リトミックとは?取り入れ方や注意点、リトミック指導者に必要な資格

リトミックとは?取り入れ方や注意点、リトミック指導者に必要な資格

音楽を通して、リズム感や音楽能力、表現力を養う「リトミック」。リトミックを指導できると、保育施設や介護施設、ピアノ教室などで活躍の場が広がります。

今回は、リトミックとは何か、どのような効果があるのか、リトミックを指導する際に役立つ資格について詳しく解説します。

リトミックとは?

リトミックとは、音楽に合わせて身体を動かすことで音楽的能力や表現力を育てる音楽教育法です。音楽に親しみながら子どもたちの表現力や感性を養う活動として注目されています。

リトミックでの取り組みは、以下の3つに大別できます。

  • リズム運動……音楽に合わせて体を動かすことで、リズム感などを育てる
  • ソルフェージュ……メロディや音階にあわせて歌うことで、音感を育てる
  • 即興演奏……自由な演奏で表現力や創造性を育てる

リトミックでは、音楽を通して、音楽能力だけでなく心も身体も健やかに育むことができます。

リトミックの効果

保育にリトミックを取り入れることで、どのような効果が期待できるのでしょうか。

音楽能力の向上につながる

音の強弱や音階、音楽の速度などの違いを感じながら身体を動かすことで、音楽の基本であるリズム感や音感を養うことができます。

表現力が養われる

リトミックでは、音楽を繰り返し聴きながら、音の変化に合わせて身体の動かし方を変えていくこともあります。さまざまな音を聴き分けて、どんな動きをするかを瞬時に判断する必要があるため、集中力や表現力が身につきます。

コミュニケーション能力が高まる

一緒に活動する仲間と同じように身体を動かしたり、同じタイミングで動いたりと、音楽を通して関わりが生まれるため、自然とコミュニケーション能力が高まります。リトミックを通じて社会性や協調性が向上し、他の活動や生活においても、誰かと一緒に活動する楽しさを感じられるでしょう。

身体能力が向上する

音楽に合わせて身体のさまざまな筋肉を動かすため、身体能力が向上します。運動が苦手な子どもも、音楽に合わせて自然と楽しく体を動かせるでしょう。定期的に保育に取り入れていくことで、基礎体力向上につながっていきます。

【年齢別】リトミックの内容とやり方

子どものためのリトミックは、リズムや歌を使って音楽のスキルや潜在能力を引き出すことが目的です。子どもの年齢や成長に合わせて、音楽に親しみながら、徐々に子どもたちの能力を伸ばしていきます。リトミックの流れを年齢別にみていきましょう。

0歳児

0歳児はリトミックを通して、基礎リズムや音を自然に身につけます。0歳児を対象とした教室は少ないため、保護者が自宅で行うことが一般的です。

授乳後に背中を優しく叩きながら歌ったり、カラフルなテープや色紙を吊るして、どんな音が出るかを眺めたりといったレッスンがおすすめです。

子どもの首がすわるようになったら、唄を歌いながら揺らすなどして、積極的にリズムを伝えていきましょう。

1歳児

1歳児は保護者と一緒に手遊びやリズム遊びを行い、親子で音を楽しみます。楽器や歌を使い、全身運動を伴うリトミックが一般的です。

1歳児は1人で踊ったり歌ったりすることが難しいため、保護者がリードをします。あくまで音楽に親しむことが目的のため、子どもが楽しむことが大切です。

2歳児

2歳児になると集中力や反射神経が発達してくるため、1人でもリトミックができるようになります。

音の休止の概念が理解できるようになる年齢でもあるため、音楽を流した状態からストップする「ゴー&ストップ遊び」のリトミックがおすすめです。

さらに、道具を使ったリトミックもできるようになるため、リズムに合わせてボールを渡し合うなどのレッスンも楽しめます。

3歳児

3歳児はコミュニケーション能力の発達により、子どもだけでグループレッスンが可能となる年齢です。保護者の助けを借りずに、自分で状況判断できるようにすることを目標とします。

リズムや音楽能力の向上をメインとしたこれまでとは違い、子どもの発達をより重視したカリキュラムを組んでいきます。

4歳児

4歳児になると、音の強弱や音階など、音を意識したリトミックができるようになります。音の高低も理解できるようになるため、音階に合わせて歌うレッスンが効果的です。

4歳児になると自我が芽生えてくるため、情操教育ができるようになるほか、リトミックのグループレッスンを通して人間的な成長が期待できます。

5歳児

5歳児になると、遊具を使ったカリキュラムや、手足を動かすダンスのような動きを取り入れることが可能となります。

また、5歳児になるとグループ内での自分の立場が分かるようになるため、思考力や協調性が身につきます。
さまざまな能力をバランスよく引き伸ばし、豊かな個性を育てていくことが大切です。

