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保育園における日々の保育活動は、あらかじめ作成した日案に沿って行います。日案は保育士が作成する保育指導案の1つであり、1日のスケジュールを具体的に書かなければなりません。
日案作成は保育士にとって毎日の業務であり、日案を書くときのポイントが知りたい、記入例を参考にしたい人も多いのではないでしょうか。当記事では、保育園の日案とは何かから、日案を書くときのポイント、年齢別での日案の書き方・コツと記入例までを解説します。
日案とは?
日案とは、保育園における1日の保育活動を計画する保育指導案のことです。日案では1日のねらいを設定して、内容(活動)・子どもの姿・保育士の援助・活動の流れ・指導方法・注意点を書きます。
(出典:厚生労働省「保育所保育指針解説 」)
保育指導案は長期計画と短期計画の2つに大きく分けられ、さらに年案・月案・週案・日案の4つにも分けられます。年案と月案は長期計画であり、週案と日案は短期計画です。保育指導案の中でも最もサイクルが短い日案は、毎日書く必要があります。
1. 日案を書くときのポイント3つ
下記で紹介する3つのポイントを押さえることで、スムーズに日案を書くことができます。
●子どもの興味関心や経験をもとに、子どもが楽しめる活動を考える
日案を書くときは、子どもの姿をよく観察しましょう。子どもが興味関心を持っている対象や、経験した遊びを理解しておくと、子どもの発達に合わせた保育活動の内容を組み立てやすくなります。子どもが製作遊びを楽しんでいるときは、使用できる用具の種類を増やすなど、遊びの連続性を意識した活動を考えることもおすすめです。
●開始時間から終了時間まで、内容や環境を詳細に設定する
日案のテンプレートには、活動内容を時系列順に書く項目が含まれていることがほとんどです。実際に保育しているシーンを考えて、開始時間から終了時間まで、内容や環境を詳細に設定しましょう。席の配置は、図も交えて文章で示すことがおすすめです。
●ハプニングを想定して、ゆとりのある時間配分にする
保育士の仕事は幼い子どもを相手にするため、さまざまなハプニングが起こり得ます。日案を書くときはハプニングを想定して、ゆとりのある時間配分にしましょう。日案にゆとりを持たせることで、「日案のとおりに進めなくては」といったストレスがかからなくなり、ハプニングにも余裕を持って対処ができます。
【年齢別】保育園の日案の書き方・コツと記入例
日案に書く内容は、月案や週案と同じで子どもの年齢によって変わります。子どもの姿をしっかりと見て、子どもの発達に合っている指導計画を考えましょう。
ここからは、保育園の日案の書き方に悩んでいる保育士に向けて、各年齢における日案の書き方と記入例を紹介します。
1. 0歳児
0歳児は心身の発達や生活リズムの個人差が大きい時期です。一人ひとりが楽しく過ごせるように配慮した日案を書きましょう。
【0歳児の日案の記入例】
ねらい | ・粘土の感触を味わう・つかまり立ちで身体を動かす・離乳食に慣れる |
内容(活動) | ・粘土で子どもが興味のあるものを制作する・つかまり立ちができる玩具やバーで遊ぶ・10倍粥と野菜ペーストを食べさせる |
子どもの姿 | ・粘土に興味を持ち、手にする・つかまり立ちをすると楽しそうに身体をゆすっている・離乳食に興味を持ち、食べてくれる |
保育士の援助 | ・粘土に興味を持たない子どもに声かけをする・転倒やほかの子どもとぶつからないように見守る・家庭での離乳食の進め方に応じて離乳食の内容と量を変える |
2. 1歳児
1歳児になると、子どものできることが増えます。日案では、運動機能の発達や生活習慣の確立を促す内容がおすすめです。
【1歳児の日案の記入例】
ねらい | ・折り紙で指先を動かす楽しさを味わう・トイレのタイミングで便座に座る習慣を身につける・遊びを通して友だちとかかわりを持つ |
内容(活動) | ・折り紙を使って好きな形を作る・お昼寝から起きたときに便座に座らせる・みんなでままごと遊びをする |
子どもの姿 | ・紙を折ったり丸めたりちぎったりして楽しむ姿が見られる・便座に座って排泄できる子もいれば、まだできない子もいる・子どもたちで役割を決めてままごとをする |
保育士の援助 | ・作った形を褒めて充実感を得られるようにする・排泄できたときは褒めて成功体験を重ねさせる・遊ぶ様子を見守り、必要なときは気持ちの代弁をする |
