子どもと真剣に向き合う保育士ほど「もっと子供心理について学びたい」と思うようです。でも、たくさんある子供心理資格の何を選んだらいいの?仕事と両立できるの?と悩んでしまいますよね。この記事では忙しい保育士でも取得しやすい子供心理資格や学ぶメリット、知識の役立て方などについて解説します。

子供心理資格(チャイルド心理資格)とは

子どもは体の成長とともに少しずつ心理が発達し、気持ちにともなう表現方法も変化していきます。例えば、話せない赤ちゃんは泣くことで要求を伝え、自我が芽生えるとイヤイヤ期で自己主張し、兄弟が生まれてさみしい時は赤ちゃん返りなどで表現します。

子供心理資格(チャイルド心理資格)とは、乳幼児から思春期までの子ども特有の行動や表現を心理的に読み解く力と、理解して適切に対応するための知識を身につけるものです。

近年は小学校以降のいじめや不登校の増加などから子供心理への注目が高まっており、様々な資格が作られています。

子どもの家族や社会との関わりを学ぶ資格、子どものカウンセリング技術を身につける資格、育児の専門家として親御さんのサポートスキルを磨く資格など、数ある中で自分の目標にあった子供心理資格を選ぶことが大切です。

子供心理を学ぶメリット

子供心理は、まだ言葉がつたない幼い子どもたちと接する保育士にはとても役立つ知識です。園児たちの気持ちに寄り添った保育はもちろん、育児に悩む保護者からの相談や仕事のキャリアアップにもつながるでしょう。

保育士におすすめの子供心理資格5選

子供心理に関わる資格はたくさんありますが、現役保育士さんには以下の資格がおすすめです。「働きながらでも取得しやすい・乳幼児の保育に活かせる・専門性が高い」という3つのポイントで厳選した資格をご紹介します。

子供心理カウンセラー®

日本インストラクター技術協会(JIA)が認定する資格です。お腹の赤ちゃんから乳幼児〜思春期までの子どもの心身の発達段階、家族や社会との関係など人格形成に関することを学び、適切なカウンセリングやアドバイスを行える知識と技術が身につきます。

チャイルド心理カウンセラー®

日本メディカル心理セラピー協会(JAAMP)が認定する資格です。胎児期から思春期までの子どもの心身の発達段階、家族構成が子どもに与える影響などを学び、カウンセラーとして従事できる知識と技術を身につけます。

【子供心理カウンセラー®とチャイルド心理カウンセラー®の違い】

とても似ているように見える「子供心理カウンセラー®資格」と「チャイルド心理カウンセラー®資格」の大きな違いは認定機関と試験範囲です。

どちらも胎児期から思春期までについて学べますが、子供心理カウンセラーは小学生までの時期に重点をおいており、チャイルド心理カウンセラーは思春期についてより詳しく触れる内容になっています。

子供心理カウンセラー®資格チャイルド心理カウンセラー®資格
<認定機関>
日本インストラクター技術協会
<認定機関>
日本メディカル心理セラピー協会
<試験内容>
子どもの心の成り立ち
赤ちゃんの気質と性格
アタッチメント(愛着)の形成
マーズローの欲求階層説
会話やスキンシップの重要性
お腹の中の赤ちゃんの心
体と心ができるまで
胎児と周囲の環境
乳児の感覚
乳児と反射行動
乳児の心と体の発達
運動面での成長
知能面での成長
素朴理論
語彙の爆発と社会性をはぐぐむ
相手の心情を推し量る力
他者への理解
小学生の心と体
<試験内容>
モチベーションと動機づけ
子どもの話の聞き方
話しやすい環境と態度
問題行動
思春期心性
思春期危機
自立と解決
体の変化と心の変化親の心構え
友だちをめぐる問題
※参考:子供心理カウンセラー®資格検定試験概要(日本インストラクター技術協会)チャイルド心理カウンセラー®資格検定試験内容(日本メディカル心理セラピー協会)

JADP認定チャイルドカウンセラー®

一般財団法人日本能力開発推進協会が認定する資格です。医療・福祉・教育現場で活かせる児童心理を学びます。子どもの問題行動や理解のあり方、家族や社会との関わり方、障がいなどに対しての知識とカウンセリング技術を学びます。

育児セラピスト(2級・1級)

一般社団法人日本アタッチメント育児協会が認定する資格で、発達心理学とアタッチメント理論を基礎から学べます。実践保育に重きを置く講座で、前期課程(2級)は子育ての基礎、後期課程(1級)は専門的な育児知識を社会学・医学・心理学の分野から学びます。

アタッチメント・食育インストラクター

日本アタッチメント育児協会が日本健康食育協会の監修のもとカリキュラム化した、保育士・看護師・歯科医師に向けた子供心理資格。発達心理学の専門知識を軸に、子どもの心理と食育の関係、子どもの心身の成長に関わる栄養学や歯学などについて深く学べます。

