子どもの想像力を刺激する見立て遊び。誰に教えられるでもなく、成長とともに始まる遊びです。保育士として「自由に遊びのイメージを広げてもらいたい」「見立て遊びをもっと発展させてあげたい」と思う人も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、見立て遊びの幅を広げる素材一覧を解説します。また、年齢別におすすめの見立て遊びをご紹介しますので、参考にしてください。
見立て遊びとは?ごっこ遊びとの違い
見立て遊びとは、身近にあるものを「別のもの」に見立てておこなう遊びです。たとえば、四角のブロックを耳に当てて電話に見立てたり、小さなボールをおにぎりに見立てて食べるフリをしたり…。
見立て遊びは「模倣遊び」「つもり遊び」とも呼ばれ、今そこにあるものだけでイメージを膨らませながら遊びを展開していきます。
一方「ごっこ遊び」は、見立て遊びが発展した形です。どんなことをするか、場面や役割をあらかじめ決めてから遊びます。どちらも、子どもたちの発達によい影響を与えるため、積極的に取り入れたい遊びです。
見立て遊びのねらいや得られる効果
見立て遊びには、さまざまな効果が期待できます。テレビやゲームなどの完成した世界からは得られないものばかりのため、見立て遊びの時間を十分に確保してあげたいですね。見立て遊びのねらいや得られる効果は以下のとおりです。
想像力や発想力を刺激できる
「色がいっしょ」「形が似ている」など、何に見立てて遊ぶか考えることで、想像力や発想力を刺激できます。答えのない遊びのため、自由な発想を楽しめるのがポイント。さまざまな素材を準備しておくことで、よりその能力を向上できるといえるでしょう。
豊かなコミュニケーション能力が身につく
自分が考える世界観を伝えたり、ルールを設けたりすることで、豊かなコミュニケーション能力が身につきます。「これはお皿ってことにしよう」「ここをキッチンにしようね」など、ルールを共有することで言語能力の発達も期待できます。
観察力や記憶力を育てられる
誰が教えたわけでもないのに、大人の真似をしていてビックリすることはありませんか?それは、子どもの観察力や記憶力が育っている証です。さまざまなシーンを思い浮かべながら見立て遊びを繰り返すことで、その能力をより向上できるといえるでしょう。
見立て遊びにおすすめの素材一覧
保育室にあるもの | ブロック/積み木/折り紙/ボール/ボールテント/フラフープ/おままごとセット/ぬいぐるみ |
身近にあるもの | 布/新聞紙/空き箱/毛糸/フェルト/段ボール/紙袋/ペットボトル/包装紙/食品トレー/牛乳パック/紙皿/綿 |
園庭にあるもの | 水/砂/石/枝/落ち葉/草花/どんぐり/まつぼっくり/木の実/お砂場セット/縄跳び/ボール |
見立て遊びのため、特別なおもちゃを準備する必要はありません。保育園にあるものを使って、子どもたちが工夫できるように配置してあげましょう。その際、危険がないことをしっかり確認しておくことも大切です。
また、遊びのイメージを広げるために手作りおもちゃを準備するのもおすすめです。折り紙や画用紙でお金を作ったり、フェルトで食べものを作ったりすれば、さまざまなシーンで役立てられます。
年齢別!見立て遊びのおすすめアイディア例
見立て遊びの内容は、年齢によってさまざまです。そこでここからは、年齢に合わせたおすすめの見立て遊びをご紹介します。合わせて、遊びの特徴や準備したい素材も解説しますので参考にしてください。
1歳児の見立て遊び
1歳児の見立て遊びは、普段遊んでいるおもちゃを使って始まります。
特徴
- 段ボール箱にすずらんテープを入れる
- なかに入ってゆったり過ごす
- シール貼りなどで飾りを楽しむ
素材
- ブロック
- 積み木
- ボール
- おままごとセット
遊び
- ブロックを電話に見立てて会話を楽しむ
- 積み木を食べものに見立てて食べるフリをする
