビンスキー反射以外の原始反射

原始反射とは、赤ちゃんの体が刺激されることで起こる反射動作のことです。反射は刺激に対する体の反応であるため、赤ちゃんの意思とは関係ありません。一説によると、原始反射は、運動機能の発達のためだけではなく、生まれてきた赤ちゃんが外の世界に適応できるように備わっているともいわれています。

原始反射の種類にもよりますが、多くは乳児期の0ヶ月~3ヶ月の時期に活発に現れ、生後4~5ヶ月頃から徐々に中脳や大脳の発達にともない自然に消失していきます。原始反射は、神経系の正常な発達を示す基準として観察されるため、乳児健診で確認されることが一般的です。

赤ちゃんの発育状況によって出現時期にも多少の差が生じることもありますが、原始反射の種類や大体の消失時期を把握しておくことが大切です。

把握反射

赤ちゃんの手足に刺激を与えたときに、握るような仕草をする反応が把握反射です。把握反射には2つ種類があり、手の把握反射は「手掌把握反射」、足の把握反射は「足底把握反射」と呼ばれています。赤ちゃんの手のひらに指をのせたときに、ぎゅっと握るような反射は「手掌把握反射」です。とてもかわいらしい原始反射のため、印象に残っている人も多いでしょう。

手掌把握反射は、出生後すぐから3~4ヶ月まで見られます。一方、足底把握反射は生後11ヶ月ごろ消失します。把握反射は手足を握ることでママにしっかりつかまり、赤ちゃん自身の安全を確保するために備わっているといわれています。 赤ちゃんは手掌把握反射を繰り返すことで手の発達を促され、徐々に握る力が強くなります。

一説によると、手掌把握反射は、自分の意思でものを掴めるようになるための大切な原始反射といわれています。また、足底把握反射があることで踏ん張る動作や体のバランスをとることを学び、安全に歩くための準備をしているともいわれています。

自動歩行

自動歩行とは赤ちゃんの脇の下を支えて起立させ、足の裏が床など平面に触れるようにすると足を前後に動かす反射のことです。足を前後に出す自動歩行の反応は、まるで歩いているかのような仕草であるため、「歩行反射」「原始歩行」とも呼ばれています。自動歩行は、生後すぐから反応が見られ、生後2ヶ月頃までに消失します。

赤ちゃんは自動歩行の反射により歩いているように見えますが、実際に歩き始める時期は1歳前後です。ただし、歩き始めは個人差が大きいため10ヶ月頃始める子もいれば1歳半を過ぎて歩き始める子もいます。赤ちゃんが生まれてから二足歩行をするようになるまでには、自動歩行の原始反射を経て、お座りやハイハイを習得していきます。赤ちゃんが歩く時期を迎えるためには、どの時期も大切な準備期間です。

哺乳反射

哺乳反射は、赤ちゃんの口に入ってきたものに対して口を開きくわえて吸おうとする反射のことです。下記の4つの原始反射をまとめて「哺乳反射」と呼ばれています。

  • 探索反射……赤ちゃんの口の周りに触れると、その方向に顔を動かし口を開ける
  • 捕捉反射……唇に触れると、唇や舌を使って捉えるような仕草をする
  • 吸啜反射……口にくわえたものを、舌を使ってなめらかに吸う
  • 嚥下反射 ……口の奥に送り込まれたミルクや母乳を飲み込む

哺乳反射は、出生後から生後4~6ヶ月頃まで見られます。赤ちゃんは栄養を摂るために、ミルクや母乳を飲みますが、誰かに教えてもらっているわけではありません。赤ちゃんが生まれてすぐにミルクや母乳を飲むことができるのは、哺乳反射が備わっているからこそできることです。

また、哺乳反射が残っている間に離乳食を始めても舌で押し出してしまい、スプーンで上手く食べられない場合があります。哺乳反射が消失して自分の意思で食べられるようになることが、離乳食スタートの目安となるでしょう。

モロー反射


モロー反射は、頭の位置が少し下がると手足をビクッと動かして両腕を挙げてバンザイし、その後何かにしがみつくような動きをする反射です。両腕を縮こまらせるように抱きつくような動きをすることから「抱きつき反射」とも呼ばれています。モロー反射は、赤ちゃん自身を守るために備わっていると考えられています。赤ちゃんを抱っこしている母親がバランスを崩したとしても、赤ちゃんは抱きつこうとして危険を回避しようとします。モロー反射が見られる時期は、出生後すぐから4~5ヶ月頃まで です。

モロー反射は、位置の変化の他に、聴覚など外の刺激に反応します。たとえば、「大きな物音が聞こえた」などのタイミングです。モロー反射が頻繁に起こることで赤ちゃんが眠れない場合は、周りに刺激となるものがないか確認するとよいでしょう。

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緊張型頸反射

緊張型頸反射とは赤ちゃんの首の動きに腕や足が無意識に反応し、体のバランスを保とうとするものです。緊張型頸反射には、「非対称性緊張型頸反射」と「対称性緊張型頸反射」があります。

  • 非対称性緊張型頸反射……仰向けに寝ている赤ちゃんの頭部を一方に向けると、顔が向けられた側の手足を伸ばし、反対側の手足を曲げる
  • 対称性緊張型頸反射……四つん這いの姿勢から顎を上げる(首を伸ばす)と腕が伸びて足は曲がり、顎を下げる(首を曲げる)とその逆が起こる

まとめ

バビンスキー反射は赤ちゃんだけに備わっている原始反射であるため、反応が見られたときは愛らしいと感じる方も多いでしょう。とはいえ、反射の現れ方によっては、「発育に問題があるのではないか?」と不安になる方もいるかもしれません。赤ちゃんの健やかな発育を支えるためには、バビンスキー反射を含む原始反射への正しい理解が必要です。

赤ちゃんが正常に発達しているかどうかの判断には小児科等の専門知識が必要であり、また、原始反射の表れ方だけでそれを判断できるわけではありません。しかし、子育てをしている方や保育士は、正しいバビンスキー反射の確かめ方や消失時期を把握しておくことで、「おかしいな?」と早めに気づく一助になるでしょう。

原始反射は発達を確認するうえで大切な役割がありますが、正常な反応かどうかを判断することは難しい場合があります。一般的には、乳児健診で把握反射・吸啜反射・モロー反射・自動歩行・非対称性緊張型頸反射などの原始反射について確認してもらえますが、気になることや不安なことは、必ず医師に相談するようにしましょう。

参考サイト:

神戸のどか(保育士ライター)
保育園で、0歳児から5歳児の子どもたちの保育を5年半担当してきました。
「一人ひとりの個性」や「主体性」を大切にする保育園での勤務経験を活かし、
現在は保育士さんや子育て中のママやパパに向けて記事を執筆しています。
絵本や歌が大好きで、特に絵本の読み聞かせや手遊びが得意です。
保有資格:保育士・幼稚園教諭・認定ベビーシッター
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