乳幼児向け絵本選びのコツも学べる!『マタニティファミリーフェスティバル』をとことんレポート

2022年5月21日(土)、東京・水天宮でもうすぐ赤ちゃんを迎えるご家族を対象にしたイベント『マタニティファミリーフェスティバル』が行われました。会場には、マタニティセミナーやベビーグッズ、各種サービスの展示&体験ブースなど、保育の現場でも役立つ企画が盛りだくさん! 本記事ではその様子を詳しくレポートします。
マタニティファミリーを対象にしたリアルイベントは2年半ぶり!
妊娠中のママ・パパの「知りたい!」がぎゅっと詰まったイベント『マタニティファミリーフェスティバル』が、安産祈願の戌(いぬ)の日である5月21日に開催されました。リアルでの開催は2019年秋以降休止していましたが、今年は感染防止対策を徹底したうえで、晴れて再開することになったのです!
会場となった東京・水天宮の「T-CATホール」は、たくさんの妊婦さんとそのご家族で大にぎわい。産後のお役立ちグッズがずらりと並ぶブースや、妊娠中に知りたい情報が学べるマタニティセミナーなど、入場無料とは思えない充実の内容でした。 ここからは、イベントで見つけた多くのお役立ち情報のなかから、保育現場でも役立ちそうな「絵本の読み聞かせ」に関するセミナーの様子をご紹介しましょう。
大盛況! 絵本の専門家、絵本専門士に学ぶ「絵本の選び方」セミナー
絵本専門士によるセミナー「絵本のえらび方~0歳からののびのび読み~」は事前予約で満席、キャンセル待ちの列ができるほどの人気でした。初めて赤ちゃんを迎える妊婦さんにとっては、読み聞かせも“初めて”の体験。みなさん「うまくできるか心配」「絵本選びのコツを知りたい」という思いがとても強いようです。 そんな人気セミナーの講師を務めたのは、絵本専門士でありパントマイムと絵本のパフォーマンスユニット「おむすびひろば」としても活躍する瀬戸口あゆみさんです。1児の母親でもある瀬戸口さんは、読み聞かせの理想と現実を実感したエピソードを披露したり、実践を交えた解説を行ったりと、とてもあたたかな雰囲気のなかでセミナーを進行し、参加者の笑顔を誘っていました。
瀬戸口 あゆみ(せとぐち・あゆみ)
絵本専門士
(株)絵本ナビに勤務するかたわら、パントマイムと絵本のパフォーマンスユニット「おむすびひろば」で、絵本のおはなしのお姉さんとして活動中。国立青少年教育振興機構認定の絵本専門士でもある。2020年3月に第一子出産。
絵本専門士ってどんな資格?
絵本専門士というのは、絵本に関する知識・読み聞かせの高い技術などを備えた、絵本の専門家のこと。みなさんの中にも、「保育の仕事に役立つ絵本選びのコツが知りたい」「読み聞かせのテクニックを学びたい」と考えている人が多いかもしれませんが、近年では保育士としてのスキルアップや専門性を高めるために、絵本専門士の資格取得を目指す保育士も増加傾向にあります。
保育現場でも役に立つ!読み聞かせにおすすめの絵本3選
ひと口に絵本といっても、毎年、数えきれないほどの種類が出版されています。そのため、家庭や保育の現場では「どうやって選べばいいの?」「せっかく買っても気に入ってくれない」「大人が読ませたい絵本と、子どもが読みたい絵本が違う」など、さまざまな悩みが生まれていることも事実——。
瀬戸口さんは絵本専門士としての目線から、そうした悩みに寄り添いつつ、絵本の選び方についてポイントを絞って解説していきます。
「生後すぐの赤ちゃんには、角が丸くて紙が分厚い“ボードブック”がおすすめ。破れにくいうえに、なめても溶けません」「何かを『つかみたい!』という欲求が出てくる生後4カ月くらいには布絵本」など、成長段階に合わせた絵本選びを紹介しながら、「それぞれの子どもに合わせたペースで、焦らず、楽しく選びましょう」とアドバイスする瀬戸口さん。
加えて、「赤ちゃんなりの絵本へのアプローチを促すためにも、大人が絵本まわりの環境を整えてあげることが大事」だとも強調します。つかまり立ちをするようになった子どもは、目線の高さにあるものにどんどん興味を持ち始めます。そして、その位置に絵本があれば、まだ絵本を読めなくても「これはなんだろう?」と触ったり、めくったり、なめたり、カバーをはずして観察したりするでしょう。つまり、そうやって絵本と触れ合うきっかけを作ってあげることが、絵本の楽しさを知るための第一歩というわけです。 なお、本セミナーに協力しているポプラ社は、「のびのび読み」というプロジェクトを展開していますが、このプロジェクトはまさに「赤ちゃんのころから絵本と触れ合うこと」をテーマにしたもの。“読むだけ”じゃないいろいろな絵本の楽しみ方を提案しているので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
「のびのび読み」ってなに?
