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保育士としてキャリアアップを目指す際、「専門リーダー」という役職を知り、興味を持った方も多いのではないでしょうか。専門リーダーの制度に対応している保育施設では、専門リーダーのポジションについて給与金額を高めることが可能です。
当記事では、専門リーダーの役割や給与金額、専門リーダーになるための条件と手続きについて解説します。専門リーダーについて詳しく知り、キャリアアップに取り組みたい保育士の方はぜひ参考にしてください。
保育士の専門リーダーとは?どんな役割がある?
保育士の専門リーダーとは、厚生労働省の施策によって2017年4月に作られた、新たな役職の1つです。専門リーダーのポジションについた保育士は高い専門性にもとづき、保育の現場で働きながら他の保育士に対するアドバイスやサポートを行います。
専門リーダーが設置された主な理由は、保育士の賃金改善と専門性の強化です。専門リーダーが設置される以前は、保育士のキャリアパスにおける肩書は主任保育士や園長だけでした。
役職や手当がつかない状況では、保育士の給料が上がることはありません。この問題を解決するために、厚生労働省は「保育士等キャリアアップ研修」という仕組みとガイドラインを定めました。
(出典:厚生労働省「保育士のキャリアアップの仕組みの構築と処遇改善について」/https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000155997.pdf)
保育士等キャリアアップ研修の制度で新たに定められた役職に就くことで、キャリアアップによる給与の向上が可能です。
1. 副主任保育士や職務分野別リーダーとの違い
保育士等キャリアアップ研修の制度で新たに設立された役職として、専門リーダー以外に副主任保育士や職務分野別リーダーがあります。
副主任保育士は、保育施設内で総監督としての役割を担う主任保育士を補佐する役職です。副主任保育士は、現場のスペシャリストである専門リーダーと異なり、保育施設で働くスタッフのマネジメントにも携わります。
職務分野別リーダーは、専門リーダーと似た仕事内容に取り組む役職です。ただし、職務分野別リーダーは、専門リーダーよりも少ない経験年数でなることができます。職務分野別リーダーは、専門リーダーの前段階にあたる役職です。
(出典:厚生労働省「保育士のキャリアアップの仕組みの構築と処遇改善について」/https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000155997.pdf)
保育士の専門リーダーの給与金額
保育士の専門リーダーに対する手当は、各自治体による給付金に加算される形式で保育施設に支払われてから、該当する保育士に対して給与として支払われます。専門リーダーに対して支払われる役職手当は、最大で月額40,000円です。ただし、保育施設に所属する専門リーダー全員に、全額が支給されるわけではありません。
専門リーダーとして手当が支給される対象人数は、保育施設の職員から園長と主任保育士を除いた人数の3分の1と定められています。また、全額支給となる対象者は1名以上です。
全額支給とならない専門リーダーへの支給額は、月額5,000円以上40,000円未満の範囲で、保育施設によって決められます。
(出典:内閣府「令和2年度における処遇改善等加算の運用の改善」/https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/administer/setsumeikai/r020221/pdf/s2-4.pdf)
(出典:厚生労働省「保育士のキャリアアップの仕組みの構築と処遇改善について」/https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000155997.pdf)
たとえば、園長と主任保育士を除く職員数が30名の場合、専門リーダーとして手当が支給される人数は10名です。さらに、10名の中から1名以上の全額支給対象者と、それ以外の支給対象者が決定されます。
保育士が専門リーダーになるための条件
保育士が専門リーダーの役職に就く際は、保育士としての実務経験年数に関する要件を満たすことや、厚生労働省が指定する研修の修了が必須です。専門リーダーを目指す方は、満たすべき条件について理解したうえでキャリアアップのための活動に取り組みましょう。
1. 約7年以上の経験年数がある
保育士の専門リーダーとなる1つ目の条件は、約7年以上の実務経験があることです。また、専門リーダーとなるためには、職務分野別リーダーとしての経験が求められます。
