放課後等デイサービスとは?目的や利用方法・費用など解説!

放課後等デイサービスは、障がいを持つ子どもの支援・療育施設のことです。2014年から2019年にかけて利用児童数が約2.6倍に増えており、ニーズの継続が予測されます。しかし、放課後等デイサービスについてあまり知らないという方もいるでしょう。
(出典:厚生労働省「(2)放課後等デイサービスの利用状況」/https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000806210.pdf)
当記事では、放課後等デイサービスの目的やサービス内容、利用方法などの概要と、放課後等デイサービスで働く方法について解説します。放課後等デイサービスで働きたい方、利用したい方は、ぜひ参考にしてください。
1. 放課後等デイサービスとは?
放課後等デイサービスとは、発達障害をはじめ、障がいを持つ小学生〜高校生を対象に、日常生活を送るための動作や社会性の習得を目指して支援をする施設です。基本的には、放課後や土日祝日、長期休暇中に利用できます。年齢は6歳〜18歳の児童が対象ですが、必要であると認められた場合に限り、20歳まで通うことが可能です。
放課後等デイサービスは、2012年の児童福祉法改正に伴い、同法律内で位置づけられた施設です。法律では下記のように定義されています。
この法律で、放課後等デイサービスとは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校(幼稚園及び大学を除く。)に就学している障がい児につき、授業の終了後又は休業日に児童発達支援センターその他の厚生労働省令で定める施設に通わせ、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他の便宜を供与することをいう。 |
1. 放課後等デイサービスの目的
放課後等デイサービスの目的は、厚生労働省によって大きく下記の3つに定められています。
・子どもの最善の利益の保障 ・共生社会の実現に向けた後方支援 ・保護者支援 |
放課後等デイサービスでは、子どもが自立した日常生活を送れるよう、一人ひとりの特性に合わせたプログラムを考えて支援を行います。また、地域社会へ参加できるよう、集団の中で周囲と共生できる能力の習得も促し、場合によっては他機関と連携しながら後方支援をします。
子どもだけでなく、保護者を支援することも放課後等デイサービスの役割です。悩みの相談対応や家庭での養育に必要なアドバイスなど、個々の状況に応じて支援内容を考えます。
2. 児童発達支援との違い
放課後等デイサービスとよく似た施設として「児童発達支援」があります。児童発達支援とは、未就学児を対象とした施設で、放課後等デイサービスと同じく児童福祉法に位置づけられた施設です。サービスの基本的な考え方は放課後等デイサービスと同様で、施設によっては児童発達支援と放課後等デイサービスの両方の機能を果たしている場合があります。
3. 放課後等デイサービスのサービス内容
放課後等デイサービスで提供するサービス内容は、大きく分けて4つです。4つのサービス内容を、子どもたち一人ひとりの特性や状態に合わせて提供します。
1. 自立支援と日常生活の充実のための活動 日常生活を送る上で必要な動作を習得し、将来的な自立につなげるための活動です。 2. 創作活動 工作やお絵描き、音楽などの創作的な活動を通して表現の楽しさに触れ、感性や社会性の成長を促す活動です。 3. 地域交流の機会の提供 地域の人と交流する機会を設けて、社会生活の幅を広げるための活動です。地域でのイベント開催や、外部の福祉施設との交流などが例として挙げられます。 4. 余暇の提供 学校や家庭では体験できない余暇活動の機会を提供し、子どもたちの経験の幅を広げます。 季節のイベントがある時期や長期休暇に合わせて活動を行う傾向です。 |
4. 放課後等デイサービスの利用方法
放課後等デイサービスを利用する際は、特定の流れを踏む必要があります。利用までの一般的な流れは下記の通りです。
1 住んでいる自治体の窓口に放課後等デイサービスを利用したい旨を伝え、近隣にある施設の情報を提供してもらう 2 利用したい施設を見学し、子どもが継続的に通えるかを確認する 3 利用したい施設の担当者に相談する 4 通所する施設が決定したら、住んでいる自治体の窓口で受給者証の交付申請をする 5 手続きが完了し受給者証が交付されたら、通所する放課後等デイサービスと契約する 6 利用を開始する |
利用の流れが分からなくなったら、自治体の窓口や放課後等デイサービスの担当者に随時確認しましょう。
5. 利用にかかる費用
放課後等デイサービスの利用にかかる費用は、総額の1割を利用者が負担し、残りの9割を自治体が負担します。1回あたりで自己負担する利用料金は1,000円前後が相場です。ただし、世帯所得によって上限額が決められており、受給者証に記された回数以内であれば、上限額以上の金額はかかりません。
放課後等デイサービスを利用する際の世帯所得の目安と、月額上限額は下記の通りです。
月額上限額
非課税世帯(生活保護や低所得の世帯) | 0円 |
世帯所得が約890万円以下の世帯 | 4,600円 |
世帯所得が約890万円以上の世帯 | 37,200円 |
(出典:厚生労働省「障害者福祉:障害児の利用者負担」/https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/service/hutan2.html)
放課後等デイサービスによっては、子どもたちに提供するおやつや、サービス提供にあたって使用する教材費などが別途必要になる場合があります。利用を検討している場合は、必要な費用を事前に確認するとよいでしょう。
2. 放課後等デイサービスで働く方法を解説!