3. 2歳児
2歳児は社会性が発達する時期であり、集団で行う保育活動の機会も増えます。日案では、集団生活の基礎を養える内容も盛り込みましょう。
【2歳児の日案の記入例】
ねらい | ・屋外で遊び、季節の生き物や自然に興味を持つ ・絵本の読み聞かせで子どもとコミュニケーションをとる ・運動で身体を動かす楽しさを味わう |
内容(活動) | ・公園へ散歩に行き、探索遊びをする ・生活がテーマの絵本を読み聞かせする ・曲に合わせて体操遊びをする |
子どもの姿 | ・鬼ごっこで元気に走る姿が見られる ・絵本のイラストに集中していて、言葉を真似する子もいる ・手や足を大きく動かして、楽しそうに笑っている |
保育士の援助 | ・一緒に遊びながら、ケガや事故がないように注意する ・子どもが集中できるペースで読み聞かせを進める ・動きのお手本を見せて、身体の動かし方が分かるようにする |
4. 3歳児
3歳児は身の回りのさまざまなことに挑戦したくなる時期です。子どもの自主性を尊重し、日案においても保育士が援助しすぎないことを意識しましょう。
【3歳児の日案の記入例】
ねらい | ・製作遊びで物を作る楽しさを味わう ・着替えを自分でやってみる ・歯磨きの習慣をつける |
内容(活動) | ・紙コップで人形作りをする ・着替えの時間に子どもだけで着替えをしてもらう ・歯の大切さを伝え、歯磨き指導をする |
子どもの姿 | ・製作物を見せ合ったり、ごっこ遊びしたりする姿が見られる ・服を脱ぐのが上手でも、着るのは苦手な子もいる ・歯磨きを嫌がる子どもが多い |
保育士の援助 | ・製作に使うハサミやのりの正しい使い方を教える ・着替えが苦手な子には保育士がお手本を見せる ・子どもが持つ歯ブラシを支えながら、動かし方を教える |
5. 4歳児
4歳児は言語能力や想像力が発達し、自分の考えや気持ちを表現することもできます。子どもの表現能力を伸ばす内容を日案に含めましょう。
【4歳児の日案の記入例】
ねらい | ・脱いだ服は畳む習慣を身につける ・友だちに自分の考えを伝えながら遊ぶ ・楽器で遊び、みんなで一緒に表現する楽しさを味わう |
内容(活動) | ・服の正しい畳み方を教える ・お店屋さんごっこで遊ぶ ・タンバリンやカスタネットに触れて、簡単な合奏も行う |
子どもの姿 | ・服を脱いだあとに畳もうとする姿が見られる ・お店とお客さんに分かれて、言葉のやりとりをして遊ぶ ・楽器を手で叩き、音色を楽しそうに聞く |
保育士の援助 | ・服の着替えを行ったあとは畳むことを声かけで教える ・やりとりを見守り、役割の交代も適宜促す ・曲を流して、リズムに合わせて合奏することを提案する |
6. 5歳児
5歳児は、しっかりと考えて発言・行動する力が身につく時期です。小学校就学も見据えて、日案では自分で考える力が養える内容を盛り込みましょう。
【5歳児の日案の記入例】
ねらい | ・ルールに沿って遊ぶ楽しさを味わう ・クラスのみんなで話し合いをする ・年長になったことを意識して、年少の子どもとかかわりを持つ |
内容(活動) | ・みんなでフルーツバスケットをして遊ぶ ・発表会で行う劇の役割を決める ・縦割り活動で5歳児と年少の2人ペアを作り、手つなぎ鬼で遊ぶ |
子どもの姿 | ・ルールを理解して、みんなで楽しく遊ぶことができる ・相手の言葉をしっかりと聞く姿が見られる ・年少の子どもを気にかけて、走る速さを合わせる姿が見られる |
保育士の援助 | ・遊び場所の準備や、ケガがないように見守りを行う ・保育士が進行役になり、子ども一人ひとりに意見を聞く ・事前にペアを決めておき、みんなが楽しめるように見守る |
まとめ
保育園の日案を書くときは、1日の保育活動を計画して、活動の流れも組み立てます。日案を書くときのポイントは、子どもが楽しめる活動内容にすることです。
また、活動の流れは時間に沿って詳細に書くことも意識しましょう。ゆとりのある時間配分にすると、ハプニングが起きたときにも対処できます。
毎日書く日案の内容や方向性で困ったときは、紹介した日案の記入例を参考にしてください。子どもの年齢や成長に見合った活動を考えることで、適切な日案を書けます。
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