保育園で行われる保護者会は、保育者と保護者が交流を深め、園の方針や子どもの様子を共有する貴重な場です。「場が盛り上がらなかったらどうしよう」「保護者に何を話してもらえばよいのか分からない」と、保護者会の流れに悩む保育者の方もいるのではないでしょうか。

本記事では、保護者会で盛り上がる質問テーマを年齢別に10選ご紹介します。質問テーマの選び方も併せて解説していますので、保護者会準備の参考にしてみてください。

保護者会のねらいとは?

保育園では、保護者を対象にした保護者会が年に1〜2回行われます。保護者会の主なねらいは、以下の3つです。

  • 保育者と保護者の信頼関係を築く
  • 育児に関する悩みを共有する 
  • 保育方針や日中の子どもたちの姿を伝える 

保育者と保護者の連携が取りづらい保育園では、保護者会が互いのコミュニケーションを図る貴重な時間になります。ねらいをしっかりと理解した状態で、保護者会に臨んでみてください。

保育者と保護者の信頼関係を築く

保護者会の大きなねらいは、保育者と保護者の信頼関係を築くことです。保育園では、保育者のシフト勤務や家庭それぞれの送迎時間が異なることから、保護者とコミュニケーションをとる時間が限られます。おたより帳やすれ違い際のちょっとした会話だけでは十分な連携がとれず、信頼関係も築きにくいでしょう。

直接顔を合わせてやりとりする保護者会では、まとまった時間のなかで互いの人となりが知れるので、保育者と保護者の信頼関係の構築が期待できます。「この先生なら安心して子どもを預けられそう」と、保護者に信頼してもらえる関係性を作れるようにしましょう。

育児に関する悩みを共有する

保護者会は、育児に関する悩みを共有できる場所です。「もうすぐ3歳なのにオムツがとれない」「偏食に困っている」など、なかなか周りに打ち明けられない悩みを抱え込んでいる保護者はたくさんいます。同じ悩みをもつ保護者がいれば、「悩んでいるのはうちだけではないんだ」と安心して、悩みが相談しやすくなるでしょう。

保護者会では、ナイーブな悩みでも保護者が話しやすいような場の雰囲気作りを意識してみてください。

保育方針や日中の子どもたちの姿を伝える

園の保育方針や、日中の子どもたちの姿を伝えるのも保護者会の大切な役割です。保護者とかかわる時間が限られている保育園では、日中の様子を伝える機会が少なく、おたより帳やクラスだよりだけでは、十分に子どもの様子や園の方針が伝えきれません。

園やクラスの保育方針、子どもの様子などを保護者会で伝えることで、保護者への理解も浸透しやすくなります。保護者会では、1年後までに目指す子どもの姿や、いま子どもたちが興味を持っていること、夢中になって取り組んでいることなど、何を話すのか具体的な内容を考えておきましょう。

保護者会で盛り上がる質問テーマ10選

ここからは、保護者会で盛り上がる質問テーマ10選を乳児・幼児ごとにご紹介します。

0~2歳児向け

成長スピードの早い乳児期は、できることが増えて喜びも増す一方、どう関わったらよいのか困る場面もたくさん出てくるでしょう。また、0歳〜2歳児の乳児を持つ保護者の中には、初めての育児に悩みが尽きない方も多いです。

育児の悩みも同時に解決できるような質問を選んでみてください。

寝かしつけの工夫はある?

「寝かしつけても布団に置くとすぐに目を覚ましてしまう」「夜泣きがひどい」など、寝かしつけに関する悩みを持つ保護者は多いでしょう。独自の寝かしつけ方法や、寝るときに必須なアイテムなどがあるかを議題にしてみてください。

寝るときのルーティーンや寝かしつけは家庭によってバラバラなので、「そんな方法もあるんだ!」と新たな発見があるかもしれません。また、保育園での寝かしつけの様子や午睡時間も併せて伝えてみるのもよいですよ。

離乳食や乳児食の献立交換

離乳食や乳児食など、他の家庭の食事事情が気になる保護者も大勢います。各家庭の食事内容や離乳食の時短テクニック、嫌いな食材の対処法などを共有してみてはいかがでしょうか。「そんな作り方があるんだ!」「面白い食材の組み合わせだな」と、献立のレパートリーや料理のコツなどの知識を広げられますよ。

事前に食事への関心を持つ保護者が多いと分かっている場合には、栄養士に協力してもらい、月齢や発達に合った献立を紹介してもらうのもおすすめです。

我が子の「最近できたこと」発表

発達が早くすくすくと育つ乳児期では、毎日のようにできることが増えていきます。我が子の最近できたことをテーマに、それぞれ話してもらいましょう。「つかまり立ちができるようになった」「コップでお茶が飲めた」「三輪車が漕げるようになった」など、どのようなことでも構いません。

各家庭のお子さんの「最近できたこと発表」は、保護者会の緊張した雰囲気を和らげる話題にもなるので、トークテーマの序盤に持ってきてもよいですね。

おすすめの育児グッズは?

