保育園のお遊戯会(生活発表会)のねらいは?年齢別の演目と準備の流れ

文:神戸のどか(保育士ライター)
お遊戯会(生活発表会)は保育園や幼稚園、認定こども園で行われる定番の行事です。子どもの成長を感じられる行事なので、多くの保護者が子どもたちの発表を楽しみにしています。しかし、お遊戯会は事前準備が多いため、準備に不安を抱える保育士もいるかもしれません。
この記事では、お遊戯会のねらい、おすすめの演目や題材を年齢別に紹介します。また、スケジュールや当日の流れについても詳しく解説しますので、お遊戯会の準備にお役立てください。
お遊戯会(生活発表会)とは?
お遊戯会とは、劇やダンス、歌、合奏などを保護者に披露して、子どもたちの日頃の成長を見てもらうための行事です。園によっては、「生活発表会」や「発表会」とも呼ばれます。
開催時期
お遊戯会は、11~12月、2月~3月に行われることが一般的です。12月に行う場合は、クリスマス会を兼ねることもあります。
発表するクラスが多いと園内の混雑や全体のプログラムが長くなりすぎてしまうため、開催日や開催時間を分ける場合もあります。その場合は「学年ごと」「乳児クラス」「幼児クラス」などに分けて開催されます。
開催場所
お遊戯会を開催するときは「園のホール」か「地域の会場」で行うことが一般的です。ホールがある園は、ステージや客席を設けて保護者を招待します。慣れている場所で本番を迎えられることで、子どもたちも安心できますし、運営も比較的スムーズです。
一方で、子どもの人数が多い場合や、ホールが小さい園の場合は、地域の会場を借りてお遊戯会を開催します。駐車場が使えたり大きなステージで行えたりする利点がある反面、慣れない場所で運営する大変さも伴います。
お遊戯会のねらい
お遊戯会のねらいは、子どもの成長を保護者に見てもらうことや、子どもたちの表現力・創造力を養うことです。子どもたちにとっては、友だちと一緒に取り組む楽しさや表現する喜びを知る機会となり、協調性や社会性も育めるでしょう。
子どもたちは、お遊戯会という一つの目標に進むなかで、大きな達成感を得られ自信をつけられます。お遊戯会の経験は、「やってみよう」という今後の意欲につながるでしょう。
お遊戯会におすすめの演目・題材
お遊戯会の主役は子どもたちです。年齢や興味に合わせた演目を選択し、子どもたちが主体的に取り組めるような題材を用意しましょう。
乳児クラス(0~2歳児)
乳児クラスでは、子どもたちが保育園を楽しんでいる様子を保護者に伝えることを目的にします。月齢によって発達の違いが大きいので、いつも楽しんでいる手遊びや楽器遊びを取り入れるのがおすすめです。発表会だからと練習を強制しないようにしよう。
2歳児クラスになると、友だちとの関わりを楽しんだり言葉でのコミュニケーションが多くなったりします。簡単なストーリーであれば、劇を行ってもよいでしょう。絵本を題材にするときは、繰り返しの展開を楽しめる絵本がおすすめです。
おすすめの演目
- お名前呼び
- 手遊び
- リズム遊びや体操
- 楽器遊び
- 劇
おすすめの題材
手遊び
- バスごっこ
- たまごのあかちゃん
- おべんとバス
楽器
- 手作り太鼓やマラカス
- カスタネット
- タンバリン
- 鈴
体操
- どうぶつたいそう1・2・3
- フルフル・フルーツ
- サンサンたいそう
絵本
- だるまさんが(シリーズ)
- はらぺこあおむし
- がたん ごとん がたん ごとん(シリーズ)
- おおきなかぶ
- もりのおふろ(シリーズ)
幼児クラス(3~5歳児)
幼児クラスの子どもたちは、登場人物の気持ちを考えたり、世界観をイメージして演じたりすることができるようになります。4歳~5歳は自分でセリフを考えながら演じられるようになるため、ストーリー性のある劇や、登場人物が多い劇もできるようになるでしょう。