- ボールをプレゼントに見立てて渡し合う
2歳児の見立て遊び
2歳児の見立て遊びは、自然物の活用がおすすめです。
特徴
- 簡単な言葉でやり取りが始まる
- 自分で世界観を作って一人で楽しむ
- 保育士を招いてくれることもある
素材
- 石
- 砂
- 葉っぱ
- どんぐり
遊び
- 石や砂を食べものに見立てて食べる真似をする
- 葉っぱをお金に見立ててお買いものを楽しむ
- どんぐりを人形に見立てて並べる
3歳児の見立て遊び
3歳児は、日常生活で使用しているものを活用した見立て遊びがおすすめです。
特徴
- お友だちと世界観を共有できる
- 保育者の仲立ちが必要な場面も多い
- 素材が多いほどイメージが広がる
素材
- 布
- 箱
- ビニール袋
- 食品トレー
遊び
- 箱をベッドに見立ててぬいぐるみを入れる
- 布をお布団に見立てて体にかける
- ビニール袋で買いものごっこを楽しむ
4歳児の見立て遊び
4歳児は、世界観が広がるように、スペースを広く確保した見立て遊びがおすすめです。
特徴
- 見立て遊びからごっこ遊びに発展していく
- お店屋さんごっこや病院ごっこなどを楽しむ
- 言葉でイメージを共有し合う
素材
- 段ボール箱
- 紙袋
- ペットボトル
遊び
- 段ボール箱をパソコンに見立てて仕事するフリをする
- 紙袋で買いものごっこをする
- 小さな入れものをカバンに見立てて散歩する
5歳児の見立て遊び
5歳児になれば、ごっこ遊びへと発展したのちリアリティを追求するようになります。
特徴
- 見立て遊び、ごっこ遊びにこだわりを持つようになる
- より本物に近い場面を再現しようとする
- 言葉のラリーが盛んになりコミュニケーション能力が刺激される
素材
- 毛糸
- フェルト
- ビーズ
- ストロー
遊び
- プラコップに材料を入れてジュース屋さんになる
- ビーズをお皿に入れておままごとをする
- ストローを鉛筆に見立ててお勉強のフリを楽しむ
見立て遊びを楽しむ子どもへの関わり方
子どもたちが見立て遊びを楽しめるよう、保育士は素材の準備や環境構成を担います。また、必要に応じて子どもの遊びに介入することも。ここからは、見立て遊びを楽しむ子どもと関わるときのポイントを解説します。
まずは興味を持てるよう保育士がお手本になる
「自分もやってみたい」と思えるように、まずは保育士が手本になってあげましょう。必要以上のサポートは不要ですが、まずはいっしょに楽しく遊ぶことも大切です。また、場面に応じた言葉をかけることで、コミュニケーション能力の向上につながります。
子どもにヒントを与えるような質問をする
「緑色だからお野菜かな?」「丸い形は…なんの食べものだろう?」など、色や形から連想できるようヒントを与えるのもおすすめです。保育士の言葉をきっかけに、子どもの想像力が膨らみます。
さまざまな素材を準備して選べるようにする
見立て遊びを楽しめるよう、さまざまな素材を準備しましょう。その際、誤飲やケガにつながらないものを選びたいですね。素材が多いほど、子どもの発想力を刺激できます。また、取り合いにならないよう数を多く準備することも大切です。
子どもの発想力を否定しない
大人から見るとただのブロックでも、子どもはまったく違うものに見立てている可能性があります。無理に介入しすぎると、子どもの楽しい気持ちを奪ってしまうかもしれません。子どもが考えているものを否定したり、先回りしてコメントしたりしないよう注意しましょう。
まとめ
見立て遊びは、子どものさまざまな能力を刺激します。室内、園庭などどのような場所でも楽しめるのが大きなポイントです。子どもの発想力を広げるため、適切な環境を整えてあげたいですね。とはいえ、必要以上に介入すると、子どもの世界観が壊れてしまう可能性も。子どもがイメージを膨らませられるよう、温かく見守りましょう。
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