赤ちゃんが奇声をあげたり叫ぶのはなぜ?いつまで続く?対処法や受診のタイミングを解説

赤ちゃんが奇声をあげたり叫ぶのはなぜ?いつまで続く?対処法や受診のタイミングを解説

文: 神戸のどか(保育士ライター)

赤ちゃんは、「キーッ」という甲高い声を出すことがあります。初めて赤ちゃんが奇声をあげたときは、驚いてしまいますよね。また、何度も奇声をあげていると、「何かの病気なのかな?」と不安になったり、「接し方が悪いのかな……」と悩んでしまったりすることがあるかもしれません。

この記事では赤ちゃんが奇声をあげる理由や対処法、病院を受診すべきタイミングについてお伝えします。

【月齢別】赤ちゃんが奇声をあげる理由

赤ちゃんがあげる奇声は、成長過程で自然にみられるものであり、特別なことではありません。まだ感情をうまく言葉にできない赤ちゃんは、声を出すことで表現しています。赤ちゃんが奇声をあげたときは、無理に止めようとせずに、「何を伝えたいのだろう」と考えてみることが大切です。

赤ちゃんによって、奇声をあげるのにはさまざまな理由が考えられますが、発達段階によっても異なります。ここからは、赤ちゃんの奇声の理由を月齢別にして紹介します。赤ちゃんによって個人差がありますが、月齢別の特徴を知ることで、赤ちゃんのことを理解する助けになるかもしれません。

生後1~2ヶ月頃

生後1~2ヶ月頃の赤ちゃんのなかには、発声が上手で奇声のような声を出すことがあります。生まれたばかりの小さい体から大きな声が出るので、保護者は心配になってしまうかもしれませんが、母乳やミルクを飲み、眠り、排泄し、体を元気に動かしていれば問題ないといわれています。

また、生後1~2ヶ月頃の赤ちゃんは、泣きのピークであることがわかっています。母乳・ミルクをあげても、おむつを替えても、抱っこしても奇声をあげ続け、泣きやまないこともあるでしょう。

泣いているときは、おくるみで包んであげたり、心地よい振動を与えてあげたりすると泣きやむかもしれません。何をしても泣きやまないことが多い時期ですが、ピークを過ぎればだんだん治まるでしょう。

生後3~4ヶ月頃

生後3ヶ月頃になると、夕方にぐずりだす「黄昏泣き」がみられることがあります。黄昏泣きの原因はまだ解明されていませんが、暗くなってくることや疲れが出てくるためだといわれています。奇声とともに激しく泣き続ける黄昏泣きが続くと、不安に感じてしまう保護者も多いかもしれません。

赤ちゃんがぐずりそうな時間はリラックスできるように静かな環境にしたり、抱っこやマッサージなどをしてスキンシップをとったりするとよいでしょう。また、周りが暗くなってくることで赤ちゃんが不安を感じる可能性がありますので、部屋を明るくしてみるのもおすすめです。

黄昏泣きは5ヶ月頃には少なくなるといわれています。とはいえ、赤ちゃんが激しく泣いていると心配になり、保護者のストレスにもなってしまうかもしれません。黄昏泣きが多い時期は、可能であれば夕方に家事や買い物をすることを避け、心の余裕を持てるようにすることも一つの方法です。

生後5~7ヶ月頃

生後5~7ヶ月頃の赤ちゃんは、自分が発声した声を聞くことが楽しいと感じるため、奇声を出して遊ぶ姿がみられます。聴力が発達している証拠ではあるものの、声量のコントロールができず周りを驚かせてしまうこともあります。また、大人の口元を真似て一緒に口を動かすこともあるでしょう。

機嫌よく手足を動かしたり、声を出すことを楽しんでいたりする様子であれば、概ね心配することはありません。赤ちゃんが声を出しても周りが気にならない場所で過ごせる時間を増やし、「お話が上手だね」「声が聞こえて面白いね」と、赤ちゃんと一緒に楽しむ気持ちを持てるとよいでしょう。

また、生後5~7ヶ月頃は、身体的な不快感によって奇声をあげることもよくあります。赤ちゃんが奇声をあげたときは「お腹が空いていないか」「暑くないか」「眠くないか」「熱はないか」など様子をみてあげましょう。また、おむつが汚れていないかを確認するときは、おむつかぶれを起こしていないかも確認してください。

生後8~11ヶ月頃

生後8~11ヶ月頃は自我が芽生えてくる時期で、思い通りにならず泣いたり怒ったりすることがあります。この時期の赤ちゃんは、「~したい」「~はイヤ」などといった感情がありますが、それをうまく言葉にすることはできません。自分の感情の表現方法を他に知らないため、奇声をあげることがあります。

また、赤ちゃんは大人の反応を楽しんで、奇声を繰り返すこともあります。まだ言葉の意味を理解することは難しいかもしれませんが、大人が思っている以上に赤ちゃんはよく周りを見ているものです。ときには、赤ちゃんに「シー」と口の前に人差し指をあてるサインを見せて、静かにすることを伝えてみてもよいでしょう。

1~2歳頃

1~2歳頃になると子ども知能がさらに発達し、自分でやりたいことや伝えたいことが増えてきます。しかし、まだ思うように言葉にできない場面も少なくありません。子どもはもどかしい気持ちを声に出すことで表現することがあります。

奇声をあげながら泣いているときは、「〇〇をしたかったのね」「○○がイヤだったのね」と子どもの思いを受け止めて、言葉で示すことが大事です。子どもは気持ちを理解してもらえることで落ち着き、少しずつ言葉にする方法を学んでいきます。

また、「ママと一緒にいたい」「パパに見ていて欲しい」などの気持ちから、気を引くために大きな声を出すこともあります。一度奇声をあげたときに注目してもらえたことを覚えて、繰り返すこともあるでしょう。

このように、子どもが甘えたい気持ちが強いときは、子どもが「いつも見てくれている」と感じられるように接してあげることが大切です。家事や仕事で忙しく、心の余裕が持てないときには、5分や10分だけでも子どもと接する時間をつくってみましょう。

どうしても手が離せないときには、「〇〇しているから待っていてね」と伝え、家事や用事が終わったあとに、約束を守って一緒に遊ぶ時間をつくることが大切です。

赤ちゃんの奇声はいつまで続くの?

