認可保育園は国が定めた厳格な基準を満たしたうえで、各都道府県知事から認可を受けなければなりません。基準となる条件が厳しい分、職場環境や給料などの待遇面で恵まれているケースが多いため、保育園で働きたい人に人気が高い職場です。

そこで今回は、認可保育園の概要と認可外保育園・認証保育園・認定こども園との違い、認可保育園の仕事内容について解説します。認可保育園で働くメリット・デメリットや、向いている人の特徴も紹介するため、勤務先として興味のある人はぜひ参考にしてください。

認可保育園とは?

認可保育園とは、児童福祉法に基づいた児童福祉施設です。都道府県知事の認可を受けて設置された施設で、以下の配置基準を満たしていることが条件となります。

保育士
※最低2名以上
0歳児 3人に対して1人
1歳児・2歳児 6人に対して1人
3歳児 15人に対して1人(※)
4歳児・5歳児 25人に対して1人(※)
その他の職種 保育士の他、嘱託医および調理員は必ず配置
※調理業務を全て委託する場合は、調理員なしでも可

※2024年4月「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」の改正によって、保育士配置基準は、3歳児で「20人に対して1人」から「15人に対して1人」に、4・5歳児で「30人に対して1人(30:1)」から「25人に対して1人」になりました。しかし、当分の間は、以前の配置基準でも問題ないとする経過措置が設けられています。

認可保育園と認可外保育園の違い

保育施設は、大きく分けて、認可保育園と認可外保育園に分けられます。認可を受けた施設や事業には、認可保育園の他に、幼保連携型認定子ども園と地域型保育事業が含まれます。地域型保育事業はさらに、4つの事業に分かれます。

一方、認可外保育園とは、児童福祉法や認定子ども園法に基づいた上記以外の施設の総称で、以下のような施設が挙げられます。

認可保育園 幼保連携型認定こども園
地域型保育事業 1. 小規模保育事業
2. 事業所内保育事業
3. 家庭的保育事業
4. 居宅訪問型保育事業
認可外保育園
(一例)
無認可保育所
託児所
ベビーホテル
企業内保育施設
デパートなどで来店者の子どもを対象にした保育所

認可外保育園は、基本的に個人や会社が自由に設置でき、認可保育園と比較して、施設基準も緩やかです。ただし、「認可外保育施設指導監督基準」を満たすことが求められています。

また、認可保育園を利用するときには自治体への申し込みが必要ですが、認可外保育園の場合は必要ありません。

認可保育園と認証保育園の違い

認可保育園と似ている「認証保育園」とは、東京都をはじめとした各自治体による独自の基準に基づき設置された保育園です。

国の基準である認可保育園では満たせないニーズに応えるために、東京都では平成13年に認証保育所制度が発足しました。

大都市におけるニーズに応えるために駅前に設置することを基本としたA型(駅前基本型)と、B型(小規模、家庭的保育所)の2種類に分かれています。

認可保育園と認証保育園の違いについて以下にまとめました。

 認可保育園認証保育園
施設の基準国の基準(児童福祉法)に基づく東京都独自の基準に基づく
定員60人以上
(小規模保育所の場合は20人以上)
A型:20~120人
 ※0歳~2歳が半数以上
B型:6人~29人
 ※0~2歳が対象 
基準面積
(0歳児・1歳児)
3.3㎡2.5㎡に緩和
※弾力基準として  
0歳児保育の有無実施しない場合もある必ず実施する  
利用方法各自治体に申し込む認可保育園と
保護者の間での直接契約  
開所時間11時間が基本13時間以上が義務  
東京都の場合

【関連記事】認証保育園とは?「認可外保育園」「認可保育園」との違い

認可保育園と認定こども園の違い

認定こども園とは、保護者の就労状況に関わらず、3歳から就学前の子どもに幼児教育・保育を一体的におこなう施設です。幼稚園や保育所などが、都道府県の認定を受けることで、認定こども園として認められます。

認定こども園には以下の4種類があります。

  • 幼保連携型……認可保育園と認可幼稚園が連携して、一体的に運営される施設
  • 幼稚園型……認可幼稚園だが、保育園としての役割も備えた施設
  • 保育所型……認可保育園だが、幼稚園としての役割も備えた施設
  • 地方裁量型……幼稚園・保育所いずれの認可もない施設(認可外保育園)