新人の保育士が専門リーダーを目指す場合、ますは約3年以上働きながら職務分野別リーダーの条件を満たし、その後さらに経験を積むことが一般的です。
職務分野別リーダーとして働く経験年数については具体的な条件が定められていません。そのため、保育士としてすでに7年以上の実務経験があれば、比較的スムーズに専門リーダーまでキャリアアップできる可能性があります。
(出典:厚生労働省「保育士のキャリアアップの仕組みの構築と処遇改善について」/https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000155997.pdf)
2. 4分野以上の研修を修了する
保育士の専門リーダーとなる2つ目の条件は、全8分野からなる研修のうち、4つ以上の研修分野を修了することです。研修を修了する条件として、1分野につき15時間以上の研修受講と、受講後のレポート提出などが必要となります。
(出典:厚生労働省「保育士等キャリアアップ研修ガイドラインの概要」/https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/gaiyou_10.pdf)
8分野の主なキャリアアップ研修内容と習得できるスキルは、下記表の通りです。
どの分野も、キャリアアップを目指す保育士に役立つでしょう。
分野 | 研修内容 | 習得スキル |
---|---|---|
乳児保育 | 乳児保育の意義や乳児への適切な関わり方、乳児向けの指導計画など | 0歳以上3歳未満の子どもを対象とした保育知識 |
幼児教育 | 幼児の発達段階に合わせた適切な教育内容や、小学校との接続など | 主に3歳児以上の子どもを対象とした教育知識 |
障害児保育 | 栄養に関する基礎知識やアレルギー疾患、保育施設における各種ガイドラインなど | 障害児保育に必要な専門性の高い知識 |
食育・アレルギー対応 | 障害に対する知識や障害児保育に適した環境作り、発達の援助方法など | 食育や栄養に関する知識 |
保健衛生・安全対策 | 保健衛生・安全対策の研修では、事故防止や健康安全管理、保育施設における感染症対策ガイドラインなど | 事故や病気の防止に役立つ専門知識 |
保護者支援・子育て支援 | 保護者に対する相談援助や、地域における子育て支援、虐待予防など | 保護者を対象とした助言や支援スキル |
マネジメント | リーダーシップや組織の目標設定、人材育成、働きやすい環境づくりなど | 保育の質を高めるために必要な管理職としてのスキル |
保育実践 | 保育における環境構成や子どもとの関わり方、身体や物を使った遊びなど | 保育者が主体的に保育を展開する能力 |
(出典:厚生労働省「保育士等キャリアアップ研修ガイドラインの概要」/https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/gaiyou_10.pdf)
保育士が専門リーダーになる際の手続き
最後に、保育士が専門リーダーになる際の手続きについて、順を追って解説します。
専門リーダーは、処遇改善加算の対象となっている保育施設のみでなれる役職です。そのため、専門リーダーを目指す際は、勤務先におけるキャリアアップ制度の有無について園長または主任保育士に確認を取りましょう。
専門リーダーに求められる研修を受ける際は、最初に保育施設からの申請が必要です。保育施設からの申請が受領されたら、8分野から自分の受けたい研修を選んで受講しましょう。研修の実施スケジュールは自治体や研修実施機関によって異なります。
専門リーダーになるための研修を修了すると、保育士等キャリアアップ研修修了証の受け取りが可能です。研修修了証の効力には期限がなく、日本全国の都道府県で有効となります。
研修修了後に勤務先の保育施設で発令を受ければ、専門リーダーの役職に就くことが可能です。ただ研修を終えるだけでは専門リーダーとして手当を受け取ることはできないため、勤務先の担当者に報告をし、手続きを完了しましょう。
(出典:厚生労働省「保育士等キャリアアップ研修ガイドラインの概要」/https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/gaiyou_10.pdf)
まとめ
保育士の専門リーダーは厚生労働省によって設立された新たな役職で、より高い専門性やリーダーシップが求められます。専門リーダーとなった場合、一般の保育士と比較して給与金額が高くなることが一般的です。
専門リーダーになるためには、経験年数や研修の受講など、一定の条件を満たす必要があります。専門リーダーを目指す方は、勤務先がキャリアアップ研修制度の処遇改善に対応しているか確認しましょう。
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