あらゆる実用的な育児グッズが販売されているなか、周りの家庭ではどのような育児グッズを使っているのか気になっている保護者もいるでしょう。マザーバッグや抱っこ紐、ベビーカーなど、育児に役立っているグッズがあれば紹介し合う機会を作ってみてください。

「うちも同じの使ってる!」など保護者会から会話が広がり、保護者間の距離が近づくきっかけになるかもしれません。その場で挙がった育児グッズを一覧にしておたよりに掲載すれば、当日不参加だった保護者にも共有できるのでぜひ取り入れてみてください。

イヤイヤ期の対策はどうしてる?

イヤイヤ期と言われる2歳〜3歳児は、自己主張が強くなりどう対応したらよいのか悩む保護者が多いです。イヤイヤ期の対策をテーマに、どう子どもと関わっているのか意見交換する場を作りましょう。

「うちの子もそうなの〜」「分かる分かる!」と共感がしやすい話題で、その場も盛り上がるはずです。

周りの保護者の話を聞いているうちに、「悩んでいるのは自分だけではないんだ」と保護者を勇気づける効果もありますよ。また、保育園ではイヤイヤ言う子どもにどのようにかかわっているのか、具体的な場面を例にして話してみてもよいですね。

3~5歳児向け

3歳〜5歳児の幼児期になると、ある程度身の回りのことを一人でできるようになり、自発性も生まれます。乳児に比べ手がかからなくなりますが、要求が増えたり就学に向けて準備を進めたりと大変な面もあるでしょう。ここでは幼児向けのテーマを5つご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

雨の日に何して過ごしてる?

どれだけ走り回っても体力が有り余ってしまう子どもと、雨の日にどのように過ごせばよいのか悩む保護者は多いでしょう。そこで、雨の日に何を過ごしているのかをトークテーマにしてみてください「その遊び面白そう!」「駅の近くに遊べる施設があるんだ」など、新たな発見に出会える機会が作れるかもしれません。

また、保育園では雨の日にどのような活動をしているのかを伝えたり、雨の日でも室内でできる新聞遊びや工作などを紹介してみたりするのもよいですよ。

おすすめ外遊びスポット紹介

幼児になると身近な物事に対して興味関心が増し、出かける場所の候補も広がります。各ご家庭が、普段どのような場所に遊びに行っているのかを情報交換してもらいましょう。公園以外にも水族館や動物園、プラネタリウム、アミューズメント施設など様々な場所が出てきて、参考になるはずです。また、季節ごとのおすすめスポットや、親子で楽しめる場所もあれば共有してみるのもよいですね。

食べ物の好き嫌い対策は何してる?

食の好みがはっきりと出てくるのも幼児期の特徴の一つです。「赤ちゃんの頃は食べてたのに、最近になって食べてくれなくなった」のように、食の好みの変化に戸惑う保護者もいると思います。そのような月齢では、食べ物の好き嫌い対策はしているかをテーマにするのがおすすめです。

みじん切りにして混ぜたりミキサーにかけたりと、「分かる〜!」と共感できる意見が多く、その場も盛り上がるでしょう。「好き嫌いをしているのはうちの子だけじゃないんだな」と、保護者に安心してもらう意図もあります。また、乳児クラス同様に栄養士にお願いして、好き嫌い対策にぴったりの調理法や工夫をを紹介してもらうのもよいですね。

我が子のクスッと笑える話

大人との会話がしっかりでき個性も強くなる幼児は、思わず大人がクスッと笑ってしまう言動をとる場面も多いです。そこで、我が子のクスッと笑える話を挙げてもらいましょう。可愛らしい言い間違いや行動など、何でも構いません。

思わず笑ってしまうこのトークテーマは、場の雰囲気を一気に和らげる効果も期待できますよ。急に振られると答えにくいテーマでもあるので、事前にテーマを知らせておきスムーズに進行できるようにするとよいです。

就学に向けて準備していることは?

