「子どもに連帯責任を強いる先輩のやり方って正しいの!?」新卒保育士の前に立ちはだかる理想と現実の壁 [ヤメエピ@保育士辞めたいエピソード]
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「保育士辞めたい!」と感じる瞬間ありませんか?もう無理。。疲れた。。そんなあなたが心底共感できる話をお届け!
はじめて受け持った4歳児クラスが超大変
1年目の新卒保育士です。私が保育士を志したきっかけは、大学4年生のときに体験した保育実習でした。最初はそれほど保育に興味がなく、「資格が取れるなら取っておこう」という軽い気持ちでしたが、現場で子どもたちと触れあううちに「子どもの思いを尊重する保育がしたい」と思うようになり、新卒で保育士になりました。
けれど、現実は甘くありませんでした。はじめて担当になったのは、いつも騒がしく、子ども同士のトラブルが頻繁に起こる4歳児クラス。自由遊びの時間になると、勝手に部屋を飛び出す子や、おもちゃを取り合って泣く子が続出します。注意しても言うことを聞かないし、ほかのクラスと比べて統制が取れていないことは明らかでした。そんなある日、私にとっては忘れられない出来事が起こります。
子どもに連帯責任を負わせるやり方にあ然
給食の時間になっても走り回っている子に着席を促していると、同室の美咲先生が「先生!こういうときは立ち歩いている子を全員座らせるまで、食事を出しちゃダメよ」と大きな声をあげました。その言葉を聞いて、私はびっくり。同時に少し戸惑いました。おとなしく座って待っている子どもまで我慢しなければならないのは、不平等だと感じたからです。
でも、美咲先生は「『お約束を守れない子がいるせいで、みんな食べられません』って言えば、座っている子が立ってる子に注意するようになるから」と続けます。
私は、先輩に意見できるほどの経験もないので、仕方なく美咲先生の言うとおり子どもたちに伝えました。すると、「なんで?私さっきから座ってるのに」と怒る子がいる一方で、「ゆうちゃん、座ってよ。ごはん食べられないよ」とお友だちに注意する子もあらわれ、走り回っていた子もしぶしぶ着席しはじめました。そして、その様子を見た美咲先生は満足そうに、「ルールをきちんと伝えて徹底させるの。そうすれば、だらけた空気を変えられるからね」と言ったのです。
家に帰ると自己嫌悪に陥って、つらくなるばかり
その後も、何度か大人主導でルールを守らせる指導法を教わり、それに習ううちにほかの先生から「近頃、クラスの統制が取れてきたね」とほめられるようになりました。でも、教えられたやり方だと、子どもの主体性が育たない気がしてなりません。意を決して、美咲先生に「私は、子ども自身が気づいて行動できるようなやり方にしたい」と伝えてみたりもしましたが、「現場は、理想論だけじゃうまくいかないよ」と軽く流されてしまいました。
もちろん、子どもたちにルールを教えることが大切なのはわかります。理想と現実が違うことも理解しているつもりです。でも、連帯責任を負わせるような形でルールを守らせたり、子ども同士が見張り合う関係になることが、正しい保育なのでしょうか。
最近は、疲れ果てて帰宅し、ひとりになると「今日は怒りすぎたのではないか」「子どもを思い通りに動かすために保育士になったわけじゃない」と強い自己嫌悪に陥ります。春から2年目に入りますが、納得できないまま仕事を続けることに意味があるのかな、と考えはじめています。
※本記事は、ほいくらし編集部の記者が取材を行い、その内容をもとに執筆した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えて構成しています。ご了承ください。
取材・文/木下喜子 イラスト/やましたともこ