2016年、ポプラ社のパパママ社員の声から生まれた「のびのび読み」は、絵本を「読む」ようになる前、赤ちゃんのころから楽しく本と触れ合ってほしい——。そんな想いがきっかけとなってスタートしたプロジェクトです。スキンシップやおもちゃと同じように、楽しいコミュニケーションツールとして絵本を活用してほしいという願いが込められています。
●ポプラ社「のびのび読み」
約30分のセミナーでは、瀬戸口さんがおすすめ絵本の読み聞かせも実践してくれました。実践に使われたのは、世代を超えて読み継がれている名作絵本から、今話題のユニークな絵本まで厳選の3冊。保育士のみなさんにも、参考になるラインアップではないでしょうか。
作/なかえ よしを・絵/上野 紀子 ポプラ社 刊
おなじみ「ねずみくん」シリーズの第1作。セミナーでは「すこしきついが、にあうかな?」の問いかけに、会場のお子さんが「にあうー!」と合いの手を入れるほほえましいひと幕も。間の取り方やページをめくるスピードなど、「どうやって読んだら子どもが注目してくれるかな?」と意識しながら読むことで、子どもたちの反応も大きく変わるはずです。
作・絵/はらしま まみ ポプラ社 刊
とにかく愉快でユーモアたっぷりの一冊。読んでいる人が、全身で楽しんでいる様子を伝えれば、子どもたちの気持ちもどんどん盛り上がっていきそうです。子どもの笑いのツボを刺激するオノマトペが満載なので、「ばりばり」「べろーん」と楽しく読み聞かせしましょう。
作/鈴木 まもる ポプラ社 刊
読む人も聞く人も、誰もがあたたかい気持ちになる絵本。ひと言ずつ、ゆっくりと語りかけるように読むことで、聞く人の心にまっすぐ届きます。瀬戸口さんの読み聞かせでは、涙ぐむ参加者の姿も見られました。
便利なベビーグッズの展示&体験ブースも大盛況!
イベントでは、絵本の選び方セミナー以外にも、人気の講師による産前・産後対策や、マタニティフォトをきれいに撮るコツ、プロが教えるベビーグッズの選び方など、バラエティに富んだ内容のセミナーが開催され、参加者は大満足の様子でした。
また、企業ブースにはマタニティファミリーに向けたお役立ち商品がずらり! 訪れたみなさんは、出展者の説明を聞きながら「使い心地はどうかな?」「これ便利そう!」と、興味深そうに商品を手に取っていました。
抱っこひもやベビーカーの体験ブースもあり、みなさん楽しみながらベビーグッズを試している様子。この1日で、赤ちゃんを迎える楽しみや喜びが一段と高まったのではないでしょうか。
寝かしつけの悩みを解消!「ぐっすり座布団」「まんまる枕」
動く絵本プロジェクター「ドリームスイッチ」
動画を見ながら簡単お着替え体験「ラップクラッチ」
まとめ
マタニティファミリーの「知りたい!」を1日にぎゅっと詰め込んだ『マタニティファミリーフェスティバル』は、充実した内容ながらもコンパクトにまとまったイベントで、産後の生活に備えるべきモノ・コトがしっかり理解できました。
とくに絵本の選び方・読み聞かせは、保育士のみなさんにとっても興味深いテーマだと思います。これからもほいくらしでは、絵本をはじめとする保育まわりのさまざまな情報を発信していきますので、ぜひ楽しみにしてくださいね。
内容は2022年5月取材時のものです
取材・文/野口 燈