放課後等デイサービスで職員として働くには、職種や資格、経験などが定められている内容に該当している必要があります。放課後等デイサービスは専門性がいる仕事であり、特定の力やスキルも求められます。働く前に、求められる能力やスキルを把握しましょう。
ここでは、放課後等デイサービスで働くにあたって必要な資格や能力を、具体的な仕事内容と併せて紹介します。
1. 働くには資格が必要?
放課後等デイサービスでは、人員基準が決められています。人員配置の最低基準であり、特別な資格を持っていなくても放課後等デイサービスで働くこと自体は可能です。ただし、保育士や児童指導員などの資格を所有していると優遇される傾向にあります。
下記は、放課後等デイサービスの人員に関する基準の引用です。
第六十六条
(引用:e-GOV法令検索「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」//引用日2022/10/04)
児童指導員又は保育士(特区法第十二条の五第五項に規定する事業実施区域内にある指定放課後等デイサービス事業所にあっては、保育士又は当該事業実施区域に係る国家戦略特別区域限定保育士。以下この条において同じ。) 指定放課後等デイサービスの単位ごとにその提供を行う時間帯を通じて専ら当該指定放課後等デイサービスの提供に当たる児童指導員又は保育士の合計数が、イ又はロに掲げる障害児の数の区分に応じ、それぞれイ又はロに定める数以上
イ 障害児の数が十までのもの 二以上
ロ 障害児の数が十を超えるもの 二に、障害児の数が十を超えて五又はその端数を増すごとに一を加えて得た数以上
二 児童発達支援管理責任者 一以上
2. 求められる力やスキル
放課後等デイサービスで求められる能力は、以下の3つが挙げられます。
コミュニケーション能力 |
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放課後等デイサービスに通う子どもたちを支援するには、一人ひとりに合わせて対応できるコミュ ニケーション能力が必要です。保護者の方が持つ悩みに寄り添い、良好な関係性を築く際にも 求められます。 |
知識や技術に対しての向上心 |
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放課後等デイサービスで働く場合は、障がいや福祉に関する専門的な知識が必要です。身に着けた 知識を日頃のサービス提供時に実践します。そのため、知識や技術のレベルを高めようとする 向上心が大切です。 |
関係機関や保護者との連携ができる対応力 |
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日々の仕事では、関係機関や保護者との連携が生じるので、円滑に対応できる力が重要です。 自分のペースで仕事をするだけでなく、周囲がどのように動いているかを意識するように しましょう。 |
3. 主な仕事内容
放課後等デイサービスの仕事内容は、下記の通りです。
・個別支援計画に基づいた支援 ・学校と自宅間での送迎 ・ケア記録の書類作成 ・保護者との連絡 など |
ほかにも、普段使っている設備や道具の点検、施設の清掃などのさまざまな業務があります。施設によって多少内容は異なるため、放課後等デイサービスの求人に応募する前に一度施設を見学して、どのような流れで仕事をしているかを確認するとよいでしょう。
まとめ
放課後等デイサービスとは、障がいを持つ小学生から高校生を対象に支援が行われる施設です。子どもの自立した日常生活と社会性の習得の支援、また保護者の支援を目的としています。利用料金の1割を負担する必要があり、利用料の上限額が世帯収入によって決められています。上限額を超えた場合は、上限額以上の金額を支払う必要はありません。
放課後等デイサービスでは資格がなくても働ける可能性があります。しかし、配置基準では保育士や児童指導員といった資格が求められるため、保育士や児童指導員の資格があれば優遇される可能性が高いです。
「ほいくらし」では保育士の方に向けた、さまざまな情報を発信しています。保育士の働く場所や放課後等デイサービスとはについての記事もあるため、気になる方はご覧ください。
※当記事は2022年9月時点の情報をもとに作成しています
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