5歳児クラスになると、就学に向けた準備が本格的にスタートします。就学への期待や不安、家庭で始めているサポートなどがあれば話題にしてみましょう。同時に靴紐を結ぶ、時計を読む、ひらがなを書くなど保育園で行っていることがあれば伝えていくとよいです。保育者や周りの保護者の話を聞いて、各家庭に「うちもサポートを始めないと」と、就学への準備を促す効果もあります。

また、小学生の子どもをもつ保護者がいたら、就学までにどのようなことをしておけばよいかや、保育園と小学校の違いなどの話題を振ってみてもよいですね。

盛り上がる質問を選ぶときの3つのコツ

保護者会で盛り上がる質問の選び方は、以下の3つです。

  • 答えやすい質問にする
  • 正解・不正解のない質問を選ぶ
  • 個人情報に触れないようにする

保育者と保護者が一度に顔を合わせる機会は少なく、中には緊張して思うように喋れない保護者もいるでしょう。緊張している保護者でも話しやすいようなテーマの選定を意識してみてください。

答えやすい質問にする

保護者会の質問テーマでは、答えやすい質問を選ぶようにしましょう。あくまでも保育者と保護者の交流を深める場なので、入社試験のように難しい質問を投げる必要はありません。

答え方が難しい質問だと、どのように答えたらよいのか保護者の方も困ってしまいます。「お子さんの最近のブームは?」「休日は何をして過ごす?」など、簡単に答えられるような質問を選んでみてください。

また、言葉選びでも答えやすさに影響がでます。例えば、各家庭に子どもの性格を紹介してもらう場合、「お子さんはどのような性格ですか?」より、「お子さんの性格を一言で表すと何ですか?」と質問した方が、保護者も答えやすいです。ちょっとした工夫で答えやすさが変わるので、意識してみてください。

正解・不正解のない質問を選ぶ

正解・不正解のない質問をチョイスするのも大切です。基本的に子育てに正解・不正解はありませんが、YES・NOで答えなければならない質問をしてしまうと、保護者は答えづらくなる可能性があります。

例えば、3歳児クラスの保護者に「お家で箸の練習をしていますか?」と質問をしてしまうと、まだ練習をしていない家庭の保護者は「もう箸の練習をさせないといけないのかな?」「練習していないけど練習してると答えた方がよいのかな?」と、焦ってしまうかもしれません。このようなケースの場合、「家ではどのようにご飯を食べていますか?」と言葉を変えてみましょう。

また、この質問に箸の練習を家で取り入れてほしい意図があるならば、園では指先の発達を促せる箸遊びを取り入れていることなどを伝え、さりげなくアピールしてみるのもよいです。

個人情報に触れないようにする

質問をする際は、個人情報に触れないように注意しましょう。保護者の住まいや職業、家族構成などはむやみに保護者会で共有する必要はありません。周りの保護者の個人情報を入手し、トラブルに発展するケースもないとは言い切れないため、個人情報に触れる質問はしないようにしてください。また、保育者自身の個人情報も軽はずみに言わないことも大切です。

保護者会を進行する際の注意すべきポイント

保護者会を進める上で注意すべき点は、質問内容と時間配分を考えておくことです。担当年齢や保護者の人数などによって、トークテーマや時間配分は大きく変わってきます。空白の時間ができないように、質問内容をしっかりと考えておきましょう。

また、質問に対して一言しか喋らない方から喋り出したら止まらなくなる方まで、様々な保護者がいます。質問ごとの配分を考えたり、長く喋っている保護者にうまく相槌を入れて対応したりして、全員が均等に喋れるように仕切るのも保育者の大切な役目です。

まとめ

保育園の保護者会で盛り上がる質問10選を、乳児・幼児別にご紹介しました。保育者と保護者が一斉に集まる機会は少ないため、初めはお互いに緊張してしまうかもしれません。各月齢ならではの共感できる質問や、場の空気が解れるユーモアのある質問を取り入れて、その場の雰囲気を盛り上げることが大切です。

本記事で取り上げた質問テーマも参考にして、有意義な保護者会になるようにしましょう。

保育士ライター
保育士資格・幼稚園教諭二種免許を持つ専業主婦。
保育士歴は9年で、現在は保育士ライターとして活動中。
特技はピアノで、弾き歌いやリズム遊びが好き。

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