認定こども園として新設される場合もあれば、幼稚園や保育園から認定こども園として移行する場合もあります。

認定こども園と認可保育園の主な違いは以下の通りです。

 認可保育園認定こども園
入園条件保育の必要性が認定される
(認定区分2号または3号)こと
3歳未満児:保育の必要性が認定される
     (認定区分2号または3号)こと
満3歳児以降:保育の必要性
     保護者の就労に関わらず入園可能  
利用方法自治体に申請認定区分1号:園に直接申請
認定区分2号・3号:自治体に申請
保育時間認定区分2号・3号:8~11時間認定区分1号:4時間程度
認定区分2号・3号:8~11時間
職員の資格保育士保育教諭
(幼稚園教諭と保育士の資格を両方所有)

※認定区分1号:満3歳児以上かつ、保護者の就労や家庭の事情などが無い(保育の必要性なし)
※認定区分2号:満3歳児以上かつ、保護者の就労や家庭の事情などがある(保育の必要性あり)
※認定区分3号:満3歳児以下かつ、保護者の就労や家庭の事情などがある(保育の必要性あり)

認可保育園における仕事内容

認可保育園はさまざまな保育施設の中で標準的な形態であるため、仕事内容は一般的な保育士の仕事と同じです。

保育士の仕事は、子ども相手の保育仕事と保育以外の仕事に分かれます。

子ども相手の保育仕事

  • 身の回りの世話
  • 健康状態の監督
  • 基本的な生活習慣の教育
  • 社会性の育成
  • 道具の適切な使い方の指導

保育以外の仕事

  • 教材の研究
  • 制作物の作成
  • 行事の準備・飾り付け
  • 保育日誌・連絡帳の記入
  • おたよりの作成
  • 指導計画案の作成
  • 報告書の作成
  • 保護者との連携

一日の仕事の流れ

認可保育園における、おおまかな一日の流れは以下のとおりです。

時間仕事
~8:00・引継ぎ
・連絡事項の確認
8:00~9:00・登園
・保護者対応
・自由遊び
9:00~10:00・朝の会
・通常保育
10:00~11:30・散歩
11:30~12:30・給食
12:30~13:00・片付け
・歯磨き
・排泄手伝い
13:00~15:00・昼寝
・書類仕事
・日誌作成
・制作準備
15:00~16:00・おやつ
・通常保育
16:00~・帰りの会
・順次降園
・保護者対応
・延長保育

年間行事や子どもたちの誕生日が重なった月などは、通常業務以外に残業や持ち帰り仕事が発生する可能性があります。

認可保育園で働くメリット・デメリット

どの形態の保育園で働く場合にもメリット・デメリットは存在するため、認可保育園だから確実によい・悪いということは言えません。保育士本人の希望や各保育園の環境によって、合う・合わないといった問題も生じます。

認可保育園で働くメリット・デメリットを把握しましょう。

認可保育園で働くメリット

  • 働きやすい環境が整備されている
  • 人材育成に力を入れている保育園が多い
  • 給料などの待遇面で有利な職場が多い

職員の配置基準や開所時間などが厳格に定められている認可保育園は、人手不足や残業過多に陥りにくい傾向です。また、運営費に余裕があるため保育士の育成にも力を入れやすく、収入面や福利厚生などの待遇面で安定している保育園が多くあります。

認可保育園で働くデメリット

  • 働き始めるまでのハードルがやや高くなっている
  • 個性的な養育方針の保育園が少ない傾向にある

認可保育園は保育士からの人気が高く、公立の場合は採用に年齢制限が設けられていることから、必ず希望する保育園で働けるとは限りません。

また、国の基準から逸脱できないため、独自色は出しにくい傾向です。

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認可保育園で働くことが向いている人

認可保育園には人材に余裕があるケースが多く、開所時間にも制限があります。人材の育成に力を入れている保育園に勤務できれば、さまざまな経験を積めるでしょう。運営費の多くが公費で賄われており、保育士の雇用状態が安定していることも認可保育園の特徴です。

そのため、ある程度決まった生活リズムを保ちたい人や、保育士として大きく向上したい人、給料や待遇面を重視する人に認可保育園は適していると言えるでしょう。

また、公立の認可保育園は採用されるまでのハードルがやや高めですが、公務員として採用されるため、長期間働き続けることを希望する人に向いています。働きながら管理職などにチャレンジしたい人は、私立の認可保育園を探すとよいでしょう。

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まとめ

認可保育園とは、児童福祉法で定められた基準を満たしたうえで、各都道府県知事からの認可を得た保育園です。国の認可を受けていない保育園を総称して認可外保育園と言い、東京都をはじめとした自治体が独自に設けている認証保育園も認可外保育園に含まれます。認可保育園と幼稚園の教育・保育を一体化させた認定こども園もあり、保育のニーズの多様化に対応しています。

認可保育園での仕事は、一般的な保育園の仕事と同じです。保育環境に優れ、働きやすく待遇面で有利な職場が多いため、採用に至るまでのハードルは決して低くありません。

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