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リトミックを取り入れるポイント・注意点

リトミックを取り入れるときの注意点を4つご紹介します。

環境を整える

リトミックでは、身体を大きく動かしたり移動したりするので、広い場所の確保は欠かせません。また、活動に関係のないものが子どもたちの目につく場所にあると、集中力を維持しづらくなります。思う存分体を動かしても安全に楽しめるかどうか、リトミックに集中できるかといった点に配慮して環境を整えましょう。

保育士も思い切り楽しむ

一緒に活動する保育士の表情や動きも重要です。保育士が恥ずかしがっていたり、自信のない様子が見えたりすると、その様子を敏感に感じ、楽しめない子が出てくることも考えられます。保育士自身が思い切り楽しみ、表現する楽しさを伝えるとよいでしょう。

子どもの表現を否定しない

リトミックにおける表現は、子どもによって異なります。子どもの数だけ異なる表現があることを理解し、決まった形にこだわらず、そのとき子どもが見せる表現力を大切にしながら進めましょう。

子どもの成長や特性に寄り添う

子どもたちの中には、集団行動や大人数での活動が苦手な子、初めての活動に緊張してしまう子もいます。子どもの個性や特性を理解し、無理強いせずに子どもの思いを大切にしましょう。

リトミック指導者とは?リトミックに関する資格5選

リトミック指導者の仕事は、音楽レッスンを通して、子どもたちのさまざまな潜在能力を引き出すことです。

リトミックの活動は資格がなくてもできますが、資格を取得すると活動の幅を広げられます。リトミックに関する資格を5つ紹介します。

リトミック講師

NPO法人日本こども教育センターでは、「リトミック講師」資格取得講座を開設しています。短期間(最短5日)でリトミックの理論を学び、対面講座も含めて1~3歳児までのレッスンを身につけるとともに、小学校低学年までのレッスンの全体像も理解できます。自身で教室を運営したい方にも向けた資格取得講座です。

JADP認定乳幼児リトミックインストラクター®

JADP認定乳幼児リトミックインストラクターは、子どもの年齢にあわせたリトミックのプログラムや、伸ばしたい潜在能力に対応したプログラムを組めるようになることを目指す認定資格です。

乳幼児の発達に関する基礎知識を含めて、リトミックを指導する方法についての専門知識とスキルを養います。

ふれあいリトミック資格

ふれあいリトミックとは、親子や友達、先生とのふれあいを重視したリトミックです。子どもの自己肯定感や自主性を育てるスキンシップや、協調性・社会性を育てる集団活動を重視します。

資格講座では、子どもに「楽しい」と感じてもらうための環境づくりや、子どもの心をつかむ指導法、子どものタイプに応じた対応の仕方、子どもが飽きないレッスンプログラムの作り方など、実践的な内容を学べます。

あそびうたリトミック認定2級・1級

就学前の子どもたち向けのリトミックの指導法やあそびうた、リズム感、表現方法などを学べます。あそびうたの動画を使用したリトミック指導のやり方や、振り付け・ダンス指導について学ぶことで、自分でレッスンを実施できるようになることが目的です。

リトミック研究センター 指導者養成コース

リトミックのリズムや子どもへの指導法、ピアノ演奏法を学べる資格です。資格を取得すると、自宅で「リトミック研究センター認定教室」「こどものためのリトミック」の名称を使用して教室を開くことができます。初級の他にも、さらに上を目指して学びを深められる「中級指導資格」や「上級指導資格」も用意されています。

リトミック指導者が活躍できる場所

リトミック指導者が活躍できる場所はさまざまですが、主に幼児・児童向けの職場と、社会人・高齢者向けの職場の2つに分類できます。

幼児・児童向けの就職先

幼稚園や音楽教室などで、子どもにリトミックを教える先生としての仕事が中心です。主に0歳から小学校入学前の子どもをターゲットとし、人間教育の一環としてリトミックを役立てます。

幼稚園や音楽教室では、リトミック専門の講師のほかにも、保育士として働いたりピアノ講師と兼業して働いたりすることが可能です。

また、リトミックのスキルを活かして独立し、子ども向けのリトミック教室などを開業するケースもあります。

社会人・高齢者向けの就職先

介護施設や社会人向けのスクールなど、大人向けにリトミックを教える仕事です。リトミックはこれまで乳幼児教育という認識が一般的でしたが、最近では大人にもリトミックが役に立つ可能性があることが分かってきました。

マナー研修にリトミックを取り入れた「マナーリトミック」や、認知症予防のための「若返りリトミック」など、大人向けのリトミック教育は今後も需要が高まっていくことが予想されます。

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まとめ

リトミックは、音楽を通して子どもの身体能力や音感、リズム感を育む活動です。子どもの成長に合わせた活動を取り入れていけるとよいでしょう。

リトミック指導者に資格は必要ありませんが、認定された資格を持つことで活動の幅が広がります。これからリトミック指導者として働きたい人や、指導者としてのスキルアップを目指している人は、ぜひ資格取得を検討してみてください。



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