日々報道されるニュースや情報を見ているうちに、ふと強い不安を感じてしまう人も多いのではないでしょうか? 自己肯定感研究の第一人者として知られる心理カウンセラー・中島 輝さんによると、いま「ストレス以上、うつ病未満」の状態とされる「うつ感情」を抱える方が、とても増えているといいます。
ここでは、中島 輝さんが、ストレス社会を生きる保育士のみなさんが身につけておきたい、「うつ感情の対処法」について解説します。
「朝から憂うつ」と思ったときの対処法
朝起きるとすぐに、憂うつな気分になってしまいます。
心理カウンセラー 中島 輝さんからの回答
憂うつな気分で朝を迎えるのは、おそらくなにかの不安や、過去のネガティブな出来事の記憶に心がとらわれているからです。
これは、心のなかが「うっそうとした」状態です。そのため、「今日もいいことなんてないだろうな」「あのミスをまた指摘されるかも」などと思い、思考が勝手にぐるぐると回って気分が落ちこんでしまうわけです。
そんなときは、いったん根本に立ち戻り、「なにが自分をこんなに憂うつにさせるのだろう?」と自分に話しかけてみてください。ちょっとした「原因探し」をするわけです。
ここで注意したいのは、あまり深く振り返らないこと。まじめな人ほど振り返りをしすぎてしまい、ますます暗い気持ちになるのを加速させることがあるからです。あくまでイヤな気分をちょっと吐き出すような感じで、どんなことがイヤなのかを軽く振り返るようにしましょう。
わたしのおすすめは、気分が上がる音楽を聴きながら振り返ることです。好きな音楽を聴きながら、「えっと、今日はなにがイヤなんだっけ?」くらいの軽いノリで、自分に話しかけてあげるのがコツです。軽く体を動かしたり、歯を磨きながら振り返ったりするのもいいでしょう。
次は、その憂うつな気分を「客観視」してみます。
「それって本当に、自分の人生にとって重要?」
「こんなにエネルギーを使うようなこと?」
そんなふうにして、憂うつな気分で思い悩むのが自分の人生にとってメリットがあるのか、デメリットのほうが大きいのかをはっきりさせていきます。
ほとんどの場合、デメリットのほうが大きいはずで、これだけでも気持ちがかなり楽になっていきます。あなたは誰かのために、もう思い悩む必要はありません。
そして、最後に必ずやってほしいのは、「その日の終わりにどんな楽しみがあるか」を前もって考えておくことです。これは、「if-thenプランニング」という、行動力を呼び起こすメソッドです。
「これを我慢できたら○○をやろう」というように、毎日自分へのご褒美を用意しておくだけで、人生をコントロールしている感覚が強まります。 自分と対話をして、「それってなにが原因なのか?」「こんな気分になるメリットは?」と振り返る。すると、「なんだ、そんなに深く考えなくてもいっか」と思えるようになって、心の状態はどんどんよくなっていくでしょう。
中島 輝さんからのワンポイントアドバイス
構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム) 写真/川しまゆうこ
※この連載は、『自己肯定感が高まる うつ感情のトリセツ』(きずな出版)をアレンジして掲載しています。
自己肯定感が高まる うつ感情のトリセツ
著者名:中島 輝
出版社:きずな出版 2022年4月発売
自己肯定感アカデミー(https://ac-jikokoutei.com/)