合奏を行う場合、3歳児はカスタネット、タンバリン、太鼓、トライアングルのようなリズムをとって奏でられる楽器がおすすめです。4歳~5歳の合奏では、音階のある鍵盤ハーモニカ、ハンドベル、木琴、鉄琴なども楽しめるようになります。
おすすめの演目
- 歌
- ダンス
- 合奏
(カスタネット、タンバリン、太鼓、トライアングル、鍵盤ハーモニカ、ハンドベル、木琴、鉄琴など) - 劇やオペレッタ
おすすめの題材
歌
- あしたははれる
- あおいそらにえをかこう
- ね
- にじ
- 世界がひとつになるまで
- うたえバンバン
- さんぽ
- たのしいね
- 線路は続くよどこまでも
ダンス
- ぼよよん行進曲
- ココ☆ナツ
- ポポポポポーズ
- ジャンボリミッキー
合奏
- きらきら星
- きよしこの夜
- おもちゃのチャチャチャ
劇
- 3びきのこぶた
- 赤ずきんちゃん
- どうぞのいす
- てぶくろ
- 桃太郎
- おむすびころりん
- オズの魔法使い
先生の出し物
子どもたちや保護者に楽しんでもらうために、先生が出し物を行う園もあります。演劇・マジック・ダンス・合奏などがおすすめです。とはいえ、お遊戯会の準備をしながら出し物の練習をすることは大変なため、早めに計画を立てると安心です。
スケジュールや準備の流れ
お遊戯会は題材決めや練習、衣装作りなど、準備することが多い行事です。また、担当の係はプログラムの内容を決めて準備するために、2~3ヶ月前から計画的に進める必要があります。ここからは、お遊戯会全体のスケジュールや流れについて解説します。
1. 行事の日程や場所を決める(前年度)
年度末に、「お遊戯会をいつどこで開催するか」を年間行事予定として決めます。地域の会場を借りる場合は早めに手配しておく必要があります。
2. クラスごとに演目を決める(2~3ヶ月前)
2~3ヶ月前には、各クラスの保育士でお遊戯会をどのような内容にするか話し合います。冬頃に開催する場合は、秋頃から考えておく必要があるでしょう。初めてお遊戯会を行う保育士は、直前になって慌てないように昨年度の様子や行事計画に目を通しておきます。
3. クラスで演目に取り組み始める(1~2ヶ月前)
決まった演目の練習ができるように、クラス内での導入方法を考えます。たとえば、合奏を予定している場合は楽器に触れる機会を作っておきます。子どもたちが興味や関心を持って参加できるように日々の保育計画を立てましょう。練習は、個々の発達や思いを尊重しながら進めることが大切です。
4. 職員の役割分担を決める(1~2ヶ月前)
お遊戯会は全職員で協力して行う必要があります。スムーズな運営ができるように各職員の役割を決めておきます。
【お遊戯会の係の例】
- 司会
- 保護者の会場案内係
- 子どもの誘導係
- ピアノ係
- 衣装の製作係
- 子どもの衣装替えを手伝う係
- 大道具を動かす係
ピアノ係や大道具係は、子どもたちに合わせて動けるように何度か一緒に練習をします。特に衣装は時間がかかるため、早めに準備を始めましょう。
5. プログラムやおたよりを作成する(1ヶ月前)
保護者に配布するために、お遊戯会のプログラムや案内のおたよりを1ヶ月前くらいから作成します。記載する内容は下記の通りです。
【プログラムに記載する内容】
- 各クラスの発表内容
- 会場の案内
- 注意事項
【おたよりに記載する内容】
- 日時や場所、集合時間
- 交通手段
- 持ち物や服装
- 注意事項
- 席順
- 撮影についてのルール、マナー
6. お遊戯会のリハーサルを行う(1~2週間前)
1~2週間前には、本番に向けて数回リハーサルを行います。リハーサルは、子どもたちが会場の雰囲気や流れに慣れるようにする目的があります。他のクラスに見てもらう機会を作り、会場に観客がいることを経験するのも必要です。
最後のリハーサルは、本番と同じような動きや流れで行えるようにしましょう。職員も当日の動きを体験しておくことで、当日の運営がスムーズになります。
