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原始反射は、赤ちゃんがさまざまな刺激によって無意識的に反応する反射動作のことです。代表的なものでいうと、赤ちゃんの手に指で触れたとき、ぎゅっと握り返してくれるといった行動は原始反射によるものと言えます。基本的に、誰もが生まれつき備わっている能力であり発達の基礎でもあります。

また、原始反射とひとくちに言ってもさまざまな種類があり、個人差はあるもののそれぞれ出現期間が異なる点も特徴です。

今回は、原始反射の概要からそれぞれの種類、さらに種類ごとの特徴や出現期間まで説明します。最後には原始反射に関する保育士の対応方法も解説するため、子どもが生まれた両親はもちろん、保育士など子ども(主に乳児)の保育に携わる仕事をしている人は、原始反射について理解を深めておきましょう。

原始反射とは?

原始反射とは、身体に何らかの刺激を受けたことによって、無意識的に反応する反射動作で、赤ちゃん特有の現象です。主に、下記のような動作が代表的となっています。

・赤ちゃんの手に指で触れたとき、ぎゅっと握り返してくれる
・赤ちゃんの近くで大きな音がしたとき、ビクッと反応する
・赤ちゃんの唇に何から触れると、吸い続ける

健常な赤ちゃんであれば、原始反射はお母さんのお腹の中にいるときから出現するため、基本的に生後すぐ(出生時)から見られることが特徴です。

また、原始反射と似た反射動作に「パラシュート反射」があります。パラシュート反射は生後数か月から見られる無意識的な反応・反射動作です。しかし、パラシュート反射は一度反応が見られると永久的にその反射能力が身につく一方で、原始反射の反射能力は成長に伴い消失するようになっています。

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原始反射の種類と出現期間

原始反射の出現期間は、生後すぐから3~4か月が基本です。しかし、原始反射の種類や個人によって出現期間に当然差が出るため、反応が見られない・なかなか消失しないという場合でも、さほど心配する必要はありません。

原始反射には、多くの種類が存在することが特徴です。ここからは、代表的な原始反射を紹介します。

自動歩行

自動歩行とは、足の裏が床などの平面に触れると、両足や片足を前後に出して歩き出すかのような仕草を見せる反射能力です。「歩行反射」とも言われます。出生時にすでに反応が見られることが多く、生後2~3か月で自然に消失します。

しかし、実際に赤ちゃんが歩き始めるのは生後1年が経過したころです。
生後2~3か月が経って歩行反射が消失し1人歩きができるまでの間は、おすわりやハイハイなどで姿勢の保持ができるようになるまでの期間と言えます。

哺乳反射

哺乳反射とは、大まかに赤ちゃんの口に入ってきたものを吸う反射能力です。さらに、原始反射の他種類である下記一連の反射をまとめて「哺乳反射」と呼びます。

探索反射唇に何かが触れると、その触れた何かを探すかのように左右上下に首を回す
捕捉反射唇に何かが触れると、唇・舌を使って捉えるような仕草を見せる
吸啜反射口で指や乳首をくわえると、舌をなめらかに動かして吸う

哺乳反射は、出生後すぐから反応が見られ、生後5~7か月ほどで自然に消失します。新生児が出生後すぐにおっぱい・哺乳瓶を吸って母乳やミルクを飲めるのは、この哺乳反射があるためです。

モロー反射

モロー反射とは、柔らかいベッドなどに上を向けて寝かせた赤ちゃんの後頭部に手をあて、少し頭を持ち上げたあと突然持ち上げていた頭を下ろすと、驚いたかのように両腕を広げ、続いて何かにしがみつくように両腕を縮こまらせるような仕草を見せる反射動作です。

また、ベッドに寝かせるときや、大きな音に反応したり夢を見ていたりするときも、モロー反射が出ることもあります。モロー反射は出生後すぐから反応が見られ、生後4~6か月で自然に消失します。

モロー反射が生後6か月以上を経過しても持続する場合は、脳の運動発達部分に異常がある可能性があるため、健診時は医師に相談することがおすすめです。

探索反射

探索反射とは、唇に指や乳首が触れると、触れた指や乳首を探すかのように左右上下に首を回す反射動作です。赤ちゃんが生後すぐに母乳が飲めるよう、備わった反射能力と言えます。

探索反射は出生後すぐから反応が見られ、生後4~6か月で自然に消失することが基本です。筋肉の発達の違いによって、反射の強弱が感じられるケースもありますが、しっかり探索反射が出ていればさほど心配する必要はありません。

消失期間も個人差があるため、生後6か月を経過しても探索反射がまだ出ているというケースは多々あります。しばらく続く場合は健診時に医師に相談することがおすすめですが、まずは1~2か月ほど様子を見ておくとよいでしょう。

緊張性頸反射

緊張性頸反射とは、身体の片側の一部を刺激すると、反対側の一部が無意識に反応し、身体の平衡を保とうとする反射動作です。緊張性頸反射には、対称性緊張性頸反射と非対称性緊張性頸反射があります。

対称性緊張性頸反射赤ちゃんをうつ伏せ(腹臥位)の状態にして頭を上げると、腕が伸び脚が屈曲する
反対に頭を下げると、腕が曲がって脚が伸びる
非対称性緊張性頸反射赤ちゃんを仰向けの状態にして首を左右どちらかに向けると、首を向けた側の手足が伸びて、片側の手足が曲がる

緊張性頸反射は、出生後すぐから反応が見られ、生後3~4か月で徐々に消失します。緊張性頸反射が消失したあとは、寝返りがうてるようになることも特徴です。

把握反射

把握反射とは、赤ちゃんの手足に何らかの刺激を与えることで、無意識的に握る仕草を見せる反射動作です。手の把握反射は「手掌把握反射」、足の把握反射は「足底把握反射」と言われています。

手掌把握反射赤ちゃんの手のひらを指で触れると、触れた指を握り返す
足底把握反射赤ちゃんの足の裏親指の付け根にあるふくらみを指で圧迫すると、足のすべての指が内側に曲がる

手掌把握反射は出生後すぐから反応が見られ、生後3~4か月で自然に消失します。一方で、足底把握反射は出生後すぐから反応が見られるものの、生後9~10か月にわたり反応が続きます。

足底把握反射が消失したあとしばらくすると、1人立ち・1人歩きが徐々にできるようになるでしょう。

バビンスキー反射

バビンスキー反射とは、赤ちゃんの足の裏の外側を、ややとがったものでかかとから足のつま先まで刺激すると、足の親指が外側に曲がって他の指が扇状に広がる反射動作です。「バビンスキー徴候」とも言われます。

バビンスキー反射は出生後すぐから反応が見られ、生後1~2年程度で自然に消失します。

ここまでの原始反射はすべて、赤ちゃんの成長に必要な反射・役割であることに対し、バビンスキー反射は特に何かの役割を果たしているわけではありません。

原始反射に関する保育士の対応法

多くの保護者は健診時に原始反射について初めて知ることとなるため、子どもの成長に対して不安を抱くことも少なくありません。乳児を預かる保育士は、下記2つのポイントを心がけるとよりよい保育ができるようになるでしょう。

〇原始反射に関する勉強会を開く
原始反射は子どもの成長度合いを知る指標の1つとなります。そのため、預かっている子どもたちの発育状況や健康の把握・管理をするためにも、定期的に勉強会を開催して保育士同士で共有することがおすすめです。

〇子どもの様子を随時記録する
子どもの様子が変化したとき、原始反射についての知識があればすぐに違和感に気付くことができます。とは言え、原始反射だけで子どもの発達状況をすべて正確に把握することはできません。そのため、原始反射についてだけでなくいつもと違った様子はないかなどを確認し、随時記録することをおすすめします。また記録した内容は、連絡帳に記載するなどして保護者と共有するとよいでしょう。

まとめ

身体に何らかの刺激を受けたことによって、無意識的に反応する反射動作を「原始反射」と言います。原始反射は赤ちゃんに生まれつき備わったものであり、ほとんどが出生後すぐから反応が見られ、生後数か月で自然に消失することが特徴です。

中には、原始反射がなかなか消失しない場合もありますが、動きが続くからといって脳機能・運動機能の病気や発達障害があると一概には言えません。消失するタイミングは個人差があるため、焦ったり無理に止めたりしないようにしましょう。

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