中堅保育士の役割と目標設定の具体例|目標の立て方・コツも紹介!

中堅保育士の役割と目標設定の具体例|目標の立て方・コツも紹介!

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厚生労働省主催の2018年度「保育所等における保育の質の確保・向上に関する検討会」では、保育の質向上や職員の資質向上に向けて行う自己評価の重要性が再確認されました。

このような保育行政の動きに影響を受けて、職場で目標設定を行うように指示を受け、困惑する保育士もいることでしょう。

この記事では、中堅保育士の役割と目標設定のポイント、中堅保育士にふさわしい目標の具体例を紹介します。業務の振り返りや目標設定の意義、設定した目標を有効に機能させるための方法を知り、社会人としてのステップアップを図りましょう。

そもそも「中堅保育士」とは?

保育士と子供たち

「中堅保育士」とは、保育士として数年間の実務経験を持つものの、ベテラン保育士に該当しない保育士を意味します。

ベテラン保育士から指示を受けて、現場の活動に反映するといったように、管理職と新人・若手保育士の橋渡しを担う存在です。新人保育士の指導を行う・後輩保育士の相談を受けるなど、人材教育に携わることが多くあります。

それでは、具体的に勤続年数何年目の保育士が「自分は中堅である」といった自覚を持つ必要があるのでしょうか。また、何年目程度までを「中堅保育士」として、過ごすことになるのか、解説します。

中堅保育士のめやすは勤続3~7年目

一般的には、勤続年数3年目から7年目程度の保育士を「中堅保育士」と考えられています。中堅保育士は、勤続年数1年目や2年目の保育士とは異なる役割を自覚し、適切な目標設定を行わなければなりません。

つまり、中堅保育士の仕事内容や役割を正しく把握しなければ、適切な目標設定を行うことは困難です。保育士としての経験年数ごとの仕事内容や担当する役割を理解し、目標設定の準備を整えましょう。

【勤続年数別】中堅保育士の役割と目標設定の具体例

ノートとえんぴつ

中堅保育士と一口にいっても、様々な仕事内容・役割が存在します。3年目の保育士と7年目の保育士では異なる役割を担うことから、目標設定の方向性も異なることが自然です。

そこで、保育士としての勤続年数ごとに職場での役割と仕事内容、目標設定の具体例について紹介します。

勤続3~4年目

勤続年数3年目から4年目は、一通りの保育業務を覚えて、クラス運営の中核を担う時期です。組織体制によっては「まだまだ若手」といった判断を受けることもあるものの、年長クラスの担任など、難易度の高い保育業務の機会が提供されます。

勤続年数別の主な役割と仕事内容、目標設定の具体例は、下表の通りです。

勤続年数主な役割・仕事内容目標設定の具体例
3年目・保育園の保育方針に沿った保育を実践する。
・年長クラスの担任となる。
・新人保育士や保育実習生の保育指導を行う。
・先輩保育士の指示を待たず主体的に行動し、保育方針に沿った保育を実践する。保育方針を1日1回読み返し、気を引き締めて日々の業務に取り組む。
・1日1回は新人保育士と対話する時間を設けて、保育方針の周知徹底と日常業務に関する不安の解消を図る。
4年目・保育園の保育方針に沿った保育を実践する。
・新人保育士や保育実習生の保育指導を行う。
・保護者の要望を聞き取り、上司の判断をあおぎつつ、適切に対応する。
・後輩のクラス担任と週1回のミーティングを行い、子どもの個性を尊重するクラス運営を実現する。
・若手リーダー育成研修を受講し、保護者支援・子育て支援担当保育士として、キャリアアップを図る。

保育園の方針を理解した上で、自分の保育技術をより向上させることを念頭に、個人目標を設定しましょう。

勤続5~7年目

勤続年数5年目以降の保育士は、職場の中心を担うことが多く、人材育成に携わる機会も増加します。また、職務分野別リーダーや専門リーダーへのキャリアパス、副主任など管理職へのステップアップも検討されるタイミングです。