7. 会場準備と最終チェックをする(前日)
会場装飾は昨年のものを利用することで、準備の負担を減らせます。お遊戯会の場所、トイレや授乳室などわかりやすくなる案内板を作っておきましょう。また、大道具や小道具、衣装が揃っているかを再度確認し、使用するCDの準備も忘れないようにしましょう。
8. お遊戯会(当日)
本番は、いつもと違う雰囲気に泣いてしまう子や緊張してしまう子もいます。子どもが楽しめるように、まずは保育士がリラックスしましょう。たくさんの保護者が見ている舞台に出られただけでも、子どもにとっては大きな成長であり特別な経験です。
9. 振り返りをする(後日)
お遊戯会が終わったら、保護者にアンケートを書いてもらい反省点や改善点を把握します。集まった感想や意見は、来年度のお遊戯会に活かしましょう。連絡帳のコメントも参考になりますよ。
お遊戯会を成功させる3つのポイント
子どもたちが輝くステージにするためには、主体的に取り組んでもらうことが大切です。子どもたちに、「表現するって楽しい」と思ってもらえるようなサポートをしましょう。ここからは、よいお遊戯会にするための3つのポイントを紹介します。
1. 子どもが興味あるものを題材に選ぶ
お遊戯会は、普段の遊びや生活の延長線上でできるような題材を選びます。子どもたちの興味や関心があるものを取り入れられるように、「気に入っている絵本はないか」「どんな遊びが流行っているか」などを参考にしましょう。
幼児クラスの場合、劇の題材を決めるときは、子どもたちに読み聞かせをしている絵本のなかから数冊読んで、話し合って決めることをおすすめします。日常的に、簡単なストーリーで演じることを楽しんだり、楽器に触れる機会を作ったりしておくことが大切です。
2. 子どもが楽しめるような働きかけを行う
子どもたちに、「お遊戯会の劇は、○○をやります」といっても、イメージが湧かず「やってみたい」という気持ちにつながりません。たとえば劇の場合、あらかじめ絵本でストーリーを楽しんだり、劇遊びで役になりきる楽しさを感じたりする機会があるとよいでしょう。
子どもたちは、いろいろな役を経験するなかで登場人物の心情を理解していきます。子どもたちが「楽しそう」「やってみたい」と思えるようなきっかけ作りをしましょう。
3. 子どもと一緒に作り上げる
お遊戯会に向けて作り上げる楽しさを感じられるように、子どもたちと一緒に準備を進めることが大切です。たとえば、「手作り楽器を一緒に作る」「大道具を一緒に作る」「劇のセリフを考える」などが挙げられます。すべて保育士が決めずに、子どもたちの意見を聞きながら進められるとクラスの個性溢れるものになります。子どもたちが主体的に活動できるように、保育士はサポートしましょう。
子どもたちと一緒にお遊戯会を楽しもう!
お遊戯会は決めるべきことが多く、さまざまな準備が必要になる行事です。しかし、一つの目標に向かって取り組むことは子どもたちにとって特別な経験になります。音楽に合わせて体を動かす喜びや、役になりきって表現する楽しさを味わえるようなお遊戯会にしましょう。
子どもたちが夢中になって取り組む姿や、練習を経て成長していく姿を間近で見られるのは保育士のやりがいのひとつです。子どもたちや保護者にとって思い出に残るお遊戯会にするためにも、スケジュールや流れを把握して準備を進めていきましょう。
参考サイト:
第70回ひかり保育園お遊戯会プログラム|ひかり保育園
第45回お遊戯会(12/9)のお知らせ|さくら保育園
保育園で、0歳児から5歳児の子どもたちの保育を5年半担当してきました。
「一人ひとりの個性」や「主体性」を大切にする保育園での勤務経験を活かし、
現在は保育士さんや子育て中のママやパパに向けて記事を執筆しています。
絵本や歌が大好きで、特に絵本の読み聞かせや手遊びが得意です。
保有資格:保育士・幼稚園教諭・認定ベビーシッター