赤ちゃんが奇声をあげる時期は、はっきりと決まっているわけではありません。大きくなっても興奮したり楽しくなって大声を出したりすることもあるでしょう。しかし、赤ちゃんが言葉を覚えて、自分の伝えたいことを言葉や行動で伝えられるようになると落ち着いてくる傾向があります。

楽しんで甲高い声を出している赤ちゃんも、つかまり立ちやつたい歩きをしたりできる遊びが増えたりしてくることで興味の幅が広がってきます。他のことに興味や関心を持てるようになると赤ちゃんの様子も変わってきますので、温かく見守ってあげてください。

赤ちゃんが奇声をあげたときの対処法3選

赤ちゃんの奇声は成長過程でみられるもののため、無理に止める必要はありません。

しかし、電車やバスなど公共の場では、困ってしまうこともあるでしょう。赤ちゃんは慣れない環境では、不安や戸惑い、興奮して声を出すことがあります。ここからは、赤ちゃんが奇声をあげたときの対処法を3つ紹介します。

赤ちゃんの好きな遊びを用意する

赤ちゃんと一緒に公共の場所へ出かけるときは、お気に入りのおもちゃや絵本を用意してあげましょう。赤ちゃんが好きなビニール袋の音や音楽を聞かせてあげることもおすすめです。

また、赤ちゃんの注意を別のものにそらせることで、奇声をあげることを減らせるかもしれません。電車やバスの場合は、景色を見せてあげることで気分転換のきっかけになることもあります。

赤ちゃんが「キーッ」といった奇声をあげているときは、「だだだ」「まー」など、保護者が別の声を出すことで、保護者の声を真似して奇声が収まることもあります。

スキンシップで赤ちゃんが安心できるようにする

初めての場所や乗り物では、赤ちゃんが不安や戸惑いを感じている可能性があります。赤ちゃんが不安そうなときは、抱っこしたり手を触れたりしてスキンシップをとってあげましょう。

また、赤ちゃんが新しい人や場所に慣れるように、行く場所や交友関係を徐々に広げていくことも一つの方法です。まずは、公園や児童館など家以外の場所に慣れていくことで、赤ちゃんの世界を広げてみましょう。

公共の場で赤ちゃんが奇声をあげると、保護者が焦ったり、ストレスを感じてしまったりすることもあるかもしれません。保護者に余裕がない様子をみると、子どもがさらに不安になるため、周りの大人は声のトーンを下げて、慌てずにいつも通りの対応をしましょう。

お出かけするタイミングを工夫する

赤ちゃんの1日の流れを観察すると、奇声をあげやすい時間や環境に共通点があることに気づくことがあります。機嫌が悪い時間のお出かけは避けて、保護者が心の余裕を持てるようにしましょう。

周りの目が気になる場所にいる時間が長ければ、保護者のストレスにつながります。赤ちゃんの奇声が気になる時期は、なるべく赤ちゃんが声を出しても気にならない場所を選ぶことで、赤ちゃんと一緒のお出かけを楽しめるでしょう。

病院を受診すべきタイミング

赤ちゃんが奇声をあげることは、発達の段階で自然にみられることです。奇声をあげるからといって、他の病気や発達障害を判断することはできません。しかし、体調不良や病気などで奇声をあげていることもありますので、発熱やぐったりしているなど、普段と様子が違う場合は小児科を受診しましょう。

子どもと過ごしているときに、「話しかけても目が合わない」「あやしても笑わない」「音や触覚、視覚に敏感」などの特性がいくつかみられる場合は、発達障害の可能性もあります。発達障害は生まれつきの特性であり、子どもに合わせた関わりがとても重要になってきます。奇声の他に気になることがあれば、専門機関に相談してみましょう。

また、十分に話せるようになる4~5歳頃になっても奇声が気になるなど、心配ごとがある場合は、小児科医や保健師などの専門医に診てもらいましょう。

まとめ

赤ちゃんが甲高い声を出すことは、発達していくなかで自然にみられることであり珍しいことではありません。保護者は「聴力が発達しているのだな」「声を出すことが楽しいのかな」と前向きにとらえられるとよいでしょう。

とはいえ、公共の場など人が多い場所で赤ちゃんの奇声と向き合うことは大変です。赤ちゃんの奇声が気になるときは、お出かけの場所や時間を考慮して、保護者も赤ちゃんもストレスにならないようにしましょう。

赤ちゃんの奇声は時間が経過すると自然に治まるケースが多いので、温かい気持ちで成長を見守ってあげてくださいね。

神戸のどか(保育士ライター)
保育園で、0歳児から5歳児の子どもたちの保育を5年半担当してきました。
「一人ひとりの個性」や「主体性」を大切にする保育園での勤務経験を活かし、
現在は保育士さんや子育て中のママやパパに向けて記事を執筆しています。
絵本や歌が大好きで、特に絵本の読み聞かせや手遊びが得意です。
保有資格:保育士・幼稚園教諭・認定ベビーシッター
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