おすすめの子供心理資格の取得方法と難易度

保育士におすすめの子供心理資格5つの取得方法と難易度をご紹介します。全て仕事の合間に学べる通信教育講座や数日の受講で修了できる資格です。オンライン受講や在宅試験が可能で、難易度は全体的に低めとなっています。

資格名取得方法合格基準難易度
子供心理カウンセラー®認定通信教育講座の受講(筆記試験あり・最短2ヶ月で修了)または独学での受験申し込み(試験は年6回実施)
※詳細情報はこちら
正答率70%以上★☆☆
チャイルド心理カウンセラー®認定通信教育講座の受講(筆記試験あり・最短2ヶ月で修了)または独学での受験申し込み(試験は随時)
※詳細情報はこちら
正答率70%以上★☆☆
JADP認定チャイルドカウンセラー®認定通信教育講座の修了後、試験あり(約4ヶ月で修了・試験は随時)
※詳細情報はこちら
正答率70%以上★☆☆
育児セラピスト(2級・1級)2級はアタッチメント協会の講座受講のみで取得可能(講座期間1日)1級は2級取得者のみ受講可能な講座を修了の上、筆記試験あり(講座期間2日)
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非公開2級★☆☆
1級★★☆
アタッチメント・食育インストラクター アタッチメント協会の講座受講の上、筆記試験あり(講座期間2日)受講すると育児セラピスト2級も修了できる
※詳細情報はこちら
非公開★★☆

キャリアアップには転職もおすすめ

子供心理資格の取得でキャリアアップを目指すなら、知識を活かせる新しい職場に転職するのもおすすめです。

人間関係や待遇面の課題が多い保育士の職場では、資格を取ったからといってすぐに上の役職を与えられたり、給与アップをお願いするのは難しいでしょう。今の職場で待遇改善をじっと待つよりワンランク上のポジションの求人や新しい職種に挑戦するのも一つの方法です。

子供心理資格を持っていれば保育士のリーダー職はもちろん、児童カウンセラーや子育てアドバイザーなど他の職種まで幅が広がります。教育や福祉業界に詳しいキャリアアドバイザーに相談してみましょう。

例えば、保育士に特化した転職サイト「マイナビ保育士」では業界専門のアドバイザーが無料で相談に乗ってくれます。あなたの仕事観や希望を聞きながらベストな提案をしてくれるでしょう。

子供心理の資格が役立つ仕事

赤ちゃんから小・中学生まで幅広い年齢の子どもの知識をもつ子供心理資格者は、保育士としてのスキルアップはもちろん、子どもに関わる様々な仕事につくことができます。

保育士・幼稚園教諭

子供心理資格を持つことでこれまでより自信を持って保育に取り組めるでしょう。子どもたちの問題行動に対して適切な方法で寄り添い、保護者へのアドバイスや後輩への指導にも活かせるはずです。

小学校・中学校の児童カウンセラー

思春期の子どもの心理をより深く知り、アドバイス技術もある子供心理資格者は、小学校や中学校でのカウンセラーとしても活躍できます。乳幼児よりも大きな子どもたちの成長もサポートできるようになります。

子育て支援センターのスタッフ

子育て支援センターはパパママが就学前の子どもと遊びながら、スタッフに子育ての悩みを相談できる場所です。子どもと家族との関わり方や実践育児の技術を学んだ子供心理資格者は保育アドバイザーにもなれます。乳幼児がメインのため保育士のスキルも重宝されます。

習い事の先生

子どもの心理や発達段階の知識は子どもたちの習い事の現場でも役立ちます。みんなと同じように動けない子、いつも泣いてしまう子などがいても、その子の気持ちに寄り添って上手に才能を伸ばしてあげられるでしょう。

養護施設・発達支援センターなどのスタッフ

子供心理や発達段階の専門知識があれば、発達に不安がある子どもたちの積極的なフォローも可能です。子どもと家族や社会との関わりの知識を活かして、不安が大きい親御さんにも適切なアドバイスができるでしょう。

まとめ

子供心理資格とは、乳幼児から思春期までの子どもの心身の発達と行動への理解を深め、適切なサポートやアドバイスができる知識と技術を身につけるものです。内容や認定機関などの違いによって様々な種類があり、目的にあった子供心理資格を見つけることが大切です。

現役保育士には専門性が高く取得もしやすい、子供心理カウンセラーや育児セラピストなどの資格がおすすめです。

また、子供心理資格でキャリアアップを目指すなら転職も視野に入れましょう。専門知識は保育士だけでなく多くの教育・福祉現場で役立ちます。キャリアアドバイザーに相談すれば新たな道が開けるかもしれません。

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