勤続年数に応じた役割と職務内容、目標設定の具体例は、下表の通りです。

勤続年数主な役割・職務内容目標設定の具体例
5年目・保育方針に沿った保育を実践する。
・新人保育士や後輩クラス担任の指導、サポートを行う。
・行事の企画、実施を担当する。
・保護者の要望を聞き取り、必要に応じて上司の判断をあおぎつつ、適切に対応する。
・新人研修の担当保育士として、保育園の方針や保育理念を正しく伝え、チーム保育に貢献する人材を育成する。
・食育・アレルギー対応研修を受講し、職務分野別リーダーを目指す。日々の業務においては、調理師と連携を図り、子どもの食の安全管理に努める。
6年目・後輩保育士の人材育成について責任を持って行う。
・日々の保育業務と行事の充実に努める。
・保護者の要望を聞き取り、必要に応じて上司の判断をあおぎつつ、適切に対応する。
・クラス間の連携や情報共有を主導する。
・1週間に1個はチームとしての課題や反省点を探し、改善に向けた意見交換を行う。後輩保育士と協力して、クラス運営を行うための取り組みを進める。
・マネジメント研修を受講し、保育主任の役割や人事評価方法、地域との連携方法を学ぶ。管理部門の勉強会や研修会に参加し、保育業務以外の専門知識を養う。
7年目・日常的な保育業務や人材育成、保護者対応を行う。
・日々の保育業務と行事の充実に努める。
・クラス間の連携や情報共有を主導する。
・シフト管理や職員編成をサポートする。
・各家庭の状況を週1回は確認し、丁寧なフォローを行う。取り組み内容をクラス担任に連絡し、施設全体として生活支援やクレーム対応を行う。
・保育士同士の人間関係に気を配り、クラス主任や新人保育士など、立場の異なる職員が一丸となり、チーム保育を行う体制を主導する。

結論:中堅保育士の大きな課題は「リーダーシップ」

保育士

組織単位の成長を図るためには、「リーダーシップ」を発揮する保育士の存在が不可欠です。そして、リーダーシップを発揮できるようになることは、中堅保育士の大きな課題と言えます。

中堅保育士は、園長から意見を求められたり、採用・研修計画の作成会議に参加したりとリーダーの一員として動かなければならない立場です。自分の業務を遂行することだけではなく、様々な年齢の子どもや保護者、他の保育士と関わりを持ち、調整を図る役割も果たします。

これらのことをふまえて、中堅保育士にふさわしい目標設定を行いましょう。

目標の立て方とコツ

「リーダーシップを発揮する」という課題は、長期的なキャリアアップを図る上での大きなビジョンに過ぎません。大きなビジョンを達成するための明確な行動指針が、「目標」です。

以下の手順に沿って目標を設定し、長期的なキャリアアップを実現しましょう。

①現状の振り返りを行う

現在の自分ができること・できないことを紙に書き出し、「リーダーシップを発揮できる」保育士となるために、不足しているスキルや経験を可視化しましょう。現在の課題を明らかにすることで、目標達成のために行うべき具体的な取り組みを明確にできます。

②翌年度の重点的な対策課題を選択する

明確化した不足スキルや経験の中から、特に重要なものを選択します。

③重点的な対策課題を具体的な目標に落とし込む

翌1年で対策する課題を、具体的な目標に落とし込みます。この段階で設定する目標は、達成・未達の検証が容易である程度まで、具体化しましょう。

一例を挙げると、「人材育成ノウハウを習得する」といった目標設定では、達成基準が曖昧で目標として機能しません。「後輩保育士に対して1日1回は言葉をかけて、個々の成長に貢献する」といったように、具体的な数字や取り組み内容を盛り込むことが大切です。

まとめ

多くの中堅保育士は、保育現場の中核を担い、人材育成や経営層に対する報告など、様々な仕事を抱えています。

一方で、中堅保育士は結婚・出産など仕事以外の個人的なイベントに忙しい年代です。仕事における明確な目標を持たなければ、「目の前の仕事をこなすことに精一杯」という状態に陥り、スキルアップの停滞を招く恐れがあります。

中堅保育士としての役割を果たし、長期的なキャリアアップを実現するためには、適切な目標設定が不可欠です。自分の現状を今一度振り返り、中堅保育士にふさわしい目標